【クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X】

0

覚醒の時を待つ邪神

映画「遊星からの物体X ファーストコンタクト」の原作、映画「エイリアン」や「プロメテウス」の原型とも言われる「クトゥルフの呼び声」ほか幻想作家の未訳中短篇を収録したアンソロジー。

人類の神のイメージとなった〈旧支配者〉が太古に地球を征服し、それに準ずる神々も存在した。いまは地下や海底や異次元で眠っているかれらは復活のときを狙っている……。極地で見つかった謎の生物との壮絶な戦いを描いて三度も映画化された名作「遊星からの物体X」、映画「エイリアン」「プロメテウス」の原型にあたる「クトゥルフの呼び声」、さらに「恐怖の橋」「呪われた石碑」「魔女の帰還」などラムジー・キャンベルの未訳中短篇五本を収録した、待望のクトゥルフ神話アンソロジー!

   *     *

 目次

 ・遊星からの物体X(J・W・キャンベルJr.)
 ・ヴェールを破るもの(ラムジー・キャンベル)
 ・魔女の帰還(ラムジー・キャンベル)
 ・呪われた石碑(ラムジー・キャンベル)
 ・スタンリー・ブルックの遺志(ラムジー・キャンベル)
 ・恐怖の橋(ラムジー・キャンベル)
 ・クトゥルフの呼び声(H・P・ラヴクラフト)

 ・クトゥルフ神話の多様性を求めて(尾之上浩司)

   *     *

映画「遊星からの物体X ファーストコンタクト」の公開に合わせて、なのかはわかりませんが、2012年8月に発刊されたアンソロジー【クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X】です。

ジョン・W・キャンベルJr.の原作よりも、映画の方が広く知られている「遊星からの物体X(旧題:影が行く)」ですが、本作を『クトゥルフ神話』の一作として数える点については少々違和感があります。
帯や裏表紙の煽り文にある、「エイリアン」や「プロメテウス」の原型にあたる「クトゥルフの呼び声」……という表現も飛躍しすぎのような気がします。

映画「遊星からの物体X」の監督を務めたジョン・カーペンターもラヴクラフティアンとして知られ、「狂気の山脈にて」の映画化を企画していたこともありますし、エイリアンの原案・脚本を手掛けたダン・オバノンもラヴクラフティアンで、クトゥルフ神話(というより、ラヴクラフトの世界観)の影響が認められるのは事実ですが、それが「クトゥルフの呼び声」につながるかというと館主には疑問です。
「エイリアン」にしろ「プロメテウス」にしろ、ラヴクラフト作品と関連させるならむしろ「狂気の山脈にて」ではないかと思います。
なんだか映画のタイトルで客寄せしてるような雰囲気があって、好きにはなれない煽りの文章です。

収録作品は「遊星からの物体X」の他、英国の作家ラムジー・キャンベルのこれまで未訳だった短編が5本。それにHPLの「クトゥルフの呼び声」が収められています。
ラムジー・キャンベルの短編は、彼オリジナルの世界である『ブリチェスター』や『セヴァーン渓谷』などを舞台にした秀作・佳作ですが、これまた「クトゥルフの呼び声」とは同じ神話作品という以上の関わりがありません。

何とも微妙な編集になっている、というのが館主の印象です。
とはいえ、これまで未訳だった神話作品が読めるというのは嬉しいものですが、いっそのこと、ラムジー・キャンベルの神話短編集として刊行した方がすっきりしたような気もします。

#ラヴクラフト
#クトゥルフ神話
#クトゥルー神話
#作品集
#アンソロジー

Default