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アガード石 明延鉱山産 2020-09-13
私の山勘定ですので、鉱物名は当てになりませんが、色からそう鑑定しました。明延でも、めったに見られない鉱物の一つです。
鉱物標本 砒酸塩鉱物 実体顕微鏡で撮影 明延鉱山SilicifiedZone
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リューコフェニクス石 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2020-09-19
弥栄鉱山のリューコフェニクス石の模式標本。この半分は、つくばの地質標本館に寄贈したので、そこに在るはず。 リューコフェニクス石は、黒い帯状部分に多く含まれている。二枚目写真は、その鉱物の多く含まれている部分の拡大。三枚の褐色部分は、アレガニー鉱やハウスマン鉱、菱マンガン鉱の多い部分。 黒色部には、リューコフェニクス石、ケリー石、ヤコブス鉱、リッベ石、アレガニー鉱、ハウスマン鉱、菱マンガン鉱等が、多く含まれている。 この鉱物発見には、色々とエピソードが有る。ここには結構、良いチョコレート鉱が多く残存していた。おそらく、これを採掘した古い時代は、二酸化マンガン鉱だけが目的だったようで、この様な高品位鉱でも打ち捨てられていた為らしい。まあ、現代人への、お土産みたいな鉱山だった。 それらを見つけて、私は、結構の間、一人で長島石様の鉱物やスイッツアー石等を見つけたりして楽しんでいた。ある程度の調査を終えたので、このチョコレート鉱の鑑定を友人に依頼した。 その友人の分析中に鉱物業者がやって来たので、リューコフェニクス石が検出された事を教えたと言う。もちろん、その業者は売れると考え、産地を聞くに決まっている。友人は、全てをぺらぺらと喋ったと言う。それで、「なぜ、私個人が依頼した件を、私の許可も無く、他人に喋ったのか」との問いに、「僕は嘘をつくのは嫌だから、本当の事を喋った」との返事。でも、本当の事とは、「個人の依頼だから、教えられない」と言うのが常識だと思う。それで、この産地の事が公になり、多くの人が訪れる様になり、もう既に、荒れ果ててしまったと言う。ある友人は、「もう、あそこは行かない方が良い。あの状況を見たらショックだから」と忠告を受けた。この様な状況だから、私は、これらの石を抱えて、あの世に行くかもしれません。黒谷の石は、もう世に出ないかも。
鉱物標本 滋賀県 弥栄鉱山 黒谷鉱床 2009年頃SilicifiedZone
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球状赤鉄鉱 2021-02-08
赤鉄鉱と言っても、赤くはない。鏡鉄鉱と言う銀色、金属光沢の赤鉄鉱の鱗片状結晶の集合塊。ここでは、局部的に、このような球体を含む。こんな物が、熱水鉱床に出来るだろうか。
いわゆるノジュール 自採 2010年頃SilicifiedZone
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鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩 2020-10-24
鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩が、スカルン鉱床の上盤の石灰岩中に、局所的に含まれている。 どう見ても、何らかの化石に見えるので、切断標本 (最初の二枚) と、薄片にしてみた (3枚目以降)。 2枚目の写真の黒い輪部分は、閃亜鉛鉱などの硫化金属鉱物で、石灰岩が熱水に置換され、スカルン鉱床が生成した証拠なのだそうだ。 ここではスカルン鉱床の成因は置いておいて、この丸い物体の正体が何なのかが問題なのだ。少なくとも、鮞状石灰岩でないことは明白だろう。巨大博物館の専門家に聞いても分らないという代物だ。素人考えでは、有孔虫の一種ではないかと思うが。 大きさは、一つの球体は、大きくて数ミリ程度。
雲根誌21 化石編 京都府 梅谷鉱山 2014年SilicifiedZone
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石灰岩を貫く鉱脈 明延鉱山 2020-09-24
スカルン鉱床は、石灰岩等、炭酸塩岩に接近したマグマから金属成分などが供給され、生成したとされている。しかし、その交代作用の機構は未だに示されておらず、一種の熱水鉱床だとも言われている。 この標本は、石灰岩を熱水鉱脈が貫いているが、ほとんど石灰岩に影響を与えていない。交代鉱床の成因を否定する証拠に成り得る標本。
