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ヘッス鉱とペッツ鉱 20250216
竹野鉱山の鉱石には、テルルを含む鉱物、ヘッス鉱とペッツ鉱の産出が知られている。採掘時には真っ黒な塊の鉱石が出ていたようだが、今ではそのような標本は全く見られない。それらの超高品位鉱石に比べたら、これは、まだまだ貧弱な方? この標本は2009年代に採集した物で、現在では貧弱な鉱石ですら得られなくなった。
銀黒鉱石 兵庫県 竹野鉱山 鬼神谷旧坑 2009年SilicifiedZone
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ガリーナエッグ
どうも日本ではパワーストンとしてか認識されていないようで、成因に付いては不明。内部は方鉛鉱の小さな結晶で覆われている。内部両端には、垂れ下がるような形態の部分がある。 丸い石の好きだったprinさんが喜ぶだろうとポストした。成因に付いては、黒鉱の様な鉱床に含まれている化石の様に思うが、これはこの標本だけでの予想。外国の論文も調べる必要がある。
2024年3月17日 ネットで購入 径7㎝SilicifiedZone
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楽焼の火鉢 20231112
自宅前の家屋を解体していた業者が、この火鉢だけは最後まで潰さずに残されていた。ぱっと見、良い物に見えたのかも知れない。汚いと言えば汚いし、良い物と思えば良い物にも見える。この火鉢が、どう言う訳かこの業者、僕の家の前にこの火鉢を置いて撤退して行った。ユンボでバリバリ壊していたのに、この火鉢には傷一つ無く大事に扱ったみたい。きっと解体で迷惑かけたら、そのお礼のつもりだったのかも知れない。 せっかく頂いたから、きれいに洗ってみた。遠目には信楽かなとは思っていたけど、上部は楽焼の植木鉢で、下部の黒の台部分は楽よりも堅く焼かれていて、それらをくっ付けて火鉢にした物らしい。 火鉢部分は軟らかいため、捻り返しの縁の部分の上面は釉が剥げてしまっている。植木鉢と判断したのは、底に穴が開いているから。そして多分、轆轤は手回しか蹴り轆轤での成型、台部分は電気轆轤での成型のようだから、植木鉢を後に火鉢に作り直した可能性が高い。これは、案外、風流人の特別制作品かも知れない。そう思っておこう(笑)
不明 無料 自宅前の民家 (明延)SilicifiedZone
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機械式計算機 20230903
デンマーク製の機械式計算機。CONTEX-10。裏に貼ってある「兵庫県養父郡(現養父市)大屋町明延 三菱金属鉱業株式会社 明延鉱業所業務課」のラベルが値打ち。
事務機器 デンマーク製 CONTEX-10 機械式計算機 明延の方からの頂き物SilicifiedZone
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チョコレート鉱 2023-07-06
マンガン鉱石は、黒く変色する物が多いです。その原因は、マンガンを含むため、黒くなるとされているようです。確かにそうなのでしょうけど、黒化し易いと言われる「緑マン」ですら、ほとんど変色しない物があります。となると、その主原因は他に在るはずです。また、破面は黒化しやすく、研磨面はし難いとされています。そこで、その主原因は「微細なパイロクロアイト」だと、私は考えます。 このパイロクロアイトと言う鉱物は、新鮮な時は無色透明で存在が分かりませんが、酸素の存在下すぐに酸化し始め、茶褐色のファイトクネヒト鉱に変わります。つまり、忍者の様な鉱物なのです。ただ、酸素の存在下では、その秘技が失われます。また、破面は、その弱い部分で破断します。パイロクロアイトは柔らくて劈開があります。つまり、パイロクロアイトのある部分で破断するのです。また切断研磨すると、その面にパイロクロアイトが存在する確率は低く、研磨面が変色し難くなるのです。 チョコレート鉱は、菱マンガン鉱、ハウスマン鉱、アレガニー鉱、ヤコブス鉱、リッベ石等からなる高品位鉱です。勿論パイロクロアイトが含まれているでしょう。 鉱物コレクターとしては、変色した標本なんて値打ちが有りません。そこで、何とか新鮮な状態で保存したい訳です。そこで切断研磨して、ワックスがけしましたが、それでも何年か経過すると変色しました。それで、今回は片側にガラスを貼り付けたものと、もう一つはアクリル塗装をしてみました。さて、今後何年新鮮な状態を保つでしょうか。例え変色したとしても、再研磨すれば済むので、標本自体が大きく損壊する事もありません。その上、鉱石の構造が細かく観察する事が出来るようにもなります。これも、最大の特徴です。
2023年7月4日 マンガン鉱脈標本 10年位前SilicifiedZone
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シカマイアの正体を示す標本 2023-06-06
