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Sigma 85mm F1.4 DG DN | Art
SigmaのArtシリーズのレンズのなかの1本です。一眼レフ用のDG HSMからミラーレス一眼にあわせた設計になって,2020年8月に登場しました。 DG HSM時代は手振れ補正が入っていましたが,このモデルは小型化の代償としてなのか,手振れ補正ははいっていません。肥大化するArtシリーズにあっては,意外にも小型軽量を目指したと思われます。イマドキのレンズらしくAFも速く,AFのモーター音も聞こえません。 中古であれば10万円を大きく下回る金額で取引されていますが,その性能を考えると不当に安い価格だと思います。個人的には中古が安いことはうれしいことで,だからこそ調達することができた,とも言えるのでなんとも微妙なところです。Sony純正と比較すると,明らかにSigmaのほうがコストパフォーマンス高いといえると思います。もちろん,連写速度の制限など非純正であることのデメリットはあるのですが,超高速連写が必要でないような写真を撮っている人には十分すぎる性能だと思います。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/85mm%20F1.4%20DG%20DN%20%7C%20Art に置いています。 #レンズ #AF #SonyE #Sony #Sigma #85mm #F1.4 #望遠 #単焦点
AFレンズ Sony E SigmaMOR
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Contarex Planar 50mm F2
1958年に登場したZeiss Ikon渾身のカメラContarex用の標準レンズです。ContarexはZeiss Ikonがカメラ事業から撤退する1973年で市場から退場しますが,最初から最後までラインナップされていたレンズの一つがこのPlanar 50mm F2です。Wikipediaによると4群6枚構成のレンズ構成で銀鏡筒で最短撮影距離が30cmの前期型と1965年に登場したフラッシュマチック機構を組み込んで黒鏡筒,最短撮影距離38cmの「ブリッツ」があって,Contarex用レンズ最多の計37,768本が製造されたとのことです。 しかし,実際には,レンズ構成は第3群の張り合わせレンズを分割して薄い空気レンズを挟んだ5群6枚構成の拡張ダブルガウス型で,4群6枚構成のPlanarはカタログ上で見られるだけで本当に出荷されたのかどうかはっきりしません。また,鏡筒の色についても,ブリッツではない黒鏡筒モデルもあり,これは,前期型の単なる色違いのようです。しかもその黒鏡筒モデルは,ブリッツタイプのように距離環だけがアルミの銀色でそれ以外の鏡筒部分が黒なのではなく,距離環も含めて黒いオールブラック版と呼ばれるモデルがごくわずか存在するのです。 どのタイミングでオールブラック版が市場に投入されたのかはっきりしませんが,おそらく,銀鏡筒,オールブラック版,距離環のみ銀色の黒鏡筒という順番でリリースされているであろうと考えています。オールブラック版はほとんど見かけることはないのですが,なぜか,私の手元にはSonnar 135mm F4のオールブラック版があるので,Planar 50mm F2以外にもオールブラック版が存在することは間違いありません。しかし,全てのモデルにオールブラック版があったかどうかは私が調べた限りではよくわかりません。軽く検索した範囲では,Planar 50mm F2の他に,Sonnar 85mm F2, Distagon 25mm F2.8は本物らしきものが出品されていました。 だからどうだ,という話は何もありません。私の手元のPlanar 50mm F2は前期型,最短撮影距離が30cmの銀鏡筒モデルです。シリアル番号は261万番代なので,1959年か1960年ごろの製品で,Contarex用レンズとしてはかなり早い時期のものだと思われます。Zeiss Ikon純正のバヨネット式フードは50-135mm用というかなり大雑把なものです。レンズ先端にはネジを切ってあるのでねじ込み式のフィルタを取り付けることもできますが,純正フードとは共存できない,という微妙な仕様です。フィルタとフードを両方使いたい場合は,バヨネット式のフィルタを取り付けてからフードをとりつけるか,ねじ込み式のフィルタを取り付けてから社外品の適当なねじ込み式のフードをつけるしかありません。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Planar%201%3A2%20f%3D50mm に置いています。 #レンズ #MF #Planar #Contarex #Carl_Zeiss #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ Contarex Carl ZeissMOR
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Curtagon f:4/28 mm
