-
Pseudobasilicus lawrowi
全長45㎜の子供個体。 母岩とのマッチングはいいし、形も整っているので、小さくても気にならない。 考えてみれば、私のもっているロシア三葉虫は小さいものばかりだ。 理由は簡単で、そうでもなければとても手に入れられないほど、ロシア三葉虫は高価なのである。 産地はヴォルホフ河流域の Aseri Horizon、時代はオルドビス紀中期とのこと。 Pseudobasilicus は昔は Ptychopyge の仲間に入れられていて、たしかに見た目もよく似ているのだが、どういうわけかいまは Pseudoasaphus の仲間に入っているようだ。 また Pseudobasilicus にも二種類あって、P. lawrowi と P. planus とを比較すると、前者のほうが頬棘が太くて長い、額の小さい角のような突起が明瞭、頭蓋前方が細長い、尾板の畝がカーブしている、などの違いがあるとのこと(SPPLの図鑑による)。 あと余談だが、本種の名前の元になった Basilicus というのは、イギリスで産出する三葉虫で、ソルターの画期的な論文「英国の三葉虫」でも大きく扱われている。 かなり大型化する種のようで、tyrannus の種小名が示すとおり、威風あたりを払うといった風情だ。 (追記) ソルターの本から Basilicus tyrannus の画像を追加しました。
三葉虫ktr
-
Dioptase
ダイオプテーズは価格的にはやや高めな印象だ。 それだけ人気があるともいえる。 私にとっても憧れの鉱物だったが、手に入れたものを見ると、どうも思っていたのと違う。 確かにきれいなことはきれいだが、ルーペで拡大すると、その質感がなんとなく樹脂に色づけしたような感じで、石らしい落ち着きや深みがないのだ。 うーん、こんなもんですかね?
コンゴktr
-
Agate egg
瑪瑙は人工的に色付けできるし、さまざまな工芸品に細工されたりもするので、ミネラルショーなどでは人気のようだ。 そして、まさに上記のような理由から、個人的にはあまり好きになれない鉱物でもある。 これを手に入れたのも、赤い鉱物が欲しいという理由と、それからやはり玉子型に惹かれたんでしょう。 ところで玉子型のオブジェの意味するところは何か。 それはやはり復活祭の玉子に象徴されるような、死と再生のイメージだろう。 しかしそれとはべつに、アナトール・フランスの奇妙な短篇「赤い卵」のことが、私の頭にあったのかもしれない。 サイズ:40㎜
マダガスカル?ktr
-
Chrysocolla + Malachite
球形や玉子型に研磨した鉱物標本というのは一定の需要があるようで、それを飾るための木製の台なんかも売られている。 この標本(というかオブジェ)は、濃淡さまざまな緑色の模様が入り混じっていて、どれがクリソコラでどれがマラカイトなのか、判然としない。 茶色くみえるのは母岩の残りだろうか。 まあ余計な詮索は抜きにして、それらの色が織りなすマーブル模様と、玉子型の造型とを愛でていれば十分なのかもしれない。 クリソコラにしろマラカイトにしろ硬い石ではないので研磨には不向きのような気がするが、こうして磨かれたものをみると、表面はつるつるして非常に安定している。 サイズ:44㎜
ペルーktr
-
Calcite (?) + Rosasite
メキシコの著名産地 Ojuela Mine で採れたもの。 Rosasite はローザ石とか亜鉛孔雀石とか呼ばれているが、音読みしてローザサイトとしておくのがいちばん通りがいいようだ。 本標本での形状はもこもこしたブドウ状で、私のもっとも好む形なのだが、買ってしばらくすると、その一部が変色して白濁してきたのには参った。 けっこう環境の影響を受けやすいみたいだ。 幸いにして、変色はそれ以上広がらずその後ぴたりと止んだが、これもふしぎといえばふしぎだった。 白くみえる部分は Calcite(方解石)とのことだが、どうだろう。 硬度や質感から石英とみるのが妥当のように思う。
メキシコktr
-
Cactus (spirit) quartz + Hematite
水晶に赤鉄鉱の被膜(?)がついたもの。 赤鉄鉱は塊状のものは黒だが、色素そのものとしては赤なので、細かく砕けば砕くほど赤い色を呈するようになる。 本標本などはまるで水晶が血を滴らせているようで、ヘマタイトの語源的な意味(血の石)をよく表している。 (註)ヘモとかヘマとかいう文字は血に関係するものが多い(ギリシャ語のハイマ(血)に由来) なお水晶の部分は cactus (spirit) quartz となっているが、本来的なカクタスクォーツ、スピリットクォーツとは別種の趣がある。 サイズ:60㎜
不明ktr
-
Calcite
和名は方解石で、水晶(石英)と並んでもっともポピュラーな鉱物。 ただし硬度は石英の6に対して3で、ずっと軟らかい。 この標本は結晶を劈開の形に割ったもので、複屈折の現象を観察するのに適している。 三葉虫の目のレンズは本鉱でできていた、という説をよく目にするが、根拠はイマイチはっきりしない。 まあカルサイトの成分が炭酸カルシウムであることを思えば、生物が組織をつくるには好都合な物質であろう。
中国ktr
-
Cleoniceras cleon
わが記念すべき化石購入第一号がこれ。 いまでこそ珍しくもないハーフカットのアンモナイトだが、これをヤフオクで見つけたときは衝撃だった。 すごいものが手に入ったという感動でしばらくは興奮が収まらなかった。 それ以降、各種のアンモナイトを漁る日々がつづいたが、やがて三葉虫熱に取りつかれてしまい、徐々にアンモナイト熱は冷めていった。 いまでは集めたアンモナイトはおおかた手放して、残ったのは本種を含む3個だけだ。 なぜその3個が残ったか? これは私には意味があるけれども、他人にはなんの興味も湧かないだろうから省略する。 いずれにしても、アンモナイト対三葉虫の戦いは、後者の圧倒的勝利によって終りを告げた。
アンモナイトktr
-
Perisphinctes sp.
