明治後期~大正 輪島熊谷形吸物椀
初版 2022/12/24 20:18
改訂 2023/06/01 08:25
明治後期から大正頃の製作と思われる輪島の吸物椀です。箱書に「熊谷形」と書かれていますが、この少々平たくてわずかに反りのある椀の形を「熊谷形」というのでしょうか。私は初めて聞きました。椀のサイズは最大で11.5センチほど、あまり大きくはありません。
十客揃いのお椀です。
黒漆であまり目立たない模様ですが、上品でとても美しいです。
安定性が良いうえに、椀としては最高と言っていいとても美しい形だと思います。糸輪がわずかに反っており、持ち上げた蓋を落としづらい構造になっています。
見る向きを変えてみても蓋と身の模様が連続しており、とても丁寧な蒔絵です。
湯焼けは全くなし。使われていません。
糸輪も薄い繊細な作りです。
銀蒔が美しいです。
これは花弁なのでしょうか。ざらざらした微妙な触り心地。
全部で二十客作られたようですが、手元には十客のみです。
派手さはありませんが、輪島塗らしい完成度の高い、素晴らしいデザインセンスだと思います。