このレンズについてはあまり情報がないのですが,Kodakのレチナ用交換レンズ(DKLマウント)のなかでは最も広い画角をカバーする広角レンズです。広角側が28mmというのは現在の感覚ではかなり残念な感じですが,レチナが現役だった時代は十分に広角だったと思います。 CurtagonはSchneider-Kreuznachのレトロフォーカス型のレンズ銘の一つで,28mmや35mmがあったようです。exaktaやM42マウントのものも多く作られています。DKLマウントのレチナはレンズビハインドシャッター方式の一眼レフなので,後玉の径に大きな制約があって,最短撮影距離が長いものが一般的です。exaktaやM42マウントのものは最短撮影距離が短いので,現代にあって,あえてDKLマウントのレンズを選択する理由はあまりありません。手元にDKLマウントのレンズが増えてくるとついつい手を出してしまった,という,もはや何が目的かわからないような理由で入手しました。 レチナのDKLマウントレンズは初期には距離計連動式のレンジファインダカメラでも使えるように距離計連動用のカムがついていましたが,後に一眼レフのみに対応してカムが省略されるとともに少し最短撮影距離が短くなりました。Curtagonも後期のモデルでは最短撮影距離は60cmに短縮されています。そうはいっても十分に最短撮影距離は長いので使い勝手はよくありません。 レンズ構成は典型的なレトロフォーカス型だと思われますが,6群6枚構成という説もあるようですが,おそらく6群7枚構成だと思います。DKLマウントのCurtagonについての情報はネット上でもあまり見つからないので実際のところはよくわかりません。 この個体は松屋銀座であった世界の中古カメラ市で売られていたものを入手しました。レンズ銘として「カータゴン」と書かれた値札の大きな紙がバブルケースの上に貼られていたので本体がよく見えず,これがCurtagonだということに気がつきませんでした。ふと値札の下を覗いて気がついた次第です。少しクモリはあるようでしたが,それほど高いわけでもなかったので,購入となりました。
MFレンズ DKL Schneider-KreuznachMOR
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EF-M 32mm F1.4 STM
2018年9月に登場したおそらくEF-M最後になるであろうレンズです。プロ向けのLレンズに匹敵する光学性能という触れ込みです。このレンズが登場した時はすでにRFマウントのミラーレス一眼カメラ(EOS R)が発表されていました。RFマウントが登場してもはやEF-Mは終わった,と多くの人が思ったタイミングでリリースされました。おそらくCanonのなかではRFとは関係なく開発されていて,最終段階にあったためRF登場後であっても市場に投入されたのだと想像します。 しかし,このレンズの後,EF-Mレンズは5年以上経過しても新しいレンズが登場するという噂さえも聞こえてこないので,おそらく,CanonのなかでEF-Mシステムは,レンズ,カメラともに完全にその役目を終えている,と考えるのが妥当だと思われます。RFマウントでAPS-CフォーマットのカメラであるR7, R10, R50もリリースされ,APS-C用のRF-Sレンズも登場しているのでEF-Mはもう終わったと考えるべきでしょう。 私の記憶では,CanonはAPS-Cサイズのイメージサークルをもつレンズに対してはLレンズを一つもリリースしてこなかった,と思います。Lレンズに匹敵するという触れ込みで登場した32mm F1.4は,EF-Mシステムの有終の美を飾るレンズと言えるかもしれません。 実際,よく写りますし,EOS M6 Mark IIの高画素にも十分に対応できる解像度があります。現代的な意味でとてもよくできたレンズだと思います。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/EF-M%2032mm%20F1.4%20STM においています。 #レンズ #AF #EF-M #Canon #32mm #F1.4 #標準 #単焦点
AFレンズ EF-M CanonMOR
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SEPTON 1:2/50
