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江戸~明治期の若狭塗

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十年程前、嘉永四年作の「若狭瓣當箱」を入手しました。既に作られてから160年経過していましたが、その塗りのあまりの美しさ、作りの正確さに感激し、古い若狭塗を集め始めました。
若狭塗は17世紀末の江戸時代に、小浜藩の御用塗師が作り出したこの地方独特の漆塗りです。檜葉、松葉、卵殻、微塵貝、菜種、稗、紐などを用いて模様を作り、色漆を塗って複雑な模様を作り出すものです。金箔が使われることも多くありました。「研ぎ出しを行う変り塗」が基本なのは津軽塗と同じで、両者は親戚関係と言っていいと思います。しかし、その色彩の鮮やかさ、洗練度、華麗さはどこの地方の漆器とも異なっています。

個人的な感想ですが、若狭塗の絶頂期は天保から明治20年代の50年程の短い期間だと考えています。江戸後期から明治初期の作品は製作から百数十年以上経っていますが、そのほとんどに木地の狂いが見られません。京、江戸を含めた様々な産地の中でも、木地、塗りを含めて当時小濱が日本最高の水準だったと私は確信しています。

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    Nobuaki Sugiura

    2022/6/6 - 編集済み

    時空を超えた美しいコレクションですね。使われた人々の姿が浮かんで来るようです。

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    • Nobuaki Sugiuraさん、
      コメントありがとうございます。
      小浜が京都から近かったせいか、洗練された印象があります。若狭塗は蒔絵と違って、模様付けをしてから色漆を掛け、そのあと研いで初めて最終的な変り塗ができる訳です。出来上がりの色、模様を予想して作業しているわけで、塗師の方々の想像力が素晴らしいと思うのです。
      しかし考えてみますと、150年なんてほんのちょっと昔なだけなのですね。私の家内の曽祖父は嘉永6年(1853年)の生まれで170年程前ですから、家系をたどれるくらいの昔ということです。古い若狭塗の技術がその間に絶滅してしまったことを思うとなんとも切ないです。

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      Nobuaki Sugiura

      2022/6/6

      繊細で美しい日本の伝統的技術が途絶えてしまったのは、本当に残念なことですね。

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    • 明治工芸は日本の長い歴史の中でも最高の技巧の時代と言われています。蒔絵の技術も最高です。その中でも滅びてしまった工芸が沢山ありますね。自在置物、牙彫などもほとんど途絶えてしまった技術です(何人かは作られている方もいるようですが)。もっとも象牙はもう手に入りません。

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    • こちらは安藤緑山の牙彫です。

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