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NG / ジュラジューム / 非常階段 “終末処理場”
大阪の林直人氏が1980年に設立したレーベルがUnbalance Recordsで、そのLP第一弾が、このノイズ・アルバム”終末処理場”です。オリジナルのリリースが1980年と、多分、日本で1番早く「ノイズ」のLPをリリースしたのではないかと思われます。ここら辺の詳しいことは、既に色んな雑誌やメディアでも書かれていますので、詳細は省略しますが、このオムニバス・アルバムに収録されているバンド、NG、ジュラジューム、非常階段は、どれも同時の欧米のノイズ/インダストリアル・グループとは一線を画した音楽/ノイズを奏でていたと思います。そんな貴重な音源が、43年の月日を経て、Alchemy RecordsのAlchemy Records Essential Collectionsシリーズとしてリイシューされたことは、大変喜ばしいと言えます。因みに、ジャケ写の写真の因縁か、このオリジナルLPをリリースした頃に、関係者に不幸が続いて、レーベル・オーナーの林直人氏とJojo広重氏はお寺にお祓いに行ったとか。まぁ、それは置いておいて、収録バンドについて、簡単にご紹介しておきます。 NGは、Naoquiこと林直樹 (Organ, Synth, Tapes)が1979年から始めたユニットで、この時点ではToshitakaこと佐藤利隆 (B)とYukinaga (B)と言うダブル・ベースでのトリオ編成となっています。Discogsには載っていないのですが、当時、NGのライブ・カセット”Die Meine Gewalt”を購入し、その凄まじさに感銘を受けると同時に、林直樹を評して「彼は真面目だが、まともじやない」と言う言葉は、私にとっては、それ以来、座右の銘になっています。その後、NGは、1981年にUnbalance Recordsより7インチEP”Ugomeku Ego”をリリースしますが、それ以降の情報はこちらには入ってきていません。今はどうしているのでしょう? ジュラジュームは、京都在住の八田尚彦氏 (Synth, Rhythm Box, G)のソロユニットで、この時期には、Zaitsu (Synth, Vo)も参加しています。その後、ジュラジユームの活動は途絶えたようですが、1997年に、突如、JoJo広重氏とのデュオでJulajiumとしてCD復活し、また、その頃から、一時期、旧Twitterで八田氏が毎日のように独自の電子ノイズ曲をアップしていたのですが、今はどうしているのでしょうか? 非常階段については、以前にもバイオグラフィーは書いてありますし、他の雑誌やネットでももっと詳しく書かれていますので、私如きが、今更、書く訳にもいきませんが、この時の非常階段は、JojoことJojo広重 (G, Vo), Mikawaこと美川俊治 (Audio Generator, Marcolinet, Organ), MakoことMasako Shigesugi (B, Vo), Okaこと岡俊行 (Drs, Rhythm Box), ZukeことKatsuhiro Nakajima(G, Vo), Sumire (Synth), Akuma (Visual Performance)と言う編成で、雑誌Heaven主催のイベントでのライブ音源です。本来、曲名の「腐食のマリィ」がバンド名であったのを、主催者側が勘違いして、出演バンドを非常階段にしてしまったことは有名な逸話です。 それで、内容ですが、A面は、NGから始まります。ミニマルなBのリフに歪んだオルガンとリズムボックスと言うA1, シーケンサーのようなシンセとリズムボックスのリズムにゴリゴリのBが突進し、歪んだもう一本のBと殆ど聴こえないVoが入り込むA2では、後半に歪みまくったオルガンも聴取できます。深いリバーブに包まれた、幾分、大人し目なBのリフに、リズムボックスと変調Voと共に響くA3, 単調なリズムボックスにオルガンと呪文のようなVoとBのリフが流れるA4, 突進するゴリゴリの2本のBとオルガンのせめぎ合いがカッコ良いA5で、次はジュラジュームの曲になります。ディレイを掛けたリズムボックスが怪しく響き、その間に変調VoやSE的シンセからなるA6, 機械のようなリズムボックスにショート・ディレイを掛けまくったGが暴れ、微かにシンセのメロディが聴こえるA7, マーチのリズムにショート・ディレイを掛けたGとマーチング・ソングのようなシンセのメロディが微かに聴こえるA8, これまたディレイを掛けたGノイズとリズムを刻まないリズムボックスに、シンセ・ノイズが乗るA9, 駆動力のあるDR-55のリズムにハレーションを起こしたGノイズが暴れまくり、途中、変調Voも入ってくるA10で締められいますが、唐突に終わります。 B面は、全てを使った非常階段のライブ音源なのですが、いきなりのDrsの連打から、MarcolinetやらVoice、更にはエレクトロニクスやGノイズと、まるでAirwayのような集団即興による肉体的轟音ノイズが繰り広げられています。これがそもそも「音楽」なのかどうかは別にして、正にカオスを体現していると思います。恐らく、実際のライブでは凄いことになっていたことでしょう。途中、Drsがかなり頑張っている所もあり、そんな所に、彼等が「ロック」を源流としていると感じられます。 このアルバムの面白い所は、A面2組が宅録派で、B面がライブ派と言うコントラストでしょう。もっと言うとA面ではリズムボックスが多用されており、B面ではドラムが多用されていると言えます。非常階段が、その後、ライブ・バンドとして活動していくことは良く知られたことで、それ故の「肉体性」を音のカオスの中に落とし込んでいるとも言えるでしょう。それに対して、NG(彼等は宅録だけではなく、ライブもやっていた)とジュラジュームは、リズムボックスが奏でる機械のリズムの上で、変調を施した電子音や歪んだオルガンが奏でられていると言う、当時のインダストリアル・ミュージックに対する日本からの返答でもあると言えるでしょう。個人的には、2本のゴリゴリのBと歪んだオルガンから成るNGの演奏は素晴らしいです。これが聴きたかったと言っても過言ではないでしょう。また、ジュラジュームの偏執狂的なディレイ処理は同時の誤用テクノロジーの代表的手法であり、それがまた懐かしくもありました。そんな3者3様のノイズ・ミュージックを1980年と言う時代にレコードとしてリリースしたUnbalance Recordsの偉業が復刻されたことは大変喜ばしいことです!!先ずはこのアルバムを聴け!と声を大にして言いたいです! A1 NG “Cry Of Nylon” A2 NG “Broken '80s” A3 NG “Zisatz” A4 NG “見つからない” A5 NG “Theme (For Icy B)” A6 ジュラジューム “嘆きのつぼ (Urn)” A7 ジュラジューム “Radiation・I” A8 ジュラジューム “行進曲” A9 ジュラジューム “Radiation・II” A10 ジュラジューム “来たるべき世紀” B 非常階段 “腐食のマリィ” [NG A1-A5 original version] https://youtu.be/eXjgdXkZkx8?si=YewfQdvuZBO-OfRu [ジュラジューム A6-A10 original version] https://youtu.be/HYdwpA9k18A?si=7Cu280nLlLc20H8S [非常階段 live from 「極悪の教典」] https://youtu.be/tbFnMuUW-Tk?si=FkPBp7Y0fqRGZ-ZE #NG #ジュラジューム #非常階段 #終末処理場 #AlchemyRecords #P-VineRecords #2023年 #Reissue #Remastering #LimitedEditions #UnbalanceRecords #1980年 #200部 #Noise #Electronics #TwinBasses #Synthesizers #RhythmBox #宅録 #Improvisation #LiveTrack #Guitars #Voices #Bass #AudioGenerator #Marcolinet #Organ #Drums #VisualPerformance #腐食のマリィ #Naoqui #林直樹 #Toshitaka #佐藤利隆 #Yukinaga #八田尚彦 #Zaitsu #Jojo広重 #T.美川 #Oka #Zuke #Mako #Sumire #Akuma
Noise / Experimental Alchemy Records / P-Vine Records (Unbalance Records) ¥3200Dr K2
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Nord “1st” in box “日本のノイズ音楽”
Nord(ノール)❗️もう一つの東京ノイズ・ミュージックのオリジネーター。実は、このNordのファースト・アルバムは、既にオリジナル盤を紹介してあるのですが、今回、改めて、リマスタリングされて、クリア盤と言うことで、再度、ご紹介します。オリジナルは、1981年にLPでリリースされていますが、その後、2017年に、未発表ライブ音源を付けて、2枚組CDとして、リマスタリングされて、日本のArt Into Lifeより一度、リイシューされています。そして、今回、オーストリアのKontakt Audioより、ArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Scene「日本のノイズ音楽」の第4弾として、再度、リマスタリングされて、リイシューされました。メンバーは、片山智と及川洋の2人で、彼等のバイオグラフィーは、前回の項目をご参照下さい。 内容としでは、リマスタリングが良いのか、音の分離が良く、各音が良く聞こえます。A面は、やばり、法螺貝のような音から始まり、ラジオ音とそのバックのシンセによる電子音、更に後から加わるDR-55のリズムボックスから成るA1は素晴らしいです。続く、硬質なギターと、これまた硬質な電子音が淡々としたリズムボックスの上でぶつかり合うソリッドなA2, 同じパターンのリズムボックスから始まり、硬質かつ歪んだGとホワイトノイズを中心としたシンセとが徐々に捻れきれていく強靭なナンバーA3も聴き処満載です。 B面は、かなりインダストリアルな雰囲気の音塊(=テープ音)から、ギターのフリーフォームでソリッドな演奏とシンセによる工業神秘主義的演奏が絡み合う長尺の曲で占められており、そのカオスっぷりが、正に「ノイズ」の産声であると確信出来ます。恐らく、片山さんの好きな裸のラリーズの演奏を想起させるようでもあります。 先述したように、リマスタリングが良いのか、以前のような、得体の知れない恐怖感よりも、純粋に音楽としての魅力を感受できた気がして、また新たな発見がありました!! これは、単に自分の聴き方やオーディオ機器の変化だけではなく、マスタリングの凄さと元の音の強靭さかあってこそだと思います。これが1981年に日本で既にLPに刻まれていたこと自体が凄いことだと思いますので、騙されたと思って、一度は、「日本のノイズの産声」を体験してみて下さい!!! A1 “Labyrinthe” (15:41) A2 “Entract” (3:01) A3 “Caricature” (9:04) B “Utopie” (26:23) [以下のYouTubeはoriginal LP] A1 “Labyrinthe” (15:41) https://youtu.be/kGegAb2BIes?si=3I3dbVDvQPm-M2-O A2 “Entract” (3:01) https://youtu.be/Y8llCBDdWhg?si=s8_SLpSQXoC8fvSz A3 “Caricature” (9:04) https://youtu.be/SgSYNQWOSp0?si=PNkqi_2vBX01G59k B “Utopie” (26:23) https://youtu.be/X5NGjQB7qZQ?si=TEOTmm0iZgoYWTj9 [BandcampのURLも貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/nord #Nord #1st #self-titled #KontaktAudio #2024年 #Reissue #Remastering #LimitedEditions #99部 #PinakothekaRecords #1981年 #2CD #Reissue #ArtIntoLife #2017年 #Noise #Originator #吉祥寺Minor #Psychedelic #Improvisation #Electronics #Radio #Synthesizers #Guitar #一発録り #ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽 #SatoshiKatayama #片山智 #HiroshiOikawa #及川洋
