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Vaimo11 STYLE (初期モデル)
30枚以上の紙の束を、片手でも楽に綴じられるようにと作られたホッチキス『Vaimo11 FLAT』が誕生したのは2008年のことでした。 これまでの30枚以上綴じられるホッチキスの多くは卓上型のもので、本体の重さは1Kg弱とそこそこの重量があるもの。大きさもそれなりにあるので、机の引き出しに気軽に入れて置ける大きさではありません。 オフィスや学校の事務室の片隅に置かれた大き目のホッチキス。とじ作業を行うにも広めのスペースを確保するために場所を確保せねばなりません。その上、30枚の紙の束を綴じるのは容易なものではありません。1度や2度の綴じ作業であればいざ知れず、会議資料などで何部も資料を綴じなければならないとなればなかなかの重労働です。準備にも手間がかかりますから、気軽に綴じるというわけにはいかなかったことでしょう。 しかし、引き出しの中にしまっておけるほどの大きさとなった『Vaimo11 FLAT』の誕生によって、いつものデスクで片手で綴じ作業ができるようになりました。これまで手軽に小冊子を綴じる作業できなかったものが、より手軽に作業できるようになったのです。 とはいえ、2枚~40枚でも綴じられるという『Vaimo11 FLAT』にも問題点が全くなかったわけではありませんでした。 それは実用重視のデザイン。そして何よりも一般的な小型ホッチキスの1.5倍近い165gという重量でした。 通常のホッチキスよりも大きくなってしまった本体。手の小さな女性には少々扱いにくいものだったようです。そのため、マックスはこの問題を解決すべく『Vaimo11 FLAT』の機能をそのままに、女性の手にもなじみやすいように丸みをのあるデザインで、これまでにないカラーバリエーション、そして横幅をスリムにした『Vaimo11 STYLE』を2010年に登場させました。 外 寸 / H68×W26×D106(㎜) 質 量 / 161g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 ■ ウサギの姿をした狼?? 女性が使うことを考えた『Vaimo11 STYLE』は丸みを帯びた優しい見た目のデザインになりました。それは実用重視で作られた『Vaimo11 FLAT』を磨き、必要な部分だけを削り出したかのようなシルエットです。本体側面にプリントされた「Vaimo11」の文字もスリムになったデザインに一花添えているかのようです。 Vaimo11STYLEの初期モデルの特色といえば、5色という少し多いカラーバリエーションと共に、その珍しい彩色も特徴のひとつでしょう。 ・チェリーレッド (写真モデル) ・カフェオレ ・プラム ・ミントブルー ・グリーンティー 先にも書いたように、基本機能は『Vaimo11 FLAT』と一緒です。大雑把に言ってしまえばカバー部分以外の本体は『Vaimo11 FLAT』も『Vaimo11 STYLE』も変わりありません。カバーのデザインを変えることで、本体の幅は4㎜小さくなり、重量は4g減少しました。 たった4㎜の幅の違いですが、本体を握った感覚は、手の中により収まりやすくなり収まりが良くなった分、本体も軽く感じられます。 ……もっとも、友人に『Vaimo11 STYLE』と『Vaimo11 FLAT』を持ち比べてもらったところ、重さの違いは 「よく分からない」 とのことでしたけど(苦笑)。 中身はそのままに、外側のデザインだけ変えた姉妹品。これは例えるならば「マークⅡ/チェイサー/クレスタ」の兄弟車のようなもの。見た目は違うようでも、肝となる中身の部分はどちらも同じもの。多少の使い勝手は異なるものの、本質的なところでは変わりはないのです。 『Vaimo11』に興味あるけれども、『Vaimo11 STYLE』と『Vaimo11 FLAT』どちらを選ぶべきか。 機能的には『Vaimo11 STYLE』も『Vaimo11 FLAT』も変わりありませんから、デザインと好みのカラーがあるかどうかで選ぶ。そんな選択でも何ら問題ないと思います。 この『Vaimo11 STYLE』ですが、2017年12月にカラーリングの変更が行われてしまい、5色の多色構成から3種類のカラーリングとなってしまいました。 (新しいカラーリングになったものは、また改めて紹介したいと思います) まだ初期モデルの『Vaimo11 STYLE』が売られているところもあるかもしれません。興味のある方は是非ご購入を(笑)。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11スタイル マックス株式会社栗下 智
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復活して欲しい中綴じホッチキス TOZIX40
今は廃盤となってしまった中綴じホッチキス プラス株式会社さんから販売されていた『TOZIX40(トジッキス40)』です。 前回紹介した『PLUS40』 https://muuseo.com/ch049zpT/items/22 の本体を活用して作られている派生タイプ。 卓上タイプの中綴じホッチキスは色々ありますが、このホッチキスはその中でもコンパクトなタイプで、手の平から少し大きいくらいのスペースで収まるのに最大30枚中綴じ本ならば120ページの本を製本できる高性能ホッチキスなのです。 サークルで活動報告書を作るなど、簡易製本をする場面でとても大活躍すること間違いなしのホッチキス。しかしながらこのホッチキスは廃盤品なのです。現行品であったならば、そこら中に宣伝して回りたいくらいオススメしたいほどのお気に入り。 復活して欲しいホッチキスは何かと問われたならば、筆頭にあげたい『TOZIX40』。この使い勝手の良さを中綴じ製本好きの皆様と共有したいくらいなのです。 外 寸 / H75×W140×D160(㎜) 質 量 / 535g 針装てん数 / 100本(№35の場合) 使 用 針 / №35または№3 通常のコピー用紙程度であれば最大30枚まで綴じることができます。 沼田エフエム放送(FM‐OZE)にて放送されている「文房具」を語る番組『他故となおみのブンボーグ大作戦!』(https://daisakusen.net/)30分間文房具のことを語るという番組のコーナーでもちょっぴり話題に上がっていたホッチキス。遅くなりましたがこちらでも紹介させていただきたいと思います。 正方形にほど近い台座は、手のひらに収まるくらいの大きさ。テーブルの隅でも十分に使える大きさながら、A3サイズの用紙の中とじもできてしまう。(針の位置を気にしなければA2サイズの中とじもできるかも) 実質とじ奥行のないTOZIX40。コンパクトなのに大判の用紙でも綴じられる秘密は、台座から伸びたアームと本体が一直線上ではなくL字型に設置されていること。これにはなぜ他のメーカーが習わなかったのかと唸りたくなります。 現在流通している卓上型中綴じホッチキス本体の全長は300~500㎜ほど。この半分の大きさで綴じれてしまうなんてあっぱれ!!としか言えません。