雲根誌21 鉱物編 明延鉱山 2017年SilicifiedZone
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算盤玉石球顆の標本 2020-10-29
もの日記に書きましたが、私の採集方法は、ただ採ると言うのでは無く、それが、どのように存在していたか、それをそのままに標本にする様にしています。すると、それの生成過程を明らかにすることが出来ます。ただ、綺麗な球顆を採って、その中から算盤玉石だけを取り出して標本にしたら、それは、ただの算盤玉石の標本です。それでは、算盤玉石が球顆の中に入っていることすら分りません。 ある日、産地に行くと、露頭に球顆の頭が出ていました。それを掘出すと、さらに奥に続いています。順番に掘って行くと、どんどん続いていきます。取り敢えず30㎝位まで掘りました。これを持って帰って、整理して、掘出した順に繋いで行きます。そして、また掘りに行って、繋いでと5回位繰り返しました。そして完成したのが、4枚目の写真。掘り出した時は本当にバラバラなので、完成までに約3ヶ月かかりました。 そしたら、まだ、その下の方にも、続いていたのです。同じように、5回ほど繰り返して、完成したのが、1枚目~3枚目の写真のブロック。このブロックは、表、裏、上からと写真を撮りました。 2枚目の写真の前面を上に向けて、4枚目のブロックを上下逆さまにひっくり返して、その上に置くと、掘出す前の位置関係になります。
雲根誌21 岩石編 京都府京丹後市 2004年SilicifiedZone
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「雨だれ石」と言われている謎の石 2021-02-13
兵庫県の但馬で「雨だれ石」では無いかと言われている石。 誰が言ったのか知らないけど、火山灰堆積層の上に雨が降って、生成したという説がある。それなら、一つの層理面上に存在しないといけないが、まばらに入っているので違和感がある。それに、この石は、角閃石の斑晶があるので、凝灰岩と言うよりは、ヒン岩系の火成岩だと思う。 1枚目写真 雨だれ石 2枚目~4枚目は、雨だれ斑が大きな物。これらが存在するため、雨だれが成因で無いことは確か。おそらくは、斑の形から、捕獲岩では無いかと思う。 5枚目と6枚目写真 マトリックス部分と捕獲岩との境界が反応して、球状構造になりつつある過程か。もし、そう言う部分を見付けられれば、球状ヒン岩の誕生。
雲根誌21 岩石編 兵庫県 但馬海岸 2021/02/12SilicifiedZone
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饅頭石 2020-11-19
鳥取県 大山周辺で産出した饅頭石です。現在では、露頭は被覆工事され、採集も見学も不能になってます。 1枚目は、典型的な饅頭石。2枚目は、その露頭。3.4.5枚目は、細長いタイプで、枝分かれしている物も有りました。6枚目は、その断面。7.8枚目は巨大な饅頭石。 これら資料から、従来説のアルミナ球顆説は、完全に覆るでしょう。
雲根誌21 化石編 鳥取県 大山山麓 2004年頃SilicifiedZone
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マンガン鉱脈標本 京都府南丹市のマンガン鉱山 2020-09-24
ほぼ鉱脈の全体を示すマンガン鉱標本です。 この標本の上部は、ほぼ平坦な面になって居る事から、生成時はこの向きだった事が分かります。この上に「かつぎ」と言う薄い粘土層が有り、その上に二酸化マンガン鉱が載ります。よって、この二酸化マンガン鉱を担いでいたために、この粘土層を「かつぎ」と呼んでいたのでしょう。戦前位までは、この二酸化マンガン鉱の部分だけを採掘していたのです。多くの小さい鉱山では、層が薄いので、人が一人、這って入れる位の小さな穴で掘っていたために、狸掘りと言われました。 かつぎが在るために、そこから外れてしまい、鉱脈全体の標本が作れないのです。しかも、たいていは、有っても、採集者によって叩き割られて、粉々にされています。現在では、この様な標本を作る事は、なかなか難しいのです。
マンガン鉱脈標本 高さ 23㎝ 京都府 南丹市のマンガン鉱山SilicifiedZone
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越戸の玄能石 2020-11-11
越戸の色々な形状の玄能石。鉱物的な規則性が全く無く、鉱物とは考えられない。雲根誌21ではナマコの卵巣化石と考えている。
雲根誌21 化石編 長野県上田市越戸 2005年から2010年頃SilicifiedZone
