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群馬県甘楽郡南牧村某所 武石付き日本式双晶・松茸水晶
全体は三ツ岩岳の日本式双晶にそっくりな雰囲気を醸していますが、別の場所の水晶になります。 細かい水晶の中に、目立つ松茸水晶が2本。うち小さい松茸水晶の下に日本式双晶、他、細かい水晶部分に複数の日本式双晶が見られます。 非常に細かい水晶のため、撮影の度に一部がポロポロと落ちてしまう、扱いの難しい標本です。 コレクター様放出品の一つですが、この産地ではより立派な日本式双晶が採れたそうです。
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青森県十和田市法量相ノ窪 冷水沢鉱山 緑水晶
尾太鉱山を除けば、青森県産水晶という括りはまず見かけない存在。各種金銀山が存在していたことから無いこともないと思っていたところ、採取されたベテランコレクター様から直接入手できました。 全体がやや緑な色合いで、多くは折れていますが複数の単結晶が乱立しています。母岩が凝灰岩(グリーンタフ)で、黄鉄鉱を伴い石英と共に固まっています。緑の内包の由来はこの凝灰岩でしょうか。 冷水沢で、ひやみずさわと呼びます。なんとも涼しげな地名です。
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富山県富山市黒岳(水晶岳) 緑泥石入りファントム水晶
黒岳の水晶、飯田橋のミネラルマーケットで10cm超えの単結晶を見かけたことがありましたが、手に届かない金額で諦めていました。あれから「そういや黒岳の単結晶って見たことないな」となっていたら、1年ほど経過しこちらを発見。 3cmほどなので小さく折れそうな細さ。根元に緑泥石の内包があり、ファントムクォーツになっています。ファントム部分は内包が見られず、単結晶がそのまま取り込まれている感じになっています。
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長崎県五島市奈留町泊永這 水晶岳 母岩付き日本式双晶
採取不可のため日本式双晶自体も美品が見られにくくなった昨今。剥離した日本式双晶を極稀に見かける程度となってしまいました。 母岩付きの入手を諦めていましたが、古くからのコレクター様の自宅にてお邪魔した際、「双晶」の箱に入れられていたこちらを見つけ、無理を言って購入しました。 採取禁止になったのは平成時代で、特に1990年前後にとあるグループによる泊りがけの乱獲が決定打だった、とどこかのSNSでお伺いしました。 しかし、こちらの採取年はなんと1968年。半世紀以上前に採取したご本人から入手することができた、というとんでもない経験をした私。コレクター様の話だと、これが最後、唯一の奈留島の日本式双晶だった、とのこと。 メインの日本式双晶は両翼1.3cmと小さいですが、よく見かける奈留島の日本式双晶とは異なる細い双晶タイプ。かえって珍しいものです。 母岩に横たわる大きな水晶の柱面ですが、よく見るとこれ自体も日本式双晶だったようです。頭が折れているため、反射時の接合面を確認するまでそれとは気が付きませんでした。 今後の入手はほぼ確実に見込めない中での、この標本を手にできた幸運。とても大切な一生物の水晶です。
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北海道二海郡八雲町上鉛川 八雲鉱山 菱マンガン鉱上のピンク水晶
旧自治体名だと山越郡八雲町になります。 菱マンガン鉱の産地として鉱物コレクターには知られている八雲鉱山。元々は金銀鉱山として栄えていました。別に水晶の産地としてではなく、たまたまマンガンに水晶が付いた、というものでしょうか。 それにしても、この色味に加え、柱面に乏しい可愛らしい水晶の組み合わせ。ピンク水晶という物自体、紅水晶(ローズクォーツ)を除けば国産水晶としては稀な存在。 コレクター様放出品。
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福島県南会津郡南会津町舘岩宮里 蛍鉱山 蛍石付き薄紫水晶