Noise / Psychedelic Kontakt Audio (Pinakotheca Records) 不明Dr K2
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Merzbow, Null & Nord “B-Semi Live: 24th May 1984” in box “日本のノイズ音楽”
これは!激レア音源です!当時、Merzbow Null名義で、秋田昌美氏とK.K. Nullこと岸野和之氏を中心にライブ活動を盛んにやっており、そのライブ音源はすぐ様、カセット作品として、秋田氏自身のレーベルZSF Produktからリリースされていました。そのシリーズの一つにはMerzbow Nordと言った組合せもありましたが、今回は、Merzbow Null & Nordと言う驚異の編成によるインプロ・ノイズのライブ音源がこの度、オーストリアのKontakt AudioのArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Scene 「日本のノイズ音楽」シリーズでリリースされました。ライブは、1984年5月24日に横浜国大の学園祭の時にBゼミ教室で行われたサウンド・インスタレーションらしく、オブジェやペインティング、ビデオ等も同時に行われたとのことです。元音源は、それを撮影したビデオテープから直接起こしたもので、今回は、更にその音源をリマスタリングしたとのことです。この時のメンツは、Masami Akita (Drs, Metals), Kazuyuki Kishino (G, Metal Perc), Satoshi Katayama (Electronics), Makoto Ito (Electronics)で、1984年にZSF Produktからカセットで、即リリースされており、またその後も 1989年に同じくZSF Produktよりカセットで再発されていますが、今回、正式にLPとしてリマスタリングして再発されたことは誠に喜ばしいことだと思います(ZSF Produktからも再発されていることを考えると、秋田氏自身も気に入っていた音源なのではないかと想像します)。 それで、内容ですが、文句無しに「カッコ良い」です。生Drsのビートとメタパーに、絡み合うノイジーなGやスぺイシーかつ強迫的な電子音、カオテイックで、凄まじいサウンドが、粗いビデオカセットでの録音から爆音で立ち上がってくる様は、当時を知る私にとっても、恐らく、当時を知らない若いリスナーさんにとっても、かなりグッとくると思います。その頃から感じていましたが、重さと速度が両立した秋田氏のDrs演奏は唯一無比だと言うこと、また、それに対抗出来るギターは岸野氏しかいなかったようにも思います。更に、それに片山Nordの2人のエレクトロニクスが加わっているのですから、文句のつけようがないです。しかも、本番ではこの演奏が約1時間行われていたと言う凄まじさです。B面後半では、岸野氏のギターのピックアップを介してのヴォイス(=咆哮)も聴取できます。ロックと言うフォーマットに「カオス」と言うものがあるのであれば、間違いなく、本作品はその代表作と言えるでしょう! これまで、関西のノイズシーン黎明期についてはAlchemy RecordsやUnbalance Records等を介して、多く語られてきていますが、東京のノイズシーン黎明期に関しては、吉祥寺マイナーについて時々語られてはいるものの、その実態については余り多く語られてはいないように感じます。個人的に感じていた、そんな歯痒さを一気に払拭するような熱気が、このアルバムには封じ込まれています!! とにかく、このアルバムは全ノイズファンが聴くべき作品です!!特に爆音で!!正しく、「カオス」が音として聳え立っています! A “B-Semi Live” (30:00) B “B-Semi Live” (30:00) [original cassette] https://youtu.be/g9jrSJJHxmI?si=-OUnksNe5JrJq059 [BandcampのURLも貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/b-semi-live-24-5-1984 #Merzbow #Null #Nord #B-SemiLive:24thMay1984 #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #ClearVinyl #LimitedEditions #99部 #ZSFProdukt #Cassette #1984年 #Noise #NoiseRock #Live #Improvisation #Drums #Guitar #Metals #Electronics #ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽 #MasamiAkita #KazuyukiKishino #SatoshiKatayama #MakotoIto
Noise / Noise Rock Kontakt Audio (ZSF Produkt) 不明Dr K2
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C.C.C.C. “Phantasmagoria” in box “日本のノイズ音楽”
C.C.C.C.のセカンド・カセットのレコード・リイシューがKontakt AudioのArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Scene “日本のノイズ音楽”シリーズに登場です。C.C.C.Cについては、既に色んな所で、バイオグラフィーが書かれていますが、ここでも簡単にご紹介しておきます。 Wikiによると、長谷川洋とピンク女優だった日野繭子がコアメンバーとなって、1989年に始まったとされていますが、過去のメンバーの発言からは、元々ドラマーだった長谷川くんが、F. コサカイくんらのセッションの過程で、他の楽器演奏による可能性を希望して、ギター、そしてシンセへとシフトしていき、その過程で日野さんが加わったとのこと。最初は日野さんはメタル等演奏したり、ストリップティーズなパフォーマンスを行っていたらしいのですが、Wikiでは、「尿の入ったビニール袋を観客にぶちまけた」との記載があります(これについては、私は聞いたことがないです)。また、コアメンバーの2人以外は決まったメンバーではなかったとか(これも聞いたことはないです)。私の知っている限りでは、コサカイくんの同級生の長久保隆一くんがベースで加わり、4人体制のバンドになったと記憶しております(一時期ギターで元Painjerkだった南雲氏が加わった時期もあったはずですが、単発だったか、極短期間だったか)、それで、極初期のC.C.C.C.の録音物は、ライブサウンドと異なり、その時期の所謂「ジャパノイズ」よりも静かめで、それ程歪んだ音ではなかったとのこと。当時の欧州のノイズ・ミュージシャン/グループ、特にパワエレがコンセプチュアルかつ理知的な音を目指していたのに対して、彼等はあくまでもエモーショナルでカタルシス的な音であったとのこと。日野さんに言わせると、その方がノイズによりマッチしたアプローチで、より面白いサウンドを作れると。次第に、彼等のサウンドは、サイケデリックな雰囲気でかつ「ジャパノイズ」的なハーシュでラウドな音へと変化していきます。コアメンバーの2人は、自身のレーベルEndorphine Factoryを運営し、カセットリリースから始まり、1992年には、ファーストCD “Cosmic Coincidence Control Center”をリリース、その後も、カセットや7インチやCDをリリースしており、またCaroliner RainbowやRunzelstirn & Gurgelstockの来日招聘も行っていますし、彼等自身も欧米ツアーも敢行しています。1990年代後半には、長谷川くんと日野さんのデュオの形態になります。そして、1990年代末に、C.C.C.C.としての活動は停止していますが、解散はしていないとのことです。その後は、皆さんも知っているように、長谷川くんは、ローコさんとAstro名義や個人名義で、日野さんはMne-MicやDFH-M3或いは個人名義で、コサカイくんはIncapacitantsや宇宙エンジンで、長久保くんも宇宙エンジンでそれぞれ活動してきます。 それで、本作品の内容ですが、1992年6月27日の新宿Theater POOでのライブ音源で、元々は、彼等のレーベルEndorphine Factoryより片面カセットとして、1992年にリリースされており、2020年には、米国HelicopterとTroniksの共同でCD再発されています。LPとしては今回が初のリイシューとなります。メンバーは先述のように、Hiroshi Hasegawa/長谷川洋 (Synth, Vo), Mayuko Hino /日野繭子(Electronics, Vo), Fumio Kosakai/コサカイ・フミオ (Electronics, Vo), Ryuichi Nagakubo /長久保隆一(B)の4人体制の時です。お恥ずかしながら、私はこの作品を聴くのは、初めてなのですが、第一印象は、”Just Japanoise!!”だなあと言うことです。とにかく、音圧はマックスで、ザーツと続く、太い電子音が印象的で、そのバックにまた異なる電子音やシンセ或いはベースのフレーズが立ち現れると言った曲構造で、逆にそのハーシュな一貫性が、1990年代の日本のノイズ・シーンを代表する音ではあると感じました。なんか懐かしいと言うか、嬉しいと言うか。レコードだと途中で切れてしまいますが、50分弱もの間、この音響に晒された、当時のオーディエンスはどんな反応だったのだろう?と想像してしまいます。コサカイくんは、「C.C.C.C.で1番重要なのは、長久保のベースだ」と言い、また長久保くんも「ジャーマン・ロックのつもりで演奏していた」と語る、その意味を、本アルバムでも充分感じ取れると思います。また、長谷川くんがAstroでコズミックなノイズを指向したことも、彼等が、既にこの時点で、ある種のジャーマン・ロック、それもコズミックでサイケな音楽を自分達なりにアウトプットしていたのではないか?と思われます。なので、単なるハーシュ・ノイズで片付けるのは、余りにも短絡的かと! いゃ〜、それにしても、久々に懐かしい音楽を聴いたと感服しました!! A “Phantasmagoria I” B “Phantasmagoria II” [CD再発バージョン] https://youtu.be/eHXCJwTTXbs?si=UG32IXFxcEpGFkYP [BandcampのURLも貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/phantasmagoria #C.C.C.C. #Phantasmagoria #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #ClearVinyl #LimitedEditions #99部 #EndorphineFactory #OneSideCassette #1992年 #CD #Reissue #Helicopter #Troniks #2020年 #Noise #Japanoise #Psychedelic #Cosmic #ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽 #HarshNoise #Electronics #Synthesizers #Bass #Voices #HiroshiHasegawa #長谷川洋 #MayukoHino #日野繭子 #FumioKosakai #F.コサカイ#RyuichiNagakubo #長久保隆一
