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角川書店 角川文庫 幽霊座 第1期
昭和四十八年九月三十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和27年(1952年)に雑誌「面白倶楽部」に連載された横溝正史の中編小説「幽霊座」。
人気随一といわれた若手歌舞伎役者・佐野川鶴之助が、駒形の稲妻座で行われた狂言「鯉つかみ」の芝居の最中に忽然と姿を消してから17年。同劇場では鶴之助十七回忌の追善興行として、再び「鯉つかみ」が鶴之助の遺児・雷蔵の主演で上演されることになった。鶴之助と親交があり、17年前の失踪事件の際にも現場に居合わせた金田一耕助はそのニュースを知って、何かまた起こるのではないかという、不吉な予感が脳裡に閃いた。果たしてその予感は当たり、追善興行で惨劇が起こる...
横溝正史といえば歌舞伎に造詣が深く、作品の中にも時折、歌舞伎ネタを入れたりしていますが、そんな横溝がズバリ梨園の世界を題材に描いた意欲作ですね。“幽霊座”とも噂される東京・駒形の古い劇場、稲妻座で起きた人気歌舞伎役者・佐野川紫虹の毒殺事件。その事件の背景には、同劇場で17年前に突如姿が消えた紫虹の腹違いの兄・佐野川鶴之助を巡る愛憎と確執の人間模様があった...というのが物語の大まかなストーリーですが、マイナー作品ながらも横溝正史お得意のドロドロした人間関係が梨園特有の雰囲気と相俟って強調されていて、面白く読める作品です。
本書には表題作の他に「鴉」「トランプ台上の首」、“金田一耕助シリーズ”の短中編2編が併録されています。角川文庫には昭和48年(1973年)に収録されました。
画像は昭和48年(1973年)に角川書店より刊行された「角川書店 角川文庫 幽霊座 第1期」です。どことなく陰気な女の顔とひょっとこの面。アート色が強めの印象的な画柄です。
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