- Mahaltaji Museum
- 6F 人工結晶
- 鉱物標本 半人工赤色ジンカイト(蛍光性)(Zincite)
鉱物標本 半人工赤色ジンカイト(蛍光性)(Zincite)
別名:紅亜鉛鉱、亜鉛華
産地:Oława, Lower Silesia, Porland
酸化亜鉛の鉱物。純粋な酸化亜鉛は白色であるが天然に産出するものの多くは和名の由来となる赤色を呈している。単純な化学組成の割に天然において亜鉛鉱物の風化で生成されるのは水亜鉛土や他の二次鉱物のため非常に希少で、アメリカ、ニュージャージー州にある先カンブリア時代の結晶性フランクリン大理石中の変性した亜鉛-マンガン-酸化鉄-ケイ酸塩鉱体中ぐらいでしか産出しない。
ただし、亜鉛工場などでは高温での加工により蒸発した亜鉛蒸気が急冷されて析出し、半人工的に生成される。ポーランドの塗料工場で数年に一度行われる定期点検での清掃にてラインパイプや煙突排気口に析出したジンカイトが回収され、市場に提供される。本標本もそうして市場に回ったものの一つである。
ジンカイトの発見者は水酸化マグネシウムの鉱物であるブルーサイトの発見者であり、名前の由来にもなっているアメリカの鉱物学者Archibald Bruceである(*1)。彼はニュージャージー州サセックス郡の酸化亜鉛の鉱物について詳細な分析を行い"On the Ores of Titanium occurring within the United States."という論文で1810年に発表した。
Bruceはこの鉱物について当時の鉱物命名法に従って"red oxide of zinc"と命名しており、その後1845年にWilhelm Karl von Haidingerが現在の"zincite"に改名した。
それ以外にもFrancis Algerは1844年に"sterlingite"、Henry James Brooke とWilliam Hallowes Millerは1852年に"spartalite"と名付けている。
2020年、ミネラルマルシェにて購入。長波UVで黄緑色の蛍光を確認。
*1:ブルーサイト
→鉱物標本 ブルーサイト(Brucite)
#鉱物 #人工結晶