ALPA Old Delft Alfinon 50mm f2.8 マウント製作記 その1
初版 2022/05/31 13:35
改訂 2022/06/03 04:49
先日、Museoの来館者からマウントアダプターの製作依頼がありまして、
お請けすることにしましたので、製作記など ………
アダプター作って見たい方の参考になるかどうか分かりませんが ………

来館者のMusseo_PaPaさん、多分この写真を見て、作って貰いたくなったのでは無いかと思います。Lumix GF1が、発売されてまもなくこのカメラを購入しました。
レンジファインダーカメラを、彷彿されるフォルム、格好いいです。
モニターでの撮影は一寸自分には無理なので、外付けビューファインダーを買って付けてあります。
フィンダーが90度真上に向くので、ローアングルの撮影も楽にこなせます。
但し、持ち運びには、ファインダーの損傷が気になるので、姉妹機のLumix G1を購入して、以後、撮影の主役はG1、ソニーのαEシリーズが出るまで続きます。

ALPA-REFLEX / P.ANGENIEUX ALPAR 50mm F2.9
ALPA-REFLEXは、1946年から1952年までバリエーションを含み4645台、生産されました。4645台、全て手作りだと思っていましたが、思っていた通り届いたレンズは自分の物とは違っていました。
生産台数の少なさと言い、レンジファインダーのカメラでありながら、ウエストレベルで、撮影出来るカメラは、殆ど見ることが無いので希少なカメラです。
搭載のレンズは、Old Delft Alfinon 50mm f2.8
最近、隠れ人気のオランダのOld Dlft のレンズです。
個人的には、五つ星のレンズです。
19世紀後半のフランスの印象派の画家、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌの画家の絵画を、彷彿するレンズだと思っています。

クロード・モネ 「印象・日の出」
印象派の名前の由来の絵画。
空間と時間による光の質の変化の正確な描写、描く対象の日常性、人間の知覚や体験に欠かせない要素としての動きの包摂、斬新な描画アングルなどが素晴らしい作品だと思います。
絵画教室に通ったのですが、才能の無さは努力だけでは補えず挫折、写真に活路を未だに見いだそうと、レンズ収集に走っています。
写真、真実を写すと言うよりも、抽象的な写りのレンズに思考は傾いています。
腕では無く、レンズに頼れるからに他ならないのですが ………


Old Delft Alfinon 50mm f2.8
約190度の回転角で、3.1mmレンズ伸長して、3.3/12インチまでの撮影範囲です。1m〜無限大の撮影範囲です。
因みに、3/12は、インチ12進法だからです。この表記のあるのはアルパだけかな?
Old Delft Alfinon 50mm f2.8のレンズを下記のマウントアダプターに装着すれば、27mm〜57mm、30mmもヘリコイドが伸びるので、オリジナルの10倍も伸ばす事が出来るので、アルフィノンでマクロの世界が見えてくる。
想像するだけで、楽しそうです。
何故、今まで作らなかったのは、10年前にはこのヘリコイドは販売されて無く、
代用出来るのは、オリンパスのレンズのヘリコイドを利用することぐらいでした。
完成時には、Old Delft Alfinon 50mm f2.8のスーパーマクロを、
作例と共に掲載したいと思います。

Pisco M42-Nex/M ヘリコイドマウントアダプター
制作の基本構想は、以前から製作しようと思っていたので決まっているので、
まずは、αEマウントの外形約60φのアルミ鋼材をチョイスします。
特別Ver.ダブルヘリコイド仕様、市販のM42-αEマウントアダプターに組み込むことにしました。

長尺のアルミ棒材から、適当の長さにカットして、
片面をM42マウントにする切削作業。

マウントの厚みの、10%以上大きめにカットして、正確に平坦面を出します。
この作業を丁寧にやらないと、解放で撮影するとカタボケの原因になります。

マウントのボーリング加工
Old Delft Alfinon 50mm f2.8は、沈胴レンズなので収納する時のホールを開けます。
本来、このレンズは沈胴レンズであるから、引き伸ばして撮影するのですが、
沈胴レンズの宿命、鏡胴にスレが入るので、収納したまま撮影出来れば、
傷が付かないまま、長期に渡り綺麗に使えます。
また、本来のレンズ以上に使い勝手が向上します。
レンズ伸ばせば、スーパーマクロになります。

M42、ねじ切り風景
片面を正確平面を出して、ねじ切りバイトでネジを切っていきます。
以前は、電動で回転させていましたが、機械ではネジの切っている感触が分からないので、現在は手動でネジを切っています。
ジョウ(四つ爪ホルダー)は、正確に素材の芯を出せます。
墨入れしてあるのは、ネジの山の遊び部分の線幅で、有効径の位置とねじ切りの乱れのチェックをします。

ネジの規格
M42スクリューマウントは、直径42mm ピッチ1mm ねじ山角度60度の
ネジのことです。
ノギスで計ると、ピッタリで無いのは、有効径の位置が山と谷の中間だからです。

ねじ切り終えたマウントと、ヘリコイドマウントアダプター

レンズを載せるとこんな感じです。
この後、マウントをアルパマウントの爪を削っていく作業になります。
では、次回、マウントアダプター三つ爪加工です。
#アイテム
#製作

Fortune Lens
デジタルカメラで、フィルムカメラの魅力を伝えられたらと思います。
フィルムカメラのレンズを、デジタルカメラでも使えるようにクラフトしています。
リンク先掲載を、ミューゼオ運営様に掲載確認をし、問題がないとのことなので掲載させて頂きました。
ミューゼオで来館されて気になるカメラを、出品してるかも知れないので、お暇なとき立ち寄って見て下さい。
https://www.mercari.com/jp/u/708520704/
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