私の雲根誌21の館には、シカマイアの正体を示す標本が幾つか在る。その一つがこれ。 シカマイアの最新説は、「巨大二枚貝である」と言う論文が発表されている。しかし、二枚貝と言えないシカマイアが、数は少ないが存在する。それは、シカマイアの真中心部での切断面でないと、この形は現れないからだ。その確率は、数10分の1位か。この部分は、シカマイアの蝶番部分とされている。 本巣市が、シカマイアの標本を集めて置こうと、地元同好会に依頼して、その候補標本に黄色い印を付けて貰った。その印が、この標本の右下に付いている。そしたら、その数100個になったらしい。そこでさらに選別して、数10個に絞り、それらに赤い印を付けられて、それを回収された。これは、その選に漏れたシカマイア。むしろ、最高の標本で、金色を付けるべきだったと言えるだろう。 雲根誌21の館では、「シカマイアは、海綿化石」と考えて居る。また地元では昔から、「アヤメ石」と呼称されており、まだこちらの方が、この形・構造を良く観察、理解されているのだと思う。
雲根誌21 化石編 写真に物差しが置いてあります。 岐阜県本巣市根尾 初鹿谷SilicifiedZone
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東濃の球状花崗岩「なんだもんだ」 2023-05-30
この球状花崗岩は、Prinさんと私Jackが、出会ったきっかけとなった記念の球状花崗岩です。また、この石は、愛知県の北村さんが発見し、標本を地質標本館へ持ち込んだことから公になりました。そして、私達は、この石から、球状花崗岩の解明をスタートさせました。 現在では、捕獲岩から球状岩に発展したと言うのが大勢の意見のようです。しかし、それでは、どうして球状花崗岩なるのか、そこが解明出来ていないのです。私は、どう考えても、捕獲岩が球状構造を示すようにはなる訳が無いと思います。それは、捕獲岩と球状花崗岩しか存在せず、その中間的構造を示す物が存在しないからです。 そして、兵庫県明延に、球状花崗岩に関係する石を集めた「なんだもんだ館」と言う、リアルな展示場(非公開)を作りました。
雲根誌21 化石編 2009年5月 岐阜県東濃地区SilicifiedZone
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キースラガーと緑礬 明延鉱山 2020-10-14
キースラガー鉱石は、微粒黄鉄鉱の塊の石で、少量の黄銅鉱や閃亜鉛鉱、方鉛鉱を含むことがある。地味な鉱石で、あまり人気のある鉱物標本ではないと思う。 しかし、そんな石にも、いろいろと情報を含んでいるもので、なかなか楽しい石ではある。 明延の南谷鉱床は、明延鉱区の北の端にあるキースラガー鉱床。しかし、あまり知られていないが、鉱区の南端にもキースラガーが在るようで、少ないが見つかることがある。それが、この標本。 それを、半分に切って、構造が良く観られるようにした。白鉄鉱を含んでいたので、多く含む部分が分解して、硫酸鉄の鉱物、つまり緑礬を吹いている。 これ以上分解しないように、加湿して、保存しておこうと思う。保存容器の上にガラス板を置いて、湿度を一定に保つと、保存できると思う。お陰で、構造が可視化された。
鉱石標本 明延鉱山 金木谷 2020年SilicifiedZone
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珪化帯の切断研磨標本 明延鉱山 2020-11-09
未珪化部分を含まない、珪化体の一部分の標本だが、直線状の石英脈が走る標本。明延の珪化帯は、主に鉛、亜鉛の鉱床で、黄銅鉱はあまり含まれないが、この様な珪化帯には黄銅鉱も含む。よって、先走りと言っても、本体鉱脈の性質に少し近い鉱液なのか。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県 明延鉱山 2018年SilicifiedZone
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成因不明の豆石 2020-10-15
京都府のある川に「豆石」と呼ばれている、ちょっと変わった石があります。多少の熱変成作用は受けていますので、砂質ホルンフェルスであることは間違いないでしょう。 で、この黒い斑点が何であるかと言うことになりますが、まだ、見当も付かない状況です。当然、桜石でもないし、空晶石でもありません。どちらでもない動物化石ではないかと調べてます。これは、最高に面白い奇石の一つです。
京都府 2017年SilicifiedZone
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鉱脈のコアストーン 兵庫県 大山鉱山 2020-10-15
鉱脈の根元はどんな物だろうかと、何時も考えていた。つまり、マグマの中で、どのようなシステムで、金属成分などが濃集するのかというメカニズムの過程だ。地質断面図には、マグマの天辺あたりに、ネズミの尻尾のような物が描かれているが、これは間違いないと思うけど、その根元はどうなっているかの話。 ある大学の説では、重たい金属成分がマグマの上に集まってくるらしい。また、正マグマ鉱床というのは、重たい金属成分は、マグマの底に溜まるという。正マグマ鉱床は、そのメカニズムが取り敢えずは説明がされているが、天辺に集まるという説は説明がなされていない気がする。蒸気だからと言う話もあるようだけど、鉄の沸騰点は常圧で2862℃。 大山鉱山は、試掘程度の零細鉱山で、採算が取れたか分らないような(多分取れていない。しかし騙された人はいるかも)、小規模で低品位の鉱石ばかり。標本になりそうな石も無かった。