(用紙分の作業スペースはもちろん必要なのですが……) 中でもお気に入りなのが横から見ると三角形けいじょうに盛り上がった台座。中綴じ本を作るにあたってこの三角形に盛り上がった台座は作業しやすくて大好きなのです。 元々は海外製のホッチキスで三角形になった台座に出会い、中綴じ作業をするのにこの形状がとても効率的だと感じたことが始まりでした。中綴じしやすいようにしたこの形状のものは日本にはないのだよね……。なんて思っていた時にオークションで見かけたまさかの日本製。すでに廃盤品でデッドストック品でしたが速攻飛びつきました(笑)。 届いてからも驚きの連続でした。そのコンパクトさに驚き、使い勝手の良さにさらに驚き。予備としてもう1台購入しておけば良かったと本気で後悔したほどです。 購入した際、本体に付属してPLUS40専用針が付属されていました。現在は廃盤となってしまっている針ですが、№35針が相当品となっています。 ちなみにTOZIX40はPLUS40がベースになっていますので、№3針を使うことも可能です。ただし、№3針を使う場合本体に装てんできるのは1連(50本)のみなので、冊数を作ることを考えると同じ1連でも№35針ならば100本装てんできます。頻繁に補充しなくても済む分№35針の方が勝手は良いとは思いますが好みに合わせて使い分けると良いでしょう。 「中綴じホッチキス」と紹介しましたが、中綴じしかできないわけではなく、平綴じと呼ばれる通常の綴じ方もすることもできます。イチオウ念のため。 #文房具 #ホッチキス #プラス
ノーマルクリンチ ホッチキス TOZIX40 トジッキス40 プラス株式会社栗下 智
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卓上でも手持ちでも使える PLUS40
今回紹介するのは少し懐かしいホッチキス『PLUS40』 プラス株式会社が作っていた卓上&手持ち両用の中型ホッチキスです。 3号針という少し大き目の針を使うタイプのホッチキス。コピー用紙程度であれば30枚ほど綴じることができるものです。 通常のホッチキスのように、手に握りながら綴じることもできますし、テーブルの上でガッチリと止めることもできます。また、綴じ方も3通りの綴じ方ができます。通常通り綴じる「本綴じ」。簡単に針を除去することができる「仮綴じ」。中綴じ製本やポスター貼りに用いる「タッキング」それぞれの綴じ方を使い分けることができます。 外 寸 / H54×W34×D125(㎜) 質 量 / 213g 針装てん数 / 50本(№3の場合) とじ 奥行 / 63㎜(最大) 使 用 針 / №3または№35 通常のコピー用紙程度であれば最大30枚まで綴じることができます。 沼田エフエム放送(FM‐OZE)にて放送されている「文房具」を語る番組『他故となおみのブンボーグ大作戦!』https://daisakusen.net/ 30分間文房具のことを語るという番組のコーナーで紹介されていたホッチキス。遅くなりましたがこちらでも紹介させていただきたいと思います。 『PLUS40』は1982年から1991年ごろにかけて販売されていた中型ホッチキスです。 手に握りながらでもテーブルの上でもどちらでも綴じることができるこのホッチキスは、針曲げ台を回転させることで「本綴じ」と「仮綴じ」を、本体を開いて使いことで「タッキング」という3通りの綴じ方を使い分けることができます。 直線的なデザインはシンプルですっきりとしたデザイン。回転する針曲げ台は大きく回しやすく、台座の内側には黒いカバーを施され、ハンドル上部のカバー正面には『PLUS40』のプレートが張られているなど実用的ながらも品位を感じさせるデザインとなっています。 黒いパッケージもシンプルながらも、「他のホッチキスとは違うのだよ」なんて語り掛けてきそうなオーラを感じさせるパッケージで私的に大好きです!(感想には個人差がありますのであしからずご了承ください) パッケージには「№3」もしくは「AS-100」という針が使えると表記されています。が、その昔はPLUS40専用の針が用意されていました。 PLUS40専用針は№3の針より少し細めの針。AS-100という針は、おそらくこの専用針の後継品なのではないかと思われます。ちなみに専用針相当品は№35針です。№35針をマガジンにセットする際には1連(100本)をセットすることができます。 パッケージ裏には最大装てん本数は105本とありますので、このことからもAS-100が№35針相当であると推測されます。 金属部品が主体で、塗装もしっかり施されているためか質量 は少し重め。男性にはそれほど気にならない重さかもしれませんが、手に持ちながら長時間の作業には少しきついかもしれません。しかし、このホッチキスはテーブルの上でも使える両用タイプなので使用の用途によって使い分けていただくのが良いかと思います。 シンプルながらも実用的に作りこまれているところに少し懐かしさを覚えてしまうのは私だけでしょうかね。 #文房具 #ホッチキス #プラス
ノーマルクリンチ ホッチキス PLUS40 プラス株式会社栗下 智
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2号ホッチキス用つづり針
2号用ホッチキスが登場したのは大正15年(1926年)のことだと言われています。 その1年余り後、ドイツから3号と呼ばれるつづり針が輸入され、翌年には3号ホッチキスが作られるようになりました。 幅 : 約11㎜ 足長 : 6mm 針の太さ: 約1.4㎜ 針の太さが、3号ホッチキスのおよそ2倍、一般的な10号ホッチキスのおよそ3倍にもなる太さの2号針。 現在では3号針でさえ立派な太さの針に見えるのですが、その針さえも細く見える2号針は一般的ではなく工業用のタッキング用つづり針かのようです。 使い勝手の差なのか、3号ホッチキスは残り、2号ホッチキスの規格は現在無くなってしまいました。 2号ホッチキス本体はインターネット上で時折見かけたことはあるものの、そのつづり針に関しては私は最近まで見かけたことがありませんでした。 使われた期間が短かったのか、あまり多く使われることがなかったのか。2号針を見かけることは中々無いようです。
ホッチキス用つづり針 集英 2021年4月栗下 智
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HD-3
