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Vysocania iberica
なんとも知れない僻地の僻標本。 本種の画像を見て、その尾板の畝から、これはもしかしたらスクテルムの一種ではないか、と思って購入したもの。 ネットにはヴィソカニア・イベリカの資料も散見するけれども、どうも私の手に入れたものと同一とは思えず、いったいこの標本がヴィソカニアかどうかもいまのところ不明だ。 私の希望としては、ヴィソカニアではなくて、オルドビス紀に出た稀少なスクテルムの一種だったら嬉しいのだが、その可能性は低い。 本種について新たな知見があったら、また報告します。 全長:36mm
Ribeira do Casalinho Fm. UORD Mação, Portugalktr
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Vanadinite Crystals
ミニチュアサイズの標本だが、小さいのにけっこうな重さがある。 まずそれが驚きだった。 それと色。 画像では鮮やかな赤だったのに、現物はくすんだような色合いで、むしろ茶色に近い。 「だまされた」と当時の私は思った。 しかし、自分で写真を撮ってみれば、やっぱり赤く写るので、売り手もことさら騙そうとしたわけではないことに気づいた。 和名は褐鉛鉱もしくはバナジン鉛鉱。 重いのは鉛が入っているからだろうか。 小さい標本だが、六角形に育つところはよくわかるし、サンプルとしては十分だろう。 サイズ:3㎝ほど
Morocco ebay, affordableminerals 2014/1/31ktr
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Uvarovite
初めてミネラルショーで買った鉱物。 値段は忘れたが、かなり安かった。 もしかしたら値札の貼り間違えではないかと思う。 和名は灰クロム柘榴石。 こういう場合の「灰」は「はい」でなく「かい」と読むのがふつうのようだ。 「灰」はカルシウム成分をあらわしている。 本鉱はカルシウムと、クロムと、珪素と、酸素とから成っているらしい。 化学式で書けば…… いや、やめておこう。 そういうのは私の領分ではない。 高校時代にちゃんと化学をやっていなかったことがいまごろ悔やまれる。 サイズ:3㎝ほど
Sarany, Perm, Ural Mts., Russia HORI MINERALOGY LTD 2014/4/27ktr
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Stromatopora sp.
ストロマトポラは和名を層孔虫といい、さまざまな形の群体を形成する。 このゴトランド産のものは、ヘルメットを何層も重ねたような構造で、当地では catskull と呼ばれている由。 これほど見た目がつまらない化石も珍しいと思うが、私はどういうわけかこのつまらなさに惹かれるものがあって、ゴトランド産の各種サンゴ類がことごとく放出の憂き目に会うなかで、なんとか手元に残った数少ないもののひとつ。 これを眺めていると非常にリラックスできる。 この安心感は、これが形状的に胎内回帰の夢を孕んでいるからだろうか。 サイズは幅7㎝ほど。
unknown SIL Gotland, Swedenktr
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Stigmaria reticulata
植物化石といえば、代表的なところでロボク、リンボク、フウインボクがよくあげられるが、私はこのうちロボクがあまり好きではなく、よっぽど気に入った標本以外はたぶん買わないと思うので、代りに担根体(Stigmaria)をあげておく。 担根体という言葉からもわかるように、これはリンボクやフウインボクの root system で、丸い乳頭様の部分から根が生えていたらしい。その根の化石は残らないようで、まだ見たことはない。 本種はスティグマリアのうちでもあまり一般的ではない S. reticulata という種で、表面に皺がよっているのが特徴らしい(reticulata は網状になった、の意)。 この標本は大きさのわりに重く、鉄の塊かと思うほどだが、どうやら母岩は siderite(菱鉄鉱)という鉄鉱石らしく、断面は赤味を帯びている。 サイズ:9㎝ほど
Orzeskie Beds PENN Upper Silesia Coal Basin, Polandktr
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Spinocyrtia sp.
