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資料3:カナダ、オンタリオ、オルドビス紀の地層
カナダ、トロント近郊で採れるNanillaenusの頭部標本を送ってもらった際に同封されていた資料です。これを見るだけで、シムコー湖近くのGamebridge, James Dick QuarryのVerulam層の上部で見つかったことがわかります。部分化石であっても資料が加わるだけで、たちまちお宝に変わります。
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資料2:ボヘミアで産出されるアグノスタス一覧
三葉虫化石を譲りうける受ける際、標本と共に画像の様な資料が送られてくる事があります。今回はチェコ、カンブリア紀アグノスタス一覧表です。種名と共に並ぶのは標本の発見数です。過去150年間で完全体標本が見つかった数を、1から5000で区分しています。学術資料でも時々、調査時に見つかった化石総数に対する該当種の標本数で書かれる事もありますが、これは「完全標本」と「その数」とコレクター心をくすぐる書き方でです。
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資料1:ドイツ石炭紀の三葉虫
三葉虫化石を譲り受ける際、標本と共に図の様な資料が送られてくる事があります。これがとても面白く、今回紹介するのは、ドイツ石炭紀三葉虫の図です。種類ごとの区別が困難である事を見越して送ってくれたのだと思います。出典元を尋ね忘れたのが悔やまれますが、ドイツ語で書かれている書物は入手しても活用出来ないので良しとします。
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バルセロナ神学校地質学博物館誌, 第4号 , 28-12-2007, Three new species of Lehua from the Lower Ordovician of Dra Valley
スペインのローカル誌で、現在も発刊されています。表紙もラテン語、英語、スペイン語が入り乱れており、この手の文献はネットのフリーアクセスには至らないですね。表題論文含め4報、40ページ程度の小さな冊子です。 2007年発刊当時、モロッコからLehuaの産出が続いており、一方でモロッコ三葉虫の情報があまりなかったため、興味が出たので取り寄せた記憶があります。 中を読むと、当種の具体的な産地がどこで、また、Lehuaに関する詳細が記されています。もともと、チェコやイギリスで、”Anachairurus"と呼ばれていた種類である事がわかります。 化石標本以外でも、紙媒体資料ですと一期一会になる事例として紹介致します。
雑誌, Joan Antoni Vela Scripta Musei Geologici Seminarii Barcinonensis 1135-0105 Espanol, Englishtatsutoy
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ハイポストマ(口唇)of Hypodicranotus striatulus
三葉虫の裏側(腹側)にある唇の部分の化石です。Remopleuridesと呼ばれる遊泳性三葉虫の仲間ですが、このハイポストマの形状が特徴的でフォーク状です。この標本の見つかった場所はOgden Point Quarryと1959年開業の現役の石灰岩採掘場です。(CRH Canada社、Canada Mississauga Cement Plant、Colborne市)
Ordovician Verulam Ontario, Canada Hypodicranotus striatulustatsutoy
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Xylabion sp.
カナダ、オンタリオ州ボブケイジョン層は、エリー湖東に沿ってアメリカペンシルバニア州まで続くオルドビス紀の地層です。かつては採取出来る採石所があり、三葉虫をはじめ、腕足類やウミユリ、座ヒトデの化石が採れたのですが、現在は立ち入りが禁止されています。灰色の母岩にキャラメル色の標本本体と、とても映える化石産地です。 XylabionはCheirurinaの仲間なのですが産出量が限られており、なかなか完全体標本を入手出来ません。
Middle Ordovician Bobcaygeon Ontario, Canada Xylabion sp.tatsutoy
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Xiphogonium trautensteinensis
プロエタス(Proetida)の仲間である本種は、南欧やドイツで産出するデボン紀三葉虫ですが、モロッコでも同名の種が少数ながら見つかります。
Middle Devonian Abadia Formation Polentinos, Palencia, Spain Xiphogonium trautensteinensistatsutoy
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Viaphacops sp. (aff. bombifrons)
標本裏面にBLACK CAT MAUNTAIN 2004と"銘入り"の化石です。僅か2cmのファコプスにもかかわらず丁寧にクリーニングされています。種名が当時のものなので、現在は変更になっているはずです。ご指摘頂ければ幸いです。
Lower Devonian Bois D'Arc Carter County, southern Oklahoma, USA Viaphacops sp. (aff. bombifrons)tatsutoy
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Vanuxemella norita
