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HD-3
3号針を用いるホッチキス『HD-3』 レトロなデザインのホッチキスですが、つい先ごろの2020年まで製造・販売されてきたものです。 レトロなデザインの文房具として人気のあるHD-3ですが、このデザインはマックスがホッチキスを作り始めた昭和21年以来からもの。製造開始以来小改良を加えながら製造を続けてこられたとのことですが、基本的なデザインは変えられずに74年間作り続けてこられました。 外 寸 / H102×W60×D212(㎜) 質 量 / 460g 針装てん数 / 50本 とじ 奥行 / 36㎜(最大) 使 用 針 / №3 通常のコピー用紙程度であれば最大30枚まで綴じることが可能。 3号針は昭和1~2年ごろドイツから輸入され、昭和3年には3号針を用いるホッチキスが日本でも作られるようになりました。その頃、3号針を使うホッチキスのことは「スマート」と呼ばれていました。 昭和21年、当時は「山田興業(株)」という名称だったマックスが作り始めたホッチキスが『ヤマコースマート』と呼ばれていた3号ホッチキスでした。 山田興業が作っている3号(スマート)ホッチキスだから『ヤマコースマート』。これが後のHD-3と呼ばれるホッチキスのはじまりです。以来2020年に製造が終了するまで大きく変わることも無く、レトロながら実用的なモデルとして長く愛され続けてきました。 近頃では小型ホッチキスでも32~40枚もの用紙を綴じることができる高性能なホッチキスが登場し、加えて綴じる際に強い力が必要となる3号針という太い針を使うホッチキスを選ぶという選択肢は、興味がない限りはないかもしれません。さらには3号ホッチキスでも60~80枚まで綴じられるモデルもあります。実用用を重視するのであれば、高性能な新しいモデルの方が良いでしょう。 しかしながら実用一辺倒ではなく、長く愛され続けてきたレトロなデザインがお気に召されたのであれば、オススメの1台です。 製造終了から1年余りが経過し、文具店の店先に並んでいるものは少なくなってしまっているでしょう。しかし、長年作り続けられてきたモデルだけあって、オークションでも頻繁に見かけることができます。レトロ調でありながらも入手のしやすさからもお手軽なモデルといえます。 #ホッチキス #マックス #文房具
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3 マックス株式会社栗下 智
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★ サクリフラット (HD-10FL3K)
マックス株式会社の10号ホッチキスでは 最大のとじ枚数を誇るのが現行型の『サクリフラット』です。 現在発売されている最新の『サクリフラット』は 2016年8月に登場した3代目モデル。最大とじ枚数は32枚。 『サクリフラット』という名が示す通り、綴じ裏の針が出っ張らずに平ら(フラット)になるフラットクリンチタイプのホッチキスです。 外 寸 / H66×W28×D83(㎜) 質 量 / 106g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 29㎜(最大) 使 用 針 / №10 通常のコピー用紙程度であれば最大32枚まで綴じることが可能。 『サクリフラット』は、綴じることを極めるべく、「綴じる」ということに着目して研究開発された「サクリシリーズ」のフラットクリンチバージョンとして2008年に登場した20枚綴じモデルが初代モデルとなります。 その後、最大とじ枚数を28枚にまで増やした改良モデル(2代目モデル)が2013年に登場しました。 ◆ フラットクリンチホッチキスのあゆみ ホッチキスで綴じた針の裏側に飛び出た針足が、丸く山形にならずに針が紙と平行に平らに折れ曲がる。それがフラットクリンチです。 フラットクリンチタイプのホッチキスが登場したのは1987年のこと。世界で初めてフラットクリンチホッチキスを作ったのがマックス株式会社でした。 この時のホッチキスの最大とじ枚数は15枚でしたが、やがて多くの10号針ホッチキスと同じように20枚まで綴じられるフラットホッチキスが登場してゆきます。 2002年に最大26枚もの用紙を綴じることができる『パワーフラット』が登場したことによって、10号針を使うフラットクリンチホッチキスの最大とじ枚数競争が始まりました。 「10号ホッチキスの最大とじ枚数は20枚」という概念が取り去らわれ、28枚とじ、30枚とじと最大とじ枚数の多いフラットクリンチホッチキスが各社から登場して行きました。 