薄紫水晶としましたが、ほぼクリアな透明水晶。単結晶を上から見ればやや紫色が濃く見える程度です。 サイズは4cm角。小さいながら形の良さ、そして水晶の裏側にある複数の蛍石自形結晶が素晴らしい標本です。蛍石の方が紫色に見えますね。 塊状の石英に細い水晶と共に付いた蛍石であれば、それなりにミネラルショーで見かけることもありますが、こういったスタイリッシュなものは少しばかり値が張ります。 コレクター様の放出品で、超安価で入手したもの。
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福島県耶麻郡猪苗代町若宮 吾妻珪石鉱山 日本式双晶
両翼の大きさの違いが顕著なこちら。はじめは単なる結晶が付いただけと思っていましたが、角度や反射面を調べるに、どうやら日本式双晶なようです。 珪石の採取ということで、水晶も科学、工学用に採取されていたようです。その質は白濁した石英で、工業用としては高品質だったそう。コレクターからすると「白濁なのか」となってしまいますが… こちらは透明感のある「水晶」なので、恐らくこの産地ではクリアな部類でしようか。細い単結晶の集合で、注射針より細い水晶も見られます。
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秋田県鹿角市不老倉 不老倉鉱山 薄緑水晶
薄い薄荷色というと言い過ぎかもしれませんが、そんな爽やかな色味をしている水晶です。銅の鉱山として古くに栄えた不老倉鉱山ですが、現在は知る人もいない、らしいです。黄銅鉱の標本が出回っているので、鉱物趣味界隈であれば知名度はそれほど低くないのでは。 よくある東北地方の鉱山産水晶、という形状、ややクリーム色なカテドラル水晶の一部が銅由来の薄緑色になっています。断面には黄鉄鉱、黄銅鉱、一部赤鉄鉱の付着や内包も見られます。 水晶の結晶を覆う形でくっついているものは、はじめはコンクリートかと思いましたが、どうやら細かい石英による天然のコンクリートもどき。粒一つ一つが見え、強固な塊になってくっついています。
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滋賀県大津市田上山 タビー煙水晶
オーソドックスな煙水晶なのですが、特徴的なものばかり掲載してかえってオーソドックスなものがないと思い、こちらを載せてみました。 頭部分が平らなマイナスドライバー状=タビーになっています。また、金雲母に覆われ一部ガサついてはいるものの、全体的にはきれいな柱面、錐面を保っています。色合いもやや赤みがかった田上山らしいカラー。 8.2cmと今では得難いサイズ、コレクター様の長年のコレクションのひとつです。
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高知県高知市鏡穴川 石灰岩中の灰水晶
図らずも、ヤフオクにて久野武氏のコレクションを手に入れてしまい、かなり幸運。 青い石灰岩に僅かに生えた石英脈、そこに短く成長した平行連晶。煙水晶なのかと思えば、石墨の内包の様にも見えます。 一部、その石灰岩の成分を含んだのか、青っぽい灰色の部分もあります。 鏡付近は石灰岩の鉱山開発を予定されている場所らしく、石灰岩自体はよく採れる場所なのでしょう。石灰岩中に見られる水晶ということで、他の高知産水晶が紹介されているブログもあります。前掲の佐川町産水晶も石灰岩中に見られる水晶でした。
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高知県某所 肉眼鑑定結果は「水晶」な不明鉱物
ミネラ83号 ミネラ鑑定室p84.にて掲載 高知県産水晶メインの某ブロガー様から鑑定のためにいただいたこちら。塩酸に漬けても溶けず、結晶の形が水晶に見えない部分があり、なんとも言えず。 こちら、ミネラ掲載時には「水晶です」となったのですが、実は掲載前の取材結果を撮影者からお伺いしておりまして、別の鑑定結果をもらっておりました。 ・母岩は安山岩質 ・六角柱状結晶がある。これは水晶。 ・八面体結晶もある。菱沸石? ・沸石の可能性があるが、傷がつかないことからモース硬度は6以上。沸石であればモース硬度は5.5。 ・沸石仮晶の石英 現時点では、菱沸石と水晶、仮晶の石英が混在とした標本としています。改めてミネラに鑑定を依頼するのも違うでしょうし…どなたか意見をいただけたらと思います。