Noise / Harsh Noise Kontakt Audio (Endorphine Factory) 不明Dr K2
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Rudolf Eb.er “Sulphuric Sonics (Schwefelhaltige Schallwellen)"
スイス出身のアクショニストにして、初来日以来大阪在住のRudolf Eb.erの超問題作が、このアルバム”Sulphuric Sonics”です!来日当初は、同時の「ジャパノイズ」のテーブルトップ・スタイルをチャカしたかのようなパフォーマンスを披露、その後、相方のDave Philipsは帰国するも、彼だけは日本に残り、以来、大阪を拠点として、人間の持つ「嫌悪感」を刺激するような音響作品を出し続けています。彼のコンセプトと言うのは、アクショニズムと音による儀式と精神活性音響を組み合わせて、音響環境を生成し、グロテスクなサイコ・マジックの儀式とタントラのエクササイズを加味し、より高い意識へと導くことと定義できるかもしれません。私自身も、Rudolfとは来日前からコンタクトを取って、コラボ7インチを作ったり、2024年には大阪の火影で久しぶりに対バンしたりと付き合いは長いのですが、この作品は如何にもRudolf Eb.erらしいコンセプトだと思いました。タイトルは、“Sulphuric Sonics (Schwefelhaltige Schallwellen)"、即ち、「硫黄含有音波」であり、やはり彼独自のコンセプトに基づくものだと分かります。しかも、東京郊外のある神社の境内で、馮衣されたかのような12〜15歳の少女の声をフィールド録音で、それを密かに録音していたRudolfのデジタル録音機も故障してしまったとのこと。その怖さの余り、10年以上、その音源を使うのを封印していたと言ういわく付きの作品です。Rudolfは、故障した録音機に残された音源やノイズ、そして無音部分を復元して、この作品を仕上げています(因みに、その前後で、特に霊的な支障は起きなかったとのことです)。 まぁ、そんな前置きはともかく、内容の方も、如何にも昨今のRudolf Eb.erらしい、リチュアルと言うか、オカルティックな意味でのリチュアルで、不気味な音響作品となっています。A面は、恨めしやぁと言わんばかりのヒョロヒョロした電子音らしき音から始まり、神社でのフィールド録音と思われる少女の声や物音とオルガンや弄られたテープ音、シンセらしき音等が継接ぎされた、正に「日本らしいリチュアル(Japanese Ritual)」な音楽が封じ込められています。全体的には割と静かめで、如何にも儀式的な雰囲気なのですが、時にラウドにノイズの壁が聞こえてきたり、また、各パーツは断続的であったりします。 B面は、不安定な音程のシンセらしき音と蝿の飛び交う音から始まり、やはり物音やテープ音、壊れたフィールド録音(本物なのかRudolfが真似していのかは不明)、オルガンの不協和音、渋い音色のヴァイオリンのループ、正体不明の打楽器等が、やはり継接ぎされて配置されています。 正直に言って、それ程、「心地良い」音楽ではありません。その音楽のバックボーンを知っていなくても、何だか不安感を煽るような気味悪い音が延々と続きます。逆に、その音響作品こそが、Rudolfらしいと言えばRudolfらしいのですが、音圧ではなく、人の深層心理に直接訴えかけるような音を選んで、コラージュと言うよりも、ただそこに配置したような曲構成も、彼らしいです。そのコラージュでもない音の、ぶっきらぼうな継接ぎが余計に「不気味さ」を助長し、聴く者の「不安感」を煽ります。そして、そう感じてしまった時点で、まんまとRudolfの策略にハマってしまう訳です!!彼は、人間のネガティブ(?)な側面に焦点を当て、その隠していた感情を、敢えてこの作品で炙り出しているのです!! なので、その策略にまんまと引っかかって下さい!!そして、人間の抱く「恐れ」とか「恐怖」を再度、認識してみて下さい。正しく、Psychological Musicです! A “Untitled I” (19:53) B “Untitled II” (19:50) [BandcampのURLを貼っておきます] https://rudolfeber.bandcamp.com/album/sulphuric-sonics-schwefelhaltige-schallwellen [YouTubeには上がっていないので、参考までに彼のライブ動画を貼っておきます。Ende Tymes 4/6/2016] https://youtu.be/zjS4J1r0GbU?si=k8Aq5RHddIpWZrma #RudilfEb.er #SulphuricSonics #SchwefelhaltigeSchallwellen #SecondSleep #Switzerland-Japan #ItalianLabel #PsychologicalMusic #FieldRecording #OccultSound #Experimental #Ritual #JapaneseRitual #TokyoShrine #馮衣少女 #Organ #TapeManipulation #BrokenDigitalRecorder #Violin #電子音 #音の継接ぎ #配置
Experimental / Field Recording Second Sleep 3870円Dr K2
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Kiyoshi Mizutani “The Same Thing Makes Always Her Laugh” in box “日本のノイズ音楽”
初期Merzbowのメンバーで、1980年代には秋田氏との協力やMerzbow Null等でのオルガン演奏を、そして1990年代には盛んにソロ・ライブをやっていた水谷聖氏のファースト・ソロ作品が、この”The Same Thing Makes Always Her Laugh”で、1990年にZSF ProduktからLPでリリースされています。実は、私は、1980年代のMerzbowやMerzbow Nullでのライブも観ていますし、1990年代のソロライブでは何回も対バンしています。一見、普通の静かなサラリーマンのような風貌(実際、本業はシステム・エンジニアだったと思います)にも関わらず、主に環境音のDAT音源の再生とミキサーのフィードバックから成る摩訶不思議なソロ・ライブは何度観ても新鮮でした。1度だけ、水谷さんと私でコラボ・ライブもやってますね。また、個人的には、初期Merzbowでの彼のVlnやオルガンのプレイにも多大な影響を受けています。その後、彼は、自身のレーベルUlcer House等から作品を数少ないながらもリリースしています。一番直近のは、2014年にリリースされたChihei Hatakeyama / Kiyoshi Mizutani / HelloによるライブCD “Live At Ftarri Doubtmusic Festival”となっています。それで、本作品は、A面が1989年6月に、B面が同年11月に録音されていますが、ミックスは秋田昌美氏の自宅スタジオで行われています。特に、A1は、環境音とシンセとノイズから作られていますが、シンセとノイズは数学的に構築されており、あくまでも脇役的にミックスされているとのことです。そんな水谷氏のファースト・ソロ・アルバムが、今回、オーストリアのKontakt AudioのArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Scene (日本のノイズ音楽)の第二弾としてリイシューされた訳です。バラでは黒盤ですが、2025年末までにシリーズが終わるまでに収納されるボックスセットでは、クリア盤でかつTシャツ付きとなっていますので、興味のある方は今からボックスの方を購入しておいた方が良いかもですよ!そして、また、アルバム・タイトル「彼女はいつも同じことで笑う」と意味深ですが、そのアイロニックさがノイズに転化されているようにも思えます。 と言う訳で、内容の方ですが、全体的には、結構、ノイジーで激しい音像です。A面は、テープの逆回転とピョンピョンしたシンセと電子音の落ち着いた雰囲気で始まりますが、段々と強迫的にテープ音等が重層化されていくA1, 不協和音だらけのオルガンの持続音と敢えてビート感のないフリーな生Drs演奏(これは水谷さんが叩いているのかな?)、そしてノイズギターから成るA2となります。 B面は、一転して、会話等のテープ音とミキサーのフィードバックと思われる激烈なノイズとシンセの電子音が絡まり合い、結構カオティックな様相で始まりますが、激烈なギター・ノイズと思われる電ノコのような音と回転速度を弄ったテープ音、そしてエフェクトを掛けたシンセによる電子音がやはり組んず外れず絡み合う方向へとずれ込んでいきます。 飄々とした風貌で、如何にもエンジニア然とした実際の水谷さんを知っているだけに、B面の凶暴さには、正直、驚かされました。もっとアンビエント寄りの実験音楽だと思っていたからです。しかしながら、A2での狂ったようなオルガンの不協和音とかは、正に初期Merzbowのカセット等でも聴取できる演奏を拡大した感じでもあり、またB面のノイジーな音像も彼のソロライブで時に垣間見ることができたノイズへの指向性を伺わせるものだとも言えます(実際、ハコによっては、ソロライブでも、かなりノイジーで激しい演奏もやっていました)。そんな意味では、水谷さんこそが、本当の「マッド・サイエンティスト」なのかも知れませんね!!そんな「水谷聖」を体験したい方には激お勧めの1枚です!!きっとビックリすると思いますよー! A1 “Cross Off” (8:57) A2 “Guitars On M.T.L.” (11:34) B1 “Character Assassination” (23:20) [original full album] https://youtu.be/IoAf1e0a2ds?si=JYj1korwn_Wia0su [BandcampのURLも貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/the-same-thing-makes-always-her-laugh #KiyoshiMizutani #水谷聖#TheSameThingMakesAlwaysHerLaugh #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #ClearVinyl #LimitedEditions #99部 #ZSFProdukt #1990年 #LP #Noise #Experimental #FirstSoloAlbum #数学的音楽 #環境音 #Synthesizer #Noises #Tapes #Guitar #Merzbow #ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽
Noise / Experimental Kontakt Audio (ZSF Produkt) 不明Dr K2
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Merzbow”Yantra Material Action” in box “日本のノイズ音楽”