そして、現在10号タイプのフラットクリンチホッチキスでは最大とじ枚数32枚モデルまで進化しています。 ◆小さなところまで手を加えて進化を深めたモデル 他社から登場した30枚・32枚綴じモデルに対して、マックスから提示したのは、新規11号針を用いた最大40枚綴じモデルのホッチキス『バイモシリーズ』でした。しかし、バイモシリーズによって40枚まで綴じられるというアドバンテージを得ることができた半面、このホッチキスを使うにあたり、本体はもちろんのことながら、11号針という新たな針まで準備をしなければならないというネックも生じることになりました。 既存の針をそのまま用いながら、32枚まで綴じられることができる。というのはユーザーからしてみればやはりありがたいことです。そんな市場の声を聞いて登場したのが3代目となる『サクリフラット』です。 「サクリシリーズ」には、この『サクリフラット』の歴代モデルの他に、シリーズの元祖ともいえるノーマルクリンチモデルの『サクリ』があります。 これらのモデルに共通するの機能が「軽とじ機構」と「予備針ストック」というストックの針を収納して置けるスペースをハンドル部分に設けていることです。 「予備針ストック」はハンドル部分に設けられたカバーを開け、内部に合計100本分の針をストックして置けるものです。マガジン内部に装てんできる100本を含めると最大で200本の針を収めることができます。 作業中に針切れを起こして、予備針を探すものの、針が入った箱が引き出しの奥深くに埋まってしまってなかなか出てこなくてイライラを募らせてしまった。という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。 この「サクリシリーズ」であれば、事前にキチンと予備針ストックに予備針をセットしておくことで、いざ作業中に針切れを起こしても、すぐに予備針を取り出して再装てんすることができるのです。 最近登場するホッチキスには搭載されることが多くなってきた「軽とじ機構」。 20枚綴じるよりも32枚綴じるときの方が強い力が必要となります。しかし、力任せに綴じるだけでは針が折曲がれ失敗してしまいます。確実に32枚を綴じるための機構が必要です。綴じるのに必要な「てこ」を2つにし、綴じる力を半分にする。これが「軽とじ機構」と呼ばれる倍力機構です。新しいサクリフラットでも引き続き搭載されています。 他社の同タイプ・綴じ枚数が強化されたものの多くは、カラーリングの手直しはされているものの、デザインはほとんど変化していません。これに対してサクリフラットは本体デザインはもとより、クリンチ台などの細部でも設計を見直し改良が施されたところは、さすがはトップメーカーの成せるところではないでしょうか。 本体の大きさは旧型モデルとほぼ変わりませんが、高さは少し大きくなりました。従来よりもスッキリとしたデザインでシンプルながらスタイリッシュなものになりました。 11号針のバイモシリーズで培われた技術も反映されており、2枚など少ない枚数を綴じる際と、32枚など厚い枚数を綴じるときではホッチキスの針が進入して行く角度が変わります。この針を受け止め、折り曲げるにも最適になるように2種類の角度を設けた針受け台2段クリンチャ機構によって、2枚でも32枚でも針をキチンと折り曲げて綴じられるようにしています。 ●実用性も十分に進化したサクリフラット 新型『サクリフラット』にて半年でおよそ5000本の針を使用してみました。 使用中に何度かテーブルから落としてしまったこともありましたが、本体に致命的なダメージを受けることも使用し続けるにあたって違和感を覚えることもありませんでした。一見弱そうに見える予備針ストックのカバーも外れることもありませんでした。本体の堅牢性の高さを示すもののひとつといえるでしょう。 ただし、本体後部にあるリムーバ部分に関しては、強い衝撃によって折れ曲がってしまうことがありました。 リムーバ部分に関しては、おまけ的な付随機能で頻繁に使う機能ではないものの無ければ非常に不便です。とはいえ、他のホッチキスでもリムーバ部分は強い衝撃で折れ曲がることは珍しくはありません。落下によるリムーバの折曲がりはサクリフラットだけの特有の弱点というわけではありませんが、使用している中で気になった点のひとつではあります。 「軽とじ機構」を搭載しているお陰で、厚い書類も軽く綴じられますが、サクリフラットはただ軽いだけはなく、綴じたときに感じられる質感があります。これが他社のホッチキスに比べるとやや重く、音が大きく感じられます。マックスの歴代のフラットクリンチホッチキスを続けてきた人にはさして違和感はないのではないかと思うのですが、他社のフラットクリンチホッチキスを使っている人にとっては強く違和感を覚えるかもしれません。これの点は好みが大きく分かれるところといえるでしょう。 「サクリ」シリーズは、マガジンと予備針ストックスペースに予め針を装てんされた状態で梱包・販売されています。パッケージを開ければ直ぐ使えるというのは地味ながら有り難い点です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
