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Heldon “Heldon: I (1974) Electronic Guerilla”
最早、集めているに等しいHeldonのファースト・アルバムです。私の持っている盤は、元々Richard Pinhasの個人レーベルDisjunctaから1974年にリリースされた音源をリマスターしてCobraから1979年にリリースされたブツです。この時の参加メンバーは、Richard Pinhas (AKS Synti, G), Alain Renaud (G), Patrick Gauthier (Piano, VCS3), Georges Grumblatt (Synthy VCS3), Coco Roussel (Dr), Pierrot Roussel (B)で、A面1曲目にはRichardの恩師にして、20世紀の大哲学者Gilles Deleuzeの朗読が入っています。もう何度も書いていますが、Richardの音楽は、(Gilles Deleuzeの)哲学とSF文学のごった煮から抽出されたもので、それを実践するのがHeldonであった訳です。全体を支配するAKS SyntiとVCS3のシンセ音が、もう気持ち良過ぎます。それに絡むロングトーンのギターも素敵です。この後もメンバーの入れ替えはありますが、Richardがいると言う一点で、Heldonは成り立つと言うことです。そこら辺は、Robert FrippとKing Crimsonの関係に近いでしょうか。この頃はまだ音が未整理なところもありますが、当時、これだけのシンセを使ったバンドは限られていますね(まあ、独逸のクラウトロック系のバンドは別として)。私は仏語は全くダメなので、Gilles Deleuzeの朗読で何を語っているのかはよくわかりませんが、この曲が、このアルバムのハイライトですね(A面一曲目ですが 笑)。裏ジャケにデカデカと載っているのがGilles Deleuzeでしようか?まあ、ゴリゴリの哲学者が、ロックに参加すると言うのも、今ならあり得ますが、当時としては異例だったのでしょう。まあ、それはそれとして、兎に角、電子音楽の中毒性がこのアルバムにはあります。そんなことを思い出させてくれる作品になっています。皆さんも、このシンセ中毒になってみて下さい。ではでは。 https://youtu.be/XS0WuJrp_4I #Heldon #ElectronicGuerilla #Cobra #ElectronicMusic #Synthesizer #RichardPinhas #GillesDeleuze #Disjuncta #FirstAlbum
Progressive, Electronic Cobra 不明Dr K2
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Masami Akita & Eiko Ishibashi “公園兄弟"
一体「公園兄弟」って何のことだろう?と首を傾げてしまったアルバムは、ノイズ・ミュージックの帝王Merzbowこと秋田昌美氏と最近では「Drive My Car」の映画音楽有名にもなったマルチ奏者の石橋英子さんとのコラボ・アルバムです。私は元々、石橋さんと知り合うキッカケはSNSで何か気になる人がいるなあと思って、YouTubeで検索した時に、Merzbowと一緒に演っているのを見かけたり、吉田達也さんとも一緒にCDを出していたりで、興味を持っていたんですが、その頃は、元Panicsmile位としか知りませんでした。それで、私は石橋さんにコラボはどうですか?と声をかけた所、割と良いレスポンスが帰ってきて、CD ”Compressed Happiness”を出し、その後もRNAと言うバンドでもご一緒させて頂いてます、一方、秋田さんは初期の頃、交流があり、同じメール・アート/ミュージックをやっていたこともありました。そんな2人が、あのedition Megoから、LPを出すことがアナウンスされて、これは買わなきゃと思って買ったんです。それで一度だけ、石橋さんに「なんでMerzbowとコラボ・ライブやるのですか?」と尋ねたところ、「(Merzbowってポップだから」との返答。思わず唸りましたね。私たちより下の世代はそう言う感覚なのかぁ。私からすると、Merzbowは徹底したノイズの求道者だと思っていたのですから。それはそれとして、本作品は恐らく、今は無き六本木Super Deluxeでのライブ音源を元にしてGOK Soundで仕上げたのでは?と推測します。そして担当楽器は秋田さんが、Noise Electronics, PCとDr、石橋さんはPiano, DrとSynthとなっていますが、秋田さんがいつものように暴風雨の様なノイズをかますかと思いきや、柔軟に演奏しています。そして、時々聴こえるリリカルな石橋さんのピアノ。特にB面は表情豊かな音楽を聴かせてくれます。片面1曲ずつですが、ダレるところは有りませんし、また聴くことを強要することもありません。それぞれが場の状況を察知しながら、不定形の「音楽」を紡いでいるかのようで、全体として纏まった感があります。二人とも演奏できるドラムも効果的ですね。因みにミックスはJim O’Rourkeで、彼の卓越した感性が本作品を良い結果に導いていると思います。そんな「何にも取って代わらない」音楽を、貴方も体験してはどうでしようか、 https://youtu.be/BUmR-0sKFTY #MasamiAkita #EikoIshibashi #公園兄弟 #EditionMego #SuperDeluxe #GOKSound #Experimental #JimO’Rourke #Piano #Drums #PC #Electronics #Synthesizers
