【ドイツ列車砲K5(E)シュランクベルタ “レオポルド”】

0

 列車砲を最初に発案し、開発したのは、アメリカであるが、欧州で列車砲を重要視し、秘密のうちにその発達に努力して、奇想天外の長距離砲を第一次世界大戦で成功させたのは、ベルタ砲で有名なドイツ陸軍である。
 列車砲は、ふつう要塞や特殊な軍事基地にはりめぐらされたレールの上を移動する、制限された機動性をもつ長距離砲で、一般の路上を移動する牽引式の大砲や自走砲にくらべて、大口径、長砲身、大重量で、射程距離が格段に大きく、しかも常時は秘密の偽装掩体やトンネルに隠匿しておき、必要に応じて射撃位置に移動し、敵の不意を衝いて遠距離から射撃するという特性をもっている。
 第一次世界大戦の後期に、ドイツ軍がパリを砲撃した21cmベルタ長距離砲は、フランス軍飛行機の懸命な偵察にもかかわらず、ついにその正体を発見されずに終戦となり、戦後も謎の長距離列車砲として正体不明のままだった。

 第一次大戦後、ドイツで研究された長距離列車砲は、前後2組のボギー台車を結ぶ頑丈なフレームを架台として、そのうえに砲架を置くボギー貨車方式の列車砲である。台車の車軸数は、1軸にかかる荷重が限定されるから、軸数が多いほど重い砲を乗せることができることになる。そのためK5列車砲では、前後の台車とも6軸、合計12軸ボギー(1軸の荷重約18トン)となっている。
 通常、これに弾薬運搬車、兵員車、作業車などが連結され、その端に機関車がつけられて、一列車を編成する。また、レールのうえで停車姿勢のまま射撃するもの、一定の場所に設置した施床のうえに架台を据え置き、安定工作をしてから射撃するものと、二つの方法があった。
 第一次大戦の21cmベルタ砲は、後者の方式で、砲身長36m、最大射程120kmという世界最大の射程をもつ画期的な長距離砲だった。
 1935年、ドイツは再軍備を宣言、その頃から上記のベルタ砲の経験を生かして、さらに機動性の良い新式の列車砲の設計を開始した。そのおもな列車砲は、15cmカノーネ(射程22.5km)、20cmカノーネ(36.4km)、24cmテーオドア・ブルーノーK(20km)、28cmクルツェ・ブルーノーK(29.5km)、28cmノイエ・ブルーノーK(46.6km)、28cmK5Eおよび21cmベルタ砲の再現といわれた21cmK12パリ・カノーネ(115km)、さらに口径の大きな38cmジークフリートK(55.7km)、40cmアードルフK(45km)、80cmドーラ(47km)などである。
 このうち第二次大戦でいちばん威力を発揮したのが口径28cm級で、特に28cmK5が主力列車砲として有名になった。
 海岸や海峡などで敵の艦船を砲撃する要塞砲、いわゆる海岸砲としては、岸壁の横まで地下壕を掘り、レールを敷いて列車砲を配置した。この方法は敵機の爆弾を避けることができ、敵艦船の行動を制圧するのに有効だった。

 K5は1934年からクルップ工廠で秘密裏に計画され、1940年までに8台が実用試験に使われて、その実力が認められた。1941年2月から25台が前線部隊に配置されたが、実戦部隊は第712、713、765砲兵中隊である。牽引車には重量40トンのディーゼル機関車が使われた。1列車の弾丸装備量は通常113発だが、発射後の調整と弾丸の装填に時間を要するため、発射速度の遅いのが欠点とされていた。砲の操作はすべて電動式で、移動状態では砲身は常時最低の位置におかれた。

【28cmK5 主要データ】

 口径       28.3cm(283mm)
 砲身全長     21.539m(21,539mm)
 砲身を含めた全長 31.100m(31,100mm)
 砲身仰角     50度(最大)
 全備重量     218,000kg(射撃状態)
  〃       209,550kg(移動状態)
 弾丸初速     1,120m/秒
 射程       59~62㎞
 発射速度     8発/1時間(1発につき7分30秒)

(以上、組み立て説明書解説より)

   *     *

 先日、製作が完了しました【ドイツ列車砲K5(E)レオポルド】を展示いたします。
 oer5200さまのミュージアムにて同様の展示を拝見し、列車砲への昔日の憧憬を呼び覚まされ、十数年ぶりのプラモ製作となりました。
https://muuseo.com/oer5200
 その前座(?)として製作した【ティーガーI】は既展示の通りです。
https://muuseo.com/sarura_004/items/148

 古いキットでもあり、随所の押しピン跡、パーティングライン、バリなどの処理に時間を取られましたが、それもまたプラモ製作の楽しみを思い出させてくれました。

 塗装に関しては少し迷いましたが、連合軍のアンツィオ上陸作戦時(イタリア:1944年1月〜)に、長距離射撃によって橋頭堡を壊滅状態に追い込み、連合軍から【アンツィオ・アニー】と呼ばれ恐れられた際のダークイエロー単色を選択しました。
 列車砲写真集などの資料写真を睨みつつ、模型っぽくならないように、その重厚感や巨大兵器としての存在感を損なわないよう、塗装とウェザリングにはこだわりました(自分なりに、ですが)。

 連載50回に及ぶ製作記を、毎回楽しみにしてご来館くださったみなさまに感謝いたします。みなさまのイイネとコメントが無ければ、ここまで納得の完成度で仕上げることは難しかったことでしょう。
 ありがとうございました!

