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人工結晶 チェルミガイト(Tschermigite)
別名:アンモニウム明礬、Ammonium Alum 産地:日本(自作) アルムNa(*1)を作るのに使用した市販の漬物用アンモニウム明礬を再結晶法で結晶化させた。 クロム明礬の模造品として人工的に紫色に着色された結晶が売られていることがある。 天然には褐炭(亜炭)層、瀝青質頁岩、噴気口、石炭の隙間などで八面体結晶の他に霜柱様の柱状結晶として見つかり、その高い水溶性によって乾燥した条件下でもない限り長期的に存在できない。 1852年にボヘミアの北ボヘミア褐炭盆地にあるTschermig村(現在のチェコ共和国Chomutov地区Čermníky(ドイツ語名Tschermich))にて発見され、鉱物名もそこから付けられている。 1968年に村はNechraniceダムの底に沈んでしまい、現在では廃村となっている。 チェルミガイトは12水和物であるが無水物鉱物としてゴドヴィコバイト(Godovikovite)が存在し、石炭廃棄物を焼却した際などにも生成されることがある。 2021年作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 鉱物標本 1.5~2たじ
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人工鉱物 キュービックジルコニア(Cubic Zirconia)
別名:立方晶ジルコニア, CZ 産地:中国 高い透明性からダイアモンドの模造品として用いられる二酸化ジルコニウム(ZrO2、ジルコニア)の結晶。 本来、ジルコニアは常温常圧下では単斜晶系が安定しており、天然では1892年にバッデレイアイト(Baddeleyite)として存在していることが発見されている。この単斜晶系のジルコニアは1170℃で正方晶、2370℃で立方晶、2750℃で溶融することが知られており、常温でも立方晶で安定させる方法が研究され、1929年に希土類酸化物の酸化イットリウムや酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどをジルコニアに添加して固溶体にすることで結晶格子中に酸素空孔が形成され、常温でも正方晶や立方晶で安定することが発見された。 その後、1973年に安定化立方晶ジルコニア(CZ)の合成技術をソビエトの科学アカデミーLebedev物理学研究所(FIAN)が完成させ、その3年後から研究所の名前を取ってFianitという宝石名で商業生産される様になった。 酸化イットリウムの添加量が2.5~5%で部分安定化ジルコニア(PSZ)になり、8~40%で単相立方晶になるため、通常は5~10%くらい添加されている。 CZの特徴として屈折率が2.15~2.18と、ダイヤモンドの2.42に非常に近い高屈折率を有し、分散はダイヤの0.044に対してCZが0.058~0.066で高い光分散性を有する。逆にダイヤモンドとの大きな違いとして比重がダイヤの1.65倍であることや、ダイヤが熱伝導性に対してCZは断熱性であることが挙げられる。 2021年5月、ミネラルマルシェで購入。
人工結晶 宝石 鉱物標本 8~8.5たじ
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人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
別名:曹達明礬、ナトリウム明礬 産地:日本(自作) 一般的に明礬というとカリ明礬(*1)の方を思い浮かべるが、こちらはカリ明礬のK元素がNaに置換したもの。 本結晶はスーパーに売られているアンモニウム明礬を原料に合成したアルムNaを再結晶させた。反応させるNa分が少ないとアンモニウムが残ってしまい、多すぎると水酸化アルミニウムが析出して白濁するようであった。 今回はNa分が気持ち多めに入ったのが影響したかは解らないが、よく知られている八面体結晶でなく立方八面体の結晶が出来てきまった。 アルムNaは12水和物であるが、11水和物としてメンドザイト(mendozite)、6水和物としてタマルガイト(tamarugite)が希少鉱物として存在する。 2021年作成。 *1:カリ明礬 →人工結晶 アルムK(Alum-(K))
人工結晶 鉱物標本 3たじ
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人工結晶 アルムK(Alum-(K))
別名:明礬、カリ明礬、白礬、Potassium Alum 産地:日本(自作) 小学校の夏休みの自由研究の定番?のミョウバンの結晶。鉱物名はアルム。硫酸カリウムと硫酸アルミニウムの複塩で、カリウムがナトリウムに置換したものはアルムNa(*1)、アンモニウムならばチェルミガイト、タリウムならばランムチャンガイトという鉱物になる。また、アルムは12水和物であるが、11水和物の希少鉱物としてカリナイト(Kalinite)が存在する。 古代から媒染剤や防水・消火剤、皮なめし剤、水質浄化のための沈殿剤、食品添加物、止血剤、殺菌等々多くの用途で重宝されてきた。 日本では1664年に渡辺五郎右衛門が豊後国鶴見村(現在の大分県別府市鶴見)の温泉を利用して鉄分を含んだ青粘土(スメクタイト)上に湯の花(ハロトリカイト、Fe2+Al2(SO4)4・22H2Oやアルノーゲン、Al2(SO4)3・17H2O)を成長させて採集し、これに灰汁(カリウム)を加える方法でミョウバンの製造に成功させた。しかし製造には広い土地を要した上、設備の維持管理が大変なため採算が取れずに廃業してしまう。後に脇屋儀助が幕府との協議で輸入品の明礬を駆逐して専売状態にすることで国産品が国内に流通するようになった。ただこれも明治になり、海外から安価な代替品が輸入されるようになったことで温泉を利用した国内生産は終わってしまった。 本結晶は薬局で市販されているミョウバンを再結晶して作成。 *1:アルムNa →人工結晶 アルムNa(Alum-(Na))
人工結晶 2 ガラス光沢たじ
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人工結晶 プルスカイト赤(Pruskite)
別名:フェリシアン化カリウム、赤血塩、プルシアンレッド 産地:日本(自作) フェロシアン化カリウム(黄血塩)に塩素ガスを通じると合成できる。動物の血を原料に錬金術の実験中に偶然出来てしまった紺青顔料プルシアンブルー。その合成過程中から作り出せることや何よりもその赤血色から賢者の石と言えなくもないかも。 水溶液は紫外線で黄緑色の蛍光を示す。高校化学の教科書だと2価の鉄イオンの水溶液に加えるとターンブルブルーの沈殿が、3価の鉄イオン溶液に加えると褐色溶液になる。因みにターンブルブルーとプルシアンブルーは組成や構造が若干異なるらしいが実際には同じ物質らしい。光に反応することから青写真等の写真技術にも使われた。 プルスカイトの結晶として有名なのはポーランドで合成されたものだけれど、これは東急ハンズで売ってた結晶作成キットで作ったやつ。 #結晶 #鉱物標本
人工結晶 鉱物標本 東急ハンズ渋谷店たじ