腕足類の類としての寿命はおそろしく長い。 なにしろカンブリア紀から現在まで生きているのだから、三葉虫などと比べてみてもはるかに長いわけだ。 しかしもちろんその間に滅びてしまった種類もある。 スピリファーもそのひとつで、三畳紀の中期に絶滅したとのこと。 かつては腕骨入標本もけっこう目にしたが、最近ではさっぱりだ。 今回買ったものは、写真では非常に魅力的に見えたが、現物はまあそれなりで、改めてプロのカメラマンの腕に敬服する。
Zagórze Fm. LDEV Bukowa Góra quarry, Holy Cross Mts, Polandktr
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Sphaerocoryphe robusta
うちにある標本では唯一の真の稀少種といえるのがこれだ。 サイズは14㎜と小さいが、これでも成体なのである。 私はどういうわけかこの手の頭ボールと呼ばれる三葉虫に惹かれるものを感じる。 しかし手に入れたのはこれだけで、ほかのにはなかなか手が回らない。 理由は簡単で、いずれも程度の差こそあれ稀少種であり、そのため値段がかなり張るのだ。 頭ボールときけば、断片であっても、部分であっても、やみくもに欲しくなる。 たぶん一種の病気だと思う。 本種においては、頭だけでなく、尾棘も魅力になっている。 頭ボールと二股になった尾棘とを兼ね備えている点で、本種は小さいながらも最強の三葉虫だ。 産地:ニューヨークのラスト・フォーメーション
Rust Fm. UORD Gravesville, NY, USAktr
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Shattuckite, Muscovite and Quartz
わが愛するシャッタカイトとマスコバイトがクォーツ上で出会うという。 これはぜひとも立ち会わねば。 というわけでこの標本。 うーん、どうも期待外れですな。 緑色の被膜状のものがシャッタカイトならば、まあそれはそれでいい。 ではマスコバイトはどこにある? ところどころに散在する微小な光る点(粒ですらない)がマスコバイトなのだろうか? なんぼなんでもそれはないと思うが…… けっきょく、この標本ではっきり識別できたのはクォーツだけという…… そのクォーツも細々として頼りない。 緑青のようにへばりついた何か(シャッタカイト?)のおかげでシャビーな味が出ているのがせめてもの救いか。 サイズ:5㎝ほど
Kaokoveld plateau, Namibia ebay, sahotrocks 2018/10/2ktr
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Shattuckite in Quartz
シャッタカイトがクォーツ中に入り込んだもの。 ルーぺで見ると、粒のように丸まった形で入っている。 扱いやすいし、見た目も涼しげなので、夏の暑い日によく眺めていた。 下の方は石英が塊になっていて、なんとなく懐かしい感じがする。 子供のころローセキで遊んだ記憶が呼び覚まされるのだろうか? サイズ:4㎝ほど
Kaokoveld Plateau, Namibia ebay, kalahariclassics 2016/9/5ktr
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Shattuckite Crystal Sphere
いまにして思えば、ここに見られる青色ははたしてシャッタカイトのものか? 銅の二次鉱物の代表であるマラカイト、アズライト、クリソコラの混在によるものではないのか? そんなふうに考えてみたが、しかしこの青色は少なくとも私の知っているアズライトの色ではない。 そうかといって、私の知っているシャッタカイトの色ともやはり異なっている。 まあ、シャッタカイトにはこういう色もありますよ、ということでいちおう納得しているが…… 研磨された表面はわりと凸凹で、クラックもある。 例によって手で触った感じはカチンコチン。 またこの手のオブジェの常なのか、産地情報はない。 買ったときにはチャクラがどうしたとかいう怪しげな説明もついていた。 サイズ:6㎝弱
ebay, star-crystal 2019/9/19ktr
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Shattuckite
丸いボールが三つ重なっているような、おもしろい形をしている。 これはぱっと見ただけではわからないが、やっぱり botryoidal(葡萄状)の標本で、ルーペで観察すると粒々が確認できる。 この粒々が全体を覆っていたらよかったのだが、どうも大部分が剥離(?)したらしく、地肌の部分が水色にみえている。 裏側にはカルサイトのようなものも見え、アズライト、マラカイト、クリソコラなどが混在している可能性もある。 サイズ:3㎝ほど