Experimental, noise Edition Mego 3000円Dr K2
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Aaron Dilloway & Lucrecia Dalt “Lucy & Aaron”
アメリカの”T.G.”との異名をとるWolf Eyesの創設メンバーにして、Hanson Recordsの首謀者Aaron Dillowayと独逸ベルリン在住のコロンビア出身のLucrecia Daltのコラボ盤です。この二人についてバイオグラフィーを少しだけ。Aaronは米国のミシガン生まれで、1990年代にGalenに加入するも、すぐにやめてCouchに加入。その後、Ann Anberに引っ越し、ノイズバンドUniversal Indiansに加入、それが、元になってWolf Eyesに発展していきます。彼は2004年まで在籍。その後,彼はネパールに居を移し、そこでのフィールド録音や現地ラジオの録音などをした後に、2007年にOhioに戻り、ソロ作やEmelslds等とコラボをリリースしています。一方、LucyことLucrecia Daltは、哲学や映画、神話、テクノロジーなどから影響を受けた実験的電子音楽を制作しているアーティストです。2000年代に用いていたLucrecia名義やSound of Lucretia 名義の頃、歌詞と曲に重点を置いたポップな作風でしたが、次第にその作風は変化し、2018年にRVNG INTLより発表した”Anticlines”では儚い声と幽玄な音響による実験的音響音楽になっています。それで、Aaronは、Lucretia とは数年前のツアー中に知り合っており、お互いの音楽を気に入った二人はアルバムを作ることを決め、その多くはNYで録音されたそうで、残りの作業はそれぞれの自宅、BerlinとOberlinで終え、AaronのレーベルHanson Recordsからリリースとなりました。そして,その内容ですが、Aaronのユーモアを交えた、不明瞭でヘンテコリンなテープループとLucreciaのカーテンのような電子音や声が相まって、何とも形容し難いアブストラクトな音楽になりました。曲によってはビートらしき音もあるのですが、基本はアブストラクトな音楽です。私はAaronの作品は聴いたことがあるのですが、Lucreciaの音楽は聴いてないので、単純にプラスとかカケルとかは言えませんが、本作品は奇妙なコラボレーションの結果で、掴みどころが無い感じも、この二人だからこそと想像します。この掴みどころの無さが本作品の最も優れた点であり、こうゆう音楽を今は聴くべきなのではないかな?と思います。宜しかったら,聴いてみて下さい。ジャケも何だか怖面白くていいですね。 https://youtu.be/Od8itbYrVBQ #AaronDilloway #LucreciaDalt #Lucy&Aaron #Collaboration #Abstract #TapeLoop #Electronics
Experimental, noise Hanson Records 不明Dr K2
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Maria Zerfall “Zerose: Liebe Sex & Zärtlichkeit” LP 8
Maria Zerfallのanthology box8枚組の最後のLP8は、Zerose名義で1991年にMusic To Turn Toを通して出していた作品です。ここでは格段に「音楽的」になっています。音自体も初期に比べて、別人とも思えるように、歪みはなく、クリアーなサウンドを展開しています。曲はより曲らしく、それでいて、ミリタリーもののテープ音やホワイトノイズの挿入もあり、一筋縄ではいかないです。またディスコのようなシーケンスとマシンドラムをベースにして、メロディもあって、ちゃんと歌っている曲もあります。なので、この作品からは彼女の音楽性の豊かさが垣間見れます。そして,それは 中々カッコいいです‼️ちょっとズレるかも知れませんが、後期SPKとかテクノとかと共通点があるかも。 https://youtu.be/VEqcSdKqo5M #MariaZerfall #Zerose #LiebSex&Zärtlichkeit #Industrial #Music
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Tote Zone” LP 7
Maria Zerfall 7枚目のLPは”Tote Zone”です。1993年に自主制作よりリリースされたカセット作品です。トライバルなリズムと地獄の底から囁くようなウィスパー或いは淡々としたヴォーカル、凶暴なベースライン。正しく「死の世界」。正しく、インダストリアル・トライバルな音楽ですね。ここら辺まで来ると、録音技術も改善されてて、それぞれの音がキャラ立ちしていますね。ちょっと違うかも知れませんが、Diamanda Galasを想起させるヴォーカリゼーションです。 https://youtu.be/vrz8XfwPi5M #MariaZerfall #ToteZone #Industrial #Tribal
