V2 Schneider “Tape Works 1981-85”

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V2 Schneider(フィー・ツヴァイ・シュナイダー)って?それは、ミュンヘンのJürgen Schweighart (ユルゲン・シュヴァイクハルト)によるソロユニットのことですが、彼はその前に、Blindgänger (ブリンドゲンガー)と言うバンドで、1981年に、EP"Rabenschwarz"を出しています。メンバーは、Jürgen Schweighart (Synth, Vln, Drum Machine)以外に、Jochen Hägle (Vo, G; ヨッヒェン・ヘグレ), Georg Huber (G, B, Sax; ゲオルグ・フーバー), Rainer Schober(B, Synth;ライナー・ショバー), Mani Elfinger (Synth, Sequencer; マニ・エルフィンガー)が在籍していました。このメンバーの中でもGeorg Huberは、後にZeitboom (ツァィトボーム)として、「独のBrian Eno」と評され、Fred FrithやYoko Ono等ともコラボしていきます。また、このEPがキッカケで、Freiwillige Selbstkontrolleがサポートしてくれています。パンクが全盛期の1979年に、相反する考えを持ちながらも、Schweighartは、1960年代のロックとKraftwerkを融合した反ロックで反体制で、パンクでもゴスでもないバンドとしてBlindgängerを1980年に結成しています。彼等は、昼間の仕事をしながら、南独をツアーし、地下室で練習・録音し、当時の英国ニューウェーブ(The Cure, Ultravox!, Sex Pistols, Wire, Brian Eno, Peter Hammill等) に影響を受けながら、カセット作品を作っており、EPを1枚だけ出していますが、彼等にとっては失敗作だったとのこと。その後、Sovetskoe Foto (ゾフェツコエ・フォト)と言うバンドに改名しますが、Schweighartは直ぐにバンド活動に飽きてしまい、1人でやった方がより上手く行くことに気付き、ソロ活動として、1981年に本ユニットV2 Schneiderを始めています。このユニット名は、彼の大好きなDavid Bowieのアルバム”Heroes”収録の曲名から取られています。彼は、殆どを1人で、Drs, Kbd, B, Trumpet等も演奏して、4トラックMTRで作業していましたが、時々、Dagi Bernhard, Walter Sterr, Georg HuberやJochen Hägleも招いて録音しています。歌詞は、即興的に作って、録音していたとのことです。そんな作業を1985年頃まで続けていましたが、カセット作品”Nr.1 In Hongkong”を最後に長い沈黙を入ります。1980年代後半に、彼は米国SFに移住しており、違う種類の音楽を作っていました。テクノロジーを進化により、彼の音楽は、オーケストラ風で詩的になり、時には民族音楽やハウスの要素も加わるようになります。1998年に、彼は、古いV2 Schneiderの音源をデジタル化し始めて、5年も費やしていますが、Was Soll Das Schallplatten (ヴァス・ゾル・ダス・シャールプラーテン)の Franck Punkが古いカセット作品のファンだと言って、カセット作品のレコードでのリイシューを提案してきます。2003 年に、最初期の曲”Wilde Gier”をシングルとして、また最初の4本のカセットからの抜粋を限定LPとして再発したことが キッカケで、再び、彼は創作意欲に目覚め、V2 Schneider以外にもThe Pink Pool of Tears や Missing TWIN 名義でもCD を出しています。2007年、彼は新しい素材の最後のレコーディング”Escapsism”に古い名義であるV2 Schneiderを選んでいます。また、そのアルバムには、バイエルンのさまざまな城の周りで撮影したDVD”Desire”(当然ですが、SPKのビデオとは別物)が付いていており、その後、いくつかの国際的なコンピレーションが続いた後に、映画と CD プロジェクト”Mia san dageng”にも作品を提供ししており、ミュンヘンのパンク ドキュメンタリーで、2008 年にベルリンのドキュメンタリー映画祭で賞を受賞しています。
 それで、本作品ですが、その副題の通り、1981年から 1985 年までのカセット作品(◼️が作品名)のリイシューで、その間に保存していた50本のカセット作品を彼が聴き直し、レーベル側の意向通り、リミックス等は無しで、マスタリングのみで、本ボックスセットは構成されています。どのカセット作品も現在では入手困難ですが、特にLP3F面は未発表曲をコンパイルしており、マニアには堪らない内容となっています。LP1A面は、彼の最初のカセット作品(1981年作)で、基本的にDR-55等のリズムマシンとシーケンサーによるミニマルな曲調ながら、上物で変化を付けたプリミティブな宅録エレ・ポップに仕上がっています。独特な粘りのある彼の唱法も聴き処です。LP1B面は、1982年作の30分カセット作品で、怪しいイントロから始まり、やはりミニマルなシーケンスを基調にした宅録感あるエレ・ポップですが、Georg HuberがSax等でゲスト参加しています。Schweighart自身もB4等でBを弾いたり、Voにあからさまなエフェクトを掛けたりしており、B3やB7の実験的なインスト曲やB8のメロディアスなインスト曲も印象的です。LP2C面は、1984年作のカセット作品収録曲ですが、C1の電子音楽の実験的ダブ曲から始まり、連続してC2のVonや木琴を使った曲へ、そして、Dagi Bernhardも特別ゲストでVo参加したC3となります。また電子音やシーケンス以外にも生ピアノやVln, Sax, Clarinet等の生楽器も使っており、意外にクラシカルな面も見せてくれます。LP2は1984年作ですが、C面はC1の電子音楽の実験的ダブ曲から始まり、再び、ミニマルなシーケンスを主体とした曲になります。この作品ではDigiのVoとJochen HälgeのTrumpetを聴くことが出来ます。C3では生ピアノを使ったミニマルかつクラシカルなインスト曲、C4でのClarinetとシーケンサーから成る壮大なスケールの曲等、とても宅録とは思えない高品質な曲が続きます。D面もダブらしいディレイの利いたD1から、呟くようなVoの耽美的なD2等、リズムマシンこそミニマルですが、より複雑なメロディやリフか、成る曲が続きます。しかも、シンセもちょっと良いものになり、高級感溢れる作風になっています。D6での複雑な構成やD7でのDigiとのVoの掛け合いによる昂揚感も聴き処ですね。この作品には、Andreas Paule (B,G)とDigi (piano)がゲスト参加しています。LP3E面は、1985年作のカセット作品” Nr.1 In Hongkong”のことだと思います。割と短い曲から成りますが、V2 Schneiderの一つの完成形としてのポップ・ミュージックが詰め込まれています。E3のグラムロックっぽいリフ、E4での殆どグラムロックな曲に彼のルーツを感じます。E1やE5の実験性も聴き処ですし、E8での似非バリ音楽やE10でのケチャの導入も素晴らしく、全体的に見間違う程、スケールが大きくなっています。E6やE7は同名異曲です。F面はデモトラックと未発表曲なのですが、F2やF3なんかはメチャクチャカッコ良いですし、F4はDAFのカバーで、また違った感じに仕上がっています。F5からF6の流れも完璧です。
 こうして3枚のLPを通して聴くと、Jürgen Schweighartの出自と進化、そして「何故、彼がバンド形態ではなく、ソロユニットとして音楽を演っていたか?」が見えてきます。結構、ロックしている処も聴くことが出来て、単なるエレ・ポップでは無いと分かったのが、収穫でしたね。そんな偏見を払拭できたボックスセットだと思いますので、未聴の方は是非とも入手して聴いてみて下さい!目から鱗ですよ!