デッケルマウント と言えばSeptonと言ってもいいくらいDKLマウントレンズを代表するレンズです。 生産数の多さで言えばColor-SkoparやSkoparexには及びませんが,VoigtlanderのDKLマウントレンズのなかでは3番目にたくさん生産されたレンズで5万本以上生産されたようです。1960年に高級カメラのUltramaticとともに登場し,1967年まで生産されます。4群6枚のダブルガウス型構成の1群と2群の間に凹メニスカスを挟んだ独特の構成です。 ネット上には同じような解説が多数あるので特にここで改めて述べる必要はないのかもしれませんが,簡単にまとめると, 1) 7枚玉であるにもかかわらず明るさを欲張らず,描写性能に特化した。 2) Septonという銘は数字の7に由来する。 3) 音までも写すと言われるほどの素晴らしい描写 というのが通説です。 Voigtlander自身も,その商標使用権を得たコシナもSepton銘のレンズはこのDKLマウントのレンズ以外には出していません。Septonは登場時は距離計連動用のカムを備えており,最短撮影距離も90cmでしたが,その後,他のDKLマントレンズと同様に距離計との連動機構を捨てて撮影距離を短縮しています。距離計用カムを持たない後期型では最短撮影距離は60cmになっていました。 SeptonはDKLマウントレンズとしてはSchneiderのXenon 50mm F1.9と並んでもっとも明るいレンズの一つでした。Septonが開放F値を欲張らなかったのは,そもそもレンズビハインドシャッター方式の一眼レフで後玉を大きくとれず大口径化が難しいという制約があったために,F2で可能な限りよいレンズを作りたい,と考えたからかもしれません。 Septonは多くの個体でバルサム切れが発生しており,製品寿命が限界に近づいていると考えられます。製造時のミスでバルサムの配合を間違えた,という説もあるようですが,実際のところはよくわかりません。この個体もバルササム切れによると思われる曇りが発生しています。製造番号が670万番台なので1967年ころの製造と考えられます。最短撮影距離は90cmの前期型ですが生産の最終年で後期型に切り替わる直前くらいの個体だったようです。 #レンズ #MF #SEPTON #DKL #Voigtlander #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ DKL VoigtlanderMOR
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SKOPAREX 1:3.4/35
Voigtlanderのベッサマチック用SKOPAREXです。ざっくり言えばBessamatic用の3群4枚の典型的なTessar型であるColor Skopar 50mm F2.8をベースに焦点距離を35mmにしたもの,と言えます。ただし,Bessamaticは一眼レフでミラーがあるため,レンズはバックフォーカスを長くとらねばなりません。そのために,Tessar構成のレンズ前端に2群2枚のレンズを追加して5群6枚構成のレトロフォーカスタイプで設計されています。 Skoparexの祖先はTessar型のColor Skoparですが,これをレトロフォーカスタイプにしたProminent用のSkoparon 35mm F3.5が直接の先祖だと考えられます。マウント形状はDKLと同じであるものの後のBessamaticとは互換性がないVitessa-T用のSkoparet 35mm F3.4となり,いわゆるDKLマウントのBessamatic用のSkoparex 35mm F3.4へと繋がっていきます。 Bessamatic用のSkoparex 35mm F3.4は大きく分けて前期型と後期型があり,前期型はVoigtlanderが出すつもりだったレンジファインダー式カメラとの互換性を考慮して距離計に連動するためのカムが装備されており,最短撮影距離も1mでした。当時は35mmレンズは十分に広角レンズだったと思われますが,広角レンズなのに1mまでしか寄れない,というのはなんのための一眼レフ用レンズなんだ,という中途半端な仕様でした。 その後,レンジファインダー式カメラは実現しないまま,一眼レフカメラが全盛となり,Skoparexも距離計連動のためのカムを捨て,最短撮影距離を40cmとした後期型になります。最短撮影距離がどうしても長くなってしまうビハインドシャッター方式のBessamatic機のなかでは最短撮影距離の短さで1,2を争うレベルであったと言えます。 Skoparexは1960年から1969年まの9年間で6万本強が生産されたということです。1969年にはVoigtlanderはZeiss Ikonに吸収合併されて消滅しますが,ブラウンシュヴァイクの工場は操業を続けます。SkoparexはZeissのICAREXやSL706用レンズとしてマウントをICAREXやM42に変更されます。レンズ構成はBessamatic時代の5群6枚のレトロフォーカス型であることに変わりはなかったようですが,光学設計は微妙に変更されているようです。したがって,同じレンズ銘でもVoigtlander時代とZeiss時代では異なる描写となっているようです。その後,1972年にはZeis Ikonのカメラ事業とVoigtlanderがRolleiに移譲され,RolleiからColor Skoparex銘のレンズがリリースされます。 1981年にはそのRolleiも倒産し,Voigtlanderの商標は別の会社に移譲され,現在は日本のコシナが商標を使っています。コシナからはColor Skopar銘のレンズはでていますが,Skoparex銘のものはないようです。だからどうってこともないのですが,コシナがSkoparex銘を使わない理由は少し気になります。 この個体は最短撮影距離が40cmの後期型でシリアル番号が700万番台なので,Voigtlanderとして最後期の1965から1970年の間に製造された個体であると考えられます。この頃のVoigtlanderのシリアル番号は1年におおよそ20万づつ増えていることを考えると,この個体は1967年ころの製造ではないかと推察されます。 #レンズ #MF #SKOPAREX #DKL #Voigtlander #35mm #F3.4 #広角 #単焦点