Katanga, Congo ebay, quebul-minerals 2017/9/28ktr
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Shattuckite
いっときはシャタック石とも呼ばれていた。 市場に出てきたのは21世紀に入ってからのようで、古い図鑑(堀氏のものなど)には載っていない。 その鮮烈な青さと、ヴェルヴェットのような質感に惹かれて入手した。 これをじっと眺めていると、ふしぎな感覚に襲われる。 それは宇宙的でもあり、また内部感覚的でもあるような、一種の神秘感だ。 ミクロコスモスとマクロコスモスの照応といえばいいか。 おおげさすぎてわれながら気恥ずかしいが。 サイズ:4㎝ほど
Kaokoveld Plateau, Kunene Region, Namibia Quebul Fine Minerals 2014/10/14ktr
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Scotoharpes spaskii
18㎜、オルドビス紀、ロシア産。 Harpes の仲間はいくつか買い求めたが、手元に残ったのはこれひとつだけ。 サイズのわりに目が大きいのは若い個体だからだろうか。 胸節はそれでも18あって、すでに成体と変らない(最多で20節)。 この標本はやや反り気味だが、そのために小さい尾板まで観察できるのはありがたい。 ハルペスの仲間は、部分化石なら世界のあちこちから産出するが、完全体が出るのはほぼモロッコとロシアに限られる。 そういう意味でも本種は貴重だ。
Aseri Level MORD Vilpovitsy Quarry, St. Petersburg region, Russiaktr
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Scabriscutellum hammadi
モロッコのスクテルムのうちでも最多産の Scabriscutellum furciferum と同一の種類だと思われる。 頭のてっぺんに小さい突起があるくらいで、ほとんど特殊化しておらず、じつにすっきりした姿形をしている。 私はスクテルムに関しては、縦長よりも幅広のものを好むので、今回のものはその点でもOKだ。 本標本の特異な点として、左目のあたりに付着した卵(?)のようなものと、黒い条のついた輪郭線とが挙げられる。 輪郭線は、自在頬の縁などに顕著だが、それが肋棘も含めた全体にわたって描かれている。 そして黒い条線は中軸を取り囲むような形でも認められる。 いったいこれは何なのか? 卵については、あまり確信はない。 たとえ卵に殻があったとしても、そんなに硬いわけではないだろうし、それが形を保ったまま鉱物に置換されるとも考えにくい。 私としては、卵にみえるものがそれらしい場所に散乱しているという、そのこと自体を楽しみたいと思う(肉眼では確認できないのがまたよい)。 サイズ:45mm
Unknown MDEV Oufaten, Moroccoktr
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Remopleurides elongatus
ロシアのレモプレウリデスのうち、従来一般的だった R. nanus に代って、近年市場でよく見かけるようになったもの。以前は Remopleurides nanus elongatus といって、亜種扱いだったが、産地も地層も違うので、別種として立てられたらしい。 私とレモプレウリデスの仲間とのつきあいは、チェコのアンフィトリオンから始まって、オクラホマのロベルギア、そしてロシアの本種と続いてきたが、けっきょくのところこれだけが手許に残ることになった。あとはイギリスほか、いくつか産地はあるけれども、ちゃんとしたものを手に入れるのは至難なので、とりあえずは本標本で満足しようと思う。 さて本標本だが、じゃっかん左右に捩れはあるものの、ほぼ完全に延びきっていて、背中のトゲもわりに危なげなく保存されている。これが防御姿勢をとっていたりすると、トゲが飛び出した格好になって、非常に危なっかしい。好みにもよるけれども、見ていてはらはらするような標本はなるべく避けるようにしている。そういうものからは「癒し」は得られないと思うので。 保護剤(?)のせいでややアーティフィシャルな趣はあるけれども、前にアルティオクルスでやったような、アセトンで剥がすといったことはまったく考えていない。この繊細な三葉虫に対して、それは暴挙というものだろう。 さて写真をとって拡大して眺めてみると、どことなく「タイノエ」とか「ウオノエ」とか呼ばれる寄生虫に似ているような気がしてきた。とにかく、一般的な三葉虫とはかけ離れたフォルムであることだけは確かのようだ。 サイズ:トゲを含んで16㎜
Kukruze level UORD Alexeevka quarry, St.-Petersburg region, Russiaktr
