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6月の歌/曽我部恵一
2013年10月2日発売。アルバム「超越的漫画」からの先行シングル。 ミックスも曽我部自身が行い、ホームレコーディングのような親密感のある歌と演奏がモノミックスでまとめられている。前述のアルバムにあったアヴァンギャルドな側面から外れたポップな2曲。B面のスライのようなムチムチしたベースが誘うメロウファンク「コーヒーとアップルパイ」はアルバム未収録。
ROSE RECORDS ROSE161X恥多木人生
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24時/サニーデイ・サービス
2015年12月21日発売。オリジナルは1998年7月CDのみでリリース。 名盤『サニーデイ・サービス』から9ヶ月、さらなるえげつない名盤が出ます。 全15曲+ボーナス1曲(アナログは2LPと7インチ)、全曲名曲のマッシブでカオスなアルバム。曽我部さんはサニーデイ、ソカバン、ソロ問わず定期的にこういうボリューム感のぶっ壊れた問題作を作るのですが、今作はそんな永く膨大なキャリアの中に時折狂い咲く美しい綻びとして初めてのものです。 サニーデイのスタイルのようなものが確立されていく中で、自己模倣に陥ってしまう事に対する抵抗と焦りを感じる、とにかく今やれる事を全部ブチまけてやったという混沌さ。 いかにも従前のサニーデイの方向性をブラッシュアップした趣きの「月光荘」をシングルから外し、よりラフで生々しい「さよなら!街の恋人たち」に差し替えた事からもその葛藤が見えます。 とは言え当時はそんな事には思いもよらず、シンプルに曲の良さとアルバムのむせ返るような濃さにただただ夢中になってましたね。 正直どこか老成したような前作よりこっちの方が好きでした。若さゆえの混乱と暴走というか。今はどっちの良さも大好きですけど。 今の時期みたいな重たくて暑い夏の日の、夕暮れとともにふうっと吹きこんできた風を感じながら聴く「果実」は沁みる。
MIDI/JET SET RECORDS/ROSE RECORDS SGLP-1006〜7恥多木人生
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$100 Fine/The Litter
1968. 1999 Re LP
GET HIP RECORDINGS GHAS-5017恥多木人生
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魚ごっこ/泥んこ道を二人/BO GUMBOS
2022. 7' メリークリスマス。明け渡すな、売り渡すな、許すな。
Sony Music/Great Tracks MHKL64恥多木人生
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青い珊瑚礁/松田聖子
1980年7月1日発売。松田聖子2枚目のシングル。サウンド的にはまだ70年代的ではあるものの色々な意味で80年代の幕開けという感じがする象徴的な作品だと思います。 その後においても重要な登場人物となる大村雅朗の初参加、自身の初のオリコンベストテン入りとなる大ヒット。松田聖子の快進撃の幕開けでもあった。 全くもって後追いの何となくの印象でしかありませんが、ジャケ写だけを見ても次シングル「風は秋色」から聖子さんの目にグッと力が入るような気がします。「SQUALL」や特に今作の写真にはまだどこか不安げな部分が見えるというか。 なにせ楽曲はもう言う事なしの大名曲、あの数秒の短いイントロの圧倒的な高揚感、青空と青い海が広がる様が目に浮かぶ冒頭から歌い出しのロングトーンは本当に素晴らしい。20世紀における歌謡史の中の間違いなくマスターピースのひとつだと思います。 いわゆるひとつの「サビ前ジャンプ台(©︎亀田)」史上最強の殺傷力を持つフレーズじゃないですかね?『あなたが好き』。こんなストレートな言葉、あの可愛さで歌われたら、映像で観たらもう平常心ではいられないですよ。 カップリングの「TRUE LOVE」も初々しくも彼氏より少し先をいく女の子の心情を見事に捉えた、素晴らしい夏休みソングです。中島みゆき「あたいの夏休み」と双璧ですね(笑)。『あたしは2つよと床に目を落とす』は名フレーズですね。
株式会社CBS・ソニー 06SH802恥多木人生
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野良よ!/台風クラブ
2022. 7'
恥多木人生