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大分県豊後大野市緒方町 尾平鉱山 蝙蝠坑 黄色味が強い角閃石・クーク石入りファントム水晶(まりも水晶)
前掲の2つのまりも水晶とは異なり、内包される角閃石の色味が黄色いタイプのもの。酸化してこの色味になったと思われます。ほぼクリーム色に見え、一部虎柄。 和菓子の「とら焼き」ににているといえば分かりやすいでしょうか? クーク石の内包は多くはありませんが、外に出ている部分は多く見られます。ビンタ切れ部分も見られますが、メインの単結晶は無事。 高さ11.2cmと、手持ち最大のまりも水晶。「10cm以上の単結晶を集める」というコレクター様よりお譲りいただいたものなので、その稀有な存在を手に入れられてとても光栄でした。
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長野県南佐久郡佐久穂町大日向 エステレル式双晶・日本式双晶
ひとつのクラスターに複数の双晶が見られる水晶標本は、コレクター垂涎の的。それなりに双晶が見られる産地、例えば上八重や三ツ岩岳、金鶏鉱山のものであれば、複数の日本式双晶が確認できます。 しかし、甲信地方のペグマタイト産水晶では、大きい双晶の単品であればまだあるものの、複数というものは多くは見かけません。大深山などの例外はありますが、見つかっても放出されることは稀です。 こちらはコレクター様の自宅にお伺いし、直接購入した煙水晶クラスター。色味がややねずみ色な煙水晶で、表裏ともに結晶が見られます。一部は黄鉄鉱の内包が確認でき、前掲の大日向の水晶にそっくりな内包の仕方をしています。 この標本のポイントは、その両面に見られる双晶の存在。1、2枚目のものが表面に見られるエステレル式双晶。76.26°で交わっているものがエステレル式なのですが、角度が日本式双晶のそれ。交点、両翼の柱面の向きからしてエステレルと判断されていたので、その形で紹介します。 裏面、5枚目以降。 6枚目が日本式双晶。これは間違いなく日本式双晶の角度で交わっているものです。7、8枚目がエステレル式双晶。恐らく補角の103.74°で交わっていると思われます。 確認できる双晶は上記3つ。とはいえ疑惑の双晶もまだ3つほど。知られていない双晶もまだまだある中、恐らく名前がない、あまり知られていない双晶がこの中に眠っていると思うと、今後が楽しみな水晶です。
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岐阜県土岐市土岐津町土岐口 緑水晶
前掲のものと同産ですが、こちらの雰囲気は「ガネーシュヒマール」産の緑水晶そのもの。 実際は、灰鉄輝石か緑泥石か、煙水晶全体が他の鉱物に覆われ、その上に細い緑水晶が付いた形。一部長石の付着もみられます。 煙水晶としての錐面は完全に緑に苔むしているため、どこがどうなのか不明。折れた断面を見るに普通の煙水晶の様です。 ガネーシュヒマールの緑水晶=ガーデンクォーツも、同様の緑泥石由来の内包で緑色になっています。手持ち国産水晶のガーデンクォーツというと、何故か煙水晶のものが不思議と多いです。
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岐阜県土岐市土岐津町土岐口 ファントム煙水晶
地味めなファントム煙水晶になりますが、緑泥石の内包、白雲母、長石の付着といった特徴が見られます。サイズは3cmに満たない程ですが、当地では大きい部類とのこと。 土岐市というと陶芸用の粘土を採取している場所があったり、カラフルなジャスパー「土岐石」が知られていますが、水晶…?あまり土岐市で水晶というのも聞かないので、試しに購入してみました。 調べてみると「水晶山稲荷」という神社があるので、昔から水晶の存在は知られていたのでしょう。
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