化石集めの初期に購入したもの。 そのころは室内装飾に凝っていたので、なにか飾りになるものというのでこれを手に入れた。 保存はあまりよくないが、165㎜というサイズは装飾品としてはじゅうぶんだろう。 これを買ったころはペリスフィンクテスという名前で出回っていたが、いまはもしかしたら名前が変っているかもしれない。 しかし正式名称はどうあれ、一般的には「マダガスカルの白いアンモナイト」といえば本種を指す。 多産する種類で、もちろん値段は安いが、形としては数あるアンモナイトのうちでも優美な部類に入ると思う。
アンモナイトktr
-
Escharopora falciformis
オルドビス紀ケンタッキー産のコケムシで、その名(falciformis = 刀の形をした)のとおり半月刀のようにもみえる。 もっとも拡大してみると、この刀には細かい孔が規則正しく並んでいて、これがコケムシ本体の棲み処だと知れる。 コケムシにしろサンゴにしろ、本体(個虫)は消え去って棲み処だけ残っているわけだが、同じことはアンモナイトにもいえるだろう。 本体サイズ:約45㎜
蘚虫類ktr
-
Ceraurus pleurexanthemus
オルドビス紀ニューヨーク産。 ウォルコットの砕石場で採れたものらしいが、同地の他の標本と比べると、どうも風合いが違う。 産地を偽っているわけではないと思うが、あまり目にしないタイプの標本だ。 本種については、ウォルコットが三葉虫の付属肢を調べるのに使った切片標本の話が有名だ。 エンロール状態のものをスライスして磨き上げた標本の画像はじつにファンタスティックで、サイケデリックですらある。 フォーティはその話を紹介した際に、ウォルコットが本種を C.p.と略記している理由として、種小名の pleurexanthemus が長すぎてややこしいことをほのめかしているが、このものものしい名前はおそらく「花弁状の肋」というほどの意味ではないかと思う。 本体サイズ:尾棘込みで45㎜
三葉虫ktr
-
Macrocrinus mundulus
保存のいいことで知られる石炭紀インディアナ産のウミユリのうちもっとも一般的なもの。 一般種というので低く見られがちだが、優雅さという点でこれに優るものはそう多くない。 むしろこれほど優雅で美しいものが一般種であるというのが不都合千万(?)なのだ。 この保存のいい産地でもし三葉虫が出たら、と思うが、どうやらウミユリ限定のようで、三葉虫が出たという話はきかない。 本体サイズ:約110㎜
海百合ktr
-
Cyphaspis ceratophthalma
意外なことに、これが Cyphaspis の模式種らしい。 買った当時はそんなことはまったく意識しなかった。 アイフェルという古典的産地に対する憧れだけで買ったようなものだ。 いまでもアイフェルに対する憧れはあるけれども、それを満たしてくれる標本に出会うことはない。 もしかしたら本種が私の唯一のアイフェル標本になるかもしれない。 そう思うと、これは大切にしなければという気になってくる。 本体サイズ:トゲ込みで23㎜
三葉虫ktr
-
Cupulocrinus sp.
オルドビス紀オンタリオ産のウミユリ。 詳しいことはわからないけれども、おそらくそれほどレアなものではないはず。 佇まいは前に登録したウミリンゴとよく似ている。 咢の部分がややつぶれ、羽肢もややばらけているが、全体としてはほどよく保存されている。 ウミユリはその名のとおり植物にも似ているが、私にとって魅力的なのはその動物的な部分、端的にいえばエイリアンを思わせる体制にある。 この動物的でもあり植物的でもあるところがウミユリの最大の魅力ではないかと思うが、どうか。 サイズは本体約120㎜。
海百合ktr
-
Lemureops lemurei
シュードキベレの仲間だが、見た目がかなり異なるので、別属として立てられたらしい。 北米産の、こういう立体的に保存された三葉虫は、たとえサイズが小さくとも、その質感にはつねに見るべきものがある。 こういうシックでマットな質感は、他の産地にも見られるのだろうか? いずれにせよ、質感のよい北米産の三葉虫は、歴としたフォルマリスト(形相派)をもマテリアリスト(質料派)に傾かせるに十分だ。 本体サイズ:14㎜
三葉虫ktr