フラットクリンチ ホッチキス サクリフラット マックス株式会社栗下 智
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HD-3D (後期型)
ホッチキスの3号針 といって、すぐお分かりになられる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。 すぐお分かりになられる方は、3号針を実際に使ったことがある方でしょう。しかし、最近は高性能なホッチキスが登場しているので、3号針を使うような大きなホッチキスを所有することも、実際に使うことも少なくなってしまったかもしれません。 普段使っている10号針より2㎜ほど幅広く、針の太さは0.2㎜太い0.7㎜。 10号針よりちょっぴり大きく太い針。数字上では大した差ではないように見えますが、実物ではやたらと太く丈夫に見える3号針を使用する『HD-3D』という卓上ホッチキスのご紹介です。 新聞紙程度厚みの用紙を最大80枚(№3-10㎜針使用時)まで綴じることができます。 外 寸 / H53×W71×D261(㎜) 質 量 / 725g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №3 または №3-10㎜ 職員室の片隅にあった印刷室で、輪転機、断裁機そして大き目の卓上ホッチキスとしておかれていたのが『HD-3D』。私と同年代くらいの方であれば、学校行事で出かける旅行や工場見学の際に作った「しおり」を綴じる際に、この『HD-3D』を使っていたのではないでしょうか。 ホッチキスを操作するのは先生の役目だったので、当時は実際に動かすことはできなかったのですが、ホッチキスの置き場所を知っていた私は、取りに行ったり返却する役目を任されていました。ホッチキスを運ぶたび、自分では綴じ作業をすることが叶わないこのホッチキスを自分で所有するんだと誓ったものです(笑)。 1971年に登場した『HD-3D』は、2002年ごろまで製造されました。 その後は後継機となる『HD-3DE』が2019年ごろまで作り続けられ、現在は、『HD-3DEL』とモデルにバトンが受け継がれています。 1965年10月1日に制定された日本工業規格(JIS規格)で定められた JIS S 6035 ステープラ JIS S 6036 ステープラ用つづり針 これらの規格に基づいて作られた3号針および3号U針を使用して使えるホッチキスとして作られたホッチキスが『HD-3D』です。 ここでは、規格の詳細などは省かせていただきますが、 『HD-3D』は3号Uの規格に沿って作られており 足の長さが6㎜の 「№3」針 を用いて 2~30枚 までの綴じ能力 足の長さが10㎜の 「№3-10㎜」針 を用いて 30~80枚 までの綴じ能力 があります。 ちなみに、この「3号U」という規格の「U」とは、Universalの略で、足の短い針(3号)および足の長い針(3号U)を兼用して綴ることができることを表しています。 『HD-3D』には、3号Uの規格に沿って作られたことを示すように、本体側面部分に商品名とともに3号Uの文字も刻まれています。 また、マックスさんで取り扱われている『№3-10㎜』の針ですが、JIS規格の3号Uの規格に沿って開発・認定をとられている商品です。商品名に関しては企業側で自由に付けられるそうで、マックスさんでは、針の長さが長いことをより分かりやすく示すように3号U規格の針の商品名を『№3-10㎜』とされているそうです。 針装てんの際には、本体後部にあるスライダのツマミ引っ張ります。ツマミを引っ張ることでプッシャを引き出すと、最大2連(100本)の針を装てんすることができます。 ここで、ネックとなるのが針の使い分けでしょうか。6mm足の針と10㎜足の針を綴じるものの枚数によって使い分けなければなりません。 使い分ける目安は30枚ですが、これはかっちり30枚で使い分けなければならないというわけでもありません。用紙の厚みなどにより25枚~30枚の範囲内で使い分けると良いでしょう。例えば、少し厚めのコピー用紙27枚を綴じるのであれば10㎜針を使っても問題ありません。ただ、紙の裏側にあまり針を見せたくないというのであれば、6㎜針を使う選択肢もあります。 