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PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm
PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm このレンズは、1959年に「ASAHI PENTAX K」と「ASAHI PENTAX S2」用にリリースされた様です。半自動絞り機構が搭載されていて、レリーズ時に自動で絞り込んでくれるが、絞りを開ける作業は自分で行う仕組みになっていました。 4群5枚構成で、テッサー型凸の前方に遠く離して大曲率のメニスカス凹1枚を置く配置になっていたのですが、この簡素なレンズ構成は、Kマウント化された「SMC PENTAX F3.5/35mm」となるまで用いられた優秀な物でした。 一般的に、オールドレンズ達は、手間ひまを掛けて基本的にはより良い光状態を探しながら、そのレンズの長所を生かす写し方を楽しむレンズだと思います。現代のカメラは、カメラ任せでほぼオートマチックに良い写真を撮れてしまいますが、最新のカメラやレンズでは味わえない写真の面白さというか醍醐味がオールドレンズの持つ大きな魅力だと感じます。 何より、現代の最新のデジタル一眼と組み合わせて使うと、当時のフイルムカメラでは引き出せなかったオールドレンズの隠れた実力が引き出されなお一層オールドレンズを楽しみつくすことが出来るようになりました。 そうは言っても、この時代の古いレンズは、コーティング技術が貧弱で、逆光には弱くコントラストも落ちやすい傾向が強く、いくら最新のデジタル技術をもってしてもカバーできない事もあります。と言う事で、レンズフードなどを使い光源対策をする事は大切で、見違えるような結果得ることが出来る場合が多いのでフードは必需品と言えます。 【絞りの作動に関する一口メモ】 絞り作動には大きく分けて、プリセット・自動・半自動が有ります。 [プリセット] 使う絞り値をまず決め、絞りの開け閉めは自分で行う。(レリーズと連動しない) [自動] 使う絞り値をセットするれば、レリーズ時にカメラが自動で絞り込んでくれる。(レリーズが完了すると絞りは開放に自動で戻る) [半自動] レリーズ時に自動で絞り込んでくれるが、絞りを開ける作業は自分で行う。 今回のレンズの場合、絞りを開ける(開放にする)時には、絞りリングの上にあるレバーを押し込みます。そうすると、カチッと音がして絞りが開放状態にセットされます。 絞りは、羽根の力を利用して絞り込まれるのですが、この「レバー」を押し込むことが羽根に力を蓄えることも兼ねています。そして、下の写真の後玉の下側のピンが押し込まれること(カメラが押し込む)で、所定された絞りまで絞り込む構造となっております。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=PNOiukWnD7w https://www.youtube.com/watch?v=5fMA-YkxipI https://www.youtube.com/watch?v=mmujJtuw6wI 【概要】 発売開始時期 : 1959年~ レンズ構成 : 4群5枚 画角 : 63度 最短撮影距離 : 0.45m 開放絞値 : F3.5 最小絞値 : F22 絞り形式 : 半自動(開放セットは手動・絞り込みは自動) フィルター径 : 46mm 大きさ : 53mm(最大径)x33mm(全長) 重さ : 135g
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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PENTAX Super-Takumar F1.4/50mm 8枚玉 前期型
PENTAX Super-Takumar F1.4/50mm 8枚玉 前期型 PENTAX Super-Takumar F1.4/50mmは、1964年に発売された大ヒットカメラ、一眼レフの傑作機Asahi PENTAX SP用のフラッグシップ標準レンズです。 このレンズは旭光学としては初めてのF1.4クラスのレンズでしたが、当時はF1.4レンズは各社のフラッグシップレンズだったのですが、52mmや55mm、58mmといったものが多く、国内で50mm F1.4に一番乗りしたニコンの“Nikkor-S Auto 50mm F1.4”に続いて発売されたのが“Super- Takumar 50mm F1.4”でした。 この“Super- Takumar 50mm F1.4”の初期は6群8枚構成という大変珍しいレンズでした。一般的にレンズ枚数は増えれば増えるほど修正できる収差も増える為、高性能になる傾向があると言われています。しかし、その反面、生産コストが上がってしまうため技術革新に合わせて枚数を減らすケースが殆どで、ペンタックスでもごく短い期間のうちに再設計されて7枚玉に変更されています。 この結果、Super- Takumar 50mm F1.4には、前期型と言われるタイプと後期型と言われるタイプが存在する事となりました。そしてさらに複雑なポイントとして、前期型のも二つのタイプが存在しているようです。(銘板で見分けることが出来るようですがここでは詳しく触れません) 今回のレンズは、8枚玉の前期型になりますが、このレンズは生産数が少ない(1年ほどしか販売されなかった)ことから大変な人気レンズで中古レンズ市場でも貴重品として高値で取引されているようです。 後期型の7枚玉の“Super- Takumar 50mm F1.4”も人気が高いレンズですが、後期型に比べ3~4倍くらいの価格になる事が多いようです。 後期型は有名なトリウムレンズ(アトムレンズ)を採用し解像度の高い大変優秀な高性能レンズなのですが、トリウムレンズが極極僅かな放射線を出す事や、経年変化でレンズの黄変が起こってしまう事などの欠点が有るのですが、前期型にはそのような問題が起こらない事も人気の一つではないでしょうか。 ただ、あくまで個人的な感想ですが、カラーバランスや解像度などは撮り比べてみたところ後期型の方により魅力を感じるのですが、この辺りは個人個人の好みの違いだと思います。 後期型のレンズの黄変については、レンズに紫外線照射をする事によって黄変の除去をする事が出来るので致命的な欠点という事にはならない点と、最近のデジタル一眼レフカメラに装着してオールドレンズ撮影を楽しむのであれば、カメラのオートホワイトバランス機能により黄変レンズでも問題なく撮影をすることが可能だと思うので、中古レンズの価格差程レンズの実力には差は生まれ無いのではないでしょうか。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=DA3OhNHI0sE https://www.youtube.com/watch?v=bTj9rIyqp40 https://www.youtube.com/watch?v=NhTzYaLqyR8 https://www.youtube.com/watch?v=xGBeQ5C4ktg https://www.youtube.com/watch?v=PPfn6CJxAjw 【製品概要】 販売開始 1964年 焦点距離 50mm 最短撮影距離 45㎝ 開放絞値 F1.4 最大絞込地 F16 絞り羽根枚数 6枚 最短撮影距離 45㎝ フォーカス MF フィルター径 49mm 重量 245g