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都会のハッピーズ/ザ・ハッピーズ
1996. 2021 LP
MIDI MDJL-1008恥多木人生
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退屈ですネ/都会の村人
1972年発売。70年代関西系フォークですね。のちに五つの赤い風船'75にも参加するSSW金森幸介のグループです。B面の「窓をあけよう」は西岡たかしの作です。 金森作の表題「退屈ですネ」歌詞だけ見ると気が滅入りそうですが、曲を聴いてみると不思議なほっこり感があってあまり暗くならない。 編曲はエイプリルフール、フードブレインetcのメンバーでその後岡林や吉田拓郎のバックも務める柳田ヒロ。親しみやすいメロディに乗せて、若さゆえの焦燥感と息苦しさを絞り出すように歌う金森の歌に、優しく寄り添うような暖かみのあるナイスアレンジです。フォークギターのアンサンブルに絡むマンドリンが効いてますね。 サビの『だからと言ってェ〜』のとこなんか妙にキャッチーで思わず口ずさんでしまいます。 一転、B面の「窓をあけよう」は希望にあふれた軽やかなカントリーソング。これから待ち受ける新しい世界への期待と、踏み出す前の不安がない混ぜになった心の昂り。 2番からはスティールギター、ラスサビでホーンも加わって駆け上がっていく高揚感が素晴らしい。 しかし都会の村人ってグループ名いいですね。この名前とジャケの面構えを見てジャケ買いしました。やっぱり若者には地べたが似合うなあ。
ビクターレコード SF-23恥多木人生
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裸になれ!/ちぇるしぃ
2000. 7'
やさぐれレーベル/Majestic Sound MS45-012恥多木人生
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苺畑でつかまえて/サニーデイ・サービス
2016年1月15日発売。サニーデイの得意技の集成のようで、新人バンドの新曲のようなフレッシュさもあるという異形の大名曲。続く「DANCE TO YOU」のシティポップ的文脈での評価への予感が既にあり、タイミング的にもジャストの刹那に産まれたサニーデイの新たな代表曲のひとつ。 この後、丸山君の欠席という大きな影に抗う為、血の滲むような錬成と苦闘の果てのフレッシュネスの獲得という軌跡に向かう瞬きの夢のような輝き。「コバルト」にはもう何も言えない。深い深い青。
ROSE RECORDS ROSE195恥多木人生
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若者たち/サニーデイ・サービス
2015年4月15日発売。オリジナルはCDのみ、1995年4月リリース。 サニーデイ・サービスのメジャー・デビュー後初のアルバム。 改めて聴くと曽我部さんの歌がめちゃくちゃ苛々してるというか、不満とか苛立ちで内圧の高そうな感じがちょっとパンクぽいなって思います。「素敵じゃないか」「いい気分さ」なんて歌いながら全くそんな風に聴こえない。これぞ『若者たち』って感じですね。 デビュー当初ははっぴいえんどとよく比較されていたけど、はっぴいえんどは特に細野さん松本さんが醸し出すクールさやスマートさがあって本質的に全然違うなあと思います。 サニーデイにも90年代的なまた違う冷めた感じはあるけれど、なんと言うかもっとガタガタしてるというか。はっぴいえんどにパンクは感じないですもんね。音楽性の話ではないんですが。 結局生まれ育ちの話にしちゃうのは詮ないとは思うんですけど、やっぱり関係あるよなあと。90年代後半はまだバンドに、というかそれぞれの心性の部分にローカリティ、雑に言うと『都会へ出てきた田舎モンのメンタリティ』みたいなものが色濃くあって、それが音楽性に反映されていたと思います。 それって今はもうあんまりないんでしょうか。地方の10代とかのミュージシャンのSNSなんか見てても、サブスクの時代に都市部の先進性みたいなものは「表面的には」殆ど感じないです。活動の仕方もとてもクールでマイペースですよね。北海道のLAUSBUBとか。 音楽的には元ネタ使いのモロな感じなんかにまだ渋谷系直系の名残りもあったり過渡期的な感じですが、「ガワ」の部分のインパクトはやはり大きかっただろうし、インディー期の作品と比較すると和モノ感は凄く強いですね。 でもまだレパートリーが混在しているデビュー前94年頃のライブ映像を某管で観てると、その変化がいかに地続き的なものであったかがよく分かります。
