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Pseudagnostus communis
ブリティッシュコロンビアMcKAY層のアグノスタスです。サイズや形も標準的なものになります。話はそれますが、カンブリア紀の大気は、現在の15倍の二酸化炭素濃度で、気温は後期カンブリア紀で平均摂氏50-60度。とても我々人間が訪れる事が出来る地球ではありません。もし海面を覗く事が出来たならば、沢山のアグノスタスが泳いでいるのではないかと想像します。
Upper Cambrian McKay Group Fraser river,Cranbrok,British Clumbia,Canada Pseudagnostus communistatsutoy
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Selenopeltis macrophthalma
チェコ、ボヘミアの中でもピルゼン(プルゼニ)寄りにあるロキツァニ産のセレノペルティスです。頭部、胴体、尾部のバラバラの部分化石ですが、組み合わせた全長サイズはそこそこ大きいです。別ページのイギリス産ネセウレトゥスと並び、寒水域に生息する三葉虫の代表になります。また、浮遊しながら生きていたのではないかとされます。 標本には1999年採取とラベルが貼ってあり、比較的近年に採取されたものです。
Middle Ordovician Šárka ? Rokycany, Bohemia, Czech Selenopeltis macrophthalmatatsutoy
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Neseuretus parvifrons
カリメネによく似たネセウレトゥスはオルドビス紀初期の極地近くから見つかります。化石の見つかる場所はオルドビス紀の代表的な棘有三葉虫、セレノペルティスと同じで、これらの化石はオルドビス紀の冷水域の海を示すのに役立っています。ネセウレトゥスもセレノペルティスも比較的世界の様々な場所から見つかり、標本数も多い事から、当時の海の様子を伝えるメッセンジャーです。フランス産が有名な本種ですが、これはイギリスウェールズ産で2体並んでいます。
Lower Ordovician Henllan Ash Gwynedd, North Wales, UK Neseuretus parvifronstatsutoy
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Phillipsinella parabola
スコットランド、Girvan産です。この種が属するコリネクソチダ目(Corynexocheeda)三葉虫は、カンブリア紀からデボン紀まで生息し、多様な形をした三葉虫の仲間です。カンブリア紀ユタ州のドリピゲ、オルドビス紀のイラエヌス、デボン紀のスクテルムやパラレジュルスが仲間と言われても、どれも形が違い過ぎて同じ仲間とは思えません。掲載した標本は本種の特徴であるこんもりとした頭鞍部が良く判ります。
Upper Ordovician South Threave Girvan, Ayrshire, Scotland Phillipsinella parabolatatsutoy
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Diademoproetus holzapfeli
ベルギー、ルクセンブルク国境近くのドイツ西部はアイフェル丘陵やフンスリュック山地にデボン紀地層が存在します。また、それら著名な産地の近くである、ライン川東のラーン川付近にもデボン紀三葉虫が産出する場所があります。採取される種類はファコプスやケトネラスピスなど、モロッコ産出化石と同じです。コルヌプロエタスによく似た本種もモロッコ産と相違はありません。
Lower Devonian Rupbach-Schiefer ? Lahn Basin,Germany Diademoproetus holzapfelitatsutoy
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Lioharpes venulosus
イベリア半島の大部分は古生代に形成された古い地域です。その半島北部に東西300㎞に渡って広がるカンタブリア山脈内にあるフエンテスカリオナスが産地となる、ハルぺスの仲間です。部分的に欠損があるものの、特徴となる大きな「つば」や、損なわれやすい尾部が残っています。
Middle Devonian Abadia Formation Fuentes Carrionas, Palencia, Spain Lioharpes venulosustatsutoy
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Xiphogonium trautensteinensis
プロエタス(Proetida)の仲間である本種は、南欧やドイツで産出するデボン紀三葉虫ですが、モロッコでも同名の種が少数ながら見つかります。
Middle Devonian Abadia Formation Polentinos, Palencia, Spain Xiphogonium trautensteinensistatsutoy
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Ktenoura patula
シュロップシャー州、マッチウェンロック南西にあるヒューリー村のシルル紀三葉虫です。英国のシルル紀地層といえばダドリーが有名ですが、こちらの方が古い地層になります。この地は小型の三葉虫が多く地味な標本が多いです。圧縮によって標本が細くなっていますが、Cheiruridの仲間である事が良く判る保存状態です。