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Totenstille: Der Rest Ist Fluch” LP6
Maria ZerfallのボックスもLP6枚目です。あと少し!今回は,1991年にウィーンで録音され、自身のところから出した自主制作カセット”Totenstille: Der Rest Ist Fluch”です。もうこの頃になると、完全にリズムマシンは新しいモノになり、録音もクリアーに録れている。それで、一人パワ・エレなヴォーカルスタイル(時にウィスパーヴォイスなエフェクティブなヴォーカルもある)とバックの漠然とした電子音の絡みが素晴らしい。また、歪んだベース?ギター?や加工したテープ音もアクセントになっています。音質がクリアになった分、そう言った曲の完成度についつい目が行きますが、相変わらず、不穏なバックの演奏はMaria Zerfallの音ではあるなと思います。特にB-1は混沌としていて素晴らしい❗️また編集の妙で、曲の配置もいい感じになっています。 “Totenstille” https://youtu.be/zHaLuZKor_M [full album] https://youtu.be/icu3P_fsFow #MariaZerfall #Totenstille:DerRestIstFluch #Industrial
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Wäre Das Blut Nicht Rot” LP 5
Maria Zerfallの5枚目のLPは”Wäre Das Blut Nicht Rot”で、元々はTurnabout Tapesからリリースされた作品のうち、1989-1992年のものをコンパイルしたものです。流石にこの頃になると、録音技術も進歩していますが、遠くで鳴ってるシーケンサーに覆い被さる電子ノイズがカッコいいですね。またタントラ的ヴォイスやテープ音のループを乗せたり、その間にベースだと思われる金属質な打撃音を入れたり、少しだけ「音楽的」になってきてます。録音機材も改善したのでしよう。その一方で、メタパーの使用もこの頃には復活しています。ヴォーカルも突き放すかのような口調に変わっています。正に、Cold Industrialな音作りですね。 “Endless Flucht” https://youtu.be/r28ZeLJLS3c #MariaZerfall #WäreDasBlutNichtRot #Industrial #Recordings #ColdWave
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Maria Zerfall In Phase Pervers: Zerfall Pervers” LP4
いよいよLP4枚目。Maria Zerfsllではなく、Maria Zerfall In Phase PerversとZerfall Pervers名義です。 これは別のアーティストがやっているの?と思う位、録音も綺麗だし、ひとつひとつの音が立っている。無駄に歪ませた音もないし.(一部の曲もベースだけちょっと歪ませてある)、ヴォーカルもクリアに聴こえる(が、独逸語なのでわからんけど)。無駄な音を削りとって、新録したような音楽ですが、ベースラインがダウナーですね、それで納得しました。B面もT.G.の”Hamburger Lady”のようですが、ディレイ処理がポイントになつてます。 https://youtu.be/qPWD0m97AAs #MariaZerfall #MariaZerfallInPhasePervers #ZerfallPervers #Industrial #ClearTones
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Säuretod” LP3
Maria Zerfallのanthology box LP 3枚目は “Säuretod”で、1985-1988年の間に自主制作されたカセット作品からコンパイルしてあります。割と短い曲が収録されていますね。ドコドコしたリズムと重めの歪んだベース、それに堂々たるヴォーカルや癖のある電子音やノイズ音。今までよりも録音が、若干洗練されたようですが、その野蛮さはしっかりと保持されています。この方の特徴は、気怠いベースのリフレインにあると思いました。彼女は工業霊媒師なのか? “Säuretod” https://youtu.be/H6WA9sMkYUM “Don’t Meat the Eat” https://youtu.be/aO69ZbfJaKw #MariaZerfall #Säuretod #Industrial
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Nazi Jazz” LP2