MFレンズ DKL VoigtlanderMOR
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COLOR-SKOPAR X 1:2.8/50
Voigtlanderのベッサマチック用COLOR-SKOPAR Xです。50mm F2.8の典型的な3群4枚のテッサー型のレンズです。Schneider-KreuznachでTessarを設計したかの有名なトロニエ博士がVoigtlanderに移籍後に設計したレンズで,デッケルマウント用のColor-Skoparは1959年から1967年までの間に20万本弱生産されたそうです。そのため,中古レンズは豊富にあり,状態のよいものを選ぶことができます。 デッケルマウントのレンズでは当たり前の最短撮影距離が1mという使いにくいレンズですが,作りは贅沢で真鍮(たぶん)の削り出しの精巧なマウントとアルミの短い鏡筒が美しく,小さいけれどもずっしりとした重みを感じます。 Voigtlanderは1756年に創業した世界最古の光学メーカーですが,1950年代中頃をピークに日本製のカメラにおされて業績は悪化していきます。1956年にはカール・ツァイス財団に売り渡され,1969年にはツァイス・イコンに吸収合併,1971年にはツァイスが民生用レンズの生産をやめることを決定したことに伴いローライに商標権を売却,1972年には伝統あるブラウンシュバイクの工場が操業を停止しています。そのローライも1981年には倒産しています。 1999年に日本のコシナがVoigtlanderの商標の通常使用権の許諾を得てかつてのレンズ銘で新しいレンズを開発,販売しています。Skoparもそのような新しいレンズに与えられた銘の一つです。ただ,レンズ銘は伝統あるものですが,レンズそのものは普通にコシナのレンズというだけで,かつてのVoigtlanderのテイストが感じられるかどうかは少し別の話のように思います。 この個体はシリアル番号から1963年製であることが推察され,デッケルマウントのカメラがまだ勢いがあった頃のものだと考えられます。ヤフオク!で入手しましたが,純正のスカイライトフィルタとかぶせ式の汎用品と思われるフードがついていました。コンディションは可もなく不可もなく,実用には特に問題はないものでした。 #レンズ #MF #COLOR-SKOPAR #DKL #Voigtlander #50mm #F2.8 #標準 #単焦点
MFレンズ DKL VoigtlanderMOR
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LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
2013年11月にLumix DMC-GM1とともに登場したレンズです。GM1用の小型で軽量なキットレンズとしてセットで使われることを想定して開発されたと考えられます。沈胴式でレンズ収納時は厚さ1インチ(=25.5mm)にも満たないコンパクトさです。厚さを約24mmに抑えたのはアメリカで販売するときに1インチより薄い,ということをアピールしようとしたからでしょうか(考えすぎかな?)。 質量は100gをはるかに下回ります。このレンズを装着したDMC-GM1は300g足らず(スペック上は約274g)ですから,下手なコンデジよりも軽いのです。例えばPanasonicの1インチセンサーのコンパクトデジタルカメラのDMC-LX9は24-72mmのズームレンズ付きで310gですから,GM1の軽さは際立っています。望遠端が少し短いものの,レンズ交換式でこの軽さは驚異的で,その軽さにLumix G 12-32mmが大きく貢献していることは間違いありません。 レンズを繰り出してもそれほど長くなるわけでもなく,コンパクトなままです。コンパクトなのに広角端を12mm (35mm判換算24mm)としたことはPanasonicの見識だと個人的には思います。小さくするなら広角端を14mmにしたほうが設計はずっとラクだったはずですが,それをあえて12mmからのズームとしたというのはある種のこだわりだったのだと思います。そういうこだわりが感じられるモノがとても好きです。 このくらいコンパクトだといろいろなところに設計上の無理がでてきてどこか破綻するところがありそうなものですが,さすがに現代の設計だけあってバランスよく設計されています。というか,むしろよく写るレンズだと思います。レンズにおける軽薄は正義だということを主張するレンズです。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/LUMIX%20G%20VARIO%2012-32mm%2FF3.5-5.6%20ASPH.%2FMEGA%20O.I.S. に置いています。 #レンズ #AF #m4/3 #MFT #Panasonic #12-32mm #F3.5-5.6 #H-FS12032 #標準 #ズーム #手振れ補正
