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1925年以前の製作 HELLRTERN & SONS ビスポークローファー
日記にも書きましたが、100年ほど前の製作と思われるパンチドキャップトゥのローファーです。タンが大変長く、デザインも独特でデコラティブな印象があります。エドワーディアン時代の靴といった感じです。側面から見るとコバがほどんど見えません。パンチングの穴は大変小さく作られており、華奢な印象です。僅かにスクエァに作られたトゥ。カーフは薄いのですが、特に乾燥した感じもなく良好なコンディションを維持しています。 アウトソールの革もしっとりしていて、オークバークを使ったものと思われます。 Hellstern & Sonsは1870年にパリ・ヴァンドームに創業したビスポークメゾンです。1925年にロンドンに支店を出しました。1925年以降、靴のインソックには『ロンドン』の文字がスタンプされますので、この靴の製作は1925年以前ということになります。
グリーン参る
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1988-1989年頃製作 ロイド別注 スタッグ製 バークレー
1988-1989年頃製作のロイド別注のスタッグスエード製のバークレーです。ラストは202。スタッグは個体によりかなり色の差が大きいのですが、この靴はグレーがかったベージュといった感じです。表面が汚れたので一度水洗いしていますが、スタッグは通常のスエードと比べて脂を含むので、フワフワした質感は保たれています。水に強いのがスタッグの大きな特長です。アウトソールの刻印は大きなブロック体です。 アッパーもソールも柔らかく、靴も軽いのでとても履きやすいです。
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1986-1987年頃製作 ダブルモンク ウェストミンスターⅠ チェスナッツ
1986-1987年頃製作のダブルモンク、ウェストミンスターⅠです。アッパーはチェスナッツのグレインレザーになっています。この頃のグリーンのグレインレザーは柔らかいですね。キャップトゥ部分は革がピンと張られており、クリームだけできらきらと輝きます。ラストは202です。インソックはMADE BYの四角いロゴ、アウトソールは深い刻印の大きなブロック体です。ウェストミンスターにはこの202の他、88、33、201など様々なラストが用いられていました。 追記……ただ33と言っても、私の履いている一足以外は見たことがありません。
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1992-1993年頃製作 ホーキンス(ABCマート)別注 シングルモンク TROON トゥルーン
1993年、札幌に大変洒落たシューパブが出来ました。それはビームスでもアローズでもありません。何とABCマートだったのです(「奥様は魔女」風)。残念ながら、今のABCマートはさほど良い靴を扱っているとは思えません。しかし、このときABCマートが開店したシューパブは誠にセンスが良く、札幌では見たことのないほど品の良い家具調度の中に、グリーン、オールデン、クロケットの靴を所狭しとディスプレイしていました。画像7にお店のあった場所をグーグルアースの画像で載せましたが、当時このビルの地下一階の角にお店がありました。画像8枚目は当時の店舗の外装です。階段途中にグリーンやオールデンの靴がライトアップされていて、ワクワクしながら階下に降りた記憶が今も残っています。何より店内に入っても靴を自由に見させてくれ、店員さんからのプレッシャーフリーでじっくり検討出来ました。空間としてとても「居心地が良かった」ので、月に2-3回はお邪魔していました。 この靴はそのお店で購入したものです。グリーンのシングルモンクの代表選手、トゥルーンです。チェスナッツのカーフは柔らかで非常に滑らかなものです。ラストは32ですが、ウィズがFなので32にしては少々幅広に見えます。インソックにはホーキンスのロゴ、アウトソールの刻印は筆記体です。 ABCマートは1985年頃からホーキンスの代理店をしており、その関係でこのような特別な企画が出来たようです。ほとんどのグリーンの靴を58,000円で売っていましたが、雪国の札幌は革底靴文化が根付かず2年ほどで撤退してしまいました。最後はグリーンの靴をセールに掛け、3万円台で売っていました。私はこのお店でグリーンの靴を4足ほど購入して今も履いています。マイサイズのエイコンのウェストミンスターⅠを売っていたのですが、その日既に2足購入してしまったので、もう数日したら来てみよう帰宅しました。2日後に再訪してみるとすでに売り切れておりました。「良い靴は金の草鞋を履いてでも買え」。今もときどきこの靴の夢を見ます(笑)。
グリーン参る
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1994年製作 ロイド別注 チェスナッツ ヘイスティング
1994年にロイドフットウェアで購入したシングルモンクのヘイスティングです。ラストは細身のラウンドトゥの32です。カーフはやや厚手で固めのドイツボックスだと思います。ヘイスティングはトゥ部分にツイストモカ、爪先にはドーバーと同じスキンステッチが施されています。 この頃、グリーンの経営に暗雲が立ち込めてきました。履き味は硬く返りが悪くなり、はっきりとアウトソールの革が変わったのが分かりました。これまでのオークバークではなくなったのです。ライニングの革も厚くなって歩くととても疲れ、残念ながら手放すことになってしまいました。以後、現グリーンの靴は一度も買ったことがありません。私は「昔は良かった」と言いたくありません。ただ履いて疲れる靴は道具としては一流と言えないのも事実です。
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長寛写蒔絵 吸物椀 明治末~大正頃?