 製作記はこちらからどうぞ。
【製作記:レオポルド列車砲】
https://muuseo.com/sarura_004/diaries/139

#列車砲
#プラモデル
#模型
#組み立て
#ペイント

【Sd.Kfz 181 VI号重戦車ティーガーIE】 ハセガワ 1/72キット
ドイツ軍はソビエト中戦車T34/76、重戦車KV-1Aに対抗する重戦車の開発を行なうことととなった。 1941年、総統ヒトラーの命令で国防軍はヘンシェル社とポルシェ社の2社に対し新型重戦車の開発を指令。両社とも、クルップ社の開発した高性能88mm戦車砲36型を装備した円筒型砲塔を使用した試作型を製作。 両社の試作型は1942年4月、ヒトラーの面前で試験競技が行なわれ、ヘンシェル案に採用生産命令が下された。 これはSd.Kfz 181の正式武器番号が与えられ、VI号重戦車ティーガーIEとして正式化される。 ティーガーI型は1944年8月までに、試作車5両を含めて総計1,355両が製作され、大戦末期まで連合国軍を恐れさせることとなる。 《データ》 乗 員 :5名 全 長 :8.46m 全 高 :2.90m 全 幅 :3.73m 主 砲 :88mm戦車砲36型 エンジン:マイバッハHL-230P45(700馬力) 最大速度:37km/h (以上、説明書解説より。一部修正) 2019年3月15日早朝、ようやく完成した【ティーガーI 初期型】です。 久しぶりに製作した戦車でしたが楽しかったーです。 製作記はこちらからスタートです。 https://muuseo.com/sarura_004/diaries/117 2019年3月15日夜、アンテナ線を設置してケースに入れたので、写真を入れ替えました。 #戦車 #ティーガー #プラモデル #戦車模型
https://muuseo.com/sarura_004/items/148

Default
  • File

    nonstop24hours

    2019/6/10

    大迫力です。完成おめでとうございます。

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/10

      ありがとうございますー。
      お陰さまでの完成度です。

      写真8枚目の使い込まれた梯子感がお気に入りです(笑
      3枚目の砲口の汚れ具合もイイですけど(^^

      ご声援ありがとうございましたー。

      返信する
  • File

    Shining KazutaZ

    2019/6/10

    すごい、本物みたいだ!

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/10

      ありがとうございますー。

      実物感が出るように塗装とウェザリングを重ねましたので、とても嬉しいお言葉です!
      もう少し写真を工夫して戦場写真風にもしてみたいです。

      ご声援ありがとうございましたー。

      返信する
  • File

    ウルフ359

    2019/6/10

    すんげ~😲 カッコイイっ😍
    目立つところに飾って、来る人毎に自慢したいっ!
    ワタシのじゃないんですけど……w
    製作、お疲れさまでしたっ👏

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/10

      ありがとうございますー。

      制作記ともども、完成品含めて楽しんでいただけたようで嬉しく思います。
      だいぶ写真に助けられてる部分はあるのですが(笑)、仕上がりには十分満足です(^^

      引き続きペイント記も再開しますのでよろしくお願いいたします。
      ご声援ありがとうございましたー。

      返信する
  • File

    kinggidoko

    2019/6/10

    ついにお披露目ですね。超大作です。すごい!おめでとうございます。

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/10

      ありがとうございますー。

      3月下旬からスタートして6月上旬……完成まで2か月オーバー(^^;
      掛けた時間の分だけは、完成度上がってますでしょうか??
      イイネとコメントに支えられての大作です!

      ご声援ありがとうございましたー。
      ペイント記も引き続きよろしくお願いいたします。

      返信する
  • File

    sat-2019

    2019/6/10

    大変素晴らしい仕上がりですね!
    製作お疲れ様でした🙇🏻‍♂️

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/10

      ありがとうございますー。

      仕上がり具合を褒めていただき嬉しいです。
      質感やウェザリングなど気を遣って仕上げたので、なおさらです。

      ご声援ありがとうございましたー。
      引き続きペイント記もよろしくお願いいたします。

      返信する
    • File

      sat-2019

      2019/6/10

      ご返事ありがとうございます!
      ぜひ楽しみにしております😃

      返信する
  • File

    チュル

    2019/6/10

    完成おめでとうございます㊗️🎊🍾
    この重厚感がたまらないですね👍
    塗装やウェザリングには凄く興味があるので勉強にもなりましたm(__)m

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/11

      ありがとうございますー。

      こだわった重厚感を感じていただけて、とても嬉しいです(^^
      塗装とウェザリングも、製作記が参考になればと思います。

      引き続き、フィギュアペイントも再開しますので、こちらもよろしくお願いいたします。

      返信する
  • File

    kigure

    2019/6/10

    すごくカッコいい!!✨
    重圧感が凄く大迫力の作品ですね😊
    完成おめでとうございます&お疲れ様でした!