ただ、注意していただきたいのは、コピー用紙程度の厚さの用紙を20枚以下の状態で綴じようとするとき、決して10㎜針を使わないでください。 用紙の裏側で折り返された針が再び用紙を貫通し、金属の芽が生えたかのように用紙の表側に針が貫通してしまうからです。こうなってしまうと、けがの要因となってしまうばかりか、再び貫通した針がホッチキスの本体に損傷を与えてしまう可能性も出てくるからです。 3号針のホッチキスは、本体が通常のホッチキスよりも大きく、また、価格も高く、使い分ける針の種類もあることから、多くの人から見ると中々扱いづらいホッチキスなのかもしれません。加えて、先にも述べたように高性能のホッチキスが登場している昨今では、ますます3号針を使うホッチキスも存在感が薄くなってしまってきているかもしれません。 1999年に購入したこの『HD-3D』ですが、昨年ネットオークションで購入した古い『HD-3D』と比べてみたところ、ハンドルの形状や台座のデザインなどが異なっていました。『HD-3D』の改良のあゆみがどのようなものか確認は取れていませんが、製造されていたおよそ31年の間に、少なくとも1度は改良が加えられていることがわかりました。古いモデルの方もいずれ紹介させていただきますので、HD-3Dに関してご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントを下さい。もちろん、これで旅行のしおりを作ったなどの想い出なども大歓迎です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3D マックス株式会社栗下 智
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MAX・10JA
マックス株式会社初の100本の針を装てんすることができる小型ホッチキス『MAX・10JA』です。 懐かしいデザインの小型ホッチキス『MAX・10』に似たホッチキスですが、『Max・10』は50本のホッチキスの針が装てんできるのに対して、『MAX・10JA』は最大100本の針を装てんすることができ、作業中の再装てんの手間を格段に減らし、作業効率をUPさせたモデルです。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H46×W20×D102(㎜) 質 量 / 84g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 62㎜(最大) 使 用 針 / №10 昭和36年(1961年) 「作業用A型ホッチキス」の名称にて登場 昭和42年(1967年) 「マックスホッチキス 10JA」の商品名でカタログ掲載 カラーリングは橙・青・緑の3色 見た目は『MAX・10』と変わりないように見えますが、プラスチック製の「ハンドルヘッド」(写真では緑色のもの)は大型のものを装着して操作性を向上させています。 今は大概のホッチキスに装着されているリムーバーですが、このモデルには装着されていません。普段ホッチキスを使っているときにはその存在をあまり意識していませんが、いざ着いていないモデルを使うと、標準で備わっているリムーバーの存在がありがたく思えてきます。 この頃の針曲げ台(クリンチャ)は台座と別々に成形されていたようです。 お陰で、下側の台座はシンプルな造形となっていますが、案外自然と手にフィットし、個人的には結構お気に入りのデザインです。 マガジンの内部は、のちに登場する『HD-10D』に共通するものがありますが、マガジンの上部にある「マガジンカバー」の形は異なっています。 経年変化を経たものを見ると、マガジンカバーを支えるバネの部分にやや難があるのか、針を連続して打ち出せなくなってしまっておりました。 この原因は、針を打ち出した後のドライバーが元の上方の位置に戻ろうとする際、後続の針をそのまま引き吊り上げてきてしまう(本来であれば、この引き吊り上げる力をマガジンカバーが押さえ込み、針は定位置にあるのです)ためでした。結果、針を正常に送り出せずに後続の針を打ち出せないという状態でした。のちに登場した『HD-10D』で耐久性が大きく向上した要因には、マガジンカバーの形状の変更にあるのだと思われます。 操作性の向上を果たしつつも、その後に続く高い耐久性と高い信頼性を勝ち取るまでの進化を伺い知ることができるモデルです。 ちなみに、この『MAX・10JA』は昭和46年(1971年)ごろまで作り続けられ、その後、2代目モデルにバトンが引き継がれています。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス マックス株式会社栗下 智