Maria ZerfallのAnthology Boxの2枚目LPは、何と”Nazi Jazz”❗️(良いのかなあ、こんなタイトルで。)と言う訳で、今回は1987年に自主制作でリリースしたカセット作品がメインになっています。LP1よりも、更にドスの効いた声が,ひび割れたリズムトラックの上でのたうち回っています。リズムトラックにはメタパーも重なっており、迫力満点ですし、曲によっては、歪んだベースのみの曲も。またヴォーカルも囁くような声も使われていたりして、ヴァラエティに飛んでいますね。電子ノイズやフィードバック・ノイズもプラスされています。何にしろバックの音はTesco Organizationにも通じるものを感じます。全体的にRawな音作りですが、その分、生の迫力を感じます。 “Nazi Jazz” https://youtu.be/IefmP2S7Cmo “Der Befehl” https://youtu.be/-Jm13GI3WjA #MariaZerfall #NaziJazz #Industrial
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Maria Zerfall “Kopfmord” LP1
ここでは連続して、独逸の女性ソロ・インダストリアル・ユニットMaria Zerfall (マリア・ツェルファール)のボックスセットから一枚づつ、紹介していこうと思います。まず、このMaria Zerfallこと本名Christine Weyhreter(クリスチーネ・ヴェーィレタール)が、1982年,CrailsheimでZerfallとして始めた、このユニットのことは,私はよく知らないんですよ。因みにMaria Zerfallと名乗ったのは翌年1983年からです。その後、Düsseldorfに移ってからは、彼女はプライベート・カセット配給の為のMUSIC TO TURN TOをやっています。この活動は1986-1991 年に行われており、彼女には、Aktive Stagnation, Maria Zerfall In Phase Pervers或いはZeroseなどの別名義もあります。また、彼女はライブは数回しか行っていませんが、その間には多数のカセット音源をリリースしております。因みにこのMaria Zerfallにも少し意味があります。Mariaは純粋無垢であること,Zerfallは全てがフィジカルには朽ち果ててしまうことを意味しているそうです。 それで、LP1 “Kopfmord”ですが、主にTurnabout Tapesからリリースされていた1983-1986年のトラックがコンパイルされています。まだ初期である為か、単調で、それ程歪んでいないリズムトラックとシンセによる電子音及び朗読のようなヴォイスからなっています。また、曲名には”@?@“のような意味性の無いものがちょくちょく見られます。本来の意味での個人的インダストリアル・ミュージックを拝聴することが出来ますね。しかしながら、歌詞らしき言葉の発音には強い意志を感じます。 (曲名です)“Kopfmord” https://youtu.be/45OlnpMoWL4 #MariaZerfall #Kopfmord #Industrial #Private
Industrial Vinyl on Demand Box 15000円位Dr K2
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Mark Cunningham “Blood River Dusk”
Mark Cunninghamって聞いて、即答出来る人いるかなぁ❓ そうです、あの”No New York”に収録されているMarsのベーシストです❗️元は米国NYCに住んでいた彼はひょんなことから、スペインに移住していたのです。しかも、ベースからトランペットに持ち替えて,音楽活動を続けていました。そこら辺を経緯をちょっと紹介したいと思います。1980年代にMarsは解散し、その後,Mark CanninghamはDon Kingと言うバンドで80年代は活動を続けていましたが、それ以外にもRaeo, Bel Canto Orchestra, Bèstia Ferida, Blood Quartetなどのバンドやデュオに加わっていました。それで、MarkはDon Kingに籍を置いてツアーをしていた時、1986年にスペインのバルセロナを訪れており、そこで、Anton IgnorantやGatなどの即興演奏家のシーンを知ったようです。その後、毎年、行っていたので、自然と仲良くなり、1990年代にはバルセロナに移住していました。その頃のNYCシーンに疲れたとも。それで、彼はRaeoと言うグループを真っ先に結成して活動していました。そんな訳で、彼はソロアルバムを作ることになります。それが本作品であり,彼のファースト・ソロ・アルバムになります。ただ、録音機材は4 Track Rrcorderとちょっとしたエフェクターで行っており、また、現地のバンドCormac McCarthy’s Blood Meridianにインスパイアされただとのこと。また、録音は、Superelvisから借りたAdarを使って、Raeoのリハーサルスタジオで、残りは家で作ったものらしいです。そんな事情で作られたのが本作品になります、 それで,内容ですが、彼が使っている楽器は、トランペット、ベース、リズム・ループ、サンプラー、Korg MS-20, Toy Pianoで,協力者のSilvia Mestresはギターと声、Oriol Rossellが一曲でリズムトラックを担当。まあ、殆どがらMarkが作っているようなものです。結果、熱病にうなされたファンクとも言うべき音楽になっています。彼のトランペットは弱々しく吹き鳴らされ、熱病の細菌を撒き散らすが如くです。時には熱いサルサっぽいリズムやブレイクコアなリズムも聴こえますが、やはり病的な印象ですね。No Wave関連の人のその後は、やはり違うな!とも思いました。彼のうなされる様なトランペットを聴いてみて下さい。 “Blood Meridian” https://youtu.be/-3UlD_CdVYw “Night Tripper” https://youtu.be/dB3gpiOzqms #MarkCunnimgham #BloodRiverDusk #Mars #Trampet #Spain #Raeo