アメリカモンタナ州の北西端、フィッシュトラップ湖のカンブリア紀地層から見つかる三葉虫です。この湖や付近の河川周辺にいくつかある地層からAlbertellaの仲間など数種類の三葉虫が採取されています。別ページにも掲載していますが、意外にもモンタナ州はカンブリア紀三葉虫が豊富で、商業ベースではないが故のマイナー三葉虫を楽しめます。鉱山が多く、恐竜化石も見つかる州なので、化石や鉱物が好きだと気になる場所です。もちろん日本よりも大きな州なので移動が大変ですが…
Middle Cambrian Gordon shale Fishtrap creek area, Montana, US Vanuxemella noritatatsutoy
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Trimerus delphinocephalus
体が大きく、表面がなめらかなホマロノタス(Homalonotinae)の仲間は世界中で見つかります。層序範囲がシルル紀後半からデボン紀初期と狭いため、地層の年代を計測するのに役立った種類です。 標本を見ても、他の種類の三葉虫と区別がつき易いです。ホマロノタスの仲間は、このトリメラス以外に、ディプレウラ、ブルメステリア、パラホマロノタスなどがいます。
Middle Silurian Rochester Shale Middleport, New York, US Trimerus delphinocephalustatsutoy
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Tretaspis seticornis
スウェーデン、ヴェストラ・イェータランド県ファルシェーピング市近郊のRed Tretaspis Shaleが産地で、母岩の赤色が特徴です。同地はストックホルムとノルウェーオスロの間に位置し、同種はオスロでも見つかっています。トリヌクレウスと呼ばれる、頭の周りに「外べり」のある三葉虫は種類も多く、鑑別の際は、外べりの弧の列数と窪みであるピット数で判別せよ、とありますが、専門家でないと無理ですね。私見ですが、Tretaspisは頭の膨らみや、ピットが「はっきり」しているのが特徴に思えます。スコットランドGirvanのTretaspis sortitaが顕著です。
Upper Ordovician ? Falkoping, Vastergotland, Sweden Tretaspis seticornis (Hisinger)tatsutoy
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Toxochasmops extensus
ロシアや北欧で見つかるChasmopine三葉虫の仲間です。イギリスではあまり産出される事がなく、完全体は見た事がありません。本標本は比較的大型で、その特徴である、盛り上がった複眼や、頬棘を観察する事ができます。 産出地であるアクトンスコットはバーミンガム近郊のシュロップシャーヒルズ自然保護区近くの村になります。牧場、農場体験が出来る場所の様ですが、私が訪れれば化石掘り体験に転向してしまいそうです。
Upper Ordovician ? Acton Scott, Shropshire, UK Toxochasmops extensustatsutoy
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The Audubon Society Field Guide to North American Fossils
三葉虫化石の書籍ではなく、アメリカのアマチュア化石採取用のフィールドガイドです。850ページでアメリカ全土で採取できる化石写真と説明が記述された本で、私にとって初の化石本でした。80年代後半に入手し、当時は大喜び。しかし実際はアウトライン過ぎる本で実用には程遠いです。現在振り返り、当時まさかマーブルマウンテンやノパーレンジにアクセス可能な場所に自分が住んでいた事に驚いています。今ならネットで検索し、場所を特定の上、ハンマーと霧吹きを持って出かけていましたね。 追伸:この本で、Ogygopsisの近種でOrriaの記載があるのですが全体化石標本を見た事がありません。どなたか詳細ご存じでしょうか。
Ida Thompson The Audubon Society Field Guide to North American Fossils 978-0394524122 Englishtatsutoy
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Tariccoia arrusensis
イタリア、地中海サルディーニャ島でも化石が見つかります。激しい大陸移動の影響による島だからこそ古生代地層が露出したのではないかと考えます。当種は三葉虫近縁の節足動物だと考えられています。また、イタリア固有の化石なのか、他の地域でこの種が話題になった記憶がないです。一般向け書籍では2010年のThe Back to the Past Museum Guideがデビューでしょうか。 特徴は、全体がのっぺりしていて、尾部よりも大きくて丸い頭部、少ない体節ですが、三葉虫感はあります。
Upper Ordovician Monte Argentu Sardinia, Italy Tariccoia arrusensistatsutoy
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Sphaerocoryphe maquoketensis
頭部部分化石です。見た目は「ダイフォン」と呼ばれる、頭がボール状で、胴体部が魚の骨の様な、大変珍しい三葉虫なのですが、2010年の系統発生分析によると、本標本は普通のスファエロコリフェの仲間との事でした。 アメリカアイオワ州を含むUpper Mississippi Valley and Western Superior Basinと呼ばれる、古生代の地層(ウィスコンシン州、ミネソタ州、アイオワ州)は、イソテルス、セラウルス、エンクリヌルス、リカスなど、バラエティに富んだ三葉虫化石を産出するのですが、実際の標本を見ることは少ないです。
Upper Ordovician Maquoketa Clermont, Elgin, and Bloomfield, Fayette county, Iowa, US Sphaerocoryphe maquoketensistatsutoy