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HD-10D (初代 - 初期型)
これまでのホッチキスの5倍の耐久力がある10号ホッチキスとして 1968年に登場、翌年1969年にグッドデザイン賞を受賞した マックス株式会社製の小型スタンダードホッチキス『HD-10D』 50年以上に渡り同社のスタンダードホッチキスとして歴史を積み重ねてきたホッチキス『HD-10D』の初代モデル。その一番初期に登場したのが、このモデルです。 マックスのホームページを見ても『HD-10D』の登場は1968年と紹介されているのですが、登場した当初このモデルの名称は『マックス ホッチキス 10D』愛称として「10デー」(ディーと呼ばないところが昭和的ですが)と称されていました。ホッチキス本体の底にある刻印は「MAX・10D」と刻まれています。 ちなみに商品名称が現在の『HD-10D』となるのは、この後に登場する初期モデルの中期型からとなります。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H51×W21×D104(㎜) 質 量 / 89g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №10 綴じた紙の裏側に出た針は、山形のメガネ橋のような出っ張りがある「メガネクリンチ」または「ノーマルクリンチ」と呼ばれるスタンダードな形状のものとなります。 針を装てんする際は、上部を開いてマガジン内にある「プッシャ」と呼ばれる白い部品を指で引いて装てんさせます。 装てんされた針は本体の片側面にある窓から残量を見ることができます。 本体の後部には綴じた針を外すことができる「リムーバ―」が備わっています。 以前紹介した『HD-10D』(初代-後期型)と、この初期型との違いは、先に記した本体下部の「MAX・10D」の刻印の他に、ハンドルカバーの上部に刻まれた社名部分です。 ハンドル上部に、やや深めに刻まれた社名に鮮やかな白のインクを差したもの。白いインクが本体に映えているので、社名の「MAX」の文字が大きく立派に見えます。 また、同年代に売られていたホッチキスの商品のパッケージは紙箱のものが多くみられる中で、この製品は透明なプラスチック製ケースに入れられていたことに驚きました。 これまでにない耐久性・高品質そしてデザインをパッケージでも表していたのかもしれません。他とは違う目立つパッケージで他のホッチキスとは全く違うことを全面的に押し出して売り出す。それが後にまで続く人気商品となった要因の一つなのかもしれませんね。 この初代モデル初期型は昭和43年(1968年)から昭和49年(1974年)ごろまで作られていたと思われます。 以前メーカーさんに問い合わせた際、この後に小変更を加えられた「中期型」に変わるのは昭和51年(1976年)とのお話だったのですが、その後オークションで入手した1974年製のものに中期型のものを確認しました。 もっとも、この製品のみでの断定は早計と思われるかもしれません。しかし新商品の登場の時期によっては、初期ロットとして製造されたものが前年の末になることもあります。また、カタログに掲載されるものも登場の時期によっては1年ほど遅くなるケースもあります。 そう考えたとき、実際に小変更を加えられたモデルが登場したのが昭50年であれば、それに間に合うように製造ラインに入ったのが前年。カタログ掲載されたのが昭和51年になってしまった。であるならば、実際の製品と、メーカーに確認していただいたカタログ掲載との時期のずれも分からなくもないのではないでしょうか。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-10D マックス株式会社栗下 智
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Vaimo11 STYLE (初期モデル)
30枚以上の紙の束を、片手でも楽に綴じられるようにと作られたホッチキス『Vaimo11 FLAT』が誕生したのは2008年のことでした。 これまでの30枚以上綴じられるホッチキスの多くは卓上型のもので、本体の重さは1Kg弱とそこそこの重量があるもの。大きさもそれなりにあるので、机の引き出しに気軽に入れて置ける大きさではありません。 オフィスや学校の事務室の片隅に置かれた大き目のホッチキス。とじ作業を行うにも広めのスペースを確保するために場所を確保せねばなりません。その上、30枚の紙の束を綴じるのは容易なものではありません。1度や2度の綴じ作業であればいざ知れず、会議資料などで何部も資料を綴じなければならないとなればなかなかの重労働です。