元々、MerzbowのファーストLP”Merz”として、リリース予定で、ライナーはFred Frithが担当することになっていた音源が、このアルバム”Yantra Material Action”です。これは後に、カセット作品として、自身のレーベルMerzbow Lowest Music & Artsからリリースされており、その後も、ZSF Produktより1984年に、米国Anomalous Recordsより1993年に、更には1999年には豪Extreme Recordsより”Merzbox”の一部としてCDで、2018年には、Slowdown RecordsよりもCDで再発されています。そんなMerzbowの幻のファースト・アルバムが、今回、新たにオーストリアのKontakt Audioが始めたArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Scene(日本のノイズ音楽)の第一弾としてリリースされました。特に、このボックスセットでは、クリア盤となっており、しかもTシャツ付きです。また、この頃のMerzbowは、秋田昌美氏と水谷聖氏のデュオ形態の時期であり、轟音ハーシュではなく、アッセンブラージュ的ミュージック・コンクレートをやっていた時期の音源ですので、大変貴重な音源と言えると言えます。この時の編成は、秋田昌美(Tapes, Junks, Noise, Perc, Radio, G)と水谷聖 (Tapes, Synth, Vln, G, Kbd)とクレジットされており、予め1981年1月に家で2人が即興的に演奏した音源を録音したテープをJunction Music Worksスタジオや自宅で、リングモデュレーターを掛けて変調したり、加工したりして組合せると言った手法を使っていたと思われます。詳細については、Slowdown Recordsからの再発CDとかのライナーを参照して下さい。 それで、内容ですが、A面は、回転速度を弄ったテープで始まり、身の回りの金物を使った打撃音とラジオノイズと思われる持続電子音と弦楽器思われる音等を多重録音したプリミティブな実験音楽A1, 多層化されたプリペアードGの即興にディレイを掛けたり、他の物音系ノイズを加工して、加えたりしたミュージック・コンクレートなA2, アコギとDrsを中心とした即興演奏とヒョロヒョロした電子持続音から成るA3, ラジオの加工音や正体不明な物音の加工音、電子音、テープ音に、GやVlnと思われる演奏音源が渾然一体となったA4で締められています。 B面は、Vlnの不協和音とオルガンの演奏にバスドラのキックから成るB1, 何か(多分、発泡スチロール)の摩擦音と短波ラジオのチューニング音と正体不明のノイズが分厚く重なり合うB2, オルガンと深いリバーブの掛かったGの即興演奏に、更にシンセらしき電子音や金物Percやテープ音等の音(=ノイズ)を録音テープの切り貼りで繋いでいるようなB3, テープ音とシンセによる電子音とがトルネードの様に絡まり合い、Gのフィードバック音らしき音も加わり、結構カオティックになっていくB4で締められています。 確かに、当時のFred Frithが共振するのも分かる音楽です。これを「ノイズ」と呼ぶしかないのはよく分かりますが、細分化すること/カテゴライズすることは困難ですね。明らかに既存の音楽からの「逸脱」であり、通常、即興演奏した音源を更に加工するなんてことは殆ど行われていなかったのではないでしょうか(まぁ、Frank Zappaの“Uncle Meat”はありますが)? 結果、「ノイズ」としか言いようのない音楽が生み出された訳です。そう言う意味では画期的な作品であったと思います。これが、1981年にLPとして出ていたら、また違ったのかも知れません!また、A4やB2, B3とかには後のMerzbowの方向性を予感させますね。とにかく、「ノイズ・ミュージック」の産声が本作品には詰まっています!! 全ノイズ・ファン必聴!! A1 “Untitled” (11:24) A2 “Untitled” (2:51) A3 “Untitled” (1:47) A4 “Untitled” (4:35) B1 “Untitled” (1:05) B2 “Untitled” (8:40) B3 “Untitled” (7:24) B4 “Untitled” (4:38) [original cassette] https://youtu.be/cNDzKVTQ8ZU?si=f_PbNQMA4NZ5zfpJ [BandcampのURLを貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/yantra-material-action #Merzbow #YantraMaterialAction #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #LimitedEditions #99部 #MerzbowLowestMusic&Arts #1981年 #Merz #ZSFProdukt #Cassette #1984年 #AnomalousRecords #1993年 #Merzbox #CD #ExtremeRecords #1999年 #SlowdownRecords #2018年#ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽 #Experimental #Noise #MusiqueConcrete #Tapes #Guitar #Keyboards #Synthesizers #Junks #Noises #Violin #Percussions #MasamiAkita #KiyoshiMuzutani
Noise / Experimental / Musique Concrete Kontakt Audio (Merzbow Lowest Music & Arts) 不明Dr K2
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V.A. “Krautrock Eruption (An Introduction To German Electronic Music 1970-1980
ジャーマン・ロック発掘の総本山Bureau Bがまたまた、やってくれました。ジャーマン・ロックで最も特徴的な「エレクトロニックなロック」を集めたコンピレーション・アルバム”Krautrock Eruption (An Introduction To German Electronic Music 1970-1980)”を今回は、ご紹介します。個別のアーティスト/グループについては、既に紹介してあるのも多いので、ここでは割愛させて頂きます。なお、本アルバムに関連した書籍も同時に発刊されています。 それで、内容の方ですが、コンピレーションの為、途中で編集されている曲もあり、そこがちょっと残念ではありますが、まあサンプラーとしてはありかなと思います。 ◉A1 Conrad Schnitzler “Con" (1978年作)(EGG 90 184) より。ミニマルなシーケンスを中心に簡素な電子音が続く心地良い、Schnitzler先生らしい1曲となっています。 ◉A2 Faust “The Faust Tapes" (1973年作)(Virgin VC 501)より。ジャングル大帝のようなトランペットやホーンとミニマルなBにの後にミニマルな変拍子Drsが続き、更に激しくなる、捻った2曲分です。 ◉A3 Brian Eno, Dieter Moebius, Hans-Joachim Roedelius “After The Heat" (1978年作)(SKY 021) より。ピアノとシンセのよるミニマルかつ何処か冷やっとした感触の1曲で、その音感触が如何にもEno関連の音源らしい。 ◉A4 Harald Grosskopf “Synthesist" (1980年作)(SKY 043)より。ミニマルなシーケンスとDrsに、多層的なシンセが絡む1曲で、シンセのメロディは煌めくように響いています。 ◉A5 Cluster “Cluster" (1971年作)(Philips 6305 074)より。蠢く電子音の海から、次第にダブなリズムが不安定に立ち上がってくる混沌とした初期Clusterの代表曲のダイジェストです。 ◉A6 Dieter Moebius & Conny Plank “Rastakraut Pasta" (1980年作) (SKY 039)より。強靭なリズムを持ちながらも、何処か牧歌的な雰囲気もあるMoebiusらしさとPlankらしさの融合した1曲です。 ◉B1 Hans-Joachim Roedelius “Durch Die Wüste" (1978年作)(SKY 014) より。エレピとクラヴィーアの合奏から成る独浪漫派的な美に溢れた曲で、次第にシンセの旋律がテンポダウンしていきます。 ◉B2 Pyrolator “Inland" (1979年作)(Warning Records WR02)より。これは個人的には嬉しい!正にコロコロしたミニマル極まりない多層的なシーケンスから成る曲です。多分、Korg MS-20を使っていると思います。 ◉B3 Wolfgang Riechmann “Wunderbar" (1978年作)(SKY 017)より。流れるようなシンセとシーケンスに、Neu!のようなハンマービートが乗る心地良い曲のダイジェストです。 ◉B4 Kluster “Klopfzeichen" (1970年作)(Schwann AMS Studio AM511)より。ディレイを掛けたBやGやらフルートやらを即興的に演奏している、この時代としては画期的な曲のダイジェストで、本アルバムの中ではやや異質です。 ◉B5 Günter Schickert “Überfällig" (1979年作)(SKY 032)より。様々な奏法で演奏されたGと簡素なDrsを多重録音したSchickertらしいミニマルな曲のダイジェストですが、Voと共に、次第に盛り上がるのが特徴的です。 ◉B6 Asmus Tietchens “Nachtstücke (Expressions Et Perspectives Sonores Intemporelles)"(1980年作) (EGG 91 040)より。上昇するシーケンスに多層的に重ねられたシンセが、数学的とも言える程、美しい初期の名曲です。 この際、これがロックなのかどうかは置いておいて、正しくジャーマン・ロックと言うがエレクトロな音楽の好サンプラーとなっていると思います。特に、殆どの曲が各アーティスト/グループのファースト・アルバムから取られている点は興味深いです。要するに、彼等は最初から、電子音に魅了されていた証であり、また、ミニマルな展開が多いことも、ジャーマン・ロックの特徴と言われていますが、これも当時のシーケンサーとかと相性が良かったのではないかと想像します。多分、私自身は、そこら辺の「ミニマルな電子音による音楽」と言う点が元々大好きだし、そこから、私自身の興味もNDWへと移ってきたのだと思います。なので、久しぶりに、ジャーマン・ロックを並列に聴けたのは、逆に新鮮でした。この当たりのジャーマンロックに興味のある若いリスナーさんにはもってこいのサンプラーだと思います(ヘビーリスナーさんには食べ足りないかも?)