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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PENTAX Super-Multi-Coatrd TAKUMAR F3.5/24mm
PENTAX Super-Multi-Coatrd TAKUMAR F3.5/24mm 発売当時のレンズとしては、24mmはかなりの広角域のレンズだったと思います。 このスーパーマルチコートタクマー24mmF3.5は、68年に発売されていたスーパータクマー24mmF3.5の後継モデルで、逆光やゴースト対策も兼ねたマルチコーティングが施されて登場しました。 さらに、PENTAX SPFやESⅡの開放測光にも対応しているレンズとなっています。 このころまでのペンタックスのオールドレンズは、鏡胴に現代では当たり前のエンジニアリングプラスチック部品と言ったものを一切使かっておらず、経年劣化の影響はほぼ受ません。結果として、数十年経った今でも、その性能が失われる事なく保たれています。 この事が、昨今のオールドレンズブームを支える大きな要因と成っているのではないかと思います。そして 、適切にメインテナンスを行う事で、これからも長くレンズ寿命を保つことが出来るでしょう。 プラスチック製ではない金属製の鏡胴がもたらす重厚な手触りの満足感は、満足感以上に確かな性能を保つ大きな要因と成っているのですね。 そして、このS-M-C TAKUMAR 24mmF3.5はフィルター径が58mmと大柄で迫力のある筐体、レンズアダプターを介して最近のデジタル一眼に取り付けてもバランスが良く見応えあるレンズと成っています。 レンズの特性は、高コントラストで細かな描写をする実力ですが、オールドレンズの常として、周辺の光量は若干落ちますが、他のレンズに比べても落ちは少ない方で、絞り込んでの撮影ではかっちりと描写しますが、開放側に近ずくと他のタクマーレンズに共通の温かみが有りながらも抜けの良い描写は流石ペンタックスと言う所です。 参考動画: https://www.youtube.com/watch?v=nNZ6sfhwM70 https://www.youtube.com/watch?v=JpMv5IWBonY 【概要】 発売 1971年 レンズタイプ 単焦点 マウントタイプ M42マウント 開放値 F3.5 フォーカス MF レンズ構成 8群9枚 絞り羽枚数 5枚 焦点距離 24mm 最短撮影距離 0.25m フィルター径 58mm 重量 243.4g
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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YASHICA ML 135mm F2.8 後期型
YASHICA ML 135mm F2.8 後期型 初期型ML 135mm F2.8を小型化し、最短撮影距離も30cm短くなって、1.5mとなって被写体により寄れるようになったのが、「YASHICA ML 135mm F2.8」後期型という中望遠レンズです。(ちなみに、ZEISSのSonnar 135mm F2.8でも1.6mが最短)。 望遠での30cmの差は効果が大きくこれだけでも大きな進化だと言えますね。 このレンズ、比較的コンパクトで、ZEISSのSonnar 135mmF2.8より全長も短く、軽量という点は魅力です。 当時はコンタックスとヤシカは提携をしており、ヤシカは日本でZEISSレンズを作っていました。Sonnar 135mm F2.8も日本で作っていて、同じ工場でこのYASHICA ML 135mm F2.8も作られたようですが、当時、ZEISSの技術が移転されていたこともあり、このころのヤシカレンズは優秀なレンズが多かったのです。 このレンズ、Sonnar 135mmF2.8の様に、フードが内蔵されていますが、Sonnar 135mm F2.8よりも申し訳程度のものなので、別途対策は必要かもしれません。 この、YASHICA ML 135mm F2.8というレンズの写りは、一言でいうと良く映るレンズです。 撮影画像は、開放撮影から十分にコントラストが高くしっかりと解像してくれます。 また、ボケ味もオールドレンズならではのやわらかなボケ感で好印象です。 この135mm/F2.5~2.8クラスには優れたレンズが多いのですが、「YASHICA ML 135mm F2.8 後期型」は、「PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F2.5/135mm」や、「CARL ZEISS Sonnar 135mmF2.8」と言った名レンズに決して引けをとる事のない優秀なレンズだと思います。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=c0YDesQAzW8 https://www.youtube.com/watch?v=N2PQhIWuXYo 【レンズ概要】 構成 : 4群5枚 画角 : 18.5° 最短撮影距離 : 150cm 開放絞り値 : F2.8 最小絞り値 : F22 フィルタ径 : φ52mm 寸法 : φ63mm×75mm 重量 : 420g
カメラ C/Yマウント YASHICAta-ke
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PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F1.8/55mm
PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F1.8/55mm マルチコーティングにより、逆光やゴースト対策が施され一段と使い易く解像度も強化された高性能標準レンズで尚且つ、コストパフォーマンスに優れた「Super-Multi--Coated TAKUMARE F1.8/55mm」レンズです。 ただ、ペンタックスオールドレンズの代名詞的な玉ボケや、虹色フレアと言った特徴は完全になくなったわけではないようで、オールドレンズならではの撮影を楽しむことが出来ます。 このレンズは、露出オートを実現するために開放測光対応鏡胴を採用しています。 ペンタックスで開放測光を実現したカメラは「ES」ですが、この「Super-Multi--Coated TAKUMARE F1.8/55mm」レンズはESが発売される前にすでに、SPのセットレンズとして販売が開始されていたようです。SPは開放測光に対応していなかったので宝の持ち腐れともいえるちぐはぐな販売戦略ですね。 希少価値の高いSuper-Takumar F1.8/55mmの初期型や前期型と言った人気レンズは中古市場でも比較的高価で、手に入れる敷居は高いのですが、Super-Multi--Coated TAKUMARE F1.8/55mmは、初期型や前期型を凌駕するような優れたレンズであるにも拘らず半額程度で手に入れることを考えると極めてコストパフォーマンスの高いレンズだと思います。 このレンズは有名なアトムレンズを採用しています。このアトムレンズは高い解像度を誇る優れものですが、欠点として、経年変化としてレンズの黄変を起こす事です。 このレンズの黄変は、紫外線照射によって黄変除去が可能ですのであまり気にする必要は無いでしょう。 実力本位で選ぶなら、Super-Multi--Coated TAKUMARE F1.8/55mmは間違いなく持っておきたいレンズだと言えます。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=-xACqDErTTg 【製品概要】 メーカー : 旭光学 lens構成: 5群6枚 最短焦点距離 : 0.45m 開放絞り値 : F1.8 最少絞り値 : F16 絞り羽根枚数 : 6枚 フィルター径 : 49mm
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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PENTAX Super-Takumar F3.5/28mm 初期型
PENTAX Super-Takumar F3.5/28mm 初期型 以前に出品したレンズに、これと瓜二つのレンズが有りました。 「PENTAX Super-Takumar F3.5/28mm 前期型」というレンズです。普通に見比べてもこの二つのレンズを見分けることは難しいでしょう。 一番分かり易いポイントは一つ、絞り環の最小絞り値の刻印にあります。 初期型は、最小絞り値が、F22なのですが、前期型は、最少絞り値がF16となります。 ここが最も明確に見分けられるポイントとなっています。 少し分かりずらいのですが、レンズ銘板にも違いが有ります。先ずフォントが違います。それと表記の配置が異なっています。Super-Takumarの前に製品番号が有るのが初期型、Asahi Opt. Co.の前に製品番号が有る方は前期型となっています。 これ等の点を見れば見分けがつくという事ですが、やっぱり見分けづらいですね。 当時のレンズメーカーは、短いスパンで製品のアップデートを行っていたようで、このレンズに限らず同じ名前のレンズでありながら多くのバージョンが存在すると言う事が度々見受けられます、ユーザー泣かせと言うか、コレクターにとっては厄介な事ですね。 尤も、こうゆう状況自体がコレクターを引き付けているのかもしれませんが・・・。 特に、ペンタックスのオールドレンズには、こういったカオス状態のバージョンがあふれているように感じます。 ちなみに、この「Super-Takumar F3.5/28mm」レンズには、この初期型、前期型を含め1962年~1966年という短い販売期間の間に実際には4パターン以上のバリエーション(マイナーチェンジ)があるそうです。 このレンズのよもやま話で長くなってしまいましたが、最後に、撮影画像について触れておきます 。開放値がF3.5と決して明るいレンズという訳では無いので、ボケ味はあまり期待していなかったのですが、思っていた以上のボケ味描写でちょっと意外な結果でした。ピントの合っている合焦部分も含めて柔らかい作画と言える写りでオールドレンズらしい絵作りとなっています。 ただ絞り込んでの撮影でも、メリハリの効いた切れの良い写りではなく、ソフトトーンの写りですね。人物写真などのポートレート撮影には良いレンズかも知れません。 現代の切れの良いレンズとは違い、いかにもオールドレンズと言った写真を楽しめるレンズだと思います。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=RYhax9QzNNk https://www.youtube.com/watch?v=wXBcERqzQ8M https://www.youtube.com/watch?v=MMPOMvG1r0M 【製品概要】 メーカー : ペンタックス 発売時期 : 1962年~ レンズ構成 : 6群7枚 焦点距離 : 28mm 最短撮影距離 : 0.4m 開放値 : F3.5 最少絞り値 : F22 絞り羽根枚数 : 5枚 フィルター径 : 58mm マウント : M42スクリュウーマウント サイズ : 61.5X47mm(最大径×長さ) 重量 : 260g
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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YASHICA ML 35m/F2.8
YASHICA ML 35m/F2.8 M42スクリュウーマウントレンズではないレンズの第3弾! 今回は、ヤシカのオールドレンズの登場です。 ヤシカと聞くと大したことはないんじゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか?ところが、このヤシカレンズは曲者で、当時コンタックスと一緒になって、C/Yマウントという企画で、かのあまりにも有名なCarl Zeissレンズを製造販売していたのです。このC/YマウントのCarl Zeissレンズはドイツ(MMDなど)と日本(MMJなど)で製造されており、Carl Zeissレンズの技術がふんだんに導入されて、結果、ヤシカのレンズ自体も大変優れたレンズを生み出すようになっていたのです。 当時のヤシカは、高い技術力を持っていた富岡製作所を傘下に入れていたので、Carl Zeissの優れた技術と富岡製作所の高い技術が融合して優れた製品を生み出していたようです。 当時のヤシカレンズは広角系に優秀なレンズが多かったらしく、和製ディスタゴンとかと例えたりする様なオールドレンズ好きの人達には人気の高い名玉が多いようです。 この時代のヤシカレンズは、中古レンズ市場でも結構高値で流通している様で、少しでも安いレンズを探している様な者にとっては中々ハードルの高いレンズでもあります。 今回手に入れたレンズは比較的定低価格でしたが、ネットで調べてみた結果、どうやら理由が有りそうでした。 結論からいうと、監視カメラ用のレンズだったのではないかという事です。 レンズ自体は同じ物の様ですが、細かい所でちょっとした違いがある様です。 ただ実際に撮影してみた結果で見るとかなり写りは良く好印象で、通常?製品と比較した訳では無いのですが、個人的には問題ないと結論付けてしまいました。