準備にも手間がかかりますから、気軽に綴じるというわけにはいかなかったことでしょう。 しかし、引き出しの中にしまっておけるほどの大きさとなった『Vaimo11 FLAT』の誕生によって、いつものデスクで片手で綴じ作業ができるようになりました。これまで手軽に小冊子を綴じる作業できなかったものが、より手軽に作業できるようになったのです。 とはいえ、2枚~40枚でも綴じられるという『Vaimo11 FLAT』にも問題点が全くなかったわけではありませんでした。 それは実用重視のデザイン。そして何よりも一般的な小型ホッチキスの1.5倍近い165gという重量でした。 通常のホッチキスよりも大きくなってしまった本体。手の小さな女性には少々扱いにくいものだったようです。そのため、マックスはこの問題を解決すべく『Vaimo11 FLAT』の機能をそのままに、女性の手にもなじみやすいように丸みをのあるデザインで、これまでにないカラーバリエーション、そして横幅をスリムにした『Vaimo11 STYLE』を2010年に登場させました。 外 寸 / H68×W26×D106(㎜) 質 量 / 161g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 ■ ウサギの姿をした狼?? 女性が使うことを考えた『Vaimo11 STYLE』は丸みを帯びた優しい見た目のデザインになりました。それは実用重視で作られた『Vaimo11 FLAT』を磨き、必要な部分だけを削り出したかのようなシルエットです。本体側面にプリントされた「Vaimo11」の文字もスリムになったデザインに一花添えているかのようです。 Vaimo11STYLEの初期モデルの特色といえば、5色という少し多いカラーバリエーションと共に、その珍しい彩色も特徴のひとつでしょう。 ・チェリーレッド (写真モデル) ・カフェオレ ・プラム ・ミントブルー ・グリーンティー 先にも書いたように、基本機能は『Vaimo11 FLAT』と一緒です。大雑把に言ってしまえばカバー部分以外の本体は『Vaimo11 FLAT』も『Vaimo11 STYLE』も変わりありません。カバーのデザインを変えることで、本体の幅は4㎜小さくなり、重量は4g減少しました。 たった4㎜の幅の違いですが、本体を握った感覚は、手の中により収まりやすくなり収まりが良くなった分、本体も軽く感じられます。 ……もっとも、友人に『Vaimo11 STYLE』と『Vaimo11 FLAT』を持ち比べてもらったところ、重さの違いは 「よく分からない」 とのことでしたけど(苦笑)。 中身はそのままに、外側のデザインだけ変えた姉妹品。これは例えるならば「マークⅡ/チェイサー/クレスタ」の兄弟車のようなもの。見た目は違うようでも、肝となる中身の部分はどちらも同じもの。多少の使い勝手は異なるものの、本質的なところでは変わりはないのです。 『Vaimo11』に興味あるけれども、『Vaimo11 STYLE』と『Vaimo11 FLAT』どちらを選ぶべきか。 機能的には『Vaimo11 STYLE』も『Vaimo11 FLAT』も変わりありませんから、デザインと好みのカラーがあるかどうかで選ぶ。そんな選択でも何ら問題ないと思います。 この『Vaimo11 STYLE』ですが、2017年12月にカラーリングの変更が行われてしまい、5色の多色構成から3種類のカラーリングとなってしまいました。 (新しいカラーリングになったものは、また改めて紹介したいと思います) まだ初期モデルの『Vaimo11 STYLE』が売られているところもあるかもしれません。興味のある方は是非ご購入を(笑)。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11スタイル マックス株式会社栗下 智
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★ Vaimo11 FLAT
出張移動中のマックス社員が遭遇したことがきっかけでした。 新幹線の中でスーツ姿の女性が卓上ホッチキスを使い、肩で息をしながら何冊も冊子を作成する場面。 これまでの標準的な小型ホッチキスが綴じられる枚数は20枚まで。それ以上の枚数を綴じるときには大きなホッチキスが必要となります。30枚程度までであれば手でも握れるタイプのホッチキスもあるのですが、それ以上ということになれば大きな卓上ホッチキスしかありませんでした。 コンパクトでありながら、今まで以上に厚い書類を綴じられるホッチキスを実現するために、既存の針と既存のホッチキスの改良……ではなく、ホッチキス本体のみならず針から作り変えることで、40枚までの書類を片手で綴じられるホッチキスが誕生しました。