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鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩 2020-10-24
鮞状石灰岩と呼ばれている石灰岩が、スカルン鉱床の上盤の石灰岩中に、局所的に含まれている。 どう見ても、何らかの化石に見えるので、切断標本 (最初の二枚) と、薄片にしてみた (3枚目以降)。 2枚目の写真の黒い輪部分は、閃亜鉛鉱などの硫化金属鉱物で、石灰岩が熱水に置換され、スカルン鉱床が生成した証拠なのだそうだ。 ここではスカルン鉱床の成因は置いておいて、この丸い物体の正体が何なのかが問題なのだ。少なくとも、鮞状石灰岩でないことは明白だろう。巨大博物館の専門家に聞いても分らないという代物だ。素人考えでは、有孔虫の一種ではないかと思うが。 大きさは、一つの球体は、大きくて数ミリ程度。
雲根誌21 化石編 京都府 梅谷鉱山 2014年SilicifiedZone
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饅頭石 2020-11-19
鳥取県 大山周辺で産出した饅頭石です。現在では、露頭は被覆工事され、採集も見学も不能になってます。 1枚目は、典型的な饅頭石。2枚目は、その露頭。3.4.5枚目は、細長いタイプで、枝分かれしている物も有りました。6枚目は、その断面。7.8枚目は巨大な饅頭石。 これら資料から、従来説のアルミナ球顆説は、完全に覆るでしょう。
雲根誌21 化石編 鳥取県 大山山麓 2004年頃SilicifiedZone
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錫石に伴う銅重石華 2020-09-13
明延鉱山では、錫石が鉄重石を交代している事が良くあります。その部分に銅重石華が生成している事が有ります。どちらも薄い板状結晶で産しますが、錫石は粒状、鉄重石は劈開があるため光って見えますから、区別は容易です。 1枚目の写真で左側のは、まだ錫石に交代されていませんので、中心部が光って見えてます。
鉱物標本 明延鉱山 2010年頃SilicifiedZone
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銅重石華 明延鉱山産 2020-9-13
独特の黄緑色を呈し、1枚目は、灰重石結晶の一部を交代した物。
鉱物標本 明延鉱山 2012年頃SilicifiedZone
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銀黒鉱石 (にたり) 兵庫県朝来市 2020-09-23
鉱山用語で、石英脈中に金銀鉱物を含み、黒色から灰色の縞状の鉱石を銀黒と言う。しかし、銀黒にそっくりの鉱石であっても、ほとんど金銀を含まないものもある。それを「にたり」と言う。この鉱山の「にたり」は、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱等からなる。 学者やコレクターは騙せても、鉱業界は騙せなかった、この鉱山の「にたり」。
銀黒鉱石 2009年10月 兵庫県朝来市の鉱山SilicifiedZone
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銀黒似の「にたり」鉱石 大立鉱山 2020-09-30
銀黒に似てはいるが、ほとんど銀の入っていない鉱石を「にたり」と言う。 聞いた話によると、隣の高品位鉱を掘っていた大身谷鉱山が、ここは低品位鉱ばかりと判断して売却した鉱区を、三菱が買いとって開発したと言う鉱山らしい。大立の坑夫の話(と言っても、明延の坑夫) によると、低品位の悪い鉱石だったと言う。 この高品位に見える鉱石も、銀の含有量は少ないと思う。おそらくは閃亜鉛鉱が多い。
鉱物標本 兵庫県宍粟市 大立鉱山 2018年SilicifiedZone
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銀黒 但馬鉱山 2020-11-16
昭和10年の新聞記事には、「山は輝く“黄金色”出る出る金・銀! 中でも素敵な但馬の二金山」と言う見出しが躍っている。 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00076675&TYPE=HTML_FILE&POS=1 行ってみると記事の通りの採掘場と青化精錬所はあるが、ズリを見る限り、そんなに大きく採掘したようには見えない。しかも、もう5回位行っているが、一個の高品位鉱を拾ったことが無い。と言うか、殆どが不毛の石英ばかり。今日も、少しましな物を得たいと思い寄ってみた。 1枚目写真は、なんとか銀鉱石かと言う程度、持ってみても、そう重たくない。 2枚目写真の黒い部分は、主に母岩の粘板岩で、そこに多少銀を含んでいそうと言う感じの鉱石。これでも、今までの最高の標本です。 大体自山精錬する小鉱山は、低品位の鉱山が多いのです。鉱石を製錬所に運ぶ運賃が出ないので、それを省くためです。(3,4枚目の写真)
銀黒鉱石 兵庫県加美郡 但馬鉱山 2020年11月16日SilicifiedZone
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鉱脈のコアストーン 兵庫県 大山鉱山 2020-10-15