大正頃の製作と思われる小型の蒔絵椀です。研出し蒔絵ですので、手が込んでいます。椀木地は非常に薄く、品の良い蔦の蒔絵が描かれています。江戸後期の名人、佐野長寛の写しとのことですが、元になった作品が分かりません。恐ろしく地味な共箱に入れられていますが、椀の表面は塗り立てのような美しさです。
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1988-1989年頃製作 KENT&CURWEN別注 スエード サンドリンガム
1988-1989年頃製作のKENT&CURWEN別注のスエード製フルブローグダービー、サンドリンガムです。このスエードはスタッグではない毛足の短いものですが、大変滑らかで手触りがいいです。ラストはラウンドトゥの202です。アウトソールの刻印は大きなブロック体です。シングルソールで歩きやすい靴ですが、カントリーシューズの雰囲気が強く漂います。 KENT&CURWEN別注はカッチリとしたデザインが中心の英国の服飾ブランド(軍服なども作っていた)ですが、80年代初めからグリーンに別注を掛けていたようです。
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1990年代 ボノーラ ハンドソーンウェルト モンクストラップ
1990年頃の製作と思われるボノーラのハンドソーンウェルトのモンクストラップです。厚めのしっかりしたカーフが使われています。トゥはセミスクエァで、コバの張りは強くありません。モカ縫いはツイストモカです。ボノーラはイタリア靴の中では「控えめ」な雰囲気で、私はそこが気に入っています。レディメイドでありながら、ハンドソーンウェルトであるのはラッタンジと同じです。画像7枚目にハンドソーンウェルトの凹凸が見えています。 ボノーラは週に6足しか作れない小さな工房でしたが、ジョン・ロブのハイグレードライン(MATTAなど)を請け負う程の名工房でした。残念ながら廃業してしまいました。
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1990-1991年頃製作 アンラインドローファー
1990-1991年頃製作と思われるチェスナッツのアンラインドローファーです。ペットネームはわかりません。通常のグリーンのチェスナッツより濃い色合いですが、肌理が細かく非常に質の高いカーフが使われています。フルサドルでモンペリエに似ていますが、モカ縫いがドーバーと同じライトアングル、爪先にもスキンステッチが施されています。ラストは2424と、グリーンでは珍しい4桁のもので、ローファー専用の184ラストより踵が小さいです。インソック、アウトソールの刻印共に筆記体です。 画像7にこの靴の内側を載せましたが、アンラインド(ライニングの革がないということ)の部分がスエードのような質感であるのが確認できます。同じアンラインドローファーであるハーロウよりもトゥ部分が長く、スマートな印象が漂います。軽くてとても履きやすい靴です。
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1960年代製作 DUCKER&SON別注 トランピングブローグ・オックスフォード 461
1960年代の製作と思われるDUCKER&SON別注の内羽根のトランピングブローグです。1960年代のカタログでは461とされている靴です(画像8赤丸)。この説明では「stout gorse hide」という素材となっていますが、頑丈な成牛(生後2年以上経過した牛)の革ということだと思います。実際、カーフと比較すると非常に厚手の革で、磨いても光らないマットな表面です。ラストは爪先に余裕のあるラウンドトゥの58です。シングルウェルトでフルライニング(裏打ちの革があること)になっています。ソールはオープンチャネルで、ヒールトップはラバー無しの化粧釘一列です。この靴には兄弟靴の外羽根の250という靴がありますが、ストームウェルトの250の方がごつい感じです。461はタンの部分の両側はアッパーには縫い付けになっておらず、このあたりも250と違います。1970年代以降はほとんど作られることのなかった珍しい靴だと思います。 イーベイで購入してから10年以上経ちますが、本当に頑丈な靴です。スマートとはとても言えませんが、長く歩いても疲労もあまりせず、北海道のような田舎を歩くには最適です。