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/11

      ありがとうございますー。

      1/72スケールとは思えない存在感です(笑
      重圧感、重厚感といった質感を感じていただけて嬉しいです。

      引き続きペイント記もよろしくお願いいたします。

      返信する
  • File

    ace

    2019/6/11

    完成おめでとうございます❗️🎊
    さるら。さんのウェザリング愛が伝わる製作日記でした✨8枚目の写真に惹かれるaceです😁

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/11

      ありがとうございますー。

      ウェザリングにはこだわりましたー、思いが伝わって嬉しいです(笑
      8枚目のはしご周りイイですよね!
      はしごの使用感から兵士たちの存在が伝わるように気を遣った箇所です(^^

      引き続きペイント記もよろしくお願いいたします。

      返信する
  • File

    nocturnalclan

    2019/6/11

    これは良いものだ。

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/11

      ありがとうございますー。

      その審美眼にかないましたでしょうか。
      手にとって見られると心もとないけど(笑

      引き続きよろしくお願いいたします。

      返信する
  • File

    0214seiji

    2019/6/13

    何回見てもイイものだ。^_^

    返信する
  • File

    nonstop24hours

    2019/6/17

    こんな大砲撃ちたいです。😈

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/17

      打たれた方は恐怖、ですよねー。
      どっから撃ってくるのかわかりませんものね(笑

      波動砲とバスター砲も撃ってみたいです(^^

      返信する
  • File

    nagumon1990

    2019/6/18

    圧巻!!!
    完成おめでとうございます!
    重量感が有ってほんとにカッコいいです!

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/18

      ありがとうございますー。

      重量感とか重厚な感じの再現を意識したので、感じていただいて嬉しいです😃

      返信する
  • File

    nagumon1990

    2019/6/18

    圧巻!!!
    完成おめでとうございます!
    重量感が有ってほんとにカッコいいです!

    返信する
  • おぉっ、本当に惚れ惚れする完成度です!

    個人的には砲口の煤汚れなども堪りません😮✨
    火薬の匂いを感じさせると言いますか、兵器であることを実感させてくれる絶妙なワンポイントに感じました😄

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/19

      ありがとうございますー。

      いいところを見てくれました!
      煤けた感じ、それらしさを出すために、中々苦労したポイントです。
      黒のクレヨンで直塗りするという荒業ですが(笑)、イイカンジに仕上がりました。

      返信する
  • File

    OER5200

    2019/6/19

    コメントを失礼します。

    完成おめでとうございます!そして、製作お疲れ様でした!

    本当に素晴らしい作品ですね!時代考証に基づいた製作には恐れ入りました。
    私はこの文章を書きながら自分の作ったものを見ていますが、「ああしておけば良かった、ここも手を入れれば良かった…。ってか、そもそも同じキットだよね…本当に?(汗)」と思っている始末です(大汗)

    今回の製作記には多くの部分で勉強させていただきました。ありがとうございます!

    そして、これからも楽しみにしています!

    返信する
    • File

      さるら。

      2019/6/19

      ありがとうございますー。

      何とも過分なお言葉で恐縮です。
      前作のティーガーIといい、今回のレオポルドといい、ミリタリープラモ製作再開のきっかけをいただき、大変感謝しております。
      製作の苦労と楽しみ、完成した時の達成感を思い出すことができました。

      製作記の方も、何かの参考になれば、少しは恩返し(?)になるでしょうか。
      引き続きペイント記、たまの製作記をよろしくお願いいたします。

      返信する
    • File

      OER5200

      2019/6/19

      こちらこそ、ありがとうございます!

      恩返しだなんて、感謝したいのは私の方です!
      今後とも、楽しみに拝見させていただきます!
      よろしくお願いいたします😊

      返信する
  • File

    オマハルゲ

    2021/12/31 - 編集済み

    ふと1/35スケールの「ドーラ」を思い出しました。1/72のレオポルドでも十分大きいのに、あまりにも大きすぎる箱で「棺桶」かと思いましたw 今は無き新宿の「さくらやホビー館」で一度だけ目撃しましたが、強烈なインパクトがありました。確か価格が10万円超え。全世界で何人の人が買ったのやら・・・

    ドイツは巨大な兵器が好きですね。

    File
    返信する
    • File

      さるら。

      2021/12/31

      ドーラもチャレンジしたいですが、置場所が……😁
      ナナニイでも1m超え……

      返信する
    • File

      オマハルゲ

      2021/12/31

      ですよね。Nゲージサイズもあるみたいですが、それでも50㎝オーバーでしょうか。

      自分はあれもこれもベトナムの「放置民」なので完成品を見させて頂くのが癒しとなってます。

      来年もよろしくお願いします。

      返信する
    • File

      さるら。

      2021/12/31

      1/144でもそこそこの大きさ、ですね。
      ナナニイのキットは、いつかは……と思って買うか買うまいか😅

      こちらこそ来年もよろしくお願いいたします。
      良いお年を~~

      返信する