チーフテン戦車 “第4王立戦車連隊” チャイニーズ・アイ(タミヤ、1/35)

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チーフテンとはスコットランドの氏族(クラン)を束ねる一族の長のこと。

英陸軍では、主力戦車の名前に「C」を頭文字とする名前をつける伝統があり(クルセイダー、クロムウェル、センチュリオンなど。最新型もチャレンジャーです)、1960年台に開発した戦後第2世代にあたるこの新型戦車に付けられた名前も”C”の「チーフテン」でした。

チーフテンは、大口径の120mm戦車砲に重装甲を備えた当時の世界最強クラスの主力戦車で、東西冷戦のさなか西ドイツに駐留していた英陸軍ライン軍団に配備されたチーフテンは、対峙するソ連軍にとって大きな脅威としてマークされ、冷戦の抑止力としての存在価値を大いに発揮したといわれています。

1980年台以降は後継車両のチャレンジャー戦車にその座を譲り渡して全車両が引退しましたが、戦後の英戦車の開発史上における金字塔として今なお高い評価を受けています。

さて模型の方はというと、タミヤの縮尺1/35ミリタリー・ミニチュア・シリーズ、1970年台に発売された古いキットです。私を含めた”中年”世代の皆さんの中には、子供の頃に作ったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 

現在の目でみれば細部の表現などに物足りない部分はありますが、逆にシンプルで作りやすいキットであると言えます。
昨今のプラモデルの精密化、高級化志向の中では、このような昔のシンプルなキットは私のような“出戻りモデラー”には最適です(笑)

30年以上前に発売された古いキットですが、チーフテンの重厚な特徴ある形状がよく再現されており、世界のプラモデル業界をリードしてきたタミヤの技術力が存分に活かされた名作キットと言えるでしょう。

10数年前に、久々~に戦車模型を作ったのですが、このチーフテンが復帰第1号の完成品です。
ですので、出来栄えはプロ級の皆様の作品にはホド遠いですが、素人ながらそれなりに一生懸命作りました…。

作例では、各部の取っ手の真鍮線化や溶接跡などの細部表現を付け加えたくらいで、ほぼキットのストレート組立ですが、それでは能がないので、キット付属のデカール(水転写式シール)は使用せずに、マーキングにこだわる“マニア向け”に別売りされているBISON社製デカールセットを利用して、スコットランド部隊である「第4王立戦車連隊」(4th Royal Tank Regiment)のマーキングで仕上げました。

砲塔両側に描かれた“チャイニーズ•アイ”と呼ばれる『目玉』のマーク、これが第1次世界大戦当時から採用されている第4王立戦車連隊の伝統あるシンボルマークなのです。

1918年、英領海峡植民地(シンガポール)から、マレー半島でのスズ鉱山事業とゴム採取事業で一財産を築いた余東セン(ユー•トンセン/センの字は王へんに旋)という華僑の実業家が渡英してきました。
彼は大戦に疲弊する大英帝国に戦費の献金を申し出、最新鋭兵器である『菱形戦車』(タンク)を1台購入して第4王立戦車連隊(当時は王立戦車軍団のÐ中隊)に寄付したのでした。

部隊に寄付した戦車を前にして「この怪物は目がなくてどうやって前を見るのだ?」という彼は、京劇のメイクのような美しい中国風の目玉をデザイン、菱形戦車のボディの両サイドにそれを描いて去って行ったのでした。
第4連隊のスコットランド人の戦車兵たちはこの目玉を大変気に入り、それ以来、第4連隊の戦車には“チャイニーズ・アイ”(Chinese Eye)と称して必ず目玉が描かれるようになったのです。
現在も、英国ボービントンにある王立戦車博物館に、ボディに目玉を描いた100年前の菱形戦車が展示されています。

第2次世界大戦においては、第4王立戦車連隊は緒戦でのドイツ軍による電撃作戦によりフランスで壊滅。(当時の記録写真で、緒戦のフランス戦線で撃破された第4連隊の目玉付きのマチルダ歩兵戦車を見ることができます。)
その後再建された部隊は、北アフリカやイタリアなど終戦まで各地を転戦して戦功を上げ、戦後もスエズ動乱に出動した後に西ドイツに駐留するなど、英陸軍の主力部隊のひとつとして活躍しました。

なお、スコットランドに所縁のある第4連隊に対して、第2次世界大戦後にスコットランド・ネアン地方のキルロック城主であるローズ•クラン(一族)より同家のシンボルである『ハンティング•ローズ』のタータンが贈られ、同部隊専属のバグパイパーはその柄のタータンで作られたキルトを纏っていたそうです。

このように伝統ある第4王立戦車連隊でしたが、英国の財政難のあおりを受けて実施された1990年台の英陸軍大改編のなか、解隊を余儀なくされます。

解隊された同部隊は第1王立戦車連隊に統合され、その4番目の中隊=第1王立戦車連隊D中隊として姿を変えましたが、この由緒ある“目玉”は、採用から100年経った現在でも、D中隊の最新鋭チャレンジャー2戦車の砲塔に誇らしげに描かれ、同様に引き継がれた伝統のバグパイパーとともにその伝統を今に伝えております。