3号針を用いるホッチキス『HD-3』 レトロなデザインのホッチキスですが、つい先ごろの2020年まで製造・販売されてきたものです。 レトロなデザインの文房具として人気のあるHD-3ですが、このデザインはマックスがホッチキスを作り始めた昭和21年以来からもの。製造開始以来小改良を加えながら製造を続けてこられたとのことですが、基本的なデザインは変えられずに74年間作り続けてこられました。 外 寸 / H102×W60×D212(㎜) 質 量 / 460g 針装てん数 / 50本 とじ 奥行 / 36㎜(最大) 使 用 針 / №3 通常のコピー用紙程度であれば最大30枚まで綴じることが可能。 3号針は昭和1~2年ごろドイツから輸入され、昭和3年には3号針を用いるホッチキスが日本でも作られるようになりました。その頃、3号針を使うホッチキスのことは「スマート」と呼ばれていました。 昭和21年、当時は「山田興業(株)」という名称だったマックスが作り始めたホッチキスが『ヤマコースマート』と呼ばれていた3号ホッチキスでした。 山田興業が作っている3号(スマート)ホッチキスだから『ヤマコースマート』。これが後のHD-3と呼ばれるホッチキスのはじまりです。以来2020年に製造が終了するまで大きく変わることも無く、レトロながら実用的なモデルとして長く愛され続けてきました。 近頃では小型ホッチキスでも32~40枚もの用紙を綴じることができる高性能なホッチキスが登場し、加えて綴じる際に強い力が必要となる3号針という太い針を使うホッチキスを選ぶという選択肢は、興味がない限りはないかもしれません。さらには3号ホッチキスでも60~80枚まで綴じられるモデルもあります。実用用を重視するのであれば、高性能な新しいモデルの方が良いでしょう。 しかしながら実用一辺倒ではなく、長く愛され続けてきたレトロなデザインがお気に召されたのであれば、オススメの1台です。 製造終了から1年余りが経過し、文具店の店先に並んでいるものは少なくなってしまっているでしょう。しかし、長年作り続けられてきたモデルだけあって、オークションでも頻繁に見かけることができます。レトロ調でありながらも入手のしやすさからもお手軽なモデルといえます。 #ホッチキス #マックス #文房具
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3 マックス株式会社栗下 智
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★ サクリフラット (HD-10FL3K)
マックス株式会社の10号ホッチキスでは 最大のとじ枚数を誇るのが現行型の『サクリフラット』です。 現在発売されている最新の『サクリフラット』は 2016年8月に登場した3代目モデル。最大とじ枚数は32枚。 『サクリフラット』という名が示す通り、綴じ裏の針が出っ張らずに平ら(フラット)になるフラットクリンチタイプのホッチキスです。 外 寸 / H66×W28×D83(㎜) 質 量 / 106g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 29㎜(最大) 使 用 針 / №10 通常のコピー用紙程度であれば最大32枚まで綴じることが可能。 『サクリフラット』は、綴じることを極めるべく、「綴じる」ということに着目して研究開発された「サクリシリーズ」のフラットクリンチバージョンとして2008年に登場した20枚綴じモデルが初代モデルとなります。 その後、最大とじ枚数を28枚にまで増やした改良モデル(2代目モデル)が2013年に登場しました。 ◆ フラットクリンチホッチキスのあゆみ ホッチキスで綴じた針の裏側に飛び出た針足が、丸く山形にならずに針が紙と平行に平らに折れ曲がる。それがフラットクリンチです。 フラットクリンチタイプのホッチキスが登場したのは1987年のこと。世界で初めてフラットクリンチホッチキスを作ったのがマックス株式会社でした。 この時のホッチキスの最大とじ枚数は15枚でしたが、やがて多くの10号針ホッチキスと同じように20枚まで綴じられるフラットホッチキスが登場してゆきます。 2002年に最大26枚もの用紙を綴じることができる『パワーフラット』が登場したことによって、10号針を使うフラットクリンチホッチキスの最大とじ枚数競争が始まりました。 「10号ホッチキスの最大とじ枚数は20枚」という概念が取り去らわれ、28枚とじ、30枚とじと最大とじ枚数の多いフラットクリンチホッチキスが各社から登場して行きました。 そして、現在10号タイプのフラットクリンチホッチキスでは最大とじ枚数32枚モデルまで進化しています。 ◆小さなところまで手を加えて進化を深めたモデル 他社から登場した30枚・32枚綴じモデルに対して、マックスから提示したのは、新規11号針を用いた最大40枚綴じモデルのホッチキス『バイモシリーズ』でした。しかし、バイモシリーズによって40枚まで綴じられるというアドバンテージを得ることができた半面、このホッチキスを使うにあたり、本体はもちろんのことながら、11号針という新たな針まで準備をしなければならないというネックも生じることになりました。 既存の針をそのまま用いながら、32枚まで綴じられることができる。というのはユーザーからしてみればやはりありがたいことです。そんな市場の声を聞いて登場したのが3代目となる『サクリフラット』です。 「サクリシリーズ」には、この『サクリフラット』の歴代モデルの他に、シリーズの元祖ともいえるノーマルクリンチモデルの『サクリ』があります。 これらのモデルに共通するの機能が「軽とじ機構」と「予備針ストック」というストックの針を収納して置けるスペースをハンドル部分に設けていることです。 「予備針ストック」はハンドル部分に設けられたカバーを開け、内部に合計100本分の針をストックして置けるものです。マガジン内部に装てんできる100本を含めると最大で200本の針を収めることができます。 作業中に針切れを起こして、予備針を探すものの、針が入った箱が引き出しの奥深くに埋まってしまってなかなか出てこなくてイライラを募らせてしまった。という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。 この「サクリシリーズ」であれば、事前にキチンと予備針ストックに予備針をセットしておくことで、いざ作業中に針切れを起こしても、すぐに予備針を取り出して再装てんすることができるのです。 最近登場するホッチキスには搭載されることが多くなってきた「軽とじ機構」。 20枚綴じるよりも32枚綴じるときの方が強い力が必要となります。しかし、力任せに綴じるだけでは針が折曲がれ失敗してしまいます。確実に32枚を綴じるための機構が必要です。綴じるのに必要な「てこ」を2つにし、綴じる力を半分にする。これが「軽とじ機構」と呼ばれる倍力機構です。新しいサクリフラットでも引き続き搭載されています。 他社の同タイプ・綴じ枚数が強化されたものの多くは、カラーリングの手直しはされているものの、デザインはほとんど変化していません。これに対してサクリフラットは本体デザインはもとより、クリンチ台などの細部でも設計を見直し改良が施されたところは、さすがはトップメーカーの成せるところではないでしょうか。 本体の大きさは旧型モデルとほぼ変わりませんが、高さは少し大きくなりました。従来よりもスッキリとしたデザインでシンプルながらスタイリッシュなものになりました。 11号針のバイモシリーズで培われた技術も反映されており、2枚など少ない枚数を綴じる際と、32枚など厚い枚数を綴じるときではホッチキスの針が進入して行く角度が変わります。この針を受け止め、折り曲げるにも最適になるように2種類の角度を設けた針受け台2段クリンチャ機構によって、2枚でも32枚でも針をキチンと折り曲げて綴じられるようにしています。 ●実用性も十分に進化したサクリフラット 新型『サクリフラット』にて半年でおよそ5000本の針を使用してみました。 使用中に何度かテーブルから落としてしまったこともありましたが、本体に致命的なダメージを受けることも使用し続けるにあたって違和感を覚えることもありませんでした。