それがマックスの『Vaimo11 FLAT(バイモ イレブン フラット)』です。 外 寸 / H68×W30×D107(㎜) 質 量 / 165g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 今までのホッチキスでは20枚まで。それ以上では、3号針を使うホッチキスを使って30枚まで。さらにそれ以上では、3号Uという針を使えるホッチキスを使います。 因みに、3号Uに対応しているホッチキスでは、3号針も使うことができますが、25枚未満の書類を綴じるときは3号U針ではなく3号針を使う必要があります。綴じる枚数に応じて3号針と3号U針を使い分ける必要があります。 ■ 全てを1から作り直したホッチキス 2枚でも40枚でも。コピー用紙40枚までの厚みであれば、枚数を気にせず使えるように新たに作られた11号針という新規格の針。ハンディタイプのホッチキスで40枚まで綴じられるように『Vaimo11 FLAT』は、本体のみならず針から作り変えました。 11号針は、今まで使っていた10号針と針の太さは変わらないものの、幅は2㎜広く、針足の長さは1㎜長くなりました。 10号針より一回り大きくなった11号針を収めるために大きくなったホッチキスマガジン。そして、この針を紙の厚みに負けないように確実に打ち出すためにマガジン周りにも工夫が凝らされています。 ・針を確実に送り出すプッシャ 針を送り出すプッシャには金属のプレートで補強 針の残量にかかわらず正確に押し出すための2重のばねを備えたプッシャ 強く押し出すプッシャに負けないように針をそろえるガイドレール ・正確に針を押し出す 40枚の紙に打ち負けない倍力機構 針をしっかり押し出すために、針の両肩をしっかり保持するオニバドライバ 最後まで紙にしっかり打ち込む針を垂直に保持するステープルホルダ ・正確に折り曲げる2段クリンチャ機構 打ち込まれる針は書類の厚みによって変わります。 2枚の書類はほぼ真上から、40枚の書類では斜め方向から針が打ち込まれます。そんな違う角度から打ち込まれた針を正確に折り曲げるため、針を受け止めるクリンチャの溝は2段階の受け面で確実に折り曲げます 3号針のように太い針の方が紙の抵抗に負けずに打ち込めるように思えますが、10号針と同じ太さを採用した11号針は、打ち込む際に紙から受ける抵抗を軽減させる効果もあります。 2枚も40枚でも迷うことなく、軽い力で倍も(バイモ)綴じられる。 2008年、全てを1から作り直した『Vaimo11 FLAT』はVaimo11シリーズの第1弾として誕生いたしました。 一般的な10号ホッチキスと比べるとやや大きくなり、そのぶん重さもあるホッチキスですが40枚もの厚さの書類を場所を選ばずに片手でも綴じることができるのは、大きなメリットです。 加えて、コピー用紙40枚までの厚みであれば2枚でも40枚でも針を変える手間が必要ありません。 机の引き出しに入れて置けば、どこでも、厚さのある書類でも手軽に綴じることができます。作業性がとても高く非常にありがたい1台です。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11フラット マックス株式会社栗下 智
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昔のマックス針
まだJISマークもついていない頃のマックスの針。 この頃の針は、一連と呼ばれるひとかたまりは50本とうたいながらも、実は1割ほど多い一連55本となっていました。 今ほど厳密に製造できる時代ではなかったのかもしれません。少ないのは問題があるけれども、少し多い分にはクレームにならないということでしょうか。昭和時代のおおらかさが感じられます。 HD-10Dのホッチキスには2連100本まで装てんできるというスペックですが、この古い針の2連110本の針でも問題なく装てんすることができるように作られています。 ちなみに、最近のサクリフラット(100本装てん可能)は、100本の針を装填することを前提として作られているので、この古い針を2連装てんすることはできませんでした。
ホッチキスの針 マックス株式会社栗下 智
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FLAT CLINCH (初代HD-10F)