Experimental Feeding Tube Records (Por Caridad Producciones“ 3000円Dr K2
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The Boomtown Rats “The Fine Art of Surfacing”
このパンドのことは知らなくても、VoのBob Geldofかパンドエイドをやったこととか「哀愁のマンディー」と言う曲は知っているかもしれませんね。と言う訳で、パンク勃興期にアイルランドから出てきたバンドThe Boomtown Ratsの4枚目のアルバム”The Fine Art of Surfacing (邦題「哀愁のマンディ」)の紹介です。メンバーは全員アイルランド出身で、Bob Geldof (Vo), Garry Roberts (lead G), Johnnie Fingers (Kbd), Pete Briquette (B), Gerry Cott (rhythm G)及びSimon Crowe (Dr)の6人組で、 1975年にダブリンで結成、6枚のスタジオ・アルバムを出した後、1986年に解散。その後、2013年にKbdのJohnnieとGのGarry以外のメンツで再結成。初ライブの時はThe Nightlife Thugsと言うバンド名であったが、余りに酷いとのことで、Woody Guthrieの自伝”Bound for Glory 「ギターをとって弦をはれ」”に登場するギャングの名前から取られました。1977年にデビュー、1978年にシングル”Rat Trap”でアイルランド出身のバンドとしては初めて全英1位を獲得し、注目を浴びることになります。”Like Clockwork”などもヒット。そして、1979年に全英1位となったシングル”I Don't Like Mondays(哀愁のマンデイ)”は、1979年の1月29日にアメリカのSan Diegoの小学校で当時16歳の少女が起こしたライフル乱射事件を描いた曲で,曲名は彼女の犯行動機のひとつが「月曜日が嫌い」だったことによるとされています。その後、VoのGeldofはUltravoxのMidge Ureと共に、1984年、エチオピアで起こった飢餓を受け、チャリティープロジェクトBand Aidを立ち上げ、英国とアイルランドのロック/ポップ界のスター(David Bowie, Sting, Paul Weller, Glenn Gregory, Simon Le Bon, Boy George等)を大々的にフィーチャーしたGeldofの曲”Do They Know It's Christmas?”をリリース、大成功を収めました。このようなチャリティー運動は後のLive AidやUSA for Africa等に受け継がれていきました。逆に、Band AidでBobの名前を知った人の方が多いかも。しかしながら、肝心のThe Boomtown Ratsの方は人気が下降し、1986年に解散しています。2008年にメンバーの内、Garry RobertsとSimon CroweらがThe Ratsの曲を演奏したりしてましたが、2013年に、Bob, Garry, Pete及びCroweで正式に再結成を果たし、約27年ぶりに活動を再開いています。 それで,本作品ですが、パンクとかニューウェーブと言うよりも、割と普通のポップスとして聴くことも可能で、彼等のソングライティングの能力が高いと認識しました。また、バンドとしてもごちゃごちゃに成らずに、アンサンブルが適切で、良いポップバンドなんだなあと感心しました。その中でもヒットした”I Don't Like Mondays”はかなりポップス寄りで、アレンジも、ピアノや弦楽器をメインにしてメジャー寄りになっているように思えます。偶にはこう言うヒットチャート物を聴いても良いんじゃないかなぁ? [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL8UfM7ycll7RA24p7sUZSiEbpPRbJDse- “Like Clockwork” https://youtu.be/BtDhMScCkcQ #TheBoomtownRats #TheFineArtOfSurfacing #BobGeldof #BandAid #IDon’tLikeMonday #哀愁のマンディ
NEW WAVE, Punk Rock MERCURY Records 500円Dr K2
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Gary Numan “Telekon”
