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ダブルモンク ウェストミンスターⅠ&Ⅱ
ウェストミンスターにはキャップトゥの「ウェストミンスターⅠ」、パンチドキャップトゥの「ウェストミンスターⅡ」があります。旧グリーンではラストは88、33、202、201の4種を展開していました。画像1枚目左のみが202であとは88です。素材はカーフ、カントリーカーフ、スタッグスエードなどがありました。 5枚目は33と88を並べてみました。33の方がわずかにスクエアトゥが穏やかに見えますが、違いはあまり分かりません。 6-8枚目はポール・スチュワート別注のウェストミンスターですが、爪先のメダリオンやヒールサイドの菱形バンチングなど、個性的なデザインになっています。 ダブルモンクはジョンロブのようなバックルが平行に付いているものと、グリーンのように後方のバックルがやや後ろに回る角度が異なるものがあります。私はグリーンのデザインの方が好みですが、ロブ派の方も多くいらっしゃると思います。
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バタフライローファー(メビウスの輪) テウケスバリー
この靴は「バタフライローファー」と言われるものです。画像でお分かりの通り、蝶々型のストラップに切れ込みを入れ交差させるスタイルです。この部分を私は勝手に「メビウスの輪」と読んています。エドワードグリーンでは「テウケスバリー(テュークスベリー)」というペットネームが付けられています。 ●画像1枚目左が92年頃のグリーン。中央と右はどちらも90年代初期のポールセンスコーンのビスポークです。右側の靴はローファーと言うよりオペラパンプスといった雰囲気になっています。画像2-4はそれぞれの靴の別角度の写真です。 ●画像5はグレインレザーのテウケスバリーですが、トゥ部分が縫い合わせになっています。 エドワードグリーンのテウケスバリーには2種あり、ストラップ下に丸みがあるのがⅠ、鋭角なのがⅡだそうです。(画像7参照) ●画像8 ジョン・ロブのロシアンカーフ製のバタフライローファーです。
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旧グリーンロゴ
●1枚目はシングルホルンの円の中にブーツが置かれる意匠です。次の四角いMADE BYのロゴと併用されていたように思われます。 ●2枚目、3枚目はよく知られる四角いロゴの中にMADE BYの文字が入ったものです。四角いロゴにも2種あり、横長ロゴの方がより古い製作時期になります。 ●4-5枚目、MADE BYの無くなった四角いロゴと筆記体とはどちらが先か分かりません。ただ90年に私はインソックが筆記体のロゴの靴を買いましたので、その時に既にこのロゴがあったことになります。 ●6枚目は婦人用グリーンのロゴ。discerning ladyとは「聡いご婦人」ということでしょうか。 ●7枚目は工場移転のゴタゴタのあった94-95年頃のロゴで、筆記体の下にMadein Englandの文字が入ります。この時期、品質はかなり落ちていました。 ●8枚目 「made for」ですから、他社(恐らくイタリアの工房)にグリーンが別注を掛けて製作させた靴に付くロゴです。ですから正確にはグリーン製の靴ではありません。
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ポール・スチュアート別注ロゴ
ポールスチュアートはかなり古くからグリーンに別注を掛けていたようです。70年代には既に別注が掛かっており、一枚目の画像のインソックのロゴがその時代のものです。2-3枚目は70-80年頃のロゴと思われます。 私の世代には「腰かけたハンチング帽の男性」のロゴが一般的には有名ですが、そのロゴだけでも画像4-7枚目のように4種あるようです。 80年代のポールスチュアートの製品は本当に高品質のものばかりでしたが、現在はブルックスブラザーズと同様に品質かかなり落ちてしまいました。当時は「敷居が高い」垂涎のブランドでしたが、現在の製品の質を見ると何となくもの悲しくなります。
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ポールセン・スコーン