AFレンズ MFT PanasonicMOR
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M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
2010年4月にOlympusから発売されたマイクロフォーサーズ(MFT)規格の超広角ズームレンズです。一眼レフのフォーサーズ規格でも同様のスペックのレンズがありましたが,それをベースにMFTに手直ししたものと思われます。そうは言ってもフランジバック が全然違う一眼レフとミーレス一丸ではレンズの設計は根本的に違うものになって当然で,実際,構成するレンズの枚数からして違います(MFT用のM.ZUIKOのほうが1群1枚少ない)。前のモデルとの共通点はスペックだけ,ということだと思います。 広角域はフランジバックが短いミラーレス一眼が一眼レフに比べて圧倒的に有利ですが,加えてセンサーサイズが小さいので非常に小型・軽量なレンズが実現できます。この超広角ズームも35mm判換算で16-36mmという超広角なのに150gちょっとしかありません。センサーが小さく焦点距離が短いのでボケの量は少ないですが,超広角ならパンフォーカスでどんどんシャッターを切れば良い,という考えなので,個人的にはMFTと超広角は相性がよい,と思っています。 実際,どこにフォーカスが来てもピントはあってしまうのでフレーミングだけしてシャッターを切ればOKです。けっして高価(で高性能)なレンズとはいえませんが,写りは十分ですし,標準ズームに追加してもう1本持っていくことが苦痛ではない,というのは重要です。フルサイズのカメラを持っていけないときでも,気軽に交換レンズを複数持ってでかけられるのはマイクロフォーサーズの特権だと思います。 ただし,最近はMFTでもカメラ本体が巨大化しているので,荷物を少なくしたいときには,中古で調達したLumix GM5の一択になってしまっているのが残念です。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/M.ZUIKO%20DIGITAL%20ED%209-18mm%20F4.0-5.6 に置いています。 #レンズ #AF #m4/3 #MFT #Olympus #9-18mm #F4-5.6 #広角 #ズーム
AFレンズ MFT OlympusMOR
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smc PENTAX-DA 1:2.8 14mm ED [IF]
PentaxのAPS-Cセンサー用の超広角レンズです。発売時にはPentaxの超広角短焦点レンズとしては,もっとも広角でもっとも明るいレンズでした。 DA 14mm F2.8は2004年6月に発売されているので,デジタル一眼レフが本格的に普及し始めた頃の超広角レンズということになります。smc PENTAX-DAシリーズのレンズはデジタル一眼レフに対応した高解像度のレンズという位置付けですが,当時のカメラのセンサー画素数を考えると2020年代のレンズと比較するのはちょっと可愛そうです。2004年はPentaxからはAPS-Cサイズのセンサーを搭載したデジタル一眼レフとしては2世代目,610万画素の*istDSが市場に投入された年です。 APS-C専用の単焦点レンズとしては大きく重く,その後,2013年に登場したHD PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limitedが1段暗いものの小さく軽く,コーティングも進化していてDA 14mm F2.8の立ち位置は微妙になりました。さらに,2021年には35mm判換算21mmの画角としてはフルサイズ用のHD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WRが登場したことで,もっとも明るい単焦点レンズの座を明け渡すことになりました。 DA 14mm F2.8は大きく重い,ということに加えて,手持ちのAPS-CカメラがK-7で,ファインダーのキレがイマイチであったため超広角ではピントがつかみにくく,あまり持ち出しませんでした。本当はカメラのせいじゃなくて,横着だっただけなのですが。 さすがに古い時代のレンズらしく開放は甘いですが,当然のように絞れば普通に写ります。このレンズが登場した当時はこれが普通でしたし,特に不満もありませんでしたが,2020年代の開放からカリカリに解像するレンズばかり見ているとずいぶんと見劣りします。とはいえ,PKマウントのAPS-C用レンズとしては他に代わるものがありませんから,文句を言わずに使う,が正しいのだと思っています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-DA #PK #PKAF #Pentax #14mm #F2.8 #広角 #単焦点