!! A1 Conrad Schnitzler “Ballet Statique” (5:03) A2 Faust “I've Heard That One Before / Watch Your Step” (2:50) A3 Eno, Moebius, Roedelius “Foreign Affairs” (3:30) A4 Harald Grosskopf “Emphasis” (4:59) A5 Cluster “21:32 (Bureau B Edit)” (4:36) A6 Moebius & Plank “Rastakraut Pasta” (6:18) B1 Roedelius “Glaubersalz” (3:29) B2 Pyrolator “Minimal Tape 3/7.2” (4:22) B3 Riechmann “Himmelblau (Bureau B Edit)” (6:08) B4 Kluster “Kluster 2 (Electric Music) (Bureau B Edit)” (2:46) B5 Günter Schickert “Apricot Brandy II (Bureau B Edit)” (5:14) B6 Asmus Tietchens “Falter-Lamento” (6:18) B6 Asmus Tietchens “Falter-Lamento” (6:18) https://youtu.be/gQPknhpji_8?si=WnEx1WvgGALO0xQW [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lkloIY4BvOzYdQPAymnLNTQypwW0NpEg4&si=HQuZ8gNjXuGsGn7X [BandcampのURLを貼っておきます] https://bureaub.bandcamp.com/album/krautrock-eruption-an-introduction-to-german-electronic-music-1970-1980 #VariousArtists #KrautrockEruption #AnIntroductionToGermanElectronicMusic1970-1980 #BureauB #VentilVerlag #CompilationAlbum #Krautrock #Electronic #ConradSchnitzler #Faust #Eno,Moebius&Roedelius #HaroldGrosskopf #Cluster #Moebius&Plank #Roedelius #Pyrolator #Riechmann #Kluster #GünterSchickert #AsmusTietchens
Krautrock / Electronic Bureau B / Ventil Verlag 4840円Dr K2
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S.Y.P.H. “Punkraut 78-81”
Canの再来と言われ、実際、Holger Czukayのプロデュースでもアルバムを出している独のバンドS.Y.P.H.の初期音源の決定版が、Tapete Recordsより出来立てほやほやで届きました! タイトル通り1978年〜1981年に行われたセッションからのベスト(?)テイクをコンパイルした内容となっています。Harry Ragの声明が載っていますが、彼は1972, 3年から活動を開始しており、その頃からテープレコーダーが大のお気に入りの楽器だったとのこと。1975年に、Uwe Jahnkeと出会い、2人ともCanの大ファンであったことで意気投合し、寝室で、アコギやボンゴ、おもちゃのトランペット、メロディカなんかでセッションして、毎回、ラジカセで録音していたのだそうです。c-60とかc-90とかのカセットに録音して、”Spleen”と名付けて記録しており、その後、1977年末にThomas Schwebel、その後Ulrich Putschが加わり、S.Y.P.H.と名乗ることになったようです。Jojo Walterは1979年秋に加わっています。Ragによると、彼等は、Erich Kästnerの「やらなきゃ良かったなんてことはない」をモットーに、とにかくやりたいように演奏し、録音をしてきたと言うことです。 本アルバムに収録されている曲A1-A3, A5, A6は、Harry Rag, Uwe Jahnke, Jojo Walter, Ulrich Putsch, A4は、Harry Rag, Uwe Jahnke, Gilbert Hetzel, Thomas Oberhoff, A7, A8は、Harry Rag, Uwe Jahnke, Andrea Becker, Thomas Schwebel, Ulrich Putsch, A9は、Harry Rag, Uwe Jahnke, Gilbert Hetzel, B1には、Harry Rag, Uwe Jahnke, Gilbert Hetzel, Thomas Oberhoff, Stephanie De Jong (Boss & Beusiの片割れ)からなっており、A7, A8は、1978年6月にデュッセルドルフのCarschhausでのライブ音源で、A1, A9, B1は1981年12月にハンブルクでのセッションをUlf Kaiserが録音した音源で、残りは、1978-1979年にゾーリンゲンでのセッションをHarry Ragが録音した音源とのことです。 それで、本作品の内容ですが、A面は、先ず、ヘロヘロのPercにシンセとオルガンや鉄琴やらと即興的なVoが乗るA1, カッコ良いファズGとまるでWildman FisherのようなVoの共演のA2, ヒョロヒョロした笛とファズGのふざけたような共演が続くA3, 結構カッコ良いミニマルでクラウトロックなミディアムテンポのA4, アコーディオンとヘロヘロのPercにBと言う何とも脱力なA5, 渋めのアコギにピアニカとラジオ音、更に出鱈目に歌うハーモニカと言うまたまた脱力感満載のインスト曲A6, いきなりアップテンポで突進するパンキッシュなクラウトロックにも聴こえるA7, これまたミニマルでCanの影響をモロに感じるA8, ゴソゴソしたバックの演奏にMichael Calori風の鋭いGが特徴的なインスト曲A9で、A面は締められています。 B面の長尺の曲は、ややスローで延々と続くBのリフとDrsに、Gや様々なノイズ的音、更に、Boss & Beusiの片割れでもあるStephanie De Jongの速射砲のような電話の声が乗ると言う”B級Can”のようで、中々聴き応えがあります(レコードではロックト・グルーヴになっています)。 本作品に収められている曲は、それぞれ、録音状態も完成度もバラバラですが、初期のS.Y.P.H.がどう言うバンドであったか?また彼らが何故、NDWの中で「Canの再来」と言われたのか?が良く分かる内容になっています。それが確認できるだけでも、このアルバムを聴く価値はあるのではないかと思います!!とにかく、彼等の実験精神がパンパンに詰まったアルバムですね。タイトル通り、全独ロック・ファンは必聴です!! A1 “Ich Und Ich” (0:55) A2 “Industriemädchen (Splut)” (0:28) A3 “Töneflöten” (1:04) A4 “Liebeslied” (3:46) A5 “Mittelalterloop” (1:24) A6 “Wildes Males” (3:36) A7 “Blech” (3:03) A8 “Mondpogo” (2:22) A9 “Two Minutes In A Room” (2:11) B1 “Hello Mr.” (18:44) A1 “Ich Und Ich” (0:55) https://youtu.be/h-CPaCwr2Xw?si=yAzq1iafUOyxyXjV [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_meEER6lWH83TftJvCugV_9ea0lAcPbXMU&si=wT5vmgCPRKtZUlea [BandcampのURLも貼っておきます] https://s-y-p-h.bandcamp.com/album/punkraut-1978-1981 #S.Y.P.H. #Punkraut78-81 #TapeteRecords #EarlyRecordings #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Canの再来 #Experimental #Punk #PostPunk #Krautrock #LiveTrack #StudioRecording #HarryRag #UweJahnke #JojoWolter #UlrichPutsch #GilbertHetzel #ThomasOberhoff #AndreaBecker #ThomasSchwebel #StephanieDeJong
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Rock Tapete Records ¥5060Dr K2
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K2 “Herzmuskelgewebe 2” in box “日本のノイズ音楽”
久々に、私自身の作品を紹介します。1984年録音、1993年カセット作品としてリリースした”Herzmuskelgewebe 2(ヘルツムスケルゲヴェーべ・2[ツヴァイ];「心筋組織2」の意)です。この頃は、本格的にノイズ/インダストリアルに取り組んでおり、数本の「所謂」インダストリアルな作品も作っていましたが、この作品では、特に、マシンリズム(とは言っても一番安物のBOSS DR-55)に、これまた安物ながら自分にとっては画期的だったシンセRoland SH-101のシーケンサーに、ギターやメタパー(とは言っても小物が多かった)、シンセ・ノイズ、クラリネットやテープ操作等を組合せで、ガンガンにビートを強調した曲を収録しています。実は、ここに収められていない曲”Herzmuskelgewebe #2”は、確か、独逸のカセット・コンピ”Inter-Margin Vol.1”に収録されていると思います。メタパーは完全にEistrüzende Neubautenの影響ですね。ビートはEspelodor Geomericoとかからかな?ギターは多分、Null(デュオの時)の影響だったかも知れません。当時の色んなアーティストやグループの影響を受けて、自分なりに作り上げた作品です。何故、”2”がと言うと、この作品を仕上げる前に、1984-5年頃に、独のレーベルからリリースしたのが、ミックス違いのc-30カセット作品“Herzmuskelgewebe”だったので、時間軸的に、こちらが後なので、“2”とした訳です(なので、某DUでの記述は正確ではありませんよ)。それまでにも、マシンビートを中心とした作品は作ったことがありますが、多分、この作品ではシーケンサーを使っていることが最大の違いかもしません。それと、何故か、B面は、1曲と言う長尺の曲を録音したのですが、何故、こんな長尺の曲を録音しようかと思ったのかは、今となっては不明です。使っている機材は、Rhythm-box, Metal-Perc, G, Sequencer, Synth, Organ, Turntable, Clarinet, Effectsです。とにかく、ガチャガチャ、ガンガン、メタパーが、リズムマシンのビートとシンクロして、時にズレたりしながら、突進するノイズ・ロックの原型のような作品ですので、比較的聴きやすい作品だと思いますよ!また、元々のタイトルは、”Overloaded Motor-Fuck”の予定でしたが、どう言う訳か、タイトルを変えていました。後、ジャケは新たに、レーベル側が考えてくれました(中々、気に入っています)。因みに、この再発は、レーベルのArtefAKTs From The Early Japanese Experimental Noise Music Sceneの第3弾としてリリースされました。光栄です! と言う訳で内容ですが、変調マシンリズムとシーケンサーとメタパーによるリズムに、Gのカッティングとドローンから成るA1は最後、ちょっとしたメロディまである異色作で、連続して、重目のマシンリズムとメタパー等のPercに、ピアノ等のテープ操作と時々引き攣るGを組合せたA2, また連続して、ディレイを掛けたリズムボックスとメタパーのビートに、シンセとクラリネットのフリーな演奏が絡むA3, またまた連続して、不穏なシンセのイントロから始まる強靭なマシンビートに、フリーキーなGと変調したクラリネットとSE的シンセが絡むA4, そして唐突に、メタパーの多重録音とリズムマシンとをカットイン/アウトでミックスした鋼鉄マーチなA5で、A面を締めています。 