ポールセンスコーンは元々ビスポーク工房でしたが、かなり古くからグリーンに既製靴の別注をかけていました。画像2-4は1950-60年頃のインソックです。画像5枚目は1970年代、画像6-8は80年代以降のものです。 1854年にジョセフ・ゲインがイギリス・イートンに靴工房を開きます(その頃のロゴが画像1のものです)。名門イートン校の子弟の靴なども製作しました。その技術がヴィクトリア女王に認められ、王室お抱え靴職人として活躍します。彼は50年もの間、女王のお抱え靴職人を務めました。その間、女王の靴だけでなく、夫君のアルバート公など多くの王族のための靴を作りました。名士となった彼は1892年にウインザー市長に就任します。 ジョセフ・ゲインは、自らの工房に優秀な職人を雇い入れましたが、その中にデンマーク人のポールセンとスコーンがいました(当時、北欧や東欧からかなりの靴職人さんが英国に来ていたようです)。ジョセフ・ゲインの元で経験をつんだ二人は、1890年デューク・ストリートにビスポーク靴工房“ポールセン・スコーン”を開業します。1960年代にゲインの工房を併合しますが、1972年にジャーミン・ストリートのニュー&リングウッドに合併吸収されることになります。
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ドーバー
言わずと知れたエドワードグリーンを代表するモデル、ドーバー。英国ではあまり人気がないと聞いたことがありますが、カントリーシューズとしてこれほど洗練された靴はありません。 32、33ラストが代表的です。202や606の靴も、製作数は少ないですがあります。黒、チェスナッツ、ダークオークのカーフ及びカントリーカーフ、レッドウッドアンティーク、ボーキサイト、ヒュームドオーク、ホワイトバックス、スタッグ、スエード、黒スエードなど様々な素材があります。ほとんどのドーバーがハーフミッドソールで作られています。 画像1枚目、左はラスト33のヒュームドオーク、ポールセンスコーン別注で88年頃の製作。右はラスト32のチェスナッツ、ロイドフットウェア別注で92年頃の製作です。 札幌でも1990年から1992年頃まで、インターナショナル・ギャラリー・ビームスでポールセン・スコーン別注のドーバーが扱われていました。懐かしいです。今もビームスは札幌にありますが、靴に関しては当時の方が圧倒的に高品質でした。
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ストームウェルトブーツ
FOSTER&SONSのオリジナルデザインであり、ストームウェルトチャッカ―と呼ばれます。ラストは69、88などがあります。画像1,2,3枚目の靴は69ラストで5枚目が88ラスト。画像8枚目左が69、右が88ラストです。69ラストはフルスティック氏時代前の代表的なラウンドトゥです。 このブーツはヒールサイドの鋭角なカッティングの当て革が個性的です。1989年のブルータスでもフォスターのこのブーツが紹介されています。 https://muuseo.com/shinshin3/diaries/230
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凝った内羽根靴~ブレーマー
ブレーマーはサイドにアザミのメダリオンのある内羽根のフルブローグです。爪先部分にも凝ったメダリオンが施されています。「古き善き時代」を彷彿とさせるオックスフォード・シューズです。メンズのブレーマーは鳩目が多いですが、婦人用ブレーマーは画像7のような鳩目なしになります。 ブレーマーのラストには88、33、201の三種がありますが、画像1枚目は左の黒が88、右のダークオークが201です。 3枚目は1984-1985年前後の製作のスエード製201ラストです。5枚目はスタッグカーフ(鹿の表皮)でラスト201です。 6枚目はスタッグスエードでラスト33です。
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N Tuczek クロコダイルセミブローグ
Tuczekの惚れ惚れするほど美しいセミブローグです。1920-1930年頃の製作と思われます。細身で素晴らしいシェイプです。もともと細身の木型に加え、5アイレットの間隔を狭くしているのでよりスマートな印象を受けます。 これほど質の良いクロコダイルは現代ではもう手に入らないと思われます。鳩目であるところも個性的です。
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1930-1940年頃製作 Tuczek ビスポーク ライディングブーツ
Tuczekはトゥーシェックと読むようですが、日本ではタッグゼッグと言われています。まず靴の個体自体目にすることはほとんどない大変貴重な靴です。これはTuczekが作ったビスポークブーツで、1930-1940年頃の製作と思われます。爪先の細い大変美しいラストになっています。アッパーは勿論ライニングの革が素晴らしいです。
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86年製 ポールセン・スコーン ビスポーク クロコダイルコンビ