一見弱そうに見える予備針ストックのカバーも外れることもありませんでした。本体の堅牢性の高さを示すもののひとつといえるでしょう。 ただし、本体後部にあるリムーバ部分に関しては、強い衝撃によって折れ曲がってしまうことがありました。 リムーバ部分に関しては、おまけ的な付随機能で頻繁に使う機能ではないものの無ければ非常に不便です。とはいえ、他のホッチキスでもリムーバ部分は強い衝撃で折れ曲がることは珍しくはありません。落下によるリムーバの折曲がりはサクリフラットだけの特有の弱点というわけではありませんが、使用している中で気になった点のひとつではあります。 「軽とじ機構」を搭載しているお陰で、厚い書類も軽く綴じられますが、サクリフラットはただ軽いだけはなく、綴じたときに感じられる質感があります。これが他社のホッチキスに比べるとやや重く、音が大きく感じられます。マックスの歴代のフラットクリンチホッチキスを続けてきた人にはさして違和感はないのではないかと思うのですが、他社のフラットクリンチホッチキスを使っている人にとっては強く違和感を覚えるかもしれません。これの点は好みが大きく分かれるところといえるでしょう。 「サクリ」シリーズは、マガジンと予備針ストックスペースに予め針を装てんされた状態で梱包・販売されています。パッケージを開ければ直ぐ使えるというのは地味ながら有り難い点です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
フラットクリンチ ホッチキス サクリフラット マックス株式会社栗下 智
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★ かるホッチPOWER
10号針を使う小型ホッチキスは、軽くとじられる機構や、フラットクリンチ機構を搭載することで、これまで最大20枚までしか綴じられなかった10号ホッチキスは、現在最大32枚まで綴じられるようになりました。 しかし、10号ホッチキスとともに長い歴史がある3号針を使うホッチキスは、フラットクリンチ機構を搭載するものも登場してきたものの、綴じ能力に関しては大きく変わることはありませんでした。 特に、手に持って使うこともできる3号針を使う中型ホッチキスは、最大とじ能力30枚というのは長らく変わりありませんでした。 2015年2月、軽とじ機構とフラットクリンチ機構を搭載して、最大45枚まで綴じることができる3号針を使うハンディタイプホッチキス『かるホッチPOWER』がライオン事務器から登場しました。 外 寸 / H80×W34×D120(㎜) 質 量 / 222g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 35㎜(最大) 使 用 針 / №3 通常のコピー用紙程度の用紙を最大45枚まで綴じることが可能。 国内メーカーの3号針を使うホッチキスは、卓上タイプのホッチキス、または、卓上とハンディ兼用タイプのホッチキスのいずれかの方式を採用しています。しかし、『かるホッチPOWER』はハンディタイプの3号ホッチキスです。 10号サイズの軽とじホッチキスを2回りほど大きくしたような見た目で、マックスのVaimo11FLAT(外寸:H68×W30×D107(㎜)、質量:165g)と比べてもひと回り大きなサイズです。 卓上とハンディ兼用タイプのホッチキスの中には、質量がもっと重いものもあるので格段重いホッチキスではありません。しかし、手の小さな女性が扱うには少々大きなホッチキスともいえなくもありません。 とはいえ『かるホッチPOWER』は、少し大き目で場所を取ることが多い3号ホッチキスの中にあっては、質量も決して重くなく、携帯性も悪い方ではありません。31枚以上を綴じることができる3号ホッチキスの中では圧倒的に省スペースでの作業が可能で、作業中に本体を立てて置くことができる点も非常にメリットがあります。 3号針といえば針が太いため、針が紙を貫く際の抵抗が大きいという点がありますが、10号針の軽とじホッチキスと比べるとさすがに抵抗を感じる具合は大きいものの、軽とじ機構を搭載していますから、通常の3号ホッチキスと比べれば軽やかに作業をすることができます。 また、太い3号針だからこそのメリットもあります。それは10号針や11号針が貫通しにくい厚紙や、ラミネートなど表面を加工されている用紙などが表紙として用いた冊子を綴じようとした際、10号針や11号針では針の断面積が狭い分、紙表面に対して十分なグリップを得ることができず、針が滑ってしまい、針の貫通力が落ちてしまうことがあります。しかし、3号針では針の断面積が広い分、光沢があり針が滑りやすくなっているような用紙でも針は高いグリップ力維持したまま用紙を貫くことができます。 ハンディタイプの3号ホッチキスとしては、31枚以上を綴じることができる唯一のホッチキスです。省スペースで、厚い書類を綴じることができるホッチキスとして、3号ホッチキスの新しい歴史を築いたホッチキスです。 #文房具 #ホッチキス #ライオン事務器
フラットクリンチ ホッチキス かるホッチPOWER 株式会社ライオン事務器栗下 智
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HD-3D (後期型)
ホッチキスの3号針 といって、すぐお分かりになられる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。 すぐお分かりになられる方は、3号針を実際に使ったことがある方でしょう。しかし、最近は高性能なホッチキスが登場しているので、3号針を使うような大きなホッチキスを所有することも、実際に使うことも少なくなってしまったかもしれません。 普段使っている10号針より2㎜ほど幅広く、針の太さは0.2㎜太い0.7㎜。 10号針よりちょっぴり大きく太い針。数字上では大した差ではないように見えますが、実物ではやたらと太く丈夫に見える3号針を使用する『HD-3D』という卓上ホッチキスのご紹介です。 新聞紙程度厚みの用紙を最大80枚(№3-10㎜針使用時)まで綴じることができます。 外 寸 / H53×W71×D261(㎜) 質 量 / 725g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №3 または №3-10㎜ 職員室の片隅にあった印刷室で、輪転機、断裁機そして大き目の卓上ホッチキスとしておかれていたのが『HD-3D』。私と同年代くらいの方であれば、学校行事で出かける旅行や工場見学の際に作った「しおり」を綴じる際に、この『HD-3D』を使っていたのではないでしょうか。 ホッチキスを操作するのは先生の役目だったので、当時は実際に動かすことはできなかったのですが、ホッチキスの置き場所を知っていた私は、取りに行ったり返却する役目を任されていました。ホッチキスを運ぶたび、自分では綴じ作業をすることが叶わないこのホッチキスを自分で所有するんだと誓ったものです(笑)。 1971年に登場した『HD-3D』は、2002年ごろまで製造されました。 その後は後継機となる『HD-3DE』が2019年ごろまで作り続けられ、現在は、『HD-3DEL』とモデルにバトンが受け継がれています。 