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=frIAR3GorCY https://www.youtube.com/watch?v=zgazZGIhhoY https://www.youtube.com/watch?v=CaHQrwQYwn0 https://www.youtube.com/watch?v=zgazZGIhhoY https://www.youtube.com/watch?v=FKBFMypONtI 【製品概要】 メーカー : YASHICA 発売時期 : 1982年~ レンズ構成 : 5群6枚(レトロフォーカス型) 最小焦点距離 : 0.3m 開放絞り値 : F2.8 最小絞り値 : F16 フィルター径 : 52mm サイズ : 61.5×41.5mm 重さ : 230g 【ヤシカと富岡製作所について】 長野県諏訪市のバルブメーカー北澤工業株式会社(現・東洋バルヴ株式会社)勤務の牛山善政が独立して1949年12月、従業員8人で電気時計メーカー「八洲(やしま)精機株式会社」を創業。その後「ピジョン」ブランドで写真用品を販売していたエンドー写真用品株式会社(東京都中央区京橋)からカメラ生産を受託し、株式会社富岡光学器械製造所のレンズを使用した6×6cm判二眼レフカメラの「ピジョンフレックス」を1953年6月に発売した。同年には社名を「八洲光学精機株式会社」に改称した。さらに折からの二眼レフブームに乗り、1954年にかけてピジョンフレックスと同一設計の「ヤシマフレックス」および「ヤシカフレックス」、シャッターを株式会社コパル光機製作所製に変更した「ヤシカフレックスB」の生産を開始し、自社カメラ事業を本格化させた。このためピジョンフレックスの製造は1954年、35mmレンズシャッター機「ピジョン35」の受託製造先だった長野県の信濃光機株式会社に移された。 カメラ事業の拡大を受け、1955年には諏訪郡下諏訪町の旧片倉製糸丸六製糸場に本社工場を移転した。また1957年に子会社の米国販社「ヤシカ社(Yashica Inc.,)」をニューヨークに開設し、二眼レフカメラメーカーとして積極的に海外市場に進出。1958年には本社の社名も商標と同じ「株式会社ヤシカ」に改称した。同年にはローライフレックス4×4を模した「ヤシカ44」が意匠権を侵害しているとしてローライの米国代理店が訴訟を起こす騒動もあったが、従業員数は1982人に達して急成長を遂げた。 1959年には戦前から続くカメラメーカーのニッカカメラ株式会社を買収して35mmカメラの製造を開始し、ライカタイプのレンジファインダー機「ヤシカE」や、一眼レフカメラの「ヤシカペンタマチック」などを発売した。またズノー光学工業を買収し、同社の技術も獲得した。 さらに自動露出制御の大衆機ブームに合わせ、世界初の電子制御式35mmカメラと銘打つ「ヤシカエレクトロ35」を1965年12月に発表。電池電源をこれまでになく積極的に活用したことによる露出制御の自動化・機構簡略化および大口径レンズの導入によって、暗い所の撮影が困難で壊れやすいとされていた大衆向けEEカメラのイメージを一新し、最終機種(1975年)までのシリーズ累計販売台数は世界で約500万台に達するベストセラー機となった。1968年には長年同社にレンズを供給していた富岡光学器械製造所(1969年に「富岡光学株式会社」に改称、現・京セラオプテック株式会社)を子会社化した。 ヤシカエレクトロ35で培った電子制御技術の実績と、子会社富岡光学のレンズ製造技術が評価され、1974年9月にカール・ツァイスと提携。1975年からTTL完全自動絞りとクイックリターンミラーを内蔵した35mm一眼レフコンタックスRTSを発売した。またコンタックスRTS用カール・ツァイスレンズと同一マウントの「ヤシカ」ブランド一眼レフおよびレンズを併売した。 この間経営面では、試作研究を続けていたテレビ受像器製造事業構想の挫折に加え、牛山善政社長の個人保有株に絡む経理部長の横領事件や社長親族の麻薬事件などの問題を抱えていた。さらに岡谷新工場建設の過大投資やオイルショックによる景気悪化が重なり、1975年に経営破綻。メインバンクである太陽神戸銀行と日商岩井による支援を受けてコンタックスおよびヤシカブランドのカメラ生産を続けたが、カメラのマイクロ・エレクトロニクス化が進む中で新製品の開発が困難な状態に陥り、遠藤良三社長(のち京セラ副社長)の手で1983年10月、京セラ株1対ヤシカ株13の比率で京セラに吸収合併された。本社工場は京セラの長野岡谷工場となった。 [京セラ時代のヤシカ] ヤシカの事業を引き継いだ京セラ光学機器事業本部は合併後も高級機のコンタックス、低価格機のヤシカの各ブランドでカメラ生産を続けていたが、国内向けの普及機については1986年発売開始のオートフォーカスコンパクトカメラ「京セラTD」から京セラブランドで生産を開始した。しかし海外市場を重視した旧ヤシカの戦略で海外における「YASHICA」ブランドの知名度が高かったため、海外向けの低価格機は引き続きヤシカブランドで販売された。また合併翌年の1984年にはヤシカブランドの京セラ製MSXコンピュータ「YC-64(オランダ語版)」が海外向けに発売された。 カメラ生産は1984年12月以降、長野岡谷工場がコンタックスブランドやヤシカブランドの一眼レフ、北海道北見工場(北海道北見市豊地)がヤシカ/京セラブランドのオートフォーカスコンパクトカメラを担当したが、チップコンデンサなどの電子部品生産増強を目指した1988年の国内生産体制再編でカメラ生産ラインは長野岡谷工場に一本化された。しかし光学機器事業本部は合併時の期待どおりの収益を上げることができず、ヤシカ出身社員の多くは1990年代以降、京セラが手がけた第二電電(DDI、現在のKDDI)などの別事業に投入された。 京セラ長野岡谷工場は、ヤシカが1959年に岡谷市から購入した旧片倉製糸工場跡地を活用して1972年に開設。下諏訪町の工場は1973年7月より武藤工業の諏訪工場となっている。60年代にはヤシカが進出を目論んでいたテレビ受像器製造事業の専用工場を建設する構想だった。面積は約8万平方メートルで、単一工場面積としては現在も岡谷市内最大を誇る。京セラ合併後も光学機器事業本部の工場としてカメラ生産を継続。現在はサーマルヘッド部品、LEDヘッド部品、単結晶サファイア製品などを生産している。 京セラは2007年にカメラ事業から撤退。保有していた「ヤシカ」の商標権を京セラ製カメラの販売代理店だった香港の企業、JNCデイタム・テック・インターナショナル株式会社に売却した。
カメラ C/Yマウント YASHICAta-ke
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PENTAX SMC TAKUMAR F1.8/55mm