B面は、ノリの良いマシンビートとシーケンサーに、フリーなカッティングのGとメタパーでリズムを強化し、そこにタンテのノイズと唸るオルガンを絡ませた爆走ノイズ・ロックになっています。この頃、DR-55の安物のリズムボックスを音を如何に迫力ある音に録音するかと言うことばかり考えていましたね。 と言う訳で、その後、1990年代以降のスタイルとは全く違った音楽を録音していたのでした。しかも、こんなにビートがあるのに、全曲インストで! そこら辺に興味を持って聴いてもらえると嬉しいです!ロックですよ!ロック!!K2の奏でるロック! A1 “Herzmuskelgewebe #1” (5:30) A2 “Herzmuskelgewebe #5” (5:10) A3 “Herzmuskelgewebe #3” (3:55) A4” Herzmuskelgewebe #4” (4:45) A5 “Herzmuskelgewebe #6” (4:08) B “Peacemaker” (22:30) [original full album] https://youtu.be/zxJwsgPYMtM?si=G6oyEDKxdHHSdoGm [“Herzmuskelgewebe” c-30 full album] https://youtu.be/H0_7OeBG8j0?si=VKmAX7ODJZeiLEl7 [BandcampのURLを貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/herzmuskelgewebe-2 #K2 #Herzmuskelgewebe2 #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #ClearVinyl #LimitedEditions #99部 #1984年 #Recording #1993年 #KinkyMusikInstitute #Cassette #NoiseRock #RhythmicNoise #MachineBeat #ArtefAKTsFromTheEarlyJapaneseExperimentalNoiseMusicScene #日本のノイズ音楽 #Rhythm-box #DR-55 #MetalPercussions #Sequencer #Guitar #Synthesizer #Organ #Turntable #Clarinet #Effects #KimihideKusafuka
Industrial / Rhythmic Noise Kontakt Audio (Kinky Musik Institute) 不明Dr K2
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V.A. “Disk Musik - A DD. Records Compilation”
君は、DD. Recordsを知っているか?! 1980年代前半に、当時、山梨大在籍の鎌田忠氏を中心に運営されていた、日本で最大規模の自主カセット・レーベルです。1980年〜1985年の活動期間で、222本のカセット作品をリリースしています(それ以外にも数枚のソノシートも)。しかも、殆ど利益を考えず、カセットテープ代と付属するA4のコピー・アート4枚分それに送料だけと言う価格で通販のみ(一部は委託もあったようです)と言う徹底的なアマチュアリズムで、鎌田氏も当時、「近所の人が作った音楽が手軽に聴けたら素晴らしいだろ?誰が音楽を作っても聴いても良いんだ」と語っており、余程のことがない限り、リリースを拒むことは無かったと言うスタンスでした。実は、私も自分の個人名義やTechno Menses名義で数本、作品をリリースしてもらっていました。余りノイズ的なものではなく、寧ろ、テクノ・ポップだったり、プログレ崩れな作品を出してもらっており、また当時、私は、メール・ミュージックの一貫として、彼とカセット作品の交換とかもやっていました。DD. Recordsの活動は、宅録の方が中心であったことや通販が主体であったことから、当時の日本地下音楽シーンでは全く無視された存在でしたが、その中の幾つかの作品は、米国Aeonを通じて、海外へもディストリビュートされていたようです。また、海外の一部のコレクターは熱心に買い集めていたようです。現在では、DD. Recordsの中でも活発に作品を出していたK. Yoshimatsu氏のセルフ・コンピや彼のバンドJuma或いはKasugai氏が自身でセルフ・コンピを出したりして、その一端は知る人ぞ知る存在にはなっていますが、肝心の鎌田氏が音楽から突然、リタイアしてしまい、彼自身の素晴らしい音楽を聴くことは中々できない、或いはDD. Recordsの音源自体を未だに購入することが出来ないと言う状況になっています。そんな中で、突然、DD.Records初のコンピレーションLPとしてリリースされ、それによって、またDD. Recordsは終焉したと言われた本作品”Disk Musik”が、英国Phantom Limbからリイシューされました!! その経緯については、私は詳しくは知らないので、ここで書くことは控えますが、40年経って、漸く、再評価されたのか!と感慨深いものでした。多分、海外コレクター経由だと思います。収録されたメンツも、その頃、活発に活動していた方々であり、納得の人選だと思います。 それで、内容ですが、先ずは、丸山圭子と大里真宏と菊地俊行から成るCircadian Rhythmによる、変調スキャットと女声コーラスのイントロから、アコギとVlnに女性Voから成るサイキックなフォーク・ソングA1, 土俗的打楽器のリズムにアコースティックな楽器を組合せて、飄々と歌う倉地久美夫のトリオによるイカしたノリのA2, 高密度の電子ノイズが、ループ音と共に放射されているTomomichi Nishiyamaの10TによるA3, Aqua, Y. Shinmy, Yokozawa, Yoshida-BCGの4人による、声やリズムマシン等のサンプリングを多用し、聴覚を撹乱させるような骨折する実験ポップのA4, 元々はSax奏者でもある磯谷隆文による、Steve Reichを思わせるような非常に洗練されたメロディを奏でるオルガン/ポリシンセによるミニマル曲A5, 倉本高弘のソロユニット名義Maskによる、調律の狂ったピアノの独奏〜変調された口琴のような音〜カシオトーンによる悲しげな旋律の曲から成るA6、K. HirosaとK. HisamatsuのデュオMosque of Tormentによる、初期EGのような、くぐもった強烈なマシンリズムが、最低限のノイズと共に爆走するA7で、A面は締められています。 B面は、今も活動している月本正による鼻歌のような調子っ外れなアウトサイダーなフォーク・ソングB1で始まり、不気味なシンセの緩やかな逆回転にテープ操作音が加わっていく、何か「終末(=音楽から離れる)」を予感させるB2, エレピとリズムマシンを中心とした、爽やかなフォーク・ロック調のB3, 出渕亮一朗のソロユニットCat Dogによる、自作ギターの打楽器的イントロから歪んだギター・ノイズとBの演奏へと流れ込むインプロ・ノイズなB4, 正体不明のYoung Hormonesによる、ちょっと捻った音色のシンセを使って、キュートな女性Voがハキハキと歌うテクノ・ポップなB5, 深くゆったりと流れるようなオルガン(エレクトーン?)の独奏がアンビエンスを感じさせるB6で、本作品は締められています。 こうやって、聴き通してみると、DD. Recordsには、本当に様々な音楽が、様々な完成度で同居していたのだなあと思います。それは、敢えてレーベルカラーを統一させないと言うことを逆手に取った運営方針によるものと思います。当時は(今も?)、レーベルカラーを出すことで、ここのは買い!とかになっていますが、敢えて、それをしなかったDD. Records(鎌田忠氏)の強い意志を感じますね。これが、英国のレーベルから40年経って、再発された意義(例えば、ジャンル分けの意味とか、完成度の意味とか)を再考すべき時期なのかも知れませんね。そんなことも考えさせてくれるコンピレーション・アルバムだと思います! A1. サーカディアン・リズム(Circadian Rhythm) “Shela” A2. Kum “カクスコ持った一日 (A Day With Kakusuko)” A3. 10T “Israel” A4. Abnormal Sex “NHK” A5. 磯谷隆文(T. Isotani) “1/2 Orange” A6. Mask “In And Out” A7. Mosque Of Torment “Ceramic Dance” B1. 月本正 (T. Tsukimoto) “愛の想いはすべてを超えたか (Did The Thought Of Love Surpass Everything?)” B2. 鎌田正 (T. Kamada) “Muzikapart” B3. 田畑佳樹 (Y. Tabata) “夏の模写 (Summer Imitation)” B4. Cat Dog “木目 (Grain)” B5. ヤングホルモンズ(Young Hormones) “たまご (Egg)” B6. 宇佐美啓一(K. Usami) “Soma Illusion” [original full album] https://youtu.be/3XjNZTBs22M?si=s2nuTfiCQYArp8b5 #VariousArtists #DiskMusik #ADD.RecordsCompilation #PhantomLimb #Reissue #2025年 #DD.Records #1985年 #JapaneseCassetteLabel #UndergroundMusic #Amatuerism #宅録 #Folk #PopMusic #Abstract #Noise #Experimental #Minimal # #CircadianRhythm #Kum #10T #AbnormalSex #T.Isotani #磯谷隆文 #Mask #MosqueOfTorment #T.Tsukimoto #月本正 #T.Kamada #鎌田忠 #Y.Tabata #田畑佳樹 #CatDog #YoungHormones #K.Usami #宇佐美啓一
Experimental / Pop / Abstract / Noise / Minimal Phantom Limb (DD. Records) 不明Dr K2
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Sissy Spacek “Entrance”
