【微美細彩#21】フローズン・ローズ
公開済みの展示から美と彩りに満ちた小景をピックアップし、その魅力を再発見・再発信する試み。 21回目となる今回は稲倉石鉱山のロードクロサイトを観察しました。 画像のように拡大すると石全体に霜柱のような組織が確認できましたが、これらはすべて微細な結晶粒であると思われます。 過冷却シャーベットのようなシャリシャリした質感です。 https://muuseo.com/tezzarite/items/93 #微美細彩 #コレクションログ #鉱物
遷移金属マンガンを主要成分とするため自色は春爛漫なピンク色。
このMnイオンに起因する色が最大の特徴であるためギリシャ語で "薔薇の色" を意味する『ロードクロサイト』という名が与えられました。
炭酸塩が単体の金属元素と結合していること。
そしてそれらが組み合わさり三方晶系という結晶構造を形成していることから、方解石を筆頭とするカルサイトグループに分類されています。
このグループの共通点として、明瞭な劈開性を有し、自形結晶・劈開片ともにしばしば菱面体を形成することが挙げられます。
そのため付いた和名が『菱マンガン鉱』。
菱鉄鉱や菱亜鉛鉱など、頭に "菱" が付く鉱物と同様の命名則であります。
こちらの石は、北海道の積丹半島に位置する『稲倉石鉱山』で産出した "桜マンガン" のカット石。
本来であればマンガンを目的に採掘される鉱石ですが、華やかな色調を見込まれて彼のように研磨が施されることがあります。
コロラド州やペルーを初めとする海外産の個体の方がより透明で煌びやかでありますが、このとおり国産の良品も柔和で愛らしいです。