螺鈿の滝 ~ 七寸 四段螺鈿蒔絵重
初版 2022/09/29 14:34
改訂 2025/01/11 12:30
螺鈿の工芸品は美しいものが多いです。私も何点か螺鈿の作品を持っていますが、その中でもこの琳派風の蒔絵重はひときわ美しく異彩を放っています。江戸中期の作品だと思いますが、結構傷みがあります。出来が良いだけに迂闊に手出しできないままです。

大きさは七寸の中型のものです。花と葉の種類を調べたのですが、未だに何かよく分かりません。螺鈿の葉脈が滝のように下に流れています。

琳派のような流れのある蒔絵ですね。

花の一部は切金のような銅板が貼られているようです。

写実的というより単純化された蒔絵です。

かなりの長さの貝片が使われていますが、もうアコヤガイはこの時代にもなかったでしょう。



重箱には沈金の施された箸が付属していましたが、このお重は輪島ものではないはずです。

重箱の木地はかなり薄手の部類に入ると思います。狂いもありません。

蓋も葉の大きさに変化を付けて工夫された図案になっています。

立派なものではありませんが、共箱もかなり古そうです。
ガラクタの多い私ですが、この作品は「美術館級」だと思います。入手するのにかなり散財しましたので、その後しばらくひもじい生活をしていました(笑)。
