愛はきらめきの中に 螺鈿蒔絵重

初版 2022/07/20 11:42

改訂 2022/10/19 22:38

みなさんは『サタデーナイト・フィーバー』という映画をご覧になったことがあるでしょうか。私は公開当時中学生だったのですが、R-15指定ということで友人と私と自分の母親とで映画を見に行くことになってしまいました。同時上映が「ファーストラブ」という青春映画で、その中で裸の女性が出てくるシーンが多く何とも気まずい思いをした記憶があります。当時は二本上映されるのが当たり前でしたね。

ご存知の通り「サタデーナイト・フィーバー」は、トラボルタのダンスが「ディスコでフィーバー(笑)」の社会現象となるほどの大ヒットとなりました。今見るとダンスシーンが良いのは勿論ですが、とても良く出来た若者の成長物語で、見終わった後トニーの幸せをしんみり願ってしまう自分がいました。後の「グリース」や「スティン・アライブ」とは映画としての出来が格段に違いました。

私の好きなビージーズが歌う「愛はきらめきの中に」はこの映画で彼らが歌う唯一のバラードでした。今聞いても本当に良い曲です。

閑話休題

「飯はきらめきの中に」~今回はそんな螺鈿重をご紹介します。

全面螺鈿の上に蒔絵を施した四段重です。大きさは七寸半ほど。四段すべて高さが違います。上二段、下二段で模様が完結しています。恐らく蓋は当初二枚あったと思われますが、残っているのは一枚の蓋だけです。

各面に一輪の花の蒔絵が描かれています。

このお重の面白いところは細かな貝片の中に長めの貝を敷いて、変化のある模様を付けているところです。紫、緑、銀色に螺鈿が輝き大変美しい背景です。

花の中央は銀捲にしており、花弁の金とコントラストが付けられています。

葉の伸びやかな感じも良く出ています。

この花だけは全面銀で花を描いています。

花びらは六枚ですので、描かれた花はハナニラ、オオアマナあたりでしょうか。クレマチス(鉄線)のようにも見えますが、明らかに葉が違います。葉も金のみのものと、金粉を播いたものの二種があります。花弁の上が金粉を播いたものです。

花を見る向きが違うのか、別な花のように見えます。

ここで右の花は中央が金、周辺が銀になっています。

蓋の全景です。花とは別に桐の葉が描かれています。

ひらがなの「き」という文字が書かれていますが、これは恐らく注文主が「木村」「北川」などという「き」で始まる名前なのではと推察します。重蓋に家紋が付くことはよくありますので、桐の家紋の家なのかもしれません。

桐の葉の金も濃淡が付けられており、工夫が凝らされていますね。

長く細い貝片がところどころに配されて、これが良いアクセントになっています。

重箱の内側は洗朱です。木地は比較的薄めですが、木地の繊細さは若狭塗には敵わないようです。

二方桟はそれなりに傷んでいますが、時代を考えればまずまずのコンディションが保たれていると思います。

300年程前の人たちも、このお重に食材を盛って食事を楽しんでいたのでしょうね。

豊かな精神がきらめいています。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

Default