MIDI/JET SET RECORDS/ROSE RECORDS SGLP-1001恥多木人生
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若いダンスパーティー第3集/ザ・スペイスメン
「エレキ、それは正に若者たちのものです。」 まさにその通り。はち切れんばかりの若さが迸るクランチでフレンジーなエレキサウンドがあなたを昭和40年のクリスマスのダンパへ誘います。 再評価も著しい(もちろん私もそこに乗っかった組です)ザ・スペイスメンのクリスマスレコード7インチ。1965年発売。 選曲がそれっぽいぐらいで言うほどクリスマスらしさはないような、選曲がそうなら充分じゃね?とも言えるような。要はいつものスペイスメン。 そしてまたロシア民謡。60年代の人たちのロシア民謡好きは何なの?何由来? こんなバンドが演奏するパーティーとか最高でしょう。ピッチーズなる女子たちのチアみ溢れる掛声も高らかに、スペイスメンの演奏する「爆発的なGO,GO,のリズム(とライナーに書いてあります)」に合わせ踊り明かしたい。 第1集も2集も見たことないけどどうやら4集だって出てるらしい。詳しいことは全く分かりません。が、ググればめちゃめちゃ詳しい人が色々遺してくれている。偉大なる先人達よ、ありがとう。ございます。
7インチ ビクターレコード 日本ビクター株式会社 SVC-119恥多木人生
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美しき誤解/和田アキ子
1974年9月25日発売、和田アキ子21枚目のシングル。表題はこの頃のメイン作家馬飼野俊一作編曲、B面は作曲はケーシー(誰でしょう?)編曲は馬飼野。 R&Bの女王!って感じの派手さはないけれど滋味溢れる二曲だと思います。美しき誤解は語りもあるシャンソンライクな名スラーバラードで、アッコさんの威風堂々たる名唱が堪能できる一曲。 B面のあなたは人生の光もこれがまたなかなかあなどれず、アコギのストロークにどっしりしたリズム隊、ピアノが心地よく絡むスワンプロック歌謡です。アーシーな演奏に対して抑えめのあっさりとした歌がまた良い塩梅。 当時弱冠24才でこれほど酸い甘噛み締め系の楽曲を歌い切るアッコさん見事です。ジャケ写もゴージャスセクシー。
RCAレコーズ ビクター音楽産業株式会社 JRT-1376恥多木人生
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罪と罰/THE HIGH-LOWS
1999年4月リリース。あなたのヒロト/マーシーはどこから?私はミサイルマンから。それならドラマの未成年オープニングA。あの時は本当にシビれた。芸人のミサイルマンは由来とか何にも知らないけどミサイルマンを名乗っているだけで信用していいと思う。 そうは言いつつも、ロブスターの頃にはちょっと熱は冷めていて歌番組の着ぐるみ姿で当てつけのようなアテぶりをする彼らを理解するには、私はまだ若すぎ性急すぎ、興味はもっと分かりやすくギザギザしたものに移っていた。 そんな頃にTシャツの襟つかまれて地面に叩きつけられ引きずり回されるような衝撃を受けた一曲。でも今聴くとちょっとメタさも感じる。決してベタではない。そこも含めて好き。 翼の折れた伝書鳩は飛べやしないし、燃え尽きた導火線が炎上する事はないだろう。2020年代にも全く古びる事ないインスタントな断罪のシュプレヒコール。 何重にも複製されたドストエフスキーの潰れた粒子で出来た漆黒の目に映るのは誰の罪か? B面は自分の葬式で流したい曲世界ランク1位。エンジニアも立てずにミックスまで自分達でやったデモみたいな剥き出しの音、裏ジャケの不穏な写真から歌詞カードのフォントまですべてが完璧なレコード。
Kitty Enterprises inc. KTKR-9058恥多木人生
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終わりのない歌 NOW AND THEN/惣領智子
1981年リリース。70年代にアメリカでも活動していたグループ、ブラウン・ライスのシンガーだった惣領智子のベストアルバム。作編曲で参加している惣領泰則はブラウン・ライスのリーダーで元夫でもあった。 サラリと聴けるライト・メロウ、ソフトロック名盤。初収の「かげろう」や「アバンチュール」もいいんだけど少し音が耳に痛い。年代的なものなんだろうか。やっぱり「City Lights by the Moonlight」や「信号機」の蕩けるようなメロウさがたまらん。ピロピロ鳴り続けるエレピ気持ちいい。
RVC株式会社 RVL-8032恥多木人生