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レッドファントムアメジスト/幻影紫水晶
結晶の