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発破の穿孔 宮垣銅山 2020-09-25
宮垣銅山は明治時代に掘られた鉱山。発破孔は、まだ削岩機が無く、手掘りで穿孔していた。だいたい、爆破で穿孔は吹っ飛ぶので、あまり残らない。 この鉱山は、鉱石に白鉄鉱を含んでいる。坑夫は、その白鉄鉱の粉塵を吸う。それが肺に入る。肺に入った白鉄鉱は分解して硫酸を発生、硫酸は肺胞を溶かす。そして呼吸困難になって、30歳そこそこで死んで行く。多分、珪肺よりも、直ぐに症状は出る。 明延鉱山でも、そんな白鉄鉱を含む南谷鉱床が高い山の上にある。若い者は元気なので、その山の上の鉱床を掘らさせられる。しばらくすると肺をやられる。すると、楽な、山の下の坑道に回される。 生野鉱山では、「採鉱8年、溶工15年、かかあばかりが50迄」と言う。つまり坑夫は30歳位迄、製錬工は35歳位の寿命で、奥さんは50歳まで生きられたと言う話。 この石は、そんな悲しい歴史を刻まれた石なのです。、
鉱山の仕事 京都府福知山市 宮垣銅山 2020年9月SilicifiedZone
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園石 園鉱山 2020-09-23
園石の原産地は、京都府 園鉱山。2000年頃には取り尽くされ、ほぼ絶産状態に。マンガン鉱物マニアには、垂涎の園鉱山の園石。 かく言う私も、最も好きなマンガン鉱物言えば、園石なのです。 写真の説明 1枚目 こんな小さなマンガン鉱脈ですが、それを切断研磨した標本です。 2枚目 1枚目の鉱脈部分の拡大です。下から、珪酸マンガン鉱帯、その上がテフロ石帯、その上に黒褐色の園石を多く含む部分。きちっと、堆積型層状マンガン鉱床の規則通りの構造です。 3枚目 これも、菱マンガン鉱に園石を含んでいると考えられます。 4枚目 3枚目の園石を含む部分の拡大。 5枚目 さらに実体顕微鏡で観察したところ。 園鉱山の園石の標本は、たくさんの切断標本を作ってますから、また、紹介します。
マンガン鉱脈標本 京都府 園鉱山 2015年SilicifiedZone
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キースラガーと緑礬 明延鉱山 2020-10-14
キースラガー鉱石は、微粒黄鉄鉱の塊の石で、少量の黄銅鉱や閃亜鉛鉱、方鉛鉱を含むことがある。地味な鉱石で、あまり人気のある鉱物標本ではないと思う。 しかし、そんな石にも、いろいろと情報を含んでいるもので、なかなか楽しい石ではある。 明延の南谷鉱床は、明延鉱区の北の端にあるキースラガー鉱床。しかし、あまり知られていないが、鉱区の南端にもキースラガーが在るようで、少ないが見つかることがある。それが、この標本。 それを、半分に切って、構造が良く観られるようにした。白鉄鉱を含んでいたので、多く含む部分が分解して、硫酸鉄の鉱物、つまり緑礬を吹いている。 これ以上分解しないように、加湿して、保存しておこうと思う。保存容器の上にガラス板を置いて、湿度を一定に保つと、保存できると思う。お陰で、構造が可視化された。
鉱石標本 明延鉱山 金木谷 2020年SilicifiedZone
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成因不明の豆石 2020-10-15
京都府のある川に「豆石」と呼ばれている、ちょっと変わった石があります。多少の熱変成作用は受けていますので、砂質ホルンフェルスであることは間違いないでしょう。 で、この黒い斑点が何であるかと言うことになりますが、まだ、見当も付かない状況です。当然、桜石でもないし、空晶石でもありません。どちらでもない動物化石ではないかと調べてます。これは、最高に面白い奇石の一つです。
京都府 2017年SilicifiedZone
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ヒブッシュザクロ石の結晶 2020-10-09
ヒブッシュザクロ石の結晶をを探してましたけど、なかなか在りません。ついに見つけたと思ったのが、京都府の大江山。見つけたのは人頭大の石が一つだけ。裂罅が有り、この中に褐色のべスプ石の結晶がありました。 1枚目写真 裂罅にザクロ石の様な結晶が生じてます。これがヒブッシュザクロ石だと希望的観測。方沸石と言う事も在り得る。 2枚目写真 これは違う可能性が高いかも。 3枚目、4枚目、5枚目の写真は、べスプ石と〇。 6枚目写真は、ベクトライトかも。 これに気を良くして、大江山を探しまくり、綺麗な結晶の黄色いべスプ石を見つけましたが、いくら探しても、24面体結晶は見つかりませんでした。
鉱物結晶 京都府 大江山 2005年頃SilicifiedZone
