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- 「海軍乙事件」(新潮文庫/吉村昭著)
「海軍乙事件」(新潮文庫/吉村昭著)
吉村昭「空白の戦記」昭和48年から51年にかけて発表された以下の4作品を収録した文庫版。
1. 海軍乙事件
2. 海軍甲事件
3. 八人の戦犯
4. シンデモラッパヲ
「海軍乙事件」は、山本五十六の後を継いだ古賀峯一連合艦隊司令長官を乗せた飛行艇がフィリピン海域で遭難、二番機に乗っていた福留参謀長が比ゲリラの捕虜となり暗号書を奪われた事件。その後の戦局にも大きな影響を及ぼした不祥事を綿密な調査に基づいて克明に記した作品。
「海軍甲事件」は、米国に暗号を解読されて山本長官の乗機を撃墜された事件で、当時の援護機の搭乗員へのインタビューから書き上げた作品。
「八人の戦犯」は、東京裁判やアジアや豪州など各地での連合国による戦争犯罪裁判に先立ち、日本側がスケープゴートとして差し出した八人の戦犯に関する記録。
「シンデモラッパヲ」は、日清戦争の軍国美談、「勇敢なるラッパ卒」の逸話の裏に、誤認に基づく2つの美談が存在していたことを著者が掘り下げた調査結果。木口小平の話しだけだと思っていましたが、そんなことがあったなんては知りませんでしたね。吉村昭さんらしい切り口の作品です。
海軍乙事件と甲事件の以上の作品の調査については、文春文庫「戦史の証言者たち」に収録されています。