AFレンズ PKAF PentaxMOR
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smc PENTAX-A MACRO 50mm F2.8
smc PENTAX-Mレンズの後継として絞り環にAポジションが追加され,電子接点も追加された世代のレンズで1984年に登場し,AFのSFXが登場した1987年の翌年,1988年にsmc PENTAX-F MACRO 50mm F2.8に交代します。このAレンズの50mm F2.8マクロはハーフマクロ(0.5倍)ですが,前世代のMレンズまでの50mmマクロはF4のハーフマクロ,後継のAFに対応したFレンズ以降の50mmマクロはF2.8で等倍マクロです。 したがって,50mm F2.8のハーフマクロはPentaxではAレンズだけしかありません。レンズ構成も先世代,後継機とも異なる4群6枚構成です。普通は4群6枚といえばダブルガウス型のレンズ構成を想像しますが,後群の第3群が張り合わせではなく,第4群が凹凸の張り合わせで,クセノター型を想起させる構成です。製造期間がわずか4年で,かつ,同型のレンズが全くない,という意味で希少種なのですが,特に写りがよいというようなこともないので,たいして注目されていなくて,中古の価格もたいしたことはありません。同世代のsmc PENTAX-A 100mm F2.8 MACROが希少品として特別な扱いをうけているのとは対照的です。 レンズの距離環のテーパー部分にレンズ銘を刻印するAレンズのデザインは個人的にはかなり違和感がある,というか端的に言えば,あまり好きになれないのですが,後継のAFレンズに比べるとずっと「普通のレンズ」っぽい(私の基準で)ので許容範囲です。 どうしても等倍撮影が必要という事情があったためにD-FA MACRO 50mm F2.8を入手したため,ハーフマクロのsmc PENTAX-A 50mm F2.8の出番がなくなってしまったのですが,モノとしてはとてもよいレンズだと思います。 撮影倍率が1/2でも撮影対象において特に問題がなくて,かつ,マクロなら普通,MFだよね,という(非常にニッチな)人にとってはMFのフィーリングもよく,開放F値も明るくて唯一無比のレンズだと思います。そういう私は安直にsmc PENTAX-D FA 50mm F2.8 MACROを使ってます。 https://muuseo.com/MOR/items/85?theme_id=30044 #レンズ #MF #smc_PENTAX-A #PK #PKA #Pentax #50mm #F2.8 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ PKA PentaxMOR
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Tamron 80-210mm F4.5-5.6
TamronのModel 278Dです。20世紀の最後くらいに発売されたレンズだと思われます。まだこの頃はTamronもPentaxマウントのレンズを作っていました。重さがたったの281gという軽い望遠ズームです。望遠端が200mmではなく210mm,広角端が70mmではなく80mmで,最初からニッチ狙いかと思わず邪推してしまう微妙なスペックです。 21世紀に入ってカメラがデジタル化して,等倍で見るとレンズの解像度がとても気になり出した頃のレンズです。21世紀のはじめごろにPentaxのFAスターレンズが次々にディスコンになっていましたが,FA 85mm F1.4がついにティスコンになるという話を聞いtあわてて中野のフジヤカメラに走ってなけなしの小遣いをはたいて流通在庫を確保しました。そのときに,売り場に新品なのに2000円くらいで山積みされていたのがこのTamronの278Dでした。 85mm F1.4を買うつもりで来ているので金銭感覚が麻痺していますから2000円なら激安だよな,と思ってなぜか勢いでいっしょに購入したように記憶しています。実際,いくらなんでも2000円は安すぎるというか,もはや根がついていないのと同然でした。お店の人になぜこんなに安いのか聞いたら,デジタル時代になったのでフィルム時代の甘いレンズは売れないからだ,という説明でした。安いのでとりあえず買っとけ,とそのときは思って買ったと記憶しています。 しかし,予想通り,その後,一回も使った記憶がありません。実際,使っていないんだと思います。最近,防湿庫から発掘されました。15年以上経過しているため,ゴムのローレットは加水分解で白くなっています。実用上の不都合は何もないのですが,いかにも放置されていた感が満載の外観です。レンズ構成も単純で,プラスチックの鏡筒ということもあって驚くほど軽量です。言い換えればチープ感が全力で漂っている,ということですが,これはこれで旅行に持っていくというような目的には十分であるように思います。 #レンズ #AF #Tamron #PKAF #PK #80-210mm #F4.5-5.6 #望遠 #ズーム