LP1
◼️V2 Schneider
A1 “Wilde Gier”
A2 “Wieder Gut Machung”
A3 “Masko”
A4 “Mein Herz”
A5 “München 82”
A6 “2nd Hand Heaven (Bonus)”
◼️Body Politix
B1 “Body Politix Intro”
B2 “Channel No.5”
B3 “Pink Flamingos”
B4 “Fag Rag”
B5 “Body Politics (Vocal)”
B6 “Montana Sacra”
B7 “Sexus 2”
B8 “Isabelle's Last Waltz”

LP2
◼️Blues
C1 “Schizzo”
C2 “Cat In Glass”
C3 “Nexus”
C4 “Cog”
C5 “Cut The Air”
C6 “Dying Under A Blue Sky”
C7 “Body Politics 2 (Bonus)”
◼️Abgrund Der Gefühle
D1 “A Long Run”
D2 “The Choice”
D3 “De Soto”
D4 “Oedipus”
D5 “Pictures”
D6 “Katholik Sex”
D7 “Mr. Ö”
D8 “End Theme”

LP3
◼️Hong Kong Movements
E1 “Countdown”
E2 “Bali No. 1”
E3 “Blue Café”
E4 “Love In Slow Motion”
E5 “Reverse Life”
E6 “Love Zombies”
E7 “Dark Entry”
E8 “The Bali Prayer”
E9 “The Escape”
E10 “A Touch Of Success”
E11 “Benjamin (Bonus)”
E12 “Human 2 (Bonus)”
◼️Demos & Previously Unreleased Tracks
F1 “Sollen WIr Noch Tanzen?”
F2 “The Strings Of Love”
F3 “Human”
F4 “Als Wärs Das Letzte Mal”
F5 “Bolero”
F6 “Lost”
F7 “After A.I.D.S.”
F8 “A Horse's Life”

A1 “Wilde Gier”
https://youtu.be/vm0aD34txSw?si=Zkco5EQ0mG3D9flp

A3 “Masko”
https://youtu.be/TGOtdLpE06I?feature=shared

A4 “Mein Herz”
https://youtu.be/PJx62ShMhVo?si=Bo9EB2I-eU0hD5RX

A5 “München 82”
https://youtu.be/pmF3ykj-aCA?si=eAY5ypc-TyzuJVOb

B1 “Body Politix Intro”
https://youtu.be/jXxVngRCq9c?si=zvI0KAOb0EXZ4gAj

B2 “Channel No.5”
https://youtu.be/D_RMEQdGTbA?si=SjuQ8h7tV0b2Xveg

B4 “Fag Rag”
https://youtu.be/waOW03kDyX8?si=9COElfL0MgLHA8rm

B6 “Montana Sacra”
https://youtu.be/hTLmDxk08H4?si=4yoLrLqnjKrriaNb

B7 “Sexus”
https://youtu.be/aG-xMxtSB_o?si=_UP8PC1c35b0Gp0-

D1 “A Long Run”
https://youtu.be/NAHwgLLPNHA?si=Bl9LvIuKCJc1TO7v

E4 “Love In Slow Motion”
https://youtu.be/m80EGcfvryk?si=ZsLdxSVPid1UYWtx

E11 “Benjamin (Bonus)”
https://youtu.be/bB9TTkPXfBQ?si=WVdZuAJmWsYE1B39

F3 “Human”
https://youtu.be/ElhRYODqtvE?si=9NEqPMuGAT1UnrTz

F4 “Als Wärs Das Letzte Mal”
https://youtu.be/GLyxpf938Eo?si=EO_e9WpqmiMWPq8h

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