月報 日本ビクター 1960〜1963年

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1960年代に入り、ビクター・レーベルとしては考えられない「カラヤン指揮ウィーン・フィル」という組合せが実現しています。この背景にあるのが、アメリカRCAとEMI(HMV)の提携解消です(これは1950年代のキングのページでも書きました)。米RCAの新たなイギリスでの販売窓口となったのが英DECCAであり、その提携の一環として、盤上での双方のアーティスト交流が行われました。カラヤン/ウィーン・フィルのレコードもこの時の成果物のひとつで、録音はDECCA側が行ったようです。これらは1970年代にはDECCAに移され(と言うか戻され)、日本でもロンドン・レーベルとして再発売されています。

1960年12月新譜としてヘンデルのオラトリオ「メサイア」全曲盤(ビーチャム指揮)が出ていますが、これは極めて特徴あるレコードです。今の時代は原典版志向・ピリオド楽器志向が全盛ですが、これはその真逆の演奏です。いくつかある編曲の中でも最大編成のグーセンス版を現代オーケストラで演奏したもので、このレコードの「ハレルヤ・コーラス」を初めて聴いた時は、度肝を抜かれました。冒頭からシンバルが炸裂し、トランペットの合いの手が響き渡るという凄まじいものだったからです。

1963年11月号では「ダイナグルーブ」が紹介されています。いくつかセールス・ポイントが挙げられていますが、「再生系で生じる内周部の音の歪みに対し、予めその打ち消し信号をカッティング段階で組み込んでおく」というものがあります。後の東芝の「PTSクリアーサウンド」でも同様のことが謳われていました。但し、こういったことは想定通りの結果を生むかどうかは微妙なものがあります。一口に「再生系」と言っても、針先の形状(丸針,楕円針)やコンプライアンス(音溝トレース能力)の違いをはじめ、ユーザー毎の環境は様々だからです。

邦楽では橋幸夫さんのデビュー盤が1960年7月5日臨発として発売されています。加山雄三さんの初レコード(東芝の前になります)も、同年10月30日臨発として登場します。
作曲家吉田正さんの大傑作「いつでも夢を」は1962年9月20日臨発です。

洋楽では、プレスリー初めてのステレオLPが1960年11月新譜で出ました。タイトルの「エルヴィスが帰って来た」は、兵役が終わって戻ってきたという意味です。

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