AFレンズ PKAF TamronMOR
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smc PENTAX-D FA 50mm F2.8 MACRO
Pentaxのデジタル,かつ,フルサイズ対応のマクロレンズです。2004年10月頃の発売だと思われます。Pentaxのフルサイズの一眼レフカメラは2016年4月発売のPentax K-1が最初のモデルですので,50mmマクロがなぜデジタル対応のフルサイズ向けとして,しかも2004年と云うかなりはやい時期に発売されたのか,謎です。2009年にはフルサイズ対応のデジタル向けマクロレンズであるD FA 10mm F2.8 macroも発売されていますが,いずれにしても2015年のCP+でK-1のプロトタイプが発表されるまで,フルサイズのセンサーを搭載したPentaxの一眼レフカメラはオフィシャルには存在しませんでした。 フルサイズセンサーのカメラの開発についてはMZ-S (フィルム一眼レフ)ベースの600万画素 のセンサーをもつカメラが2000年のフォトキナで発表されていますが,あまりにも高価になりすぎるという理由で2000年10月には開発自体の中止が発表されています。それにもかかわらずフルサイズ対応のマクロレンズを市場に投入してきた,ということはたぶん,フルサイズセンサーの一眼レフカメラの発売を真剣に考えていたのだと思われます。しかし,2008年にはHOYAに吸収合併され,さらにはカメラ部門のみが2011年10月にリコーに買収されて経営が迷走します。HOYAが欲しかったのはカメラ事業ではなかったはずで,リコーがPentaxのカメラ事業を買収したことは伝統あるPentaxのカメラ事業を生きながらえさせることにつながったため,結果としてよかったと思いますが,2000年代後半のPentaxはフルサイズの一眼レフどころではなかったことは容易に想像できます。 そんななかで将来のフルサイズ・デジタル一眼レフカメラを見据えてリリースされたこの50mm F2.8マクロにはPentaxの意地を感じさせるレンズだと思います。2022年時点で発売から既に17年近くが経過していますが,まだ現行モデルとして現役です。 小型軽量でありながら等倍撮影が可能で,近接から無限遠まで安定した性能のフローティングシステムの採用,AFの合焦後にMFが可能なクイックシフト・フォーカス・システム,ピント位置を固定するためのフォーカスクランプといった,多くの機能が盛りこまれており,開発時のPentaxの意気込みが感じられます。Aポジションつきの絞り環も装備されているので古いフィルムカメラでも使えます。というよりも,2016年にK-1が発売されるまでは,むしろ,フルサイズのイメージサークルを活かせるのはフィルムカメラしかありませんでした。 とても小さく軽いにもかかわらず19.5cmの最短撮影距離で等倍撮影ができますが,レンズが大幅に繰り出すため,被写体とレンズ先端の距離は5cmほどになります。フードが付属していますが,19.5cmまで寄るとレンズ前玉がフード先端とほぼ同じ面まで繰り出しますので,フードとしてはまったく機能しません。フードは横からの衝撃や被写体との衝突からレンズを保護するためのもの,という役割を期待されているように思えます。もちろん,風景などの遠景を撮る場合には,レンズの繰り出し量が小さいのでフードは正しくフードとして機能し,とても有効です。 ほどよいコントラストと色のり,近接から無限遠まで安定した描写など,古いレンズですが現在でもじゅうぶんな性能のレンズです。フィルム時代の標準レンズであるFA 50mm F1.4がオールドレンズ風味であるのとは対照的に現代的なレンズと言ってよいと思います。とはいえ,カリカリの解像度というわけではないので個人的にはとても気に入っています。こちらの展示物の写真のなかにはこの50mm F2.8 macroをPentax K-1 Mark IIにつけて撮ったものも少なからずあります。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-D%20FA%2050mm%20F2.8%20Macro に置いています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-D_FA #PK #PKAF #Pentax #50mm #F2.8 #標準 #単焦点 #マクロ
AFレンズ PKAF PentaxMOR
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Rayqual KAR-LM