今回は、出来立てほやほやのSissy Spacekの新譜”Entrance”をご紹介します。元々、Sissy Spacekは、米国LAのJohn Weise (B, Vo)とCharlie Mumma (Drs, Vo)から成るグラインド・コア・バンドとして始まりましたが、やがて、実験音楽的要素を取り入れるようになり、異形のバンドへと変貌していきます。今回は、先述の2人以外に、元P16.D4のリーダーであったRLWことRalf Wehowskyが参加していることが話題ではないでしょうか!それに加えて、日本からは実験ターンテーブリスト毛利桂さんも参加。また、奇才C. Spencer YehやAaron Hemphill, Brad Laner, Marco Fusinato, Tim Barnesも参加しており、更に、各面1曲ずつと言う、グラインド・コアからしたら信じられないような物理量であることも特筆すべき点であり、それだけで期待値爆上がりしてしまいますね。レーベル側の宣伝文を読むと、バンド結成26周年記念の作品であり、元々の音源は、John WeiseとCharlie Mummaが即興的に演奏した時に録音したものを使っているらしいのですが、コラボレーターである外部のミュージシャンによって、それらの音源は大きく変調・加工され、結果として、ミュージック・コンクレートのような、極めて実験的な音楽に仕上がったとのことです。特に、Ralf Wehowskyは新たなコラボレーターであったようで、それも大いに関係しているとのこと。それだけではなく、現在、米国実験音楽界で大活躍のJohn Weiseのコンセプトやテープ操作も本作品に大きく関わっているとのことです(実際、JohnはLAFMSにも関わっていますし、サウンド・エンジニアとしても活躍しています)。ロックを解体し、ミュージック・コンクレートとして再構築した、新たな「ロック」が本作品には詰め込まれています。 それで、内容ですが、先ず、A面は、いきなり、不協和音のピアノらしき打撃音から始まり、とてもグラインド・コアの演奏を加工したとは思えないような静謐かつ緻密な音響工作的な曲であり、物音のようなノイズや完全に加工され尽くされた演奏等が絶妙に配置されています。C. Spencer YehのVlnらしき音や変調された会話等、この組合せ方は如何にもRalf Wehowskyが行ったのではないか?と思わせる出来です。 B面も、テープ操作から、歪んだBや細切れのSaxやホーンやファズG、リズムを刻まない金属製打楽器(ここら辺はCharlie Mumma的)、更には物音系ノイズやフィールド録音等が緻密に組み合わさったミュージック・コンクレート曲になっています。時々、2人の演奏らしき音源の断片が挿入されるのもグーですし、ゆったりとした音や間、騒がしい音、時に暴発する音等、起伏の激しさもロック的に感じます! C面は、ドラムの即興演奏の断片が収められていますが、あくまでも裁断されたサウンド要素としてであり、その間には、キリキリとしたVlnの軋みやフルート、ヴォイス、再生速度を極端に変えた演奏、更には正体不明なノイズがパラパラ漫画のような速さで展開しており、見事にアタックのあるミュージック・コンクリートに仕上がっています。ある意味、最も「ロック的」な曲かも知れません。 D面は、不穏なオルガンとDrsの演奏から始まり、比較的ゆったりとしたドローン的展開と騒がしいグラインド・コア的展開とが上手く組み合さった曲で、時に分離し、時に重なり合い、また、電子音にも似た音源操作も加わって、カラフルな曲構成になっています。 この作品はSissy Spacekが行き着いた、彼等の実験音楽としての到達点なのかも知れませんね。特に、Ralf Wehowskyの参加は、論理的ミュージック・コンクレート的曲の制作に当たって、かなり大きな影響を与えたのではないでしょうか!? なので、これまでのSissy Spacekのファンからしてみたら、かなり異質な問題作だと思います!! ファンの方は覚悟して聴かれた方が良いかも!逆に、本作品はRLWファンには必聴ですね! ◼️LP1 ★A “Web Of Unfolding Appearance” (9:53) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Katsura Mouri, Ralf Wehowsky, Aaron Hemphill, C. Spencer Yeh ★B “Figure Of Reflected Light” (17:46) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Brad Laner, C. Spencer Yeh, Marco Fusinato ◼️LP2 ★C “Trancher And The Inheritors” (17:51) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, C. Spencer Yeh, Tim Barnes ★D “True Dimension (From The Opaque-Spike)” (16:13) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Ralf Wehowsky A “Web Of Unfolding Appearance” (9:53) https://youtu.be/mefDOV4w2zI?si=_na8n9Bm4O4d60-_ B “Figure Of Reflected Light” (17:46) https://youtu.be/2nlwwNYzie4?si=PFdI2JmxeVaUwwnj C “Trancher And The Inheritors” (17:51) https://youtu.be/iSTbGwn1iMo?si=6db7ZUmpSHkPApTs D “True Dimension (From The Opaque-Spike)” (16:13) https://youtu.be/7naqPutCmg8?si=iyMUuG5RP3sfXWWM [BandcampのURLも貼っておきます] https://sissyspacek.bandcamp.com/album/entrance #SissySpacek #Entrance #ShelterPress #US #GrindCoreBand #Experimental #Noise #MusiqueConcrete #JohnWeise #CharlieMumma #Collaborators #RalfWehowsky #KatsuraMouri #C.SpencerYeh #AaronHemphill #BradLaner #MarcoFusinato #TimBarnes
Noise / Experimental / Musique Concrete Shelter Press ¥5830Dr K2
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Solmania “Re-Rurr”
関西のノイズ勢を語る時に、必ず名前の挙がるユニットの一つとして、Solmaniaがあると思います。元々は、グラフィック・デザイナーでもある大野雅彦氏のソロユニットとして、1984年から活動を開始しており、その頃から、自身の自主制作レーベルFatagaga Tapes(或いはWorks Fatagaga或いはFatagaga)を運営しつつ、モンスターのような改造ギターや多量のエフェクター類を駆使した独自のギターノイズをライブや録音物で展開してきました。1994年から、Outoのギタリスト菅原克己氏が加入し、デュオでの名義となっており、当初は、菅原氏は普通のギターを弾いていましたが、その内、2人共、改造ギターによる演奏形態に変化しています。大野氏は、Alchemy RecordsのCD等ジャケのデザインも殆ど全て手掛けているようです。また、近年では、大野氏のソロとして、DestromoやSolmania slur或いはDestroy Ohno Monsters等の名義でも活動しており、カセットのテープを使ったノイズ演奏等、以前とはまたちょっと違った活動もしているようです(私は、関西在住ではないので、リアルタイムには、彼の活動は良く分からないところもあるので、間違っていたら、ごめんなさい)。そんなベテラン・ノイズ・ミュージシャンでもある大野氏のソロ時代のSolmaniaのカセット作品が突如、伊の浦島からレコードとして再発されました!! これには正直、驚きました!「そう来たか!」と(しかしながら、その前に、既に、2022年にも、Solmaniaのカセット作品”Erosion”が、浦島からLPリイシューされているんですよね)。それが、今回、ご紹介する”Re-Rurr”です。オリジナルは1985年にリリースされていますが、ジャケ等は新たに作られています。本作品では、大野氏は、G, Tapes, Radio, Metal, Turntable, Voiceを演奏し、各面1曲ずつを収録しています。 内容は正しく「ノイズ」です!しかしながら、ギターのフィードバックや演奏だけではなく、テープ操作やラジオ音等も多層的に重ねられており、カラフルなノイズ作品に仕上がっています。A面は、地鳴りのようなギター・ノイズから始まり、存分にギター演奏が聴取できる曲になっていますが、B面は、更に音源自体が不明瞭化し、最早、ギターとは思えない音になっています(ひょっとすると、使っていない?)。また、ひょっとすると、ラジオやヴォイスなんかはギターのピックアップから取り込んだりしているのかも知れませんね。時々、微かに聴こえてくる人の声や既製の音楽等がまた良い感じに変化を与えてくれますし、また、シンセを使っていないのに、電子音のように聴こえるマジックがあるようにも思えますが、この頃には、既に改造ギターを使っていたのでしようか?! かなりエフェクターを駆使していると思えますが、それが、Solmaniaの魅力の一つでもあると思います!ただ、イタズラにギターを掻きむしっている訳ではなく、特に、A面では、大野氏のギター・テクニックが遺憾無く発揮されていますし、その細かい音の構築性には魅せられてしまいます。 また、音の質感が、如何にも1980年代っぽくて、個人的には、そう言った面でも、楽しめましたので、ギターの超えた「ギター音」を体験するにはもってこいの作品だと思います! A “Re-Rurr I” (16:22) B “Re-Rurr II” (16:17) [original cassette] https://youtu.be/Rkrj9JkAlp0?si=NLPqZY--09RdDDYc [BandcampのURLを貼っておきます] https://urashima.bandcamp.com/album/re-rurr #Solmania #Re-Rurr #Urashima #2024年 #Reissue #LimitedEditions #199部 #WorksFatagaga #FaragagaTapes #1985年 #CassetteWork #Noise #Experimental #Guitar #Tapes #Radio #Metal #Turntable #Voice #MasahikoOhno #大野雅彦
Noise / Experimental Urashima (Fatagaga Tapes) ¥4920Dr K2
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Merzbow “抜刀隊 with Memorial Gadgets”
またまた、届きました!Merzbowの初期の大傑作との評価も名高い”抜刀隊 with Memorial Gadgets”のリイシュー3枚組で、フェルトによる特殊包装ブツです。元々は、1986年にRRRecordsが、初めてリリースした2枚組LPと言うことで、内容も、1990年代に爆発的に流行った轟音ハーシュ・ノイズの帝王と言う感じではないです。また、本作品は、1993年, 1994年, 2004年, 2005年には、”Batztoutai with Material Gadgets”として2枚組CDとしてRRRecordsから何度もリイシューされ、更に、2013年には秋田氏自身もセルフ・リイシューしています。そして、内容も初版とは若干変わっており、本作品には、2000年に豪Extreme Recordsからリリースされた50枚組CDセット”Merzbox”収録のCD “Mortegage / Batztoutai Extra”ヴァージョンの“Anus Anvil Anxiety”が収録されていたり、2018年に日本のSlowdown RecordsからリリースされたCD から“Batztoutai Mix”と“Jinrinkinmouzui (Wild Animals And Polyhedral Garden -Another Mix)”が本作品に収録されていたり、また、”Moby Dick”は2018年にリマスタリングされていますが、それ以外は、何と!2024年に秋田氏自身が再度リマスタリングしているとのことです。なので、各曲の長さも、以前の再発盤やオリジナルとも若干異なっています。また、B1では、LuluことCharles Edouard Gabriel LerouxがBlue Courts Orchestraを参照して曲に関わっているとのことです。 