Lower Silurian Purple Hughley Shales near Much Wenlock, Shropshire, UK Ktenoura patulatatsutoy
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Geragnostus ingricus
カンブリア紀に繁栄したアグノスタスの仲間はオルドビス紀で絶滅します。約1億年もの間、人類よりはるかに長い歴史を刻んできた、三葉虫の類縁であるこの節足動物は、ほとんどその姿を変えていません。つまりアグノスタスは発生した時から太古の海にとても順応し、完成された形であったとされます。この標本はアグノスタスでは珍しくオルドビス紀地層のものです。
Middle Ordovician Asery level Vilpovitsy,St.Petersburg,Russia Geragnostus ingricustatsutoy
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資料3:カナダ、オンタリオ、オルドビス紀の地層
カナダ、トロント近郊で採れるNanillaenusの頭部標本を送ってもらった際に同封されていた資料です。これを見るだけで、シムコー湖近くのGamebridge, James Dick QuarryのVerulam層の上部で見つかったことがわかります。部分化石であっても資料が加わるだけで、たちまちお宝に変わります。
?tatsutoy
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Michaspis librata
ロシア連邦サハ共和国はシベリアに位置し、日本の8倍の国土である一方、人口は1/100。加えて土地が凍土という別世界です。ダイヤモンドや金など採掘資源が豊富な場所だから、そのノウハウを生かして採掘や研究が進んでいるかと思いきや、あまりその様な印象はありません。現場の写真は見た事がないのですが、長い冬は凍りつき、夏は氷が融け水浸し、と掘れる環境ではないのかもしれません。カンブリア紀化石はアナバル川やレナ川とその支流周辺の路頭で採れるとの事です。画像右にうっすらと浮かぶ三葉虫はHatangia scitaです。
Middle Cambrian Hatanga Siberia, Russia Michaspis libratatatsutoy
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Calymene niagarensis
New York州Rochester Shaleに於いて、ダルマニテスほど幅広くは見つからないものの、場所によっては多産するカリメネです。標本本体、母岩共にしっかりしているので、見栄えが良くお勧めの化石です。採石場閉鎖に伴い新規はないものの、相当数の標本が一般コレクターに渡っているので、入手機会のチャンスはあると思います。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Calymene niagarensistatsutoy
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Glaberagnostus sp. (altaicus E. Romanenko?)
シベリア産三葉虫といえば、東部サハ共和国産が多いのですが、西シベリア、アルタイ地方にもカンブリア紀地層が存在します。これはシベリアがカンブリア紀の頃は赤道直下に位置しており、三葉虫が暮らすのに適した環境であった事が推察出来ます。資料を見る限り、この標本より更に古い初期カンブリア紀三葉虫が、アルタイ‐サヤン山脈で見つかるのですが、あいにく種名でしか(しかもかなり多くの種)標記がなく、画像では見た事がありません。モンゴル産と並んでいつの日か、一般コレクターが完全体標本を目にすることが出来ると良いですね。
Upper Cambrian Glyptagnostus reticulatus biozone Altay range, Siberia, Russia Glaberagnostus sp. (altaicus E. Romanenko?)tatsutoy
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Arctinurus boltoni
New York州 Middleport近くで採れ、その大きさや姿で人気の三葉虫です。この標本は標準サイズで、大きなものはこれの倍以上の体長になり、比較的長命な種であると考えられています。海底を這う生活をしていたとされていますが、否定する論文もあります。標本サイズが大きい事と、商業採掘された事でサンプル数が多く、研究に適していたのではないかと想像します。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Arctinurus boltonitatsutoy
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Asteropyge sp.
ブンデンバッハは三葉虫に限らず、ドイツデボン紀を代表する名産地です。化石化の条件が良かったため、三葉虫だと軟体部が残るものもあります。母岩の粘板岩は、屋根や床に使われるスレートで、紙が高価な中世では、教育の場で繰り返し使えるノートとして活躍していました。現在だとタブレットPCと言ったところです。当産地はファコプスの仲間が多く流通していますが、当標本はアステロピゲの仲間になります。
Devonian Hunsrück Shale Bundenbach,Land Rheinland-Pfalz,Germany Asteropyge sp.tatsutoy