ところで、英陸軍では戦車ごとに固有の愛称をつける習慣があり、第4王立戦車連隊の戦車には、第4=4番目=アルファベットの「D」ということで、全ての戦車に、Deanston、Devil、Defiant、Dorolessなど「D」で始まる名前が付けられています。(※同じ法則で、第7戦車連隊では全てGで始まる名前になっていたりします。モルトウイスキーと同じ「GLENLIVET」号なんてのもあります。)

そこで、今回の作例では、プリンターを使った自作デカールにて「DRONACH」(ドロナック)号(ゲール語で“いちご号”の意)という可愛い名前をつけてみました。 
お遊びで作った架空の車両です。

中国の目玉とスコットランドの戦車部隊との関係、伝統を重んじる英国ならではの由来がなかなか興味深いと思いませんか? 
今宵は、目玉付きのチーフテン「DRONACH」号の模型を肴に、グレン•ドロナックでも一杯やりましょうかね…。

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    ace

    2018/6/19

    名前の付け方、面白いですね😆

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    T. S

    2018/6/19

    第7戦車連隊の第7=アルファベット7番目の「G」というネーミング例もあって、そちらも面白いです。モルトウイスキーと同じ「GLENLIVET」号なんてあるんですよ。

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      0214seiji

      2019/6/29

      ドロナックってハイランドのシェリー樽ですよね。
      一回飲んでみたいです。
      現在のマッカランはあまり好みではないので。
      (真円ねボトルの頃は好きでした。)

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      T. S

      2019/6/30

      そうですね、グレンドロナックはシェリー樽熟成で有名です。先日、オフィシャルの12年を飲みましたが、ストレートでもロックでもソーダ割にしても美味しかったです。
      マッカランは、20年ほど前の「シングルモルトのロールスロイス」と言われいた頃、真円型のボトルの時代は本当に美味かったですね。いまのは全然です。
      2000年に蒸留所に行ったのですが、その頃はまだ周りにゴールデンプロミス種の麦畑が広がっていたのですが、いまではそれを潰して熟成庫を増設したりして、完全に大量生産化しました。そして、味が完全に変わってしまいました…。

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      0214seiji

      2019/6/30

      ドロナック飲んでみたいです。
      マッカランは本当に残念でなりません。
      日本の某S社が関わった事から味が変わってしまったとも言われてますね。

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      T. S

      2019/6/30

      あれはいつだったですかね?10数年以上前だったと思いますが、マッカランがシェリー樽原酒の不足(在庫のわりに売りすぎた?)から、「ファイン・オーク」シリーズというバーボン樽のシリーズを出しました。(それで、円筒ボトルの”ロールスロイス時代”のボトルが終売に)
      あのあたりから変化の始まりだったと思います。
      国内代理店のS社が介入したからというよりは、本国の売り方・作り方の路線の変化だったと私は思っています。(あのご自慢だったはずの麦畑すら潰してしまったくらいですから)
      日本では、以前はいかにも希少な酒というイメージで売り出していたのが、実は本国ではそうではなく大量生産指向になって行きましたから、S社さんも困ったのではないかと思います(苦笑)
      最近のは、0214seijiさん同様に私も好きじゃありません。いまのは「我々が飲んでいたマッカラン」ではないです。。。

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      0214seiji

      2019/7/1

      残念ながら今のマッカランは違いますね。

      ところでこれはなんのコレクションでしたっけ?(笑)

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      T. S

      2019/7/1

      いいんです、展示室では何の話をしても(笑) 特にこの話題はスコットランド繋がりだから全然問題なし!w

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      0214seiji

      2019/7/2

      行きつけのバーに行ってドロナックを飲んできました。
      好みの美味しさでした。
      ありがとうございます。

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      T. S

      2019/7/2 - 編集済み

      それは素晴らしい! バーで飲むサケは最高ですね。
      私は自宅でクラガンモアとダルウィニーを飲みました。で、いい気持ちで、というかいささか飲みすぎで、今寝るところです。。。

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  • Lion

    toy ambulance

    2019/7/7

    昔のホビージャパンの記事の記憶だと、第二次大戦までのイギリスの戦車の設計思想による分類として、歩兵戦車(infantry tank)と巡航戦車(cruiser tank)があって、そのうちの巡航戦車がCで始まる名前が付けられ、戦後の主力戦車に引き継がれたと書かれていたように思います。
    マチルダやバレンタインなどがCではないのは歩兵戦車だからだと思いますが、何故か歩兵戦車にチャーチルがいるのがややこしいですね。

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      T. S

      2019/7/7

      CruiserのCなんですかね。後に、巡航戦車と歩兵戦車という区分がなくなったので(結局その思想が実戦に合わなくなったようですね)、巡航戦車が現代の英軍の主力戦車のラインになりました。
      チャーチル戦車は、やはり当時の首相に気を遣ったらしいですが、いまの日本だと「安倍戦車」みたいな感じで、日本人のセンスだとどうなの?という感じです…。

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    • Lion

      toy ambulance

      2019/7/7

      アメリカの空母だと3名ほど命名時に存命した人の名の艦が有りますね。大統領は二人とも共和党なのでアメリカ国内で議論が無かったのか気になるところです。
      ヘリコプター搭載型大型護衛艦「安部」なんてご本人は喜びそうですが…

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      T. S

      2019/7/8

      日本では、せいぜい出身地から「ながと」と付けたりするくらいが限界でしょうね。

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