万華鏡の世界 若狭の変り塗(その3)
初版 2022/08/08 23:40
改訂 2024/11/29 08:06
さらに変り塗をご紹介します。
卵殻が夜の波濤を思わせる「夜の海」。確かに白波が立っているように見えます。
紐と菜種、四角い箆を使った「藤縄」。金箔の上に青漆を塗っています。
紐と松葉、微塵貝を使った「寒菊」です。上3つはいずれも嘉永4年のものです。

嘉永四年(1851年)作 若狭瓣當箱
https://muuseo.com/shinshin3/items/217

これは「はだれ雪」ですが檜葉が特別小さく可愛らしい印象です。
松葉の菊模様に卵殻の雪を散らした「菊の雪」。でも檜葉も入っています。

五段重 八寸 「菊の雪」
https://muuseo.com/shinshin3/items/249

細かな卵殻を散らした中に松葉の菊模様が入ります。明治後期のものと思われますが、変り塗の名称は分かりません。

紐と四角い箆を使った「唐錦」。嘉永7年の作品です。

嘉永七年(1854年)作 大廣蓋 「唐錦」
https://muuseo.com/shinshin3/items/214

黄漆、茶の漆に青漆で松葉を抜いた模様です。名称は分かりませんが、江戸期の物だと思います。
桜をヒバの中に散らしていますが、変り塗の名称は分かりません。こうした花を模したものはほぼすべてが明治以降の作品です。
黒の背景に赤の松葉と緑の稗で模様付をしたものです。これも名称は不明です。
稗のなかに松葉を金で抜き、中に卵殻を施して花火のスターマインのようです。これも他では一度も見たことのない変り塗で名称は分かりません。

明治中期 七寸五段重 「牡丹雪」
https://muuseo.com/shinshin3/items/254

ときどき見かける渦巻き状の模様です。明治以降の作品です。

菜種で桜が散る様子を、紐が風が吹く様子を表す「桜戸」。

二段重 「桜戸(さくらと)」
https://muuseo.com/shinshin3/items/219

桜戸の別バージョンです。作者が違うと雰囲気も変わります。

地味ながら独特のリズムのある「総角」。

江戸後期 六寸 四段重 「総角」
https://muuseo.com/shinshin3/items/355

紐の中に微塵貝を配した「夕時雨」。時雨の雰囲気はないのですが…。

江戸期 変り塗五種 小型盆
https://muuseo.com/shinshin3/items/345


黄漆を背景に稗で模様付をした「月代(つきしろ)」。明治に大変人気があり、よく使われました。
稗とごくわずかに微塵貝を散らした「都鳥」。

青漆を使った「木枯らし」という変り塗です。やや地味な印象がありますが、実際手にしてみるととても美しい塗りです。

飯鉢 「木枯らし」
https://muuseo.com/shinshin3/items/224

都鳥に似ていますが、こちらは「百千鳥(ももちどり)」という模様です。
変わり塗の種類は400から500ほどあると言われており、全貌はまだまだ把握できません。

万華鏡の世界~若狭の変り塗 その1 | GreenMile Laboratory | MUUSEO My Lab & Publishing
https://muuseo.com/shinshin3/diaries/2

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