1965年10月1日に制定された日本工業規格(JIS規格)で定められた JIS S 6035 ステープラ JIS S 6036 ステープラ用つづり針 これらの規格に基づいて作られた3号針および3号U針を使用して使えるホッチキスとして作られたホッチキスが『HD-3D』です。 ここでは、規格の詳細などは省かせていただきますが、 『HD-3D』は3号Uの規格に沿って作られており 足の長さが6㎜の 「№3」針 を用いて 2~30枚 までの綴じ能力 足の長さが10㎜の 「№3-10㎜」針 を用いて 30~80枚 までの綴じ能力 があります。 ちなみに、この「3号U」という規格の「U」とは、Universalの略で、足の短い針(3号)および足の長い針(3号U)を兼用して綴ることができることを表しています。 『HD-3D』には、3号Uの規格に沿って作られたことを示すように、本体側面部分に商品名とともに3号Uの文字も刻まれています。 また、マックスさんで取り扱われている『№3-10㎜』の針ですが、JIS規格の3号Uの規格に沿って開発・認定をとられている商品です。商品名に関しては企業側で自由に付けられるそうで、マックスさんでは、針の長さが長いことをより分かりやすく示すように3号U規格の針の商品名を『№3-10㎜』とされているそうです。 針装てんの際には、本体後部にあるスライダのツマミ引っ張ります。ツマミを引っ張ることでプッシャを引き出すと、最大2連(100本)の針を装てんすることができます。 ここで、ネックとなるのが針の使い分けでしょうか。6mm足の針と10㎜足の針を綴じるものの枚数によって使い分けなければなりません。 使い分ける目安は30枚ですが、これはかっちり30枚で使い分けなければならないというわけでもありません。用紙の厚みなどにより25枚~30枚の範囲内で使い分けると良いでしょう。例えば、少し厚めのコピー用紙27枚を綴じるのであれば10㎜針を使っても問題ありません。ただ、紙の裏側にあまり針を見せたくないというのであれば、6㎜針を使う選択肢もあります。 ただ、注意していただきたいのは、コピー用紙程度の厚さの用紙を20枚以下の状態で綴じようとするとき、決して10㎜針を使わないでください。 用紙の裏側で折り返された針が再び用紙を貫通し、金属の芽が生えたかのように用紙の表側に針が貫通してしまうからです。こうなってしまうと、けがの要因となってしまうばかりか、再び貫通した針がホッチキスの本体に損傷を与えてしまう可能性も出てくるからです。 3号針のホッチキスは、本体が通常のホッチキスよりも大きく、また、価格も高く、使い分ける針の種類もあることから、多くの人から見ると中々扱いづらいホッチキスなのかもしれません。加えて、先にも述べたように高性能のホッチキスが登場している昨今では、ますます3号針を使うホッチキスも存在感が薄くなってしまってきているかもしれません。 1999年に購入したこの『HD-3D』ですが、昨年ネットオークションで購入した古い『HD-3D』と比べてみたところ、ハンドルの形状や台座のデザインなどが異なっていました。『HD-3D』の改良のあゆみがどのようなものか確認は取れていませんが、製造されていたおよそ31年の間に、少なくとも1度は改良が加えられていることがわかりました。古いモデルの方もいずれ紹介させていただきますので、HD-3Dに関してご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントを下さい。もちろん、これで旅行のしおりを作ったなどの想い出なども大歓迎です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3D マックス株式会社栗下 智
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MAX・10JA
マックス株式会社初の100本の針を装てんすることができる小型ホッチキス『MAX・10JA』です。 懐かしいデザインの小型ホッチキス『MAX・10』に似たホッチキスですが、『Max・10』は50本のホッチキスの針が装てんできるのに対して、『MAX・10JA』は最大100本の針を装てんすることができ、作業中の再装てんの手間を格段に減らし、作業効率をUPさせたモデルです。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H46×W20×D102(㎜) 質 量 / 84g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 62㎜(最大) 使 用 針 / №10 昭和36年(1961年) 「作業用A型ホッチキス」の名称にて登場 昭和42年(1967年) 「マックスホッチキス 10JA」の商品名でカタログ掲載 カラーリングは橙・青・緑の3色 見た目は『MAX・10』と変わりないように見えますが、プラスチック製の「ハンドルヘッド」(写真では緑色のもの)は大型のものを装着して操作性を向上させています。 今は大概のホッチキスに装着されているリムーバーですが、このモデルには装着されていません。普段ホッチキスを使っているときにはその存在をあまり意識していませんが、いざ着いていないモデルを使うと、標準で備わっているリムーバーの存在がありがたく思えてきます。 この頃の針曲げ台(クリンチャ)は台座と別々に成形されていたようです。 お陰で、下側の台座はシンプルな造形となっていますが、案外自然と手にフィットし、個人的には結構お気に入りのデザインです。 マガジンの内部は、のちに登場する『HD-10D』に共通するものがありますが、マガジンの上部にある「マガジンカバー」の形は異なっています。 経年変化を経たものを見ると、マガジンカバーを支えるバネの部分にやや難があるのか、針を連続して打ち出せなくなってしまっておりました。 この原因は、針を打ち出した後のドライバーが元の上方の位置に戻ろうとする際、後続の針をそのまま引き吊り上げてきてしまう(本来であれば、この引き吊り上げる力をマガジンカバーが押さえ込み、針は定位置にあるのです)ためでした。結果、針を正常に送り出せずに後続の針を打ち出せないという状態でした。のちに登場した『HD-10D』で耐久性が大きく向上した要因には、マガジンカバーの形状の変更にあるのだと思われます。 操作性の向上を果たしつつも、その後に続く高い耐久性と高い信頼性を勝ち取るまでの進化を伺い知ることができるモデルです。 ちなみに、この『MAX・10JA』は昭和46年(1971年)ごろまで作り続けられ、その後、2代目モデルにバトンが引き継がれています。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス マックス株式会社栗下 智
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HD-10D (初代 - 初期型)