グリーン参る
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1990-1991年頃製作 シングルモンク デンベイⅠ
1990-1991年頃製作と思われるシングルモンクのデンベイⅠです。基本はTROONと同じですが、メダリオンがないパンチドキャップトゥとなっています。ラストは202です。インソックは筆記体のロゴ、アウトソールの刻印も筆記体です。左の靴に刀傷のような疵がありますが補修は出来ず、これもこの靴の個性だとと思って履いています。
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1988-1989年頃製作 チェスナッツ デンベイⅡ
1988-1989年頃製作のバーニーズ別注のモンクストラップ デンベイⅡです。デンベイⅠと違って、トゥ部分にメダリオンがあるのが特徴です。柔らかなフレンチカーフが使われており、ラストは202です。インソックはMADE IN ENGLANDの付いたバーニーズのロゴで、アウトソールの刻印は大きなブロック体です。履き口が少々大きめなので、多少足首が浮くことがあります。
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1984-1985年頃製作 ダークオーク(メレーゼ?) キャップトゥ チェルシー
ロイド別注のキャップトゥ、チェルシーです。通常のダークオークより透明感のある革で、色も若干薄く見えます。ダークオークは画像8のようなかなり濃いこげ茶が一般的なので、もしかしたらメレーゼという色かもしれません。ラストは202です。アウトソールの刻印は小さなブロック体で、1984-85年頃の製作だと思われます。ヒールは三連の化粧釘で、ダヴテイルラバーを使っています。 それにしてもロイドは、古くから良い別注をグリーンに掛けていたんだなと感心します。
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1989年頃製作 スタッグスエード ハーフサドルローファー
1989年頃の製作と思われるハーフサドルのローファーです。ピカデリーにそっくりなのですが、モカ縫いがこちらは「ツイストモカ」、対してピカデリーは「トライアングルモカ」なので違うモデルなのかもしれません。画像8で両者の比較をしています。スタッグスエード製ですが、ラストは腰裏に文字がありませんので正確にはわかりませんが、184ではなく61と思われます。ライニングはあるのですが、大変薄い革なので、ハーロウのような大変に軽くて履きやすい靴になっています。インソックはMADE BYのない四角いロゴ、アウトソールの刻印は大きなブロック体です。出し縫いが白い糸なのも特徴です。 この靴で感心するのはパイピングをスエードではなく、通常のカーフにしていることです(画像7)。スエード素材ではどうしても履き口周囲が傷みやすいので、滑りの良いカーフを使用したのだと思われます。
グリーン参る
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1986-1987頃製作 ブルックス別注 チェスナッツ フルブローグ
1986-1987年頃製作のブルックスブラザーズ別注のチェスナッツのフルブローグです。ピールのデザインが元になっていますので、アイレット横のL字型の小さなパンチングが打たれています。全体に繊細なデザインですね。ラストは201ラストに似たブルックス専用の520です。画像6に爪先部分の側面を載せましたが、このラストの特有のトゥがストンと落ちる感じがよくわかります。薄手のカーフの質が素晴らしく、この時代のグリーンのレベルの高さを実感します。 1980年代のブルックスブラザーズはどの製品も例外なく高品質でした。札幌にも旗艦店がありましたが、アメリカの大きな国旗が掲げられ、非常に敷居の高い雰囲気でした。
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