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Bi Ag 鉱物? 明延鉱山産 2020-09-16
明延鉱山が、まだ稼行していた折、坑夫が珍しい石と持ち帰った標本です。ですから、明延でも、なかなか手に入らない鉱物でしょう。 鉱物種名は不明ですが、おそらくは、主に Bi Ag の硫化鉱物の塊。いずれ、分析の予定ですが、何が出るか楽しみです。 写真2枚目の実体顕微鏡の視野は、約3㎝。 3枚目の視野は、約5㎜。
明延 2018年 恵与品SilicifiedZone
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「雨だれ石」と言われている謎の石 2021-02-13
兵庫県の但馬で「雨だれ石」では無いかと言われている石。 誰が言ったのか知らないけど、火山灰堆積層の上に雨が降って、生成したという説がある。それなら、一つの層理面上に存在しないといけないが、まばらに入っているので違和感がある。それに、この石は、角閃石の斑晶があるので、凝灰岩と言うよりは、ヒン岩系の火成岩だと思う。 1枚目写真 雨だれ石 2枚目~4枚目は、雨だれ斑が大きな物。これらが存在するため、雨だれが成因で無いことは確か。おそらくは、斑の形から、捕獲岩では無いかと思う。 5枚目と6枚目写真 マトリックス部分と捕獲岩との境界が反応して、球状構造になりつつある過程か。もし、そう言う部分を見付けられれば、球状ヒン岩の誕生。
雲根誌21 岩石編 兵庫県 但馬海岸 2021/02/12SilicifiedZone
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くいちがい石 えくぼ石 そら豆石 2021-03-26
「えくぼ石」が「くいちがい石」になり、さらに「そら豆石」になった複雑な成因の奇石。 えくぼ石は、礫岩層の不等鎮圧により生じた歪力により、硬い礫が柔らかい礫に食い込み生じた凹みで、その形から名付けられた。 くいちがい石は、同じく不等鎮圧の歪力に因り、石が切断され、さらにくいちがい、その後の続成作用により接着した。 そら豆石とは、丸い石が前後両面からの歪力に因る押圧により、扁平になった石。
雲根誌21 岩石編 京都府福知山市 2021/03/25SilicifiedZone
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くいちがい石とえくぼ石 福知山市産 2020-09-27
おそらくは、国内でも、最高クラスの「くいちがい石」と「えくぼ石」。特に1枚目の写真のは、くいちがい石の元祖、中華人民共和国遼寧省 得利寺産のくいちがい石にも匹敵する立派な物。 4枚目の写真は、正珪岩の円礫に凹みの出来たえぐぼ石。大きさは、左右幅が約30㎝。 5枚目の写真は、柔らかい円礫が堅い円礫に押しつぶされて、ソラマメ状になった、珍しい「えくぼ石」。
雲根誌21 岩石編 京都府福知山市 2004年~2010年SilicifiedZone
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アガード石 明延鉱山産 2020-09-13
私の山勘定ですので、鉱物名は当てになりませんが、色からそう鑑定しました。明延でも、めったに見られない鉱物の一つです。
鉱物標本 砒酸塩鉱物 実体顕微鏡で撮影 明延鉱山SilicifiedZone
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ウイザム石 中山鉱山 2020-11-6
中山鉱山は、熱水性のマンガン鉱床。産出鉱物で有名だったのが、ウイザム石と言う、緑簾石と紅簾石との中間の組成を持った鉱物だった。 この石の産出した時は、コレクターさん達は、なんとしても手に入れたい鉱物の一つで垂涎の的だった。ところが、50%ルールで、固溶体の鉱物は、端成分の鉱物だけになってしまったので、ウイザム石は、鉱物の名前から消えてしまい、含マンガン緑簾石になってしまったのだ。 こうなると、この石は、コレクターさん達には、見向きもされなくなってしまい、用無しの鉱物でしかなくなった。苦労して採っても、ただの緑簾石で、所有鉱物種が増えないためだ。むしろ、逆に、一種減る方が大きな問題だったのだろう。 この標本は、緑簾石のマンガンを多く含む部分で、Mn>Feなら紅簾石になるかも知れないと期待している標本。無理とは思うけど。 明延鉱山でも、真っ赤な緑簾石があるので、機会があれば調べてみたい。
鉱物標本 兵庫県養父市 中山鉱山 2009年7月SilicifiedZone
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ガリーナエッグ
どうも日本ではパワーストンとしてか認識されていないようで、成因に付いては不明。内部は方鉛鉱の小さな結晶で覆われている。内部両端には、垂れ下がるような形態の部分がある。 丸い石の好きだったprinさんが喜ぶだろうとポストした。成因に付いては、黒鉱の様な鉱床に含まれている化石の様に思うが、これはこの標本だけでの予想。外国の論文も調べる必要がある。