PENTAX SMC TAKUMAR F1.8/55mm 以前に、「SMC TAKUMAR F1.4/50mm」というレンズをご紹介いたしましたが、その弟分と言えるのがこのレンズです。開放値をF1.4からF1.8へとダウングレードされている訳ですが、やはりこの0.4の明るさの差は大きいようで開放値でのボケ感には違いが出るようです。 絞り込んでいけばそこまで差がある様には感じませんので、価格差を考えるとこの、「SMC TAKUMAR F1.8/55mm」を選択するのも悪くは無いのではと思いますが。 Aoto Takumareから、Super-Takumar、Super-Multi—Coated TAKUMARE,そしてSMC TAKUMARへとM42スクリュウーマウントのペンタックス標準レンズは続いていくのですが、個人的には新しくなっていくほど解像力にしても、ゴーストやケアレ対策なども進化を続け改善されてきたのは間違いはなく、レンズの総合的な優秀さにおいてはSMCシリーズが最強ではないかと思います。 しかし人気というものはそれほど単純ではない様で、希少価値や、新しいレンズの抱える問題点などの影響で大きく変わってしまうものの様です。 特に、Super-Takumarの後期型から採用が始まった、極めて優秀なアトムレンズを使ったレンズ群は、ごくごく微弱な放射性物資値が含まれていたり、その影響でレンズが黄変すると言ったことから、必要以上に敬遠されている状況ですね。 (SMCタクマー F1.8/55mmの最終バージョンにはアトムレンズが使われなかったようですが・・・) 逆に考えれば、上記のような問題を気にしなければ、とてもリーズナブルに購入できるハイコストパフォーマンスなレンズではないかと思います。 毎日肌身離さず持っていたりしなければ安全上全く問題になりませんし、黄変レンズも紫外線照射で改善できるので、“空気をも写す”と例えられるアトムレンズの描写力を満喫できるのですから。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=vWofZJxgaJg https://www.youtube.com/watch?v=Lu4wV_G9Cz0 https://www.youtube.com/watch?v=qD2on8ks8Gk 【製品概要】 製造国 : 日本 販売開始時期 : 1971年~ 撮影距離 : 45cm〜無限 開放絞り値 : F1.8 最小絞り値 : F16 絞り羽 : 8枚 マウント : M42マウント フィルター径 : 49Φ サイズ : (約)4.4cm×5.7cm フィルター径 49Φ 備考 トリウム含レンズ(アトムレンズ)の関係でレンズが黄変しやすい
カメラ M42スクリューマウント PENTAXta-ke
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CONTAX Carl Zeiss Sonnar 135mm/F2.8 AEJ
CONTAX Carl Zeiss Sonnar 135mm/F2.8 AEJ ついに、M42スクリューマウントでないレンズの登場です。 カールツアイス、カメラ好きなら誰もが知っているレンズ、今もそうですがオールドレンズ時代では圧倒的存在感、みんなの憧れのレンズですネ。 かくいう私もその一人でありまして、欲しいのですが、価格が高い!ハードルが高すぎて(思い込みもある)手を出す事もなく今に至っている訳です。 自身の経済範囲にPENTAXという極めて優秀なレンズが有り、尚且、流通個数が多いこともあって本当にお手頃に手に入れることが出来たので、十分満足していたのですが、何を血迷ったのか、たまたま見かけたCONTAX Carl Zeissの文字に飛びついてしまい(潜在的な欲求?)オークションの落札価格も安かった事もあって購入してしまいました。 憧れてきたわりに、Carl Zeissについてはあまり知らない事に今更気付いた訳ですが、このCONTAX(=Carl Zeiss)レンズはC/Yマウントを採用しています。これは、CONTAX/YASHICAマウントと言うものの略で、カール・ツァイスと日本のカメラメーカーヤシカとの共同事業として1975年に販売が開始されたカメラのブランドおよびそのカメラに使用されたマウント規格です。 という長い前置きはさておき、この、「CONTAX Carl Zeiss Sonnar 135mm/F2.8 AEJ」というレンズについてです。 ここで、ちょっとややこしいことが・・・このレンズ同じ名前で大きく分けて4つのタイプが有るそうです。 MMJ、AEJ、AEG、MMGの4つです。 最初の2文字AEとMMはレンズの仕様の違いを表わしており、後ろのJとGは生産国を表わしている様です。 J or G(MADE IN JAPAN or MADE IN GERMANY→生産国の種類の違い) MM or AE(レンズの種類の違い) つまり、MMJは日本製のMM型、AEJは日本製のAE型、MMGはMM型のドイツ製、AEGはAE型のドイツ製という分類になります。 このあたりの詳しい内容はネットで調べて頂ければと思います。 CONTAXの中望遠レンズが、135mmF2.8 AEJという訳で、1975年発売された初期のコンタックス/ヤシカマウント用の17本のレンズの内の1本という事になります。 135mmという焦点距離のレンズは代表的な画角でさらに、このレンズはF値2.8とそこそこ明るさを持っておりなかなかのレンズではないかと思います。 その割には中古市場では比較的安価で取引されている(と言ってもやはりカールツァイス、私にとっては安くはない)、Carl Zeissレンズとしては破格と言ってよい価格帯のお勧めのレンズではないでしょうか。 実際に使ってみると、さすがカールツァイスと思えるシャープさ、立体感に納得の写り、やっぱりいいレンズと実感させられました。また、F2.8開放は、ボケ味も期待できそうと試してみましたが、期待どうりに美しく柔らかい良いボケ具合、使えるレンズです。 とここで、このスペック何だか似ているレンズがある様な・・・それは「PENTAX Super-Multi-Coated TKUMARE F2.5/135mm 」。 焦点距離は同じ135mm、開放値もF2.8tとF2.5近いですね。 という事で、撮り比べをしてみました。 先ず、開放でのボケ味についてですが、PENTAXの方はF2.5と若干明るい事もあってボケがはっきりと感じられますが、ちょっとガチャガチャとうるさい感じのボケ味です。一方CONTAXはボケ感が少ない様に感じますがソフトで柔らかい感じのボケ味です。ボケを意識的に楽しむならペンタックスかなと思いますが上品なボケならコンタックスかなと思います。 色の乗り具合はペンタックスの方が発色が良いようで、コンタックスは少しあさりとした印象を受けます。この辺りは好みかと思います。 遠景では、大きな差はないようですが、解像度はコンタックスが一枚上手かと思います。 重さとサイスでのコンパクトさはペンタックスのほうが上手ですね。 取引価格等を考えるとペンタックスの優秀さが良く解る結果です。 結論として、CONTAX Carl Zeissは、評判にたがわぬ良く出来たレンズと言う事が良く解りました。中でも今回のSonnar 135mm/F2.8 AEJは価格的にも魅力的なレンズですネ。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=-7-0IEIUHrU 【製品概要】 メーカー : CONNTAX/YASHICA 発売開始 : 1975年~ 焦点距離 : 135mm 最短焦点距離 : 1.6m 開放値 : F2.8 最小絞り値 : F22 絞り羽根枚数 : 6枚 フィルター径 : 55mm 製造国 : 日本
