万華鏡の世界 若狭の変り塗 その2

初版 2022/08/07 09:17

改訂 2022/08/07 09:17

若狭塗には数百種の異なった変り塗があり、様々な名称が付けられています。また名前が分からないものも沢山あります。本当に「万華鏡」と呼ぶに相応しい多彩な模様がありました。そのうちのいくつかをご紹介します。


明治前半を代表する変り塗、「はだれ雪」です。檜葉の周りに雪の様に卵殻を撒いています。


これも「はだれ雪」ですが、上と受ける印象がかなり違います。檜葉が青漆で抜かれており、卵殻の密度も高めです。


単純に「はだれ雪」と言っても上の画像のように卵殻の密度、檜葉の大きさ、ベースの色漆、それぞれの塗師屋さんで特徴があって全く異なった印象を受けます。


はだれ雪のバリエーションだと思うのですが、通常雪の様に卵殻を散らすのが普通なのですが、こちらは檜葉を囲むように卵殻を連続して撒いています。


檜葉と松葉の菊模様を散らした「菊合」。黄漆がベースになっています。よく見ないと分かりませんが、わずかに微塵貝が使われています。


上と同じ「菊合」ですが、赤あげになると印象が違います。模様の密度もこちらの方が高いです。


こちらは卵殻で桜の花びらが散る様を模したものですが、何という名称なのか分かりません。まるで日の光が花びらを透かして輝いてているようで、とてもきれいです。


模様付けとしてはさほど技量が高いとは言えない変り塗ですが、「海底塗」と若狭塗が言われていたことを実感させる模様です。秋の野の印象もあります。


明治38年の青漆をベースに檜葉を散りばめた「横雲」と言われる変り塗です。


松葉と卵殻を散らした「網代木」という模様です。明治38年のものです。


松葉の菊模様を紐で囲んだ「松風」という模様です。


蝶を模した変り塗も明治にはありました。


こちらは松葉の中に卵殻で蝶々を描きます。


松葉の中に卵殻を散りばめた「寒紅梅」と言われる模様です。慶応3年のものです。


檜葉、菜種、四角い箆を使った「朝日影」という模様です。明治4年のものです。


稗を使った「さざれ」です。


地味ですが、青漆をベースに赤漆で檜葉を抜いた変り塗です。

名称を調べているのですが、よくわかりません。


若狭にはこのように「雪の結晶」を得意とした塗師屋もおりました。


檜葉を大きく撒いた「鳳凰」と呼ばれる変り塗です。


違う塗師屋の「鳳凰」です。


これは重箱の蓋なのですが、対角線上にラインを設定し、松葉、菜種、卵殻を用いて四種の異なった模様を描いています。左に蝶々が見えます。




ここからはかなり古い若狭塗の変り塗をご紹介します。


嘉永4年の玉鬘です。青漆で紐、菜種を使った変り塗です。紐を連続させてバランスう良く模様を作るには高い技術が必要です。明治に入ってその困難さからか、紐を使った模様は減っていきます。


天保15年の変り塗ですが、名称は分かりません。松葉、稗が金箔の上に模様付けされており、赤、茶、黒などの色漆が複雑に入り混じっています。


文久元年のもので、檜葉と菜種、卵殻を散らした「朝露」という変り塗です。


江戸期の模様ですが、四角い型を使って色合いも複雑になっています。変り塗の名称は分かりません。おそらくですが嘉永以前のものと思われます。


ピンぼけで申し訳ありません。江戸期の杓に使われている変り塗ですが、これもとても複雑な色合いです。模様と言える規則性はありませんが、よく練り上げられた色合いです。



江戸期の渋い若狭塗、とてもきれいです。しかし……

若狭塗の飴色に輝く透き漆の美しさには格別の魅力があります。私はこれに「やられた」と言っていいと思います(笑)。


私が嵌った若狭塗の魅力が少しでもみなさんに伝わればうれしいです。



1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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