これまでのホッチキスの5倍の耐久力がある10号ホッチキスとして 1968年に登場、翌年1969年にグッドデザイン賞を受賞した マックス株式会社製の小型スタンダードホッチキス『HD-10D』 50年以上に渡り同社のスタンダードホッチキスとして歴史を積み重ねてきたホッチキス『HD-10D』の初代モデル。その一番初期に登場したのが、このモデルです。 マックスのホームページを見ても『HD-10D』の登場は1968年と紹介されているのですが、登場した当初このモデルの名称は『マックス ホッチキス 10D』愛称として「10デー」(ディーと呼ばないところが昭和的ですが)と称されていました。ホッチキス本体の底にある刻印は「MAX・10D」と刻まれています。 ちなみに商品名称が現在の『HD-10D』となるのは、この後に登場する初期モデルの中期型からとなります。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H51×W21×D104(㎜) 質 量 / 89g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №10 綴じた紙の裏側に出た針は、山形のメガネ橋のような出っ張りがある「メガネクリンチ」または「ノーマルクリンチ」と呼ばれるスタンダードな形状のものとなります。 針を装てんする際は、上部を開いてマガジン内にある「プッシャ」と呼ばれる白い部品を指で引いて装てんさせます。 装てんされた針は本体の片側面にある窓から残量を見ることができます。 本体の後部には綴じた針を外すことができる「リムーバ―」が備わっています。 以前紹介した『HD-10D』(初代-後期型)と、この初期型との違いは、先に記した本体下部の「MAX・10D」の刻印の他に、ハンドルカバーの上部に刻まれた社名部分です。 ハンドル上部に、やや深めに刻まれた社名に鮮やかな白のインクを差したもの。白いインクが本体に映えているので、社名の「MAX」の文字が大きく立派に見えます。 また、同年代に売られていたホッチキスの商品のパッケージは紙箱のものが多くみられる中で、この製品は透明なプラスチック製ケースに入れられていたことに驚きました。 これまでにない耐久性・高品質そしてデザインをパッケージでも表していたのかもしれません。他とは違う目立つパッケージで他のホッチキスとは全く違うことを全面的に押し出して売り出す。それが後にまで続く人気商品となった要因の一つなのかもしれませんね。 この初代モデル初期型は昭和43年(1968年)から昭和49年(1974年)ごろまで作られていたと思われます。 以前メーカーさんに問い合わせた際、この後に小変更を加えられた「中期型」に変わるのは昭和51年(1976年)とのお話だったのですが、その後オークションで入手した1974年製のものに中期型のものを確認しました。 もっとも、この製品のみでの断定は早計と思われるかもしれません。しかし新商品の登場の時期によっては、初期ロットとして製造されたものが前年の末になることもあります。また、カタログに掲載されるものも登場の時期によっては1年ほど遅くなるケースもあります。 そう考えたとき、実際に小変更を加えられたモデルが登場したのが昭50年であれば、それに間に合うように製造ラインに入ったのが前年。カタログ掲載されたのが昭和51年になってしまった。であるならば、実際の製品と、メーカーに確認していただいたカタログ掲載との時期のずれも分からなくもないのではないでしょうか。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-10D マックス株式会社栗下 智
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HD-10D (初代 - 後期型)
マックス株式会社製の小型スタンダードホッチキス『HD-10D』 これまでのホッチキスの5倍の耐久力がある10号ホッチキスとして 1968年に登場。 1969年にグッドデザイン賞を受賞。 以来モデルチェンジを経ながら50年以上に渡り同社のスタンダードホッチキスとして歴史を積み重ねてきたホッチキスがこの『HD-10D』。 これはその初代モデルとなります。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H51×W21×D104(㎜) 質 量 / 89g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №10 綴じた紙の裏側に出た針は、山形のメガネ橋のような出っ張りがある「メガネクリンチ」または「ノーマルクリンチ」と呼ばれるスタンダードな形状のものとなります。 針を装てんする際は、上部を開いてマガジン内にある「プッシャ」と呼ばれる白い部品を指で引いて装てんさせます。 装てんされた針は本体の片側面にある窓から残量を見ることができます。 本体の後部には綴じた針を外すことができる「リムーバ―」が備わっています。 現在のホッチキスに基本的に備わっているものが揃っているTHEホッチキスとも呼べる小型ホッチキスのベーシックを築いたモデルといって過言ではないでしょう。 ちなみにこの初代モデル(メーカーさんでは「第1弾」と呼ばれています)には、作られた時期によって3種類のモデルがあります。 私は便宜的に初期・中期・後期と呼ばせていただいていますが、今回紹介したものは昭和55年(1980年)から平成3年(1991年)ごろまで作られていた初代・後期モデルとなります。 後期モデルでは、本体上部の「ハンドルカバー」と呼ばれる部分に社名の「MAX」の刻印が施されています。 このマークが針を打ち込む際の滑り止めの役割も果たしており、本体随所に見られる非常に合理的かつシンプルデザインがとても好印象です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-10D マックス株式会社栗下 智
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★ Vaimo11 FLAT
出張移動中のマックス社員が遭遇したことがきっかけでした。 新幹線の中でスーツ姿の女性が卓上ホッチキスを使い、肩で息をしながら何冊も冊子を作成する場面。 これまでの標準的な小型ホッチキスが綴じられる枚数は20枚まで。それ以上の枚数を綴じるときには大きなホッチキスが必要となります。30枚程度までであれば手でも握れるタイプのホッチキスもあるのですが、それ以上ということになれば大きな卓上ホッチキスしかありませんでした。 コンパクトでありながら、今まで以上に厚い書類を綴じられるホッチキスを実現するために、既存の針と既存のホッチキスの改良……ではなく、ホッチキス本体のみならず針から作り変えることで、40枚までの書類を片手で綴じられるホッチキスが誕生しました。それがマックスの『Vaimo11 FLAT(バイモ イレブン フラット)』です。 外 寸 / H68×W30×D107(㎜) 質 量 / 165g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 今までのホッチキスでは20枚まで。それ以上では、3号針を使うホッチキスを使って30枚まで。さらにそれ以上では、3号Uという針を使えるホッチキスを使います。 因みに、3号Uに対応しているホッチキスでは、3号針も使うことができますが、25枚未満の書類を綴じるときは3号U針ではなく3号針を使う必要があります。