針の綴じ裏が平らになる「フラットクリンチ」。今やフラットクリンチのホッチキスは珍しいものではなくなってきましたが、このフラットクリンチを世界で初めて実現したホッチキスがマックス株式会社の『FLAT CLINCH』こと初代HD-10Fです。 世界初の「フラットクリンチ」機構を搭載したHD-10Fが 1987年に登場。 通常のコピー用紙程度であれば最大15枚まで綴じることができます。 外 寸 / H48×W24×D103(㎜) 質 量 / 121g 針装てん数 / 50本 とじ 奥行 / 45㎜(最大) 使 用 針 / №10 世界で初めて搭載された「フラットクリンチ」 フラットクリンチとは「フラット=平ら」+「クリンチ=打ち曲げる」、つまり「平らに打ち曲げる」ということ。 “ホッチキスで綴じた書類を保存する際に、ホッチキスの裏側の針を金づちで潰してからファイルしている”というお客さんの声を聞いたマックスが開発した「フラットクリンチ機構」です。 針を装てんする際は、本体後部にあるスライドボタンをスライドさせます。 針を入れるマガジンボックスが本体前方から出てくる「フロントローディング」方式になっています。出てきたマガジンボックスを引き出し、針を入れたマガジンボックスをカチッと音がするまで奥に押し込めれば針の装てんが完了です。 装てんされた針はマガジンボックスの側面にある小さな窓から残量を見ることができます。 世界初の機能を搭載したこのホッチキスですが 綴じ裏をイチイチ金づちで潰していたユーザーさんからは大変喜ばれました。 しかしながら、そこまで使い込んでいなかった方からは、この機構の便利さがイマイチご賛同いただけなかったのか、それとも小型ホッチキスとしては高価とおもえる価格だったこともあったのか。フラットクリンチが広く受け入れられるようになるまでには少し時間がかかったように思えます。 本体価格が1,000円という値段という以外にも ・針装てん数が50本 ・フロントローディングという珍しい針の装てん方法 ・綴じる際、ハンドルの一部だけを動かすという特殊な形状 ・最大とじ枚数が15枚とやや少な目 ・本体に強い衝撃を与えると部品が外れてしまいフラットクリンチ機構が働かなくなってしまう ・針を除去するリムーバーが備わっていない 世界初の機構を備えていたからこその少なくない問題点だったかと思いますが、問題点の数々を解決していった結果、今やフラットクリンチ機構を搭載したホッチキスが次々と登場しています。 ホッチキスの歴史に新しいページを記した パイオニアモデルといっていいでしょう。 #文房具 #ホッチキス #マックス
フラットクリンチ ホッチキス HD-10F マックス株式会社栗下 智
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HD-10D (初代 - 後期型)
マックス株式会社製の小型スタンダードホッチキス『HD-10D』 これまでのホッチキスの5倍の耐久力がある10号ホッチキスとして 1968年に登場。 1969年にグッドデザイン賞を受賞。 以来モデルチェンジを経ながら50年以上に渡り同社のスタンダードホッチキスとして歴史を積み重ねてきたホッチキスがこの『HD-10D』。 これはその初代モデルとなります。 通常のコピー用紙程度であれば最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H51×W21×D104(㎜) 質 量 / 89g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 60㎜(最大) 使 用 針 / №10 綴じた紙の裏側に出た針は、山形のメガネ橋のような出っ張りがある「メガネクリンチ」または「ノーマルクリンチ」と呼ばれるスタンダードな形状のものとなります。 針を装てんする際は、上部を開いてマガジン内にある「プッシャ」と呼ばれる白い部品を指で引いて装てんさせます。 装てんされた針は本体の片側面にある窓から残量を見ることができます。 本体の後部には綴じた針を外すことができる「リムーバ―」が備わっています。 現在のホッチキスに基本的に備わっているものが揃っているTHEホッチキスとも呼べる小型ホッチキスのベーシックを築いたモデルといって過言ではないでしょう。 ちなみにこの初代モデル(メーカーさんでは「第1弾」と呼ばれています)には、作られた時期によって3種類のモデルがあります。 私は便宜的に初期・中期・後期と呼ばせていただいていますが、今回紹介したものは昭和55年(1980年)から平成3年(1991年)ごろまで作られていた初代・後期モデルとなります。 後期モデルでは、本体上部の「ハンドルカバー」と呼ばれる部分に社名の「MAX」の刻印が施されています。 このマークが針を打ち込む際の滑り止めの役割も果たしており、本体随所に見られる非常に合理的かつシンプルデザインがとても好印象です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-10D マックス株式会社栗下 智
