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Richard Zöllner : Scriabin / Etude in D# minor, Op.8-12
スクリャービン自身によるピアノロール演奏に最も近いのが、この ドイツのピアニストであるZöllnerと日本でも馴染みのあるFridrich Wührer。その直裁的なアプローチは、Zöllnerが作曲家であることも関係しているのではないだろうか。主題が三連符の和音を伴って戻る後半の演奏は、スクリャービン自身とほぼ同じ解釈である。ちなみにこの曲はショパン「革命」に対して「悲愴」と題されることがあるが、オマージュは寧ろ「夜想曲 0p.48-1」に向けられている。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
SPレコード Homocord-Electro 1920年代夏目 久生
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井上園子 : パデレフスキ「メヌエット」
井上園子(1915-1986)は、ウィーン国立音楽院でザウアーとパウル・ヴァインガルテンに学んだピアニスト。 成蹊小学校を卒業しており、野辺地勝久と並んでご近所さんだ。 井上園子の演奏は、清々しく清潔感あふれるもので、どのレコードを聴いても引き込まれてしまう。この時期の日本コロムビア盤は録音もプレスも上々だ。日本が誇るピアニストの1人。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード 日本コロムビア 1930年代夏目 久生
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原智恵子 : ショパン「スケルツォ第2番 Op.31」
原智恵子(1914-2001)は、1937年の第三回ショパン国際ピアノコンクールに日本人として初出場し「特別聴衆賞」を与えられたラザール・レヴィ門下のピアニスト。このレコードは、その9年後の1946年録音。 第三回コンクール参加ピアニストはかなり豪華な面々で、優勝したヤコブ・ザークをはじめ、タマルキナ、マルクジンスキ、ブルショルリ、エキエルなどの名が続く。この強豪の中で奮闘した原智恵子と甲斐美和子に惜しみない賛辞を贈りたい。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
SPレコード 日本ビクター 1946年夏目 久生
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Vladimir Cernikoff : ショパン「前奏曲 Op.45」世界初録音
ロシア生まれのピアノ、ウラディミール・チェルニコフによるショパン「前奏曲嬰ハ短調 Op.45」の世界初録音レコード(1913年)。早めのテンポだが、無闇な幻想とナルシスティックな演奏にハマり込んでいないサッパリとした名演だ。 しかし後年チェルニコフはブランズウィックからピアノ独奏盤を2枚4面発売するが、ショパンのレコードは首を傾げたくなる様なエキセントリックな演奏。演奏家のムラ気とエンジニアの録音の失敗は何か関係が有るのだろうかと邪推したくなる。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
COLUMBIA(UK) 1913年夏目 久生
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Beéla Bartók : Liszt / Sursum Corda
ハンガリーの代表的作曲家ベラ・バルトークによるリスト作品のピアノ演奏レコード。バルトークもピアノの腕前が確かだった作曲家の1人。それはプライヴェート録音されたショパン「夜想曲」を聴いてもハッキリとわかる。この他、自作以外の曲を演奏したものではスカルラッティがある。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード Patria Ultravix 1930年代~1940年代夏目 久生
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Adolph Baller : ムソルグスキー「展覧会の絵」(全曲7面)
ベートーヴェンのソナタ演奏や伴奏者として知られるアドルフ・バラーが来日時に日本Victorに録音してSPレコード。何故、異国の地に来て、この「展覧会の絵」を選曲したのか、興味が湧いてしまう。4枚組7面録音で完結しており、最終面は自作曲というのも素敵だ。 この他にバラーのSPレコードには、10インチ4枚組のピアノ・アンコール集がある。即売会でそのレコードを見つけ購入しようと持っていたら「そのレコード買うんですか?」と声を掛けてくれたのが、ピアニストの松浦豊明氏でした。それから、ある方を通して交流させていただいた事はとても良い思い出だ。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード 日本ビクター 1940年代~1950年代夏目 久生
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Katherin Ruth Heyman : Scriabin / Prelude & Etude
アメリカでスクリャービン協会を立ち上げ、著作をものしたパイオニアできる存在の女流ピアニスト。この他に、ソナタを数曲録音している。スクリャービの音楽が受容される過程で、どの様な解釈で演奏が行われて来たのかを知ることのできる興味深い音源資料でもある。 現代ではピアニストがスクリャービン作品をレパートリーとして採り入れるとしても、既に豊富なお手本があるのでさほど苦労はしないかも知れない。しかし、あまりスクリャービンのレコードすら無かった当時だからこそ、ピアニスト独自の解釈で演奏出来るチャンスがあったという事ができる。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード Friends of Recorded Music 1930年代夏目 久生
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野邊地瓜丸(野辺地勝久): ショパン / ワルツ 第三番 イ短調 作品34-2
野辺地勝久(1910-1966)は、大正5年に渡仏しラザール・レヴィとコルトーに師事した日本が誇るショパン演奏家。 その後帰国し演奏活動と東京芸大などで教鞭を取る。 その洗練されたユニークなショパンは、世界的なピアニストとして充分に通用する内容。 ライブ盤やステレオ録音のLPなども残しているが、電気コロムビアに残したSPレコードは特に希少性が高い。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
SPレコード 日本コロムビア 1930年代夏目 久生
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澤田柳吉 : ショパン / ワルツ第七番 嬰ハ短調 作品64-2
澤田柳吉(1886-1936)は、東京生まれ、東京音楽学校(現在の東京芸大)で久野久や小松耕輔と共に学んだ日本人初のコンサートピアニストと伝えられている。 このショパンのニットー盤のSPレコードも日本人ピアニストとして初の録音である。 抒情的で癖のある節回しが印象に残る。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
SPレコード NITTO 1920年代夏目 久生
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Emil von Sauer : Chopin / Valse No.4 in F, Op.34-3
ザウアー本人はニコラス・ルビンステインの弟子だと公言しているが、今日ではリスト最晩年の高弟として広く知られている。19世紀ロマン派のピアニズムを象徴する貴族的な演奏はいつの時代でも驚嘆の的である。この電気コロムビア盤はザウアー最晩年の録音。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード Columbia 1930年代夏目 久生
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George de Lausnay : Ravel / Pavane
重厚なプレスとアール・ヌーヴォーの意匠を凝らした美しいレーベルのパテ・アール盤。この特別なレーベルに録音出来たのは、当時のパリで成功していた演奏家達であったと容易に推測できる。 ジョルジュ・ド・ロースネーの演奏も、どれをとっても熟練した気品のあるものだが、特にこのパヴァーヌは絶品。 #レコード #レコードコレクション
SPレコード Pathé-Art 1930年代夏目 久生
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Mark Hambourg : Chopin / Nocturne No.18 in E, Op.62-2
師のレシェティツキから「私が知るピアニストの中でアントン・ルビンステイン に最も似た演奏をする」という最大級の賛辞を贈られた19世紀ロマン派を代表する1人。 「名曲決定盤(上)」の中であらえびす氏は「乱暴で、荒々しくて、老人臭く、無意味な強調ばかりかで、どうにもならない。」と散々だが、当時コルトーにゾッコンだった著者の冷静さを欠いた残念な批評であると思う。 ハンブルグは美しいタッチとヴィルトゥオージティを兼ね備えた、真に19世紀的な巨匠といえる偉大なピアニストである。 #レコード #レコードコレクション #ショパン
SPレコード 英HMV 1910年代夏目 久生
