キングストンにはまだ早い(byトシちゃん)
初版 2023/02/04 21:32
改訂 2024/03/11 06:15
グリーンを代表するサドルシューズ「キングストン」には非常に多くのバリエーションがありました。ロイドフットウェア、ポールセン・スコーン、ポール・スチュアートなどいろいろな別注ものがあり、各社の微妙な違いを含めいくつかご紹介したいと思います。
ロイドフットウェア別注

1988-89年頃製作と思われる201ラスト。マスターロイドの白黒のカタログに載っていたのもまさにこの靴でした。80年代の旧グリーン製マスターロイドには、このキングストンの他に、マルバーン、カンタベリー、カドガン、チェルシー、バンバリー、ドーバーがありました。

同じくマスターロイド、1988-89年頃製作と思われる201ラストです。

90-91年頃製作と思われる201ラストで、レッドウッドアンティークとエイコンのコンビです。スタイルはロイドの通常のキングストンと全く同じです。

201ラストに関して、昔のMEN'S EXに上のような記事が掲載されていました。「つま先から垂直に立ち上がった厚みのあるトゥ」というのはその通りだと思います。ここにロイド別注201ラストのバンバリーも掲載されています。自分もかなり以前からこの靴を履いていたので、興味深く記事を読みました。

これが私の履いているマスターロイド201ラストのバンバリー。1984-85年頃の製作ですが「つま先がストンと落ちる」感じが画像からも分かります。閑話休題。
ポールセン・スコーン別注

1986-87年頃製作と思われる、33ラストの黒カーフとカントリーカーフのコンビです。

私の靴ではありませんが、32ラストの黒カーフで作られた靴です。88-89年の製作と思われます。

1990年頃製作の32ラストの、レッドアンティークとエイコンカラーのコンビです。色といいスタイルといい、旧グリーンの生んだ最高に洒落た靴のひとつです。

これも32ラスト。チェスナッツとダークオークカントリーカーフのコンビです。

私の靴ではありませんが、この靴もポールセンスコーン別注です。腰裏の文字にはラストの記載がありません。見たところ、ラストは32ではなく201のようです。ポールセンスコーンが201を注文するのは極めて珍しいです。しかもアイレット回りのU型のステッチもここの別注ではレアな仕様です。ダークオークの部分は通常のグリーンのカントリーカーフではなく、より細かな浅いシボの入った上質なものが使われています。このあたりはポールセン・スコーンの特別な注文だったのでしょう。
ポール・スチュアート別注

ポール・スチュアートもロイドと同じキングストンの別注を掛けていますが、ヒールのところに菱形のメダリオンを打ったりして、他の別注キングストンと違う個性を見せています。これは201ラストです。

毛足の短いスエードとチェスナッツのカーフのコンビ。これまた201ラストです。一度汚れて水洗いしました。

1985年10月29日付のポールスチュアートが掛けた「別注キングストン」のオーダーシートです。ラスト201指定なのがはっきり記載されています。非常に細かなスペックに注文が掛けられることが分かります。全部で12足のロッドで注文されており、最大のサイズは13。シートは恐らく英国サイズ記載と思われ、6を日本のサイズ24.5㎝と考えると31.5㎝!という巨大な足。さすがアメリカ仕様ですが、こんな大きな木型をグリーンが持っていることも驚きです。86年1月28日に発送と書かれていますが、この12足の注文を3か月で仕上げるということでしょうか。凄い仕事の速さです。

こちらはグリーンネームのキングストンでラストは32です。こちらはUステッチが付けられています。
以下はフルスティック氏がキングストン製作時に参考にしたと思われる、1950年代のピールのビスポークサドルです。非常に美しい靴ですが、201より爪先の丸みが強く感じられます。



mat2193
2023/02/05 - 編集済み読み応えありました!!いままでいろいろなタイプを見るので「キングストンとはなに?」となっていたのですが疑問が解消しました!ロイドのキングストン何度か購入できそうな機会があったのですがパスしてきたことを後悔です。なんとなくカモノハシを思い出します。
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グリーン参る
2023/02/05確かにロイドの201ラストのキングストン、カモノハシの雰囲気がありますね。鼻穴が付けばほぼカモノハシです。
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mat2193
2023/02/05似てますよね!
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