習作の完結
初版 2024/01/18 12:16
改訂 2024/01/18 12:18
写真は若きリヒャルトシュトラウス
その弦楽四重奏曲イ長調作品2
第1楽章 アレグロ
第2楽章 スケルツォ:アレグロ モルト
第3楽章 アンダンテ・カンタービレ モルト
第4楽章 フィナーレ:アレグロ ヴィヴァーチェ
習作というには練り上げられている。
シューベルトや何よりもモーツァルトの霊感を借りたところもあり、弦楽四重奏曲は17歳の時のこの作品で自分の音楽表現が先人以上のものにはならないと覚悟したのか。
室内楽という分野が自分の居場所ではないと考えていたのか、チェロ・ソナタやヴァイオリンソナタも似たような年代で終わっている。
ドビュッシーやラヴェルが残した1曲と同じ数ではあるが、やはり才能の趣が大きく異なり、自分の学んできたアンサンブルで可能な創造が過去の先人たちを通過してきたものに他ならないという意味合いがこのきゅおくの限界だろうと思う。
それでも彼は楽譜を残し、音楽史研究家はこの作品に番号を振った。
本人にしてみれば、えーと、あれだ、『ちょっと創ってみました』的なことだったのかもしれないけどね。
それでもね、第3楽章は美しいね。メンデルスゾーンの交響曲第5番の第3楽章冒頭の旋律に似ているけれど、標題音楽以前の彼の血の中にある音楽表現で最もいい流れを聴かせてくれている。
特にその冒頭のチェロが雄弁に歌う部分のシューベルト風の歌は彼岸の向こう側に立つ自分の姿を見つめるような、あの「変容」のもつ厳かな悲嘆にはとても届かないけれど、そういう静謐な音楽をそこで生み出せる才能のきらめきを見せて余りある。
以後この分野を振り返らないシュトラウスのアンダンテは歌曲や後の交響詩の中の弦楽合奏に姿を変える。
残念なのは演奏者の熱が旋律を美しく追うだけにとどまっていて第1楽章からフィナーレまでの起伏に必ずしも共感しきっていない気がすることだ。
だから、YouTubeではこの第3楽章。もう少しメリハリがあれば第1楽章もいいのだけど。
映像はスペイン、カタルーニャの同時代の画家フランセスク・マリエラの「Winter 1882」
彼女が両手を突っ込んでいるのがにゃんこの毛の手触りによく表現される『モフ』の原型。
16世紀のからの女性の防寒具である。
なお、楽譜付きの全曲はhttps://youtu.be/IvsH1jkN5oA?si=TpvF_s_c3S7Uacra
比較のためのメンデルスゾーン/交響曲第5番宗教改革の第3楽章アンダンテ
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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