国産マウントアダプタの雄,宮本製作所(Rayqual)のアダプタです。Konica ARマウントレンズをLeica Mマウントカメラに装着することができます。NEWYi製の同等のスペックのマウントアダプタを既に所有しているにもかかわらず改めてRayqualのKAR-LMを導入したのには理由があります。 https://muuseo.com/MOR/items/46?theme_id=31758 理由は簡単で小西六(のちのコニカ)の初期の一眼レフ用レンズであるKonica Fマウントのレンズを小西六純正のF → ARマウントアダプタを介してLeica Mマウントのカメラにとりつけたい,という欲望を満足するためです。なぜ,NEWYI製のアダプタでは何が問題だったのか,というような話はその顛末を日記に書き留めています。 https://muuseo.com/MOR/diaries/1 結論だけを簡潔に書けば,Rayqual製のARレンズ用マウントアダプタは正しい形状であり,小西六純正のF → ARマウントアダプタを正しく装着することができました。さすがはRayqual,完璧な仕様でした。 #マウントアダプタ #Rayqual #宮本製作所 #AR #LM #Konica #Leica
マウントアダプタ AR to Leica M 宮本製作所MOR
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TELENAR 13.5cm F5.6
Roeschlein KreuznachはStefan Roeschlein氏によってドイツのBad Kreuznachに1948年頃に創立された光学機器メーカーです。1964年にこの会社は現在のSill Opticsに売却されていますので,実質的な活動期間は15年あまりだったと推察されます。創立者のStefan Roeschlein氏はMeyer-Optik Görlitzにおいて光学技術者としてPrimoplanやTrioplanなどの現在でもたいへん有名なレンズを設計した人物です。1948年,60歳になって一念発起して自らのレンズメーカーを立ち上げたのでしょうか。60歳で会社を立ち上げ,自ら光学設計をしてレンズを製造する,というのは普通に考えて相当なエネルギーが必要なはずです。それをやってのけたというのはとてもエネルギッシュな人物だったのかもしれません。 このレンズはRoeschlein KreuznachがPaxetteの第二世代のカメラ(39mm径のねじ込み式マウントをもつレンズ交換式カメラ)のために供給したものの一つです。Roeschlein Kreuznachが作ったレンズの種類はそれほど多くはなく,いずれも比較的廉価なカメラ向けの小型のものが中心であったように見えます。135mmのTelenarも開放F値が5,6という当時としても暗いレンズですが,そのかわりに手のひらに収まるほどで非常にコンパクトです。レンズ構成や発売時期などの情報は私がネットを検索した範囲では何も見つけることができませんでした。この個体はレンズ銘に-E-がつかない距離計に連動しないタイプです。また,銘板に刻印された焦点距離もmmではなくcm表記ですので初期に製造されたものだということは予想できます。レンズ交換式の最初のPaxette IIの発売が1952年なので,この個体も遅くても1950年代の前半には市場に供給されていたはずです。 Roeschlein KreuznachのPaxette用レンズはいずれも小型化を優先して,ある程度(というか,かなり)収差を残したまま製品化したようなところがあって撮り方によってはボケが大暴れするような印象です。しかし,収差の暴れ方の再現性がよくわからず,たまに普通に写ったりして安定性というか一貫性がなく,コントロールが難しそうです。なんだか開発途中で投げ出しちゃったんじゃないかと思うくらいですが,見慣れてしまえば普通に見えてきます。現代のレンズとは対極にあるレンズと言えるかもしれません。この個体も例外ではなく,収差が多く残っており,いくらピントを合わせてもあってるのかどうかわからないくらいに滲みます(光路の調整が正しくない可能性も濃厚ですのでなんとも言えませんが)。しかしRoeschleinのレンズとしてはこれが普通だったのかもしれません。絞り環のねじ込み位置がおかしいようで絞りの指標と目盛があっておらず設定している絞り値がよくわからない,という問題はありますが,とりあえず写真を撮るには問題はありません。 撮ってみると,もちろんピント面でもあまり解像していません。そもそも高画素のカメラで撮って等倍で見るようなものではありません。しかし,普通に鑑賞する分にはなぜか解像感や立体感があるように錯覚してしまうのです。戦後すぐまでのCarl Zeissのレンズのような見るものを引き摺り込むような説得力はもちろんないのですが,こと自然さ,という点では意外にも相通じるものがあるように思います。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/TELENAR%201%3A5.6%2F13.5cm に置いています。 #レンズ #MF #TELENAR #M39 #Roeschlein_Kreuznach #Paxette #135mm #F5.6 #望遠 #単焦点
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