86年4月製作のポールセンスコーンのビスポークです。穏やかな美しいラウンドトゥです。5枚目のヒール側からの画像でもよく確認できますが、クロコダイルの斑は左右で正確に対称となるようにカッティングされています。つまり一匹のクロコダイルの左右同じ場所からパーツを取ってきているわけで、恐らく一匹から一足分しか確保できないとても贅沢な革の使い方です。画像4で見られる通り光沢も素晴らしいです。白い革はホワイトバックスではなく、艶のないホワイトカーフになっています。 画像3枚目、Uモカ部分にはドーバーと同じスキンステッチ「ライトアングル」という技術が用いられています。クロコダイルにスキンステッチを施すのはカーフより相当難しく(斑が割れやすい)、大変高度な技術だと思われます。紐も革製でタッセルにもクロコダイルが使われています。アウトソールの革も返りが良いのに頑丈で、とても履きやすい靴です。紐が革製なのできつく締めることが出来ず、緩みやすいのが唯一の難点です。 現在、この靴を注文すると£6000は下らないと思いますが、これほどの靴を作って履かないオーナーさんの気持ちが私には分かりません。「履くのが勿体ないなら注文しなければいいのに」そんな風に思ってしまいます(笑)。
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戦前のポールセンスコーンのスケート靴
イーベイで購入したポールセン・スコーンのスケート靴です。ロゴの住所、スタンプから戦前(恐らく1920-1930年頃)の製作と思われます。大変柔らかい革で、カーフではなく羊皮と思われます。とても細いラストです。 当時はビスポークメーカーがスケート靴も作っていたのですね。ステッチもスケート靴独特のものです。これは金具を外して普通のブーツとして通用するかと思って購入したのですが、実物を見ると微妙なところです。
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86年製 ポールセンスコーンコンビフルブローグ
1986年6月製作のポールセンスコーンのビスポークコンビです。デッドストックで入手しました。ポールセンスコーンのビスポークの有難いところは、製作日時が正確に分かるところです。必ず腰裏に手書きで製作年、月が書かれます。 踏まず部分から外に力強く張り出した独特のラストです。白革はバックスキンで、手触りは非常に滑らかです。現代では手に入らない革だと思います。ヒールカップの小ささも大きな特徴です。アイレット間隔は大変狭く、そのため前半部が長くスマートな足型に見えるように工夫されています。このあたりはビスポークの面目躍如です。5枚目後方からの画像でよく分かりますが、内側の高さが高く、足首のサポートがしっかりされています。 この時代はまだ80代のジョージ・クレバリーがポールセンスコーンのビスポーク部門の監修をしていて、美しい靴作りに余念がありませんでした。
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FLACK&SMITH コンビフルブローグ 戦前
フラック&スミスは1880年代に創業し、数々の美しいビスポークシューズを作ってきた名工房です。残念ながら1940年代にピールに合併吸収されました。現在ではこの工房を知っている人もほとんどいないのではないでしょうか。 この靴の正確な製造時期は分かりませんが、戦前(恐らく1930-1940年頃)の靴であることは間違いありません。滑らかな素晴らしいスエードを使ったコンビで、とても美しいラウンドトゥです。ハンドウェルトの注文靴でありながら、全く履かれていないことは理解に苦しみます。爪先部分のメダリオンも個性的で、この工房のオリジナルパターンかもしれません。このヒールトップのラバーは、フィリップスの「ミリタリーヒール」と言われるものでとても珍しいと思います。
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1940年代製作 ピール ビスポーク・コンビフルブローグ
オックスフォード時代のピールのビスポークです。ピールの全盛期1940年代の靴ではないかと思われます。特に画像2枚目の上から見たシェイプの美しさは格別で、当時の職人さんはモデリストとして「造形能力の次元が違う」感じがします。ビロードの様なスエードの質感が素晴らしいです。 この靴を見ると、やはりピールは昔からカンヌキ留めをしていなかったことが分かります。ピールの別注グリーンにもカンヌキはありませんでした(しかしブルックス別注にはカンヌキがあります)。
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