先ず、LP1のA面は、サイレンのような緊急音に物音系ノイズが絡むA1で始まり、高周波ノイズに、細切れにされた物音やTV音或いはチャルメラのような既製の楽器演奏等、様々な音がそのまま或いは加工・変調されて絡みついて、配置・コラージュされているA2, そして、曲の境目が非常に分かり辛いのですが、重いメタル・ジャンクの打撃音を中心に、既製の音楽や声或いは物音等、様々な音(=ノイズ)がカットインされるA3は、その切り返しが鋭く、同時期のNurse With WoundやP16.D4とも共通項があるように思えます。 B面では、軍楽ラッパ音から始まり、軍楽隊のマーチや軽快な大衆音楽を変調させたり、そこに様々な物音や変調音等が付け足されたかと思うと、やがてテープの早回し音のような音が頭の中を駆け巡る展開となり、ディレイの掛かった既製の音楽の断片等と渾然一体となるタイトル曲B1が素晴らしく、これまた曲の境目が非常に分かり難いのですが、土俗的打楽器のリズムとシャープなノイズの組合せから成る小曲B2, そして、金属質なループの小曲B3で終わります。 LP2は、様々な既製音楽の断片やヴォイス・パフォーマンス或いは物音を緻密かつ直感的に組合せたコラージュが冴えるC1で始まりますが、その密度が凄まじく、何度聴いても新たな発見があります。まるで、現代音楽を更に「現代音楽」させたように感じます。そして、突然の声明の断片から、更に混沌とした音響場へとリスナーを導入し、ディレイの掛かった物音や声明が現代音楽風の音群と見事に融合しています。これまた境目が非常に分かり難いのですが、テープの再生速度を弄ったループと変調した高周波ノイズの組合せが面白いC2となり、その不安定性が何とも不気味に頭の中に残ります。 D面は、打楽器のループ音と物音系ノイズ音の絡みが何となく「和」のインダストリアルを感じさせますが、やがてまた異なるループ音へとスライドしていき、その連鎖は止まりません。そのナチュラルさには舌を巻きますし、またループ音自体の音色の豊かさにもセンスの良さを感じます。 LP3は、声のロング・ループに金属質な高周波ノイズの組合せから始まり、段々と更なる混沌へと突き進んでいくE1から成り、更に色々な物音ノイズや既製音楽(多分、レコード?)の断片がコラージュされていますが、その重ね合わせ方が実に秀逸で、今だに、その手法の鋭さに驚きを感じます。 F1は、ディレイの掛かったプリペアード・ピアノらし音から、子供の声や様々な音(プリペアード・ピアノや早回しの音楽、正体不明の物音群)の緻密かつ鋭角的なコラージュに、タイトル曲でも聴かれたラッパのループや回転速度を弄りまくった軍楽隊のマーチの音等が多層的にコラージュされており、B1とはまた違った趣きになっています。また、50年代のジャズや80年代の歌謡曲等もコラージュされており、全く時代背景の違う音楽を違和感無く同居させています。これらが単なるミックス違いとは思えない程、加工されています。 流石に、一度に通して聴くと、最後はちょっと集中力が削がれますが、とにかく、音そのものにフォーカスしたと言う意味でのノイズ作品であり、タイトル曲等にはそれなりのモチーフはあるものの、本作品は、音の洪水に飲み込まれる程の熱量を含んでいます。先述のようにNurse With WoundやP16.D4との同時代性もあるとは思いますが、それよりも先ず、音の密度と速度が高く、本作品ではそれが際立っていますね。ファースト・アルバム”Material Action 2”では、まだロック的な要素も感じられたのですが、本作品では、完全に実験音楽に振り切っており、また、低俗と高尚と言った二項対立が完全に無意味化して、全く同一線上で扱われているのも凄いです!! リイシューの度に、構成やミックスなど、形を変えているのも、ポイント高いですね。そこら辺にも秋田氏の職人気質と拘りを感じます。未聴の方は是非とも体験すべきノイズ作品だと断言します!必聴!! ◼️LP1 A1 “Uluk Constitution” (2:50) A2 “This Dying Toad Become Forthwith Like Coal For Colour Black” (6:12) A3 “One Eyed Metal” (7:48) B1 “BatzTouTai - The Nightingale's Song” (14:54) B2 “Intermission” (1:28) B3 “Junk Dahkini” (1:25) ◼️LP2 C1 “Anus Anvil Anxiety” (14:36) C2 “Moby Dick” (6:38) D1 “Jinrinkinmouzui (Wild Animals And Polyhedral Garden -Another Mix)” (16:07) ◼️LP3 E1 “Gothol Exodomy” (25:21) F1 “BatzTouTai (1711 Mix)” (23:03) [original full album] https://youtu.be/ZpP1aK6K6BA?si=sdexpdpT57elwvMF [BandcampのURLを貼っておきます] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/batztoutai-with-memorial-gadgets #Merzbow #抜刀隊withMemorialGadgets #BatztoutaiwithMemorialGadgets #KontaktAudio #2025年 #Reissue #Remastering #3LPs #FeltPackaging #LimitedEditions #399部#RRRecords #1984年 #2LPs #EarlyExperimental #Noise #Collage #Experimental #Loops #軍楽隊#BatztoutaiWithMaterialGadgets #RemixAlbum #MasamiAkita #Lulu #CharlesEdouardGabrielLeroux #BlueCourtsOrchestra
Noise / Collage / Experimental Kontakt Audio (RRRecords) 不明Dr K2
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Dissecting Table “Ultra Point Of Intersection Exist”
現在、広島在住で、自身のレーベルUPD Organizationより、少数限定ながら、多数のCDR作品をリリースし続けている辻一郎氏のソロ・ユニットがDissecting Tableです。その歴史は1980年代まで遡り、元々は、ハードコア・パンク・バンド愚鈍の初代Voとして、One!名義で東京で活動していました。その後、1986年に、Dissecting Table名義で、インダストリアル・ノイズを作り始めます。その後、1998年に広島に戻りますが、Dissecting Table名義でのインダストリアル・ノイズ・ミュージック活動は続け、自身のレーベルUPD Organizationを通して、海外への作品の配給や海外レーベルからの作品のリリースを行っています。初期の作品では、シンセとシーケンサーとサンプラーを用いていましたが、2012年以降、彼は、PCを介してPIC (マイクロコントローラー)から出力されるPWMシグナルをコントロールすると言う独自の自作シンセ・システムを開発し、それを用いたバイノーラル以上の音響システムによる録音作品を作り出しています。そして、先述のように、多数のCDR作品をリリースしており、現在では、370作品以上にもなります。このシステム自体については、、私もよく理解はしていないのですが、正に「狂ったコンピュータの中にリスナーが閉じ込められた」ようなエレクトロ・コアな純電子音楽です。特に、ヘッドフォンでの視聴をお勧めします。また、彼は、Maurizio BianchiやErrare Humanum Est等の海外アーティストとのコラボ作や単独作品も自身のレーベルからリリースしており、その活動は更に加速しています。 そんなDissecting Tableは、辻一郎氏(Synthesizer, Micro Composer, Metal Perc, Tape, Vo)そのものであり、作詞・作曲は勿論、録音、ミックス、アートワークも全て1人でやっています。本作品は、Dissecting Tableとしての正真正銘のファースト・アルバムであり、それを今回、オーストリアのKontakt Audioが、ArtefAKTs From The Early Experimental Noise Music Sceneの第5弾として、リマスターして再発した訳です。また、内容も素晴らしいもので、私が1990年代に持っていたDissecting Tableのイメージの原型が詰まっています。 先ずは、リズムマシンとメタパーにシンセノイズと怒号のようなVoが乗る曲構成も良く練られたA1で始まり、ノリの良いシーケンス・ビートにメタパーとハードコアで鍛えたVoが乗るA2, 変拍子の打ち込みビートとメタパーの連打、そして怒り爆発の如きVoとシンセ・ノイズから成りますが、テンポや拍子も変えたりと曲展開も凝っているA3, 更にメタリックな感触の顕著なノイズ成分とマシンビートに荒れ狂うVoとメタパーから成るA4ですが、途中、讃美歌らしき音が入り込むのがキモですね。 続いて、B面は、大胆なマシンリズムとホワイトノイズに、連打されるメタパーが非常にカッコ良いB1で始まりますが、怒りの呪詛の様に繰り返されるVoにも痺れます。神経症的ドローン音に民族音楽の反復から始まり、やがて、メタパー部族の祭典の如き、混沌としたサウンドになるB2でも、やはり存在感のあるVoが際立ちます。土俗的マシンリズムとメタパーの連打に、非常にカッコ良いシーケンスが絡み、ハードコアなVoとドリルのようなノイズが乗るB3ですが、曲構成も打ち込みとは思えない程、凝っています。 いやー、マジで痺れますね!! 当時(1980年代後半)の作品とは思えない程の構成力と迫力を今だに持ち合わせているのが、信じられない位です。良い作品と言うのは、時間を越えて、感じルことが出来ると言う典型だと思います!! 私自身はハードコアとかには詳しくはないのですが、愚鈍時代に既に、あのヴォーカル・スタイルは完成していたのだとか。ただ、そのヴォーカル・スタイルだけではなく、本作品の曲の構成力が凄まじいことは特筆すべきだと思います!そんなDissecting Tableのファースト・アルバムは、インダストリアル・ファンには必聴の1枚となるでしょう!! A1 “Answer” (5:45) A2 “Illusion” (4:42) A3 “Dissect” (5:04) A4 “Clear Up All” (6:10) B1 “Psychic Noise” (5:38) B2 “Today Is Holiday” (7:40) B3 “Control Matter” (7:49) [original full album] https://youtu.be/quIoXSQ8Tcw?si=K6e_k2NIfveg5aMm [BandcampのURLも貼っておきます。こちらは今回の内容です] https://kontaktaudio.bandcamp.com/album/ultra-point-of-intersection-exist #DissectingTable #UltraPointOfIntersectionExist #KontaktAudio #Reissue #Remastering #2025年 #UPDOrganization #1987年 #Industrial #Ritual #RhythmicNoise #HardCore #SoloUnit #MetalPercussion #Sequencer #Vocal #Synthesizers #Tapes #FirstAlbum #IchroTsuji #辻一郎
Industrial / Rhythmic Noise Kontakt Audio (UPD Organization) 不明Dr K2