またポップなものを!今回、紹介するのは、テクノポップ(エレ・ポップ)の代名詞とも言えるGary Numanの4枚目のスタジオアルバム”Telekon”です。彼はエレクトロニック・ミュージックのパイオニアでありUltravox!、それもJohn Foxxを師と仰ぐ程のマニアであることは有名です。先ずは簡単にバイオグラフィーを。彼の音楽歴は1977年のパンクバンド”Mean Streatから始まっていますが、メロディメイカー誌でメン募のあったPaul Gardiner (B)と共に、脱退し、その同じ年に従兄弟のJess Lidyard (Dr)を誘って、1977年にTubeway Armyを結成。翌年にはBeggars Banquetと契約して、1978年にはセルフタイトルのアルバムを発表しています。その後は本名名義で着実にアルバムをリリースし、UKチャートのトップ10に食い込んだそうです。特に3枚目のアルバム”The Pleasure Principle”とそこからシングルカットされた”Cars”は大ヒットしました。勿論、次に出た本作品とシングルカットされた”I Die: You Die”と”This Wreckage”もチャートインしています。彼はシンセのヘビー・コレクターでもあり、時にはギター無しのシンセとベース&ドラムの曲も作っています。しかしなから、その後、彼はエレクトロニックな音楽から離れるようになり、通常の楽器(JapanのMick KhanやRob Dean及びQueenのRoger Taylerらが参加)も使うようになります。それで作られたのが、1981年リリースのアルバム”Dance”です。その後、長年のBであったPaul Gardinerがドラッグで死亡。そこら辺から人気が下降します。その後、彼は飛行機のパイロットになったとかの噂がありましたが、本当に自家用飛行機を購入してます。その後はJazzy或いはFunk色が強くなったり、逆にアグレッシブなアプローチをしたり、自分のレーベルを作ったりで、しぶとく生き残り、2017年にはアルバム”My Name Is Ruin”をリリース。また、2021年にもリリースがあったとか。 それで、本作”Telekon”ですが、この初期のヒットアルバムには一種の即物的なディストピアのイメージがあり、彼の「人間味」に乏しい声質もあって、彼は実はアンドロイドじゃないか?と思わせる曲が目立ちます。あと、割とシンセのメロとヴォーカルのメロがユニゾンになっているのも特徴的ですね。この作品ではギターは余り使われておらず、あくまでもシンセ主体です。ただ、生ピアノも使われているところから、次の作品への布石かな?とも思わせます。ギターの音もフランジャーをかけた金属質な音色で使われていますが、この時期までの彼の作風は殆ど同じ(Ramonesみたいですね)なので、皆さんも、一度は聴いてみて下さい。 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLEWVE7vaWTcOtQkR6UrpSmUirD5SWe2TQ “We Are Glass” https://youtu.be/kqMSyUEWi2o #GaryNumsn #Telekon #TubewsyArmy #ElectronicPop #TechnoPop #IDieYiuDie #BeggarsBanquet #Synthesizer
Techno pop, New Wave ATLANTIC Records 650円Dr K2
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白石隆之 “d^b”
またまた、白石隆之さんの本名名義の作品”d^b(ダブ)”です。今回は、今までの過去音源の紹介とは違って、新録と言うことと7㌅シングルにブックレットが付いているのでご紹介します。盤はクリア盤で、3〜4分程度の曲”Zanzo”と”Zankyo”からなります。両曲とも打ち込みによる電子音楽で、頭の中をちょっとシェイクするかのようなアブストラクト・テクノな内容となっています。まあ,踊れない電子音楽ですね。これに対応して、ブックレットの方も,白石さん撮影の多露光撮影の写真のカラー印刷が納められており,こちらもアブストラクトな内容となっています。この二つの媒体を取り出し、プレーヤーにかけたり、裏返したり、ブックレットをめくって見たりする行為にフィジカルな意味合いがあるように思え、一種の謎解きがあるようにも感じられます。また,白石さんはこの作品を自身のプライベート・レーベルHERE.から出しており、ちょっとした実験的音源を軽いフットワークでリリースすることができるアウトプットが欲しかったと言っています。丁寧に作られていますので、もし、現在進行形の白石さんの音に興味が有れば、聴いてみて下さい。恐らくそんなにはプレスしてないと思われますので、このシングル&ブックレットが欲しい方は急いで下さい❗️ [流石にYoutubeにはアップされていませんので、白石さんの2011年のライブ音源を] https://youtu.be/xADFQDzzOrQ #ShiraishiTakayuki #Zankyo #Zanzo #HERE. #PostRock #AbstractTechno #Booklet
Experimental techno HERE. 1000円Dr K2