綴じる枚数に応じて3号針と3号U針を使い分ける必要があります。 ■ 全てを1から作り直したホッチキス 2枚でも40枚でも。コピー用紙40枚までの厚みであれば、枚数を気にせず使えるように新たに作られた11号針という新規格の針。ハンディタイプのホッチキスで40枚まで綴じられるように『Vaimo11 FLAT』は、本体のみならず針から作り変えました。 11号針は、今まで使っていた10号針と針の太さは変わらないものの、幅は2㎜広く、針足の長さは1㎜長くなりました。 10号針より一回り大きくなった11号針を収めるために大きくなったホッチキスマガジン。そして、この針を紙の厚みに負けないように確実に打ち出すためにマガジン周りにも工夫が凝らされています。 ・針を確実に送り出すプッシャ 針を送り出すプッシャには金属のプレートで補強 針の残量にかかわらず正確に押し出すための2重のばねを備えたプッシャ 強く押し出すプッシャに負けないように針をそろえるガイドレール ・正確に針を押し出す 40枚の紙に打ち負けない倍力機構 針をしっかり押し出すために、針の両肩をしっかり保持するオニバドライバ 最後まで紙にしっかり打ち込む針を垂直に保持するステープルホルダ ・正確に折り曲げる2段クリンチャ機構 打ち込まれる針は書類の厚みによって変わります。 2枚の書類はほぼ真上から、40枚の書類では斜め方向から針が打ち込まれます。そんな違う角度から打ち込まれた針を正確に折り曲げるため、針を受け止めるクリンチャの溝は2段階の受け面で確実に折り曲げます 3号針のように太い針の方が紙の抵抗に負けずに打ち込めるように思えますが、10号針と同じ太さを採用した11号針は、打ち込む際に紙から受ける抵抗を軽減させる効果もあります。 2枚も40枚でも迷うことなく、軽い力で倍も(バイモ)綴じられる。 2008年、全てを1から作り直した『Vaimo11 FLAT』はVaimo11シリーズの第1弾として誕生いたしました。 一般的な10号ホッチキスと比べるとやや大きくなり、そのぶん重さもあるホッチキスですが40枚もの厚さの書類を場所を選ばずに片手でも綴じることができるのは、大きなメリットです。 加えて、コピー用紙40枚までの厚みであれば2枚でも40枚でも針を変える手間が必要ありません。 机の引き出しに入れて置けば、どこでも、厚さのある書類でも手軽に綴じることができます。作業性がとても高く非常にありがたい1台です。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11フラット マックス株式会社栗下 智
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★ パワーラッチキス(SL-MF55-02)
今ではよく見かけるようになってきた「フラットクリンチ」タイプのホッチキスですが、10号針と呼ばれる普段一番よく使われる針を用いて最大何枚の紙を綴じられることができるかご存知でしょうか? 日本で一般的なホッチキス針である10号針を用いて、一般的なコピー用紙(64g/㎡)を綴じようとするとき、最大で綴じられることができる枚数は32枚です。 一昔前は10号針のホッチキスといえば最大20枚の用紙を綴じられるもの。でしたが、フラットクリンチができるようになってから10号針を用いたホッチキスが綴じられる枚数の限度が徐々に増えてきました。現在の10号針ホッチキスの最大とじ枚数である32枚綴じを初めて実現したのが、今回紹介のコクヨのフラットクリンチホッチキス『パワーラッチキス(SL-MF55-02)』です。 外 寸 / H64×W29×D80(㎜) 質 量 / 93g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 25㎜(最大) 使 用 針 / №10 通常のコピー用紙程度であれば最大32枚まで綴じることができます。 本体を上から眺めると、直線的なデザインが多く幅広で大きく見えるホッチキスですが、同種とのホッチキスと比べると、実は大きさにはそれほど違いはありません。 直線的なデザインは、作業中に立てて置くことができ、作業を邪魔せずコンパクトに置いておくことができる特徴もあります。 ■ ともかく「軽い」 業界で初めて32枚綴じを実現した『パワーラッチキス』ですが、初めは28枚綴じとして登場し、改良を短期間で加えた後、業界初の32枚綴じとして再登場しました。 2013年2月 最大28枚綴じ パワーラッチキス(フラットタイプ)が発売。 2013年11月 最大32枚綴じ パワーラッチキス(SL-MF55-02)が発売。 『パワーラッチキス』は業界初の最大32枚綴じホッチキスであるということ以外にも、とても「軽い」ホッチキスであるという特徴があります。 『パワーラッチキス』でも採用されている「フラットクリンチ機構」と、32枚もの用紙を綴じるために採用されている「軽とじ機構」は、それぞれの機構を実現するために部品点数が多くなり、総じて質量が重くなってしまいます。同様の機構を持つ他社のモデルは100g以上となってしまいましたが、『パワーラッチキス』は100gを下回り、針を装てんしていない本体のみの重量は90gしかありません。加えて重心バランスも低くなっており、持ちくらべてみると実際の数字以上に軽く感じられることでしょう。 また、紙を綴じた際の感覚も非常に軽やかです。今までのフラットクリンチホッチキスが「うるさい」とか、「固い・重い」とか感じられている方がいらしたら、ぜひ一度このパワーラッチキスで綴じ比べてみていただきたい。 とても「静か」に「すっ」と針が入っていく様に驚かれることかと思います。 持っても「軽い」綴じても「軽い」 今までの「重い」ホッチキスは何だったのだろうかと思うことでしょう。 ……と、書き並べてみましたが、人の感覚は難しいもので、これまでホッチキスに深く慣れ親しんでおられた方からは「軽く」針が入る様は一概に喜びにはならないよう。「静かすぎて綴じた感覚に乏しい」という使い慣れた人には物足りない感覚というものも生み出してしまうことも。 さらに加えて申せば、このホッチキス「軽さ」との代償に「強い衝撃には弱い」という弱点もあります。 作業中に度々机の上からホッチキスを落とす小生にとっては、強い衝撃を与えることはよくあること。このホッチキスを4、5度落としてしまったときでしょうか、書類を突き抜けた左右の針が均等に入っていないという状況に気付きました。 他社のホッチキスでは上部のカバーの内側に金属製のハンドルという大き目な部品が入っているのですが、このパワーラッチキスにはそれがありません。 厚目のプラスチック製ハンドルカバーと、金属製の大きい稼働アームとそれをつなぐ補強材がハンドルの役目を果たしています。 この稼働アーム、補強材が入っているため縦方向の力には強いものの、横方向の力には脆弱な構造となっています。 落下という強い衝撃が与えられた際、ハンドルが開き、横方向の力がより加わりやすくなってしまったのでしょう。 1度目の落下では気付かぬほどの歪みだったものが、2度3度の衝撃が加わり、歪みに気づかぬまま使い続けることでフレーム自体が捻じれてしまった。