しかし、一つだけ、目が釘付けになった一抱え程の大きさの石が有った。以前から探していた、コアストーン型鉱石だ。つまり、マグマ全体から金属成分が一カ所に濃集した証拠の石。 中身は全く風化はしていない。しかし、外側は粘土化してしまっている。しかも、磁硫鉄鉱を主に、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱の微粒が、超低品位ではあるが集中しているコアストーン。これが大鉱床だと、コアストーンも巨大すぎて、全体を標本にする事は出来ない。本当に手頃な大きさだった。これ以上大きかったら持ち帰れないし、小さかったらただの石ころ。 1枚目写真は、おそらくは、この方向で胚胎していた気がする。それを二つに切ってみた。 2枚目写真は、底側の写真。流紋岩の流理を残している。 3枚目写真は、その断面。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県神河 大山鉱山 2018年SilicifiedZone
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鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩 2020-10-24
鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩が、スカルン鉱床の上盤の石灰岩中に、局所的に含まれている。 どう見ても、何らかの化石に見えるので、切断標本 (最初の二枚) と、薄片にしてみた (3枚目以降)。 2枚目の写真の黒い輪部分は、閃亜鉛鉱などの硫化金属鉱物で、石灰岩が熱水に置換され、スカルン鉱床が生成した証拠なのだそうだ。 ここではスカルン鉱床の成因は置いておいて、この丸い物体の正体が何なのかが問題なのだ。少なくとも、鮞状石灰岩でないことは明白だろう。巨大博物館の専門家に聞いても分らないという代物だ。素人考えでは、有孔虫の一種ではないかと思うが。 大きさは、一つの球体は、大きくて数ミリ程度。
雲根誌21 化石編 京都府 梅谷鉱山 2014年SilicifiedZone
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ウイザム石 中山鉱山 2020-11-6
中山鉱山は、熱水性のマンガン鉱床。産出鉱物で有名だったのが、ウイザム石と言う、緑簾石と紅簾石との中間の組成を持った鉱物だった。 この石の産出した時は、コレクターさん達は、なんとしても手に入れたい鉱物の一つで垂涎の的だった。ところが、50%ルールで、固溶体の鉱物は、端成分の鉱物だけになってしまったので、ウイザム石は、鉱物の名前から消えてしまい、含マンガン緑簾石になってしまったのだ。 こうなると、この石は、コレクターさん達には、見向きもされなくなってしまい、用無しの鉱物でしかなくなった。苦労して採っても、ただの緑簾石で、所有鉱物種が増えないためだ。むしろ、逆に、一種減る方が大きな問題だったのだろう。 この標本は、緑簾石のマンガンを多く含む部分で、Mn>Feなら紅簾石になるかも知れないと期待している標本。無理とは思うけど。 明延鉱山でも、真っ赤な緑簾石があるので、機会があれば調べてみたい。
鉱物標本 兵庫県養父市 中山鉱山 2009年7月SilicifiedZone
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珪化帯の鉱脈標本 明延鉱山 2020-10-07
だいたい、鉱脈と言うのは、中心より半分に割れる事が多いのです。鉱脈の中心には空洞が有ったり、亀裂が入って居たりして、一番弱い場所なのです。 この石も、やはり、鉱脈の中心部より割れたのでしょう。1枚目と2枚目写真は、一つの石を半分に切断した物です。そこで、この切断片を並べておくと、鉱脈の様子が分かる様になります。鉱脈の走行方向に垂直な縦断面、もしくは、鉱脈の傾斜方向に垂直な横断面の構造が見えてきます。 そこで、この石を写真のように並べて置くと、鉱脈の元々有った様子が分かる様になってきます。つまり、珪化帯と珪化帯に貫入した鉱脈の様子が見えてきます。この様な鉱脈部分は、あまり高品位な物は有りません。よって、ズリ等に残っている事が多いのでしょう。 この石は、珪化帯は主に閃亜鉛鉱と方鉛鉱、石英脈部分には、黄銅鉱と斑銅鉱体が有ります。
熱水鉱脈・珪化帯標本 明延鉱山 金木谷 2020年9月SilicifiedZone
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珪化帯の鉱石 赤金鉱山 2020-11-09
珪化帯は、普通の鉱脈と違って、網目状に細脈が通っているところが違う。母岩に珪酸鉱液が浸透している状態が見られる。普通、我々が言うところの鉱液は、太く大きな石英の鉱脈は作るが、この様な振る舞いはしない。それは、鉱液の性質が全く違うから。 珪化帯が先走りとなり、その後に、我々の言うところの鉱脈が貫入し生成する。また、この鉱脈には、地表近くで「ヤケ」を作る力は無い。ヤケは、先走りの地表近くでの作用だろう。 明延型の珪化帯には、銅は乏しく、どう言う訳か方鉛鉱と閃亜鉛鉱が多い。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県 赤金鉱山 2020年11月SilicifiedZone