カメラ C/Yマウント CONTAX/YASHICA Carl Zeissta-ke
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PENTAX Super-Takumar F3.5/35mm Type 1
PENTAX Super-Takumar F3.5/35mm Type 1 この、ペンタックスのオールドレンズ「Super-Takumar F35/35mm」レンズはコンパクト軽量で人気の広角レンズなのですが、チョット厄介なレンズでして、同じ名前のレンズであるにも拘らず5種類のレンズが存在すると言うカオスなレンズです。 簡単に説明しますと、先ず、前期型と後期型が在します。 後期型は一種類のですが、前期型には四種類が有るのです。ここでは、それぞれ、Type1・Type2・Type3・Type4に分類されています。 ここではこのタイプを詳しくお調べになられている、『つんつんブログ』の説明を引用させて頂きます。 オールドレンズについて大変造詣が深くとても勉強になりますので、興味のある方は一度訪れてみてください。 ※つんつんブログ http://tsun2.way-nifty.com/blog/ 下記に説明文を原文のまま転載しております。 タイプ1 絞りリング:円筒型、最小絞り F22 表示文字:フツラ書体 スナップマーク:なし ft表示の並び:20 10 、m表示の並び:7 3 銘板表示:Super-Takumar 1:3.5/35 Asahi Opt.Co., Lens made in Japan (製造番号) タイプ2 絞りリング:円筒型、最小絞り F22 表示文字:フツラ書体 スナップマーク:あり ft表示の並び:30 15 10 、m表示の並び:10 5 3 銘板表示:Super-Takumar 1:3.5/35 Asahi Opt.Co., Lens made in Japan (製造番号) タイプ3 絞りリング:ローレーット型、最小絞り F16 表示文字:フツラ書体 スナップマーク:あり ft表示の並び:30 15 10 、m表示の並び:10 5 3 銘板表示:Super-Takumar 1:3.5/35 Asahi Opt.Co., Lens made in Japan (製造番号) タイプ4 絞りリング:ローレーット型、最小絞り F16 表示文字:ヘルベチカ書体 スナップマーク:あり ft表示の並び:30 15 10 、m表示の並び:10 5 3 銘板表示:Super-Takumar 1:3.5/35 (製造番号) Asahi Opt.Co. Lens made in Japan 以上大変分かり易く説明頂いております。 この4タイプのレンズは、外見上ほとんど同じで、上記の『つんつんブログ』様の説明が無ければ見分けることはととても難しいと思います。 私もこちらのブログで初めて理解が出来ましたのでとても感謝しております。 私もこのブログを参考に「Super-Takumar F35/35mm」を集めたのですが、私の場合、Type1がなかなか手に入れることが出来ずに苦労しました。 先日やっと手に入りミューゼオ展示が出来る事になりました。 これで、ペンタックスのオールドレンズ35mmシリーズは、オートタクマーから、スーパータクマーの5種類、そして、スーパーマルチタクマーまですべてをコンプリートすることが出来ました。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=NhTzYaLqyR8&t=310s
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PENTAX Auto-Takumare F1.8/55mm Ⅳ型
PENTAX Auto-Takumare F1.8/55mm Ⅳ型 この「Auto-Takumare F1.8/55mm」というレンズは、実にバリエーションの多いレンズです。 Ⅰ期型(1960年~)に始まり、Ⅱ期型A、Ⅱ期型B、Ⅲ期型、Ⅳ期型、Ⅴ期型、Ⅵ期型と、僅かな期間に構造などの改変を繰り返しています。 正確な理由は分かりませんが、組み合わされるカメラ本体「PENTAX S3」の開発ペースと関連が有るのかもしれないと言う事の様です。 Ⅳ期型・Ⅴ期型・Ⅵ期型の「Auto-Takumar F1.8/55mm」は、レンズ上の構造は殆ど変更はなく、絞り環の表記に中間絞りの「・」が刻まれていたり、被写界深度指標が「1.8」と「11」が刻印された煩雑なものだったりとか、機能というより外観上の変更程度でした。 さらにおもしろい事は、Ⅴ期型・Ⅵ期型が、「PENTAX S3」が発売された時のセットレンズ「Siper-Takumar F1.8/55mm 初期型」と実は全く同じレンズで、レンズの銘板のみを変えた完全同一レンズであったと言う事です。 一眼レフカメラの「PENTAX S3」と「PENTAX S3」が、一時期併売されていたことから が、 この「Auto-Takumar F1.8/55mm Ⅴ期型、Ⅵ期型」と「Siper-Takumar F1.8/55mm 初期型」も併売されていたのかもしれません。 Auto Takumare F1.8に限らず、PENTAXのオールドレンズにはこういった極めて複雑なラインナップが多々ありオールドレンズファンにとってはレンズ選択に頭を悩ませることが多いですね。 ま、尤もそれ自体もオールドレンズの楽しみと言えなくもないのですが。 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=OnWQ1zI9N1s https://www.youtube.com/watch?v=UPUUATqtWww&t=720s 【製品概要】 発売時期 : 1961年頃 レンズ構成: 5群6枚 フォーカス : マニュアル 焦点距離 : 55mm 最短焦点距離 : 45cm 開放値 : f1.8 最小絞値 : f16 絞羽根枚数 : 6枚
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PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F2.5/135mm 後期型
PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F2.5/135mm 後期型 外観からは全く見分けがつかない、Super-Multi-Coatedタクマー135mmF2.5レンズの前期型と後期型。 レンズの銘板の表記は全く同じ、外見もほぼ同じ、紛らわしいことこの上ないのですが、何故この様な戦略をとったのか、知っている方がいらっしゃったら是非お教え願いたいと思います。 前期型と後期型の2種類の写りの感じはどちらも似ていて、少し柔らかめで線の細い、しっかりとした描写になります。かなり細かな部分まで描写して、開放側ではボケ味もきれいで、Super-Multi-Coatedタクマー135mmF2.5は、デジジタル一眼レフ・カメラにおあつらえ向きのレンズではないでしょうか。前期型と後期型、どちらも似た描写をしてくれますので、携行性等も考慮して好みに合わせて使い分ければ良いのではないでしょうか。 とは言っても、外見は瓜二つ描写も似ている前期型と後期型ですが、中身を覗いてみると全く違うレンズであることが分かります。 先ず、前期型 PENTAX Super-Multi-Coated TKUMARE F2.5/135mmのレンズ構成はエルノスター型4群5枚となっています。 エルノスター(Ernostar )はルートヴィッヒ・ベルテレが1923年エルネマン在籍時A.クルーグハルト(A.Klughardt )とともに発明したレンズで、名称は"エルネマンの星"の意。当初設計されたのはエルノスター10cmF2とエルノスター12.5cmF1.8である。これらのレンズは当時世界最高速(写真レンズにおける"高速"とは、低照度の撮影条件下で高速シャッターが切れる、すなわちF値の小さな明るいレンズであることを意味する)であり、エルネマンのカメラエルマノックスに装着されて夜間の手持ち撮影を可能にした。1925年には映画撮影機用のエルノスターF1.0、写真機用に画角40度を持つエルノスターF2.9が設計され、1929年には写真機用に画角40度を持つエルノスターF1.6が設計された。後にゾナーの原型となりました。 エルノスター型レンズは中望遠レンズに適した特性を持っており、現在でも中望遠レンズの設計のお手本として普及している。 そして、今回紹介する「後期型」では6群6枚に設計変更しテレフォト型となっています。 テレフォトタイプは、現代の望遠レンズの主流と言えます。 望遠レンズで問題となるのは広角レンズとは逆にフィルムからレンズまでの距離が長くなるために、レンズの全長も長くなり、またピント合わせの際の繰り出し量も膨大なものとなり撮影に支障をきたすことになります。 そこで広角レンズのレトロフォーカスとは逆の発想で、主光学系の後ろに凹レンズを配して実焦点距離よりもレンズの全長を縮めたのが「テレフォトタイプ」(望遠型)とと言われるものです。 このほかに、対称型レンズ構成の「長焦点型」、これとはまったく別の反射鏡を使った「反射望遠型(ミラーレンズ、レフレックスレンズ、カタジオプトリックタイプ)」と言ったタイプが有ります。 このように、外見は瓜二つ、中身は全くの別人!面白いですね。 ペンタックスのオールドレンズには、この様に思わずニヤッとしてしまうレンズたちが結構あって、こういった様々なバージョンが私の様なオールドレンズファンにとっては堪らない魅力となっているような気がします。 【製品概要】 販売開始 : 1973年~ レンズ構成 : 6群6枚 テレフォト型 レンズコーティング : 7層マルチコーティング マウント : M42スクリューマウント 焦点距離 : 135mm 最短撮影距離 : 1.5m 開放F値 : f2.5 最小絞値 : f22 絞り羽根枚数 : 8枚 フィルター径 : 58mm 重量 : 約472g 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=Gztz-P0fWR0 https://www.youtube.com/watch?v=ITpvyC3fGiM https://www.youtube.com/watch?v=jS0_p_aZVSE
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PENTAX Super-Multi-Coarted TAKUMARE F2/35mm
PENTAX Super-Multi-Coarted TAKUMARE F2/35mm このレンズは、とても明るくて、コンパクト!魅力満載の広角レンズです。 以前にとても良く似たレンズを紹介しています。 サイズも含めてほとんど同じ外観で見分けがつかないほどよく似ています。 Super-Takumar F2/35mmというレンズですが、一番の違いは、Super-Multi-Coarted TAKUMAREは多層コーティングが施されている点です。 レンズを正面から見ると良く解ります。 Super-Takumarの方は、やや黄色く見えるのですが、Super-Multi-Coated TAKUMARの方は美しく緑ががったブルーに見えています。多層コーティングの効果で逆光にも強くハレーションが起きにくくなっているようです。 さらに、このSuper-Multi-Coated TAKUMAR野F2/35mmレンズには、優れた屈折率を実現するトリウムを含有した有名なアトムレンズが使われています。 解像力の向上には大いに寄与したのですが、同時の欠点も抱えていて、経年変化でレンズの黄変が出てしまう事です。 現代のデジタル一眼レフカメラで使用する限りオートホワイトバランス効果で、実際の写り自体それほど影響は受けないのですが、オールド一眼レフカメラで使用する場合、撮影に影響が出てしまう事となります。 実際、当方でも、このSuper-Multi-Coated TAKUMAR野F2/35mmレンズを手に入れた時には、後方のレンズにかなり濃い黄変が有りました。 数日間を掛け黄変の除去作業をしたところ、ほとんど気にならないレベルまで黄変を除去することが出来ました。 また時間がたてば、黄変は出ると思いますが、その時はまた黄変の除去をしようとと思います。 特に暗所で、長期間の保管状況では黄変の進行が速いようです。 ただ、トリウム自体が、放射性物質であることから被ばくを心配して使用を嫌う方もいるようです。 もっとも、放射線量と言っても極僅かで、365日素肌に密着させて過ごす様な事が無ければ、問題になるようなことはなく、実用には支障はないものと考えています。 これだけ小型軽量、コンパクトで、尚且つ開放値がF2.0というハイパフォーマンスなレンズは使い勝手も、オールドレンズらしいボケ味の魅力も含め、実力も申し分ない魅力的なレンズだと思います。 【製品概要】 販売開始時期 : 1971年~ レンズ構成 : 7群8枚 マウント : M42スクリュウーマウント フォーカス : マニュアル 絞り : マニュアル/オート 開放絞り : 2.0 最小絞り : 16 絞り羽根 : 6枚 最短撮影距離 : 40cm フィルター径 : 49mm 重量 : 242g 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=umG87bxQN6c https://www.youtube.com/watch?v=SgxKQwDX7ok&t=5s https://www.youtube.com/watch?v=lntkj8nlXd4 https://www.youtube.com/watch?v=qx6Gt6pCzCM https://www.youtube.com/watch?v=4FuytUUNOSU&t=82s https://www.youtube.com/watch?v=Q34Kx85JBBE