鉱脈の根元はどんな物だろうかと、何時も考えていた。つまり、マグマの中で、どのようなシステムで、金属成分などが濃集するのかというメカニズムの過程だ。地質断面図には、マグマの天辺あたりに、ネズミの尻尾のような物が描かれているが、これは間違いないと思うけど、その根元はどうなっているかの話。 ある大学の説では、重たい金属成分がマグマの上に集まってくるらしい。また、正マグマ鉱床というのは、重たい金属成分は、マグマの底に溜まるという。正マグマ鉱床は、そのメカニズムが取り敢えずは説明がされているが、天辺に集まるという説は説明がなされていない気がする。蒸気だからと言う話もあるようだけど、鉄の沸騰点は常圧で2862℃。 大山鉱山は、試掘程度の零細鉱山で、採算が取れたか分らないような(多分取れていない。しかし騙された人はいるかも)、小規模で低品位の鉱石ばかり。標本になりそうな石も無かった。しかし、一つだけ、目が釘付けになった一抱え程の大きさの石が有った。以前から探していた、コアストーン型鉱石だ。つまり、マグマ全体から金属成分が一カ所に濃集した証拠の石。 中身は全く風化はしていない。しかし、外側は粘土化してしまっている。しかも、磁硫鉄鉱を主に、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱の微粒が、超低品位ではあるが集中しているコアストーン。これが大鉱床だと、コアストーンも巨大すぎて、全体を標本にする事は出来ない。本当に手頃な大きさだった。これ以上大きかったら持ち帰れないし、小さかったらただの石ころ。 1枚目写真は、おそらくは、この方向で胚胎していた気がする。それを二つに切ってみた。 2枚目写真は、底側の写真。流紋岩の流理を残している。 3枚目写真は、その断面。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県神河 大山鉱山 2018年SilicifiedZone
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輝銅鉱 (結晶) 明延鉱山産 2020-09-20
明延鉱山の稼行時、坑夫が坑内から持ち出したもので、大変、珍しい標本です。この標本は、酸化冨鉱体の成因を示す貴重な資料の一つです。 しかし、坑夫の慧眼には感心します。しかも、坑内ではルーペも持っていなかったのに。ルーペを持っている著名コレクターでも、この様な石は見落とす可能性が高いと思います。 2枚目の写真の視野は、直径が約3㎝です。
鉱物結晶 2018年 大型切断研磨標本と交換SilicifiedZone
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越戸の玄能石 2020-11-11
越戸の色々な形状の玄能石。鉱物的な規則性が全く無く、鉱物とは考えられない。雲根誌21ではナマコの卵巣化石と考えている。
雲根誌21 化石編 長野県上田市越戸 2005年から2010年頃SilicifiedZone
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褐錫鉱 明延鉱山 2020-10-10
褐錫鉱と言えば、その前はヘキサ黄錫鉱と言われていた鉱物です。磁硫鉄鉱と紛らしい鉱物ですが、やはり産状が違うので、何とか見当が付くと思います。明延では、磁石で判別できると思います。 この標本も、坑夫が採取した物らしい。この小さな標本と、大きな鉱石切断研磨標本と交換して戴きました。 2枚目写真の視野は、径3㎝。3枚目写真の視野は、径5㎜。
鉱物標本 交換 明延SilicifiedZone
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藍銅鉱 明延鉱山産結晶 2020-09-14
藍銅鉱の結晶。特に二枚目の標本は、炭酸塩鉱物の藍銅鉱の上に、硫酸塩鉱物のプロシャン銅鉱が載っている珍しい産状。弱酸塩鉱物と強酸塩鉱物は、共生しないと言う常識を破る産状を示す。
鉱物結晶 明延鉱山 2012年頃SilicifiedZone
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苦土華 羽山鉱山 2020-11-11
苦土華は、日本では羽山鉱山でのみ見つかった、非常に珍しい鉱物。黒いルドウィッヒ石の空隙に生成している、白色針状の鉱物。黄緑色の鉱物は苦土橄欖石。
鉱物結晶 福島県伊達郡川俣町 羽山鉱山 2004年11月11日SilicifiedZone
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脱水しない濁沸石
京都府京丹後市の「濁沸石」と「剥沸石」です。大きさは、実体顕微鏡の視野は直径が5㎜です。 濁沸石と言えば、空気中で脱水し、容易に粉末化するので、水中保存するのが常識になってます。ところがここの濁沸石は、乾燥しても粉末化する事は無く、水晶のように、何時までも無色透明のままなのです。 脈状の産状を示すものは分解し、ここの様に閉鎖空間に産するものは分解しないのだそうです。分析機器を持たない我々には、濁沸石だと信じる他は有りません。 封筒状の結晶は、共産する剥沸石です。
雲根誌21 鉱物編 2020年8月 京都府京丹後市SilicifiedZone
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算盤玉石球顆の標本 2020-10-29
もの日記に書きましたが、私の採集方法は、ただ採ると言うのでは無く、それが、どのように存在していたか、それをそのままに標本にする様にしています。すると、それの生成過程を明らかにすることが出来ます。ただ、綺麗な球顆を採って、その中から算盤玉石だけを取り出して標本にしたら、それは、ただの算盤玉石の標本です。それでは、算盤玉石が球顆の中に入っていることすら分りません。 ある日、産地に行くと、露頭に球顆の頭が出ていました。それを掘出すと、さらに奥に続いています。順番に掘って行くと、どんどん続いていきます。取り敢えず30㎝位まで掘りました。これを持って帰って、整理して、掘出した順に繋いで行きます。そして、また掘りに行って、繋いでと5回位繰り返しました。そして完成したのが、4枚目の写真。掘り出した時は本当にバラバラなので、完成までに約3ヶ月かかりました。 そしたら、まだ、その下の方にも、続いていたのです。同じように、5回ほど繰り返して、完成したのが、1枚目~3枚目の写真のブロック。このブロックは、表、裏、上からと写真を撮りました。 2枚目の写真の前面を上に向けて、4枚目のブロックを上下逆さまにひっくり返して、その上に置くと、掘出す前の位置関係になります。
雲根誌21 岩石編 京都府京丹後市 2004年SilicifiedZone