これぞ輪島塗! 松葉彫詰模様鬢形吸物椀

初版 2022/07/15 00:16

改訂 2022/07/16 15:07

輪島には蒔絵と並んで「沈金」という輪島塗ならではの技法があります。絵の描写という点では蒔絵に敵いませんが、模様となれば十分魅力的です。


「沈金」とは、ノミで漆の塗面を彫り込み、金銀の箔や粉を埋める技法です。この沈金は、漆の塗厚が十分でなければ深彫りできず生かされません。

漆の肌に刃先で彫り込んだ繊細な線画で、自在な加飾ができる沈金は、しっかりした下地にささえられた厚みのある上塗りの、輪島ならではの加飾の技です。

沈金は長い月日をかけ輪島塗として完成した器物の塗面に鋭利なノミをあて、彫りを入れる作業ですので、失敗するわけにはいきません。一発勝負の作業です。

培われた確かな技があればこそ、また各工程の職人への信頼があればこそ、思い切ったノミさばきが可能になります。


直径10センチほどの小さな吸物椀です。


胴の部分にわずかに反りが入りますが、これが鬢形と言われるようです。


黒漆をそのままノミで彫り上げます。鳳凰のような文様です。


松葉のような細いラインで幾何学模様を彫り、中を金箔で埋めます。蓋ひとつ仕上げるのに、何千回ノミを走らせるのでしょうか。


飲み口の周囲にも松葉彫を入れます。


共箱は質素な杉板づくり。


我が家では向付として使っています。美しい器ですが、白和えなどを入れると本当に映えます。


高台は薄く高さも低めです。


明治末期から大正頃の製作と思われます。

塗師屋の「山崖松華堂」は今も輪島で営業を続けています。


シブ派手を地でいく輪島らしい器ですね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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