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PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMARE F3.5/135mm
PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMARE F3.5/135mm M42マウントの望遠単焦点レンズです。 コンパクトさを優先したレンズコンセプトで、F値も3.5と決して明るくはありませんが、取り回しが楽で、手持ちで撮影が十分可能という点は大きなメリットです。 少し前に、「Super-Takumar F3.5/135mm」というレンズを紹介しましたが、実は同じレンズじゃない?と疑いたくなるほどよく似ています。 実際に同じレンズと混同されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 外観から判断するとすれば、銘板の表記が違うのでそこで判断するというのが一番簡単ですね。 外観では、「Super-Multi-Coated TAKUMAR F3.5/135mm」は開放測光に対応しているので、リアの形状が異なっている点で判別しやすいです。 性能面では、レンズがマルチコーティングされており逆光、フレアー、ゴーストにも強くなっているという事です。 4群5枚のレンズ構成で、写りはさすがのペンタックス、マルチコーティングかもあって、しっかりとした描写をしてくれます。 中古市場での価格も、当時の販売本数が多かったことを受けて比較的リーズナブル価格で取引されているようです。 コストパフォーマンスで考えても、一本持っておいても良い望遠レンズだと思います。 【製品概要】 メーカー : ペンタックス 発売日 : 1971年発売 マウント : M42スクリュウーマウント 焦点距離 : 135mm レンズ構成 : 4群5枚 最大口径比 : 1:3.5 最大絞り : f3.5 最小絞り : f22 絞り羽根枚数 : 6 枚 ピント : マニュアル方式- 最短撮影距離 : 1.5 m フィルターサイズ : φ49.0mm 寸法 : 約58mm(最大径) × 88mm(長さ) 重量 : 343g 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=NOi8s9Vh_hE
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PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm
PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm 「小さいレンズ」がお好きな方、スーパータクマーやSMCタクマーより一回り小さい設計の“Auto Takumar F3.5/35mm”レンズは、数あるタクマーレンズの中でも一番小さな広角レンズです。 一眼レフに付けてみると、このレンズの小ささが良く解ります。 “Auto Takumar F3.5/35mm”レンズの構成は、レトロフォーカスであり、適度な解像感で味わい深い写真を撮ることが出来ます。 PENTAXの古いレンズに共通して言えることですが、やはりコーティングの技術がまだまだの時代で、極僅かしかコーティングを施されていない為、逆光に極端に弱いことはやむ終えない事でしょう。 レンズフード等でハレーション対策をしっかりと行う必要があるレンズです。 但し、フィルター径が46mmと、おおくのPENTAXレンズ49mmと比べ一回り小さいことから、フィルターやフードは他のスーパー・タクマーなどと供用することができません。 【絞動作の違い】 絞りの作動に関する言葉で、プリセット・自動・半自動とありますが、このレンズは半自動方式です。 [プリセット] 使う絞り値をまず決め、絞りの開け閉めは自分で行う (レリーズと連動しない) [自動] 使う絞り値をセットするれば、レリーズ時にカメラが自動で絞り込んでくれる (レリーズが完了すると絞りは開放に自動で戻る) [半自動] レリーズ時に自動で絞り込んでくれるが、絞りを開ける作業は自分で行う 実際の“Auto Takumar F3.5/35mm”の「半自動絞り方式」の使い方ですが、絞り環操作すると絞り羽根は閉じていきます。 撮影前にチャージレバーをその都度操作します。そうすると、カチッと音がして絞りが開放状態にセットされるので、ピント合わせを行います。 シャッターボタンが押し込まれると後方のマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれるので、そのタイミングで瞬時に絞り羽根が設定絞り値まで絞り込まれます。 この様に、チャージレバーをいちいち操作して開放状態にセットする作業が撮影の都度発生するのが「半自動絞り方式」です。 【Auto Takumar F3.5/35mmのレトロフォーカスについて】 光学系は4群5枚のレトロフォーカス型構成ですが、第2群〜第4群までは、3群4枚のテッサー型構成を基本としています。 つまりテッサー型構成の直前にバックフォーカスを稼ぐ目的で、1枚光学硝子レンズを追加した設計概念が「レトロフォーカス型」と言えます。 よく、この当時のレトロフォーカス型光学系を採用したオールドレンズを指し「オールドレンズらしい甘い描写」と評価されることが多いでのですが、レトロフォーカスの名称から来る連想から「レトロ (古めかしい)」的な感覚で受け取ってしまうことがある様です。 しかし、正しくは「RETRO (後退させる) FOCUS (焦点)」ということであり、古い印象としての「レトロ調」違うものです。 あくまで、バックフォーカスを稼ぐ為に開発された光学系なのです。 今回の“Auto Takumar F3.5/35mm”に関して言えば、光学系の基本成分にテッサー型が使われているので、その描写性は鋭いピントと期待してしまいそうですが、実際には直前に配置されている第1群レンズ (前玉) の影響から残存収差の問題も多く発生するようなので、期待通りにはいかないようです。 【Auto Takumar F3.5/35mmレンズ概要】 レンズ構成 : 4群5枚 画角 : 63度 最短撮影距離 : 0.45m 最小絞り : 22 絞り形式 : 半自動(開放セットは手動・絞り込みは自動) フィルター径 : 46mm 大きさ : 53mm(最大径)×33mm(全長) 重さ : 135g 当時価格 : 11,500円 参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=W-eturAWtWM&t=3s https://www.youtube.com/watch?v=PNOiukWnD7w https://www.youtube.com/watch?v=mmujJtuw6wI
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