フレームが捻じれたのものを使った結果、針を押し出す力に偏りが生じ、綴じたときの足の状態に変化が生じてしまったものと思われます。 他のホッチキスと比べて強い衝撃に弱いのは、他のホッチキスとは異なる構造に一因があるのではないかと思います。しかし、これによって得られた「軽さ」という武器。他にはない「軽さ」と「堅牢性」を天秤にかけるとき、より重視するべきはどちらか。これは使い手であるユーザーさんに委ねたいと思います。 ・今まで使っているフラットクリンチの「音」と「固い打ち心地」、そして「本体の重さ」にご不満のある方 ・30枚以上の用紙を綴じたい方 そんな方にオススメの一台です。 ちなみにツートンカラーモデルも追加されておりますので、可愛らしいカラーに興味のある方は是非ツートンカラーモデルもお探ししてみてください。 ただし、強い衝撃には要注意。机の上から落とさないようにくれぐれもご注意を。 (1度机の上から落とした程度で直ぐに壊れることは無いと思いますが) #コクヨ #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス パワーラッチキス コクヨ栗下 智
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アイレット針
アイレットとじの際に用いるループ針。 アイレットとじは中とじ製本の一種。 2つ折りの紙を重ねて、中央の折り目に沿って針金を通して綴じたものが中とじ製本。その製本の際に用いる針金が、リングファイルに通せるように輪っか状になっているのがアイレットとじです。 このループ針は、『RINGKING 1』に用いられる26ゲージタイプの針です。26ゲージというのは針金の太さのことを表します。 この26ゲージのループ針には2種類あり、 通常のコピー用紙程度の厚みのものを2~30枚綴じる際には 針の足の長さが6㎜の「26/6」という針を使います。 通常のコピー用紙程度の厚みのものを30~50枚綴じる際には 針の足の長さが8㎜の「26/8」という針を使います。 用紙の厚さに応じて2種類の針を使い分けます。 ……とはいえ、中とじの本の場合30枚の紙を綴じるということは、それは120ページの本になります。中とじの本の内側と外側のページではページの幅が変わりますし、小口をきれいに揃えるために断裁するのはなかなか至難の業。ましてや50枚の用紙を中とじしての断裁となれば素人にはかなり厳しいでしょう。 そんなこともあってか、以前は日本代理店であるウキマさんで扱われていた26/8針は現在取り扱いが無くなってしまったようです。 26/6針で十分といわれてしまえばそれまでですけれど(苦笑) #ホッチキス針 #文房具 ループ針26/6 通信販売 日本代理店ウキマさんへのリンク https://42195.thebase.in/items/11903676
ホッチキス針 regur 2016年10月栗下 智
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★ アイレットとじができるホッチキス RINGKING 1
「アイレット」ってご存知ですか?? アイレットとは「小さな穴」という意味で、鳩の目に似ていることから鳩目(ハトメ)とも呼ばれています。 布や皮革、紙などに開けた穴が破れないように金属や糸、またはシールなどで補強する目的を持つもののこと。広く知られているところのものとしては、靴ひもを通す穴のことでしょうか。 ではさて、ホッチキスでのアイレットとは……。 中とじと呼ばれる製本方法の一種に「アイレットとじ」と呼ばれる ものがあります。 ■ 中とじとは? 2たつ折にした紙を重ね、それを折り目の中央部分に沿って針金で止めたもの。週刊誌などの雑誌やパンフレットなどで用いられることの多い製本方式です。 通常の中とじでは、一般的な針と同様のコの字形の針を用いますが、アイレットとじではΩ状の形となるループ型の専用針を使います。 アイレットとじされた冊子は、リングファイルに保管するのに適しており、ファイルに保管した冊子はそのまま綴じたまま読むことができるのが最大の利点です。 日本ではまだまだ馴染みの薄いアイレットとじですが、ヨーロッパ、特にドイツでは馴染みの深い製本方法です。 アイレットとじ卓上式ホッチキス『RINGKING 1(リングキング ワン)』 外 寸 / H180×W57×D240(㎜) 針装てん数 / 150本 使 用 針 / 26ゲージ針 (26/6、26/8) 綴じる紙の枚数によって針の足の長さが異なる針を使い分けます。 通常のコピー用紙程度厚さで2~30枚まで綴じる場合→26/6針 通常のコピー用紙程度厚さで30~50枚まで綴じる場合→26/8針 ■ アイレットとじ アイレットとじは、ループとじ、めがねとじなどと呼ばれることもあります。私が初めてアイレットとじを知ったのは、今からおよそ10年前のこと。mixiのとあるコミュニティにて「ワッカになるホッチキス(ループステッチ)をご存知のかたいらっしゃいますか?」という書き込みでした。それ以降、ことあるごとに“ループステッチ”というホッチキスのことを探していたのですが、ある時Twitterで見つけたのが『RINGKING 1』でした。 Twitterの書き込みをされたのは、『RINGKING 1』の日本販売代理店である『ウキマ』さんでした。そのウキマさんから、商品を見に来ませんかとお誘いを受けて見に行ったのが2016年10月。mixiの書き込みを見つけてから6年越しのことでした。 『RINGKING 1』は、中とじ製本をし易いように高めに設けた台座に三角形のクリンチ台。装てんできる針は、アイレットとじ用のループ針の他に、通常のコの字型の針も使えます。また、それどれの針には2~30枚までの用紙を綴じられる足の長さが6㎜のものと、30~50枚の用紙まで綴じられる足の長さ8㎜のものの合計4種類の針を使うことができます。 ドイツの業者さんから仕入れられているという『RINGKING 1』は、パッケージを見るとスペインで作られているようです。 本体の形状、パッケージに付属されている針からも、スペインのメーカー 『El Casco』(エルカスコ)の工場で作られているものと思われます。エルカスコの製品の中には、針を装てんするマガジンの形状が 『RINGKING 1』と同様のタイプのものがあります。しかし、ループ針を打つことができるものは、ループ針用のドライバを持つものに限られるようです。 ホッチキス本体の価格がお高いのが難有りですが、アイレットとじした冊子などを自由に、いつでも手作りすることができるという点が他のホッチキスにはない魅力です。 アイレットとじホッチキスに興味がある方へ ウキマさんの通信販売窓口はこちらです https://42195.thebase.in/ RINGKING 1 のページ https://42195.thebase.in/items/11903610 ちなみに……ウキマさん伺った話では、アイレットとじができるホッチキスは『RINGKING 1』以外にもイギリスで扱われている自動とじタイプのオートステープラーがあるそうなのです。ただし、こちらのタイプはかなりお高いようですが。 #中とじホッチキス #文房具
ノーマルクリンチ ホッチキス リングキング 1 ウキマ (日本代理店)栗下 智