Epiwocklumeria applanata

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Species :Epiwocklumeria applanata
Age   :後期デボン紀ファメニアン
location:ポーランド/コヴァラ

クリメニア目の非常にレアな三つコブ系の属種。

ポーランドのデボン紀標本ではよくある事なのだが、外殻が熔けてせっかくの三つコブ形状が観察しずらくなっている。

遠方の実家保管で2体所有しておりクラウド上の写真整理でみつけため、2体ごっちゃになって雑に掲載しているが産地・属種共に同じなのでご了承いただきたい。

入手は化石収集の長いブランクを経る約十年前に2体同時に購入。
頭足類化石にハマった直後くらいのガチのペーペーだった時分。
クリメニア目が頭足類の中のどんな存在だとかを知ったばかりの様な状況。

クリメニア目はアンモナイト目への系譜に連ならない遠縁の分家筋で、デボン紀末期に爆発するかの様に一気に適応放散して、デボン紀の終焉と共に爆散するかの様に絶滅したグループ。

当時はそういった玄人好みのコアな標本が好きで、大衆に人気の白亜紀アンモナイトそっちのけでクリメニアの標本を探し回っていた。
そんな中で、たまたまポーランドのセラーから入手した。
その祭、今は音信不通となった先輩頭足類マニアから、クリメニアと言えばポーランドが名産地という情報を教えてもらった。

当時、ebayにウォックルメリア上科の標本が出品された際アラートを飛ばすよう設定していたのだが、頭足類化石にハマって1年ほど狂った様に集めた後、勉学や仕事に我武者羅に打ち込んで化石収集からすっかり離れてしまい、収集復帰した際に十年近く溜まったアラート専用フォルダを漁ってみたが、エピウォックルメリア属は一件も通知が来ていなかった。
※ただし、もっとレアな近縁属の標本は一件だけ通知が来ていた。履歴を見たら5年くらい昔。悔しいッ!!

とにかくビギナーズラックで入手出来てよかったといえる、個人的に思い出深い標本。

ちなみにebay以外では、モロッコ産のゴニアタイト(※1)がエピウォックルメリア属として販売されているのが散見されるが、標本ではなく美術品として化石を取り扱っている怪しい業者が、故意に偽って販売している様に見受けられるので気を付けて頂きたい。
※1=ゴニアタイト目の仲間には、Mimimitoceras、Maeneceras、Cheilocerasなど濃いめの成長線が等間隔に走り三つコブや四つコブに見える属種が存在する。もちろんこれらの標本そのものは素晴らしいモノである。

↓ウォックルメリア科の三つコブ仲間
https://muuseo.com/Nautil_Works/items/56?theme_id=49408
https://muuseo.com/Nautil_Works/items/46?theme_id=49408

Parawocklumeria paradoxa
Species :Parawocklumeria paradoxa Age   :後期デボン紀ファメニアン location:ドイツ/メンデン 非常にレアな三つコブ系クリメニアの中では割とたまに……それなりに稀に流通してるパラウォックルメリア属の物凄いちっさいヤツ。 この標本は5㎜くらいだが、20㎜くらいある海外コレクターの写真を見たことがるのでもっと成長するはず。 しかし、市場ではそのくらい大きな標本は見た事が無い。 20㎜前後のサイズであれば、間違いなくレア度★4以上に跳ね上がる。 因みにP.patensとして売られていたが全然違う。 ドイツのデボン紀標本全般的に言える事だが、しっかり外殻が保存されている代りに縫合線を観察するのは困難。 仮に縫合線が露出していたとして、今回の標本は小さすぎて観察困難なので、縫合線での同定は不可能。 ヘソやコブの形状でしか属種の判別ができないのだが、どの資料を見てもこの標本はP.paradoxaだと言っている様に見える。 成長に伴い巻きが変化するのかもしれないが、成長の途中で丸巻きに変化するWoklumeria(※1)やSoliclymeniaの様に成長に伴って変化するといった情報が見当たらない。 P.patensについてはゴニアタイト図鑑というWebサイトが非常に綺麗な標本として掲示されているが、それと見比べても似ても似つかない。 ※画像2枚目:引用"fossilium catalogus animalia Pars 138" ※画像3枚目:引用"Impact of environmental perturbations on heterochronic development in Palaeozoic ammonoids" ※1=https://muuseo.com/Nautil_Works/items/46?theme_id=45504
https://muuseo.com/Nautil_Works/items/56
Wocklumeria denckmanni
Species :Wocklumeria denckmanni Age   :後期デボン紀ファメニアン location:ドイツ/メンデン デボン紀末にピンポイントで爆発的繁栄をしたアンモノイドの異端児クリメニア目の仲間。 (多分、目全体がファメニアンに発生してファメニアンに絶滅) クリメニア目の仲間は連室細管が巻きの内側(背側)を通る、有殻頭足類の中でも珍しいグループ。 そんな奇妙なクリメニアの中でも、三つコブ巻きの奇妙な形態が多いウォックルメリア科の仲間。 更にウォックルメリア属は幼年期は三つコブに巻き、その後成長して丸巻きで覆われた成体になる奇妙に奇妙を重ねた属。 この標本は、ボロボロな裏面が幸いして断面が露わとなり、丸巻きの成年殻に覆われた三つコブ巻きの幼年殻が観察できる。 本来、状態の悪い標本は忌避するところだけど、成長による変化が観察できる素晴らしい標本に仕上がっている。 5枚目の写真は図鑑の標本と比較。 Fossilium catalogus animalia Part138 というデボン紀のアンモノイドを系統毎に収録し、形態情報まで記載した専門書に近い図鑑。 デボン紀のアゴニアタイト、ゴニアタイト、クリメニアの同定する際は必読の書と言える逸品。
https://muuseo.com/Nautil_Works/items/46

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