2024年3月17日 ネットで購入 径7㎝SilicifiedZone
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キースラガーと緑礬 明延鉱山 2020-10-14
キースラガー鉱石は、微粒黄鉄鉱の塊の石で、少量の黄銅鉱や閃亜鉛鉱、方鉛鉱を含むことがある。地味な鉱石で、あまり人気のある鉱物標本ではないと思う。 しかし、そんな石にも、いろいろと情報を含んでいるもので、なかなか楽しい石ではある。 明延の南谷鉱床は、明延鉱区の北の端にあるキースラガー鉱床。しかし、あまり知られていないが、鉱区の南端にもキースラガーが在るようで、少ないが見つかることがある。それが、この標本。 それを、半分に切って、構造が良く観られるようにした。白鉄鉱を含んでいたので、多く含む部分が分解して、硫酸鉄の鉱物、つまり緑礬を吹いている。 これ以上分解しないように、加湿して、保存しておこうと思う。保存容器の上にガラス板を置いて、湿度を一定に保つと、保存できると思う。お陰で、構造が可視化された。
鉱石標本 明延鉱山 金木谷 2020年SilicifiedZone
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シカマイアの正体を示す標本 2023-06-06
私の雲根誌21の館には、シカマイアの正体を示す標本が幾つか在る。その一つがこれ。 シカマイアの最新説は、「巨大二枚貝である」と言う論文が発表されている。しかし、二枚貝と言えないシカマイアが、数は少ないが存在する。それは、シカマイアの真中心部での切断面でないと、この形は現れないからだ。その確率は、数10分の1位か。この部分は、シカマイアの蝶番部分とされている。 本巣市が、シカマイアの標本を集めて置こうと、地元同好会に依頼して、その候補標本に黄色い印を付けて貰った。その印が、この標本の右下に付いている。そしたら、その数100個になったらしい。そこでさらに選別して、数10個に絞り、それらに赤い印を付けられて、それを回収された。これは、その選に漏れたシカマイア。むしろ、最高の標本で、金色を付けるべきだったと言えるだろう。 雲根誌21の館では、「シカマイアは、海綿化石」と考えて居る。また地元では昔から、「アヤメ石」と呼称されており、まだこちらの方が、この形・構造を良く観察、理解されているのだと思う。
雲根誌21 化石編 写真に物差しが置いてあります。 岐阜県本巣市根尾 初鹿谷SilicifiedZone
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スイッツアー石 南丹市のマンガン鉱山 2020-09-23
スイッツアー石は、珍しいマンガン鉱物と言う事になって居る。でも、結構のマンガン鉱山で採集した事が有るから、多分、案外普通の鉱物。ただ、肉眼での判断だけで、確定はしていないが。 以前、弥栄鉱山のスイッツアー石を掲載した。あのようなごたごたが無かったら、僕が、日本新産鉱物の発見者となっていたはずの鉱物だ。 僕の口癖、「サセックス石とゲージ石は、何処にでもある。」に加えて、「サセックス石とゲージ石、それにスイッツアー石は何処にでもある。」にしようと思う。そう言えば、「滋賀石も何処にでもある」と言っていた事もあったような。
鉱物標本 1枚目写真の矢印マークの径が5㎜ 京都府 南丹市のマンガン鉱山SilicifiedZone
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スイッツアー石 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2020-09-19
弥栄鉱山の黒谷鉱床は、詳細な産出鉱物の記録が無かったために、2008年頃から、私一人で調査を始めた。重土十字沸石や長島石様の鉱物等、珍しい幾つもの鉱物を見つけていた。リューコフェニクス石もその一つ。少しずつ、公開していこうと思う。これらの鉱物のほとんどは、私の手元にあると思うので、それを記録に残せるのは、私一人だけだと思うから。 まず最初に、発見当時は、まだ国内では見つかっていなかったので、日本新産鉱物になったかもしれない、スイッツアー石。 友人に、ここの鉱物探しを手伝ってもらっていたら、この石を、私に無断で、自分が見つけたと、益富に持ち込んで鑑定を依頼したらしい。その結果がスイッツアー石だったから、この石も、スイッツアー石で違いないだろう。 もし、こんな不義理な事が無かったら、ここのスイッツアー石が、堂々と日本新産鉱物になれたはずなのに、本当に残念な事だった。こんな事情が判明して、会も発表を控えたのだと思う。
鉱物結晶 滋賀県 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2009年頃SilicifiedZone
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スイッツアー石 滋賀県 2020-10-08
標本は、実際には、メタスイッツアー石に変化しているらしい。非常に珍しい鉱物と言われているが、探せは、比較的簡単に採れる鉱物だと思っている。細かくて目に付かない程度の物なら、何処にでもあるかも知れない。 7枚目は、実は鉱物ではない。藻の一種ではないか。金属光沢までもある、非常に紛らわしい物。
鉱物結晶 滋賀県高島市の各マンガン鉱山 2012年頃SilicifiedZone
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チョコレート鉱 2023-07-06
マンガン鉱石は、黒く変色する物が多いです。その原因は、マンガンを含むため、黒くなるとされているようです。確かにそうなのでしょうけど、黒化し易いと言われる「緑マン」ですら、ほとんど変色しない物があります。となると、その主原因は他に在るはずです。また、破面は黒化しやすく、研磨面はし難いとされています。そこで、その主原因は「微細なパイロクロアイト」だと、私は考えます。 このパイロクロアイトと言う鉱物は、新鮮な時は無色透明で存在が分かりませんが、酸素の存在下すぐに酸化し始め、茶褐色のファイトクネヒト鉱に変わります。つまり、忍者の様な鉱物なのです。ただ、酸素の存在下では、その秘技が失われます。また、破面は、その弱い部分で破断します。パイロクロアイトは柔らくて劈開があります。つまり、パイロクロアイトのある部分で破断するのです。また切断研磨すると、その面にパイロクロアイトが存在する確率は低く、研磨面が変色し難くなるのです。 チョコレート鉱は、菱マンガン鉱、ハウスマン鉱、アレガニー鉱、ヤコブス鉱、リッベ石等からなる高品位鉱です。勿論パイロクロアイトが含まれているでしょう。 鉱物コレクターとしては、変色した標本なんて値打ちが有りません。そこで、何とか新鮮な状態で保存したい訳です。そこで切断研磨して、ワックスがけしましたが、それでも何年か経過すると変色しました。それで、今回は片側にガラスを貼り付けたものと、もう一つはアクリル塗装をしてみました。さて、今後何年新鮮な状態を保つでしょうか。例え変色したとしても、再研磨すれば済むので、標本自体が大きく損壊する事もありません。その上、鉱石の構造が細かく観察する事が出来るようにもなります。これも、最大の特徴です。
2023年7月4日 マンガン鉱脈標本 10年位前SilicifiedZone
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ナショナル カクテル照明器 2021-12-01
大手メーカーは、蛍光灯照明器具の製造販売を停止している。しかし、古い蛍光灯器具の中には、なにか趣のある物もある。 今回紹介するのは、初めて丸型蛍光灯が売り出された頃の物だろう。カクテル光線と言って、電球と蛍光灯が合体した吊下型照明器具。これを鉱山街、明延の古民家に吊り下げてみた。 この器具は、吹き曝しの小屋の中に放置されていたもの。暗くて、湿って場所で錆と埃だらけだったけど、なんとか使える状態にできた。オイル・コンデンサーは、湿ってパンクしてたし、ブルスイッチは、分解して直した。 写真の1枚目 点灯させた、カクテル光線器具 写真の2枚目 器具の中央に電球が有る。 写真の3枚目 この下で、珈琲等を飲めるように、テーブルを設置した。 写真の4枚目 昭和末期の食器棚を置いて、色々なコレクションを飾れるようにした。そのガラスに、この照明器具が写っている。
照明器具 ナショナル製 明延の古民家SilicifiedZone
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バラ輝石の鉱脈 明延鉱山 2020-10-11
明延で、母岩の緑色珪岩にバラ輝石の鉱脈が走っている石を見つけた。大きさは、40㎝×28㎝の大きなもの。本来なら縦に二つ割りにしたいところだか、この大きさだと、機械が小さいので、自分では切れない。 仕方なく、二つに切って様子を見る事にした。その結局、その断面も置いておきたくなって、暑さ4㎝ほどを切り落とした。そして、その両端の石を二つ割りにすることにした。十字に切断して、左右をくっつければ、2枚に下ろしたのと、ほぼ一緒と言う考え方は、これで無くなった。 結局、5枚に下ろす事になった。1枚目と2枚目の写真が、縦割りにしたところの断面。3枚目が、その中間の断面。4枚目と5枚目は、それぞれの拡大。これを見ると、結構複雑な鉱化作用があった事が分かる。 それに、この鉱石には、パイロクロアイトを含んでいて、褐色に変色してきた。その防止のために、蝋をコーティングして、ラップで巻いてある。 この断面を見ると、珪化作用の様子が良く分かる標本に仕上がった。
熱水鉱脈・珪化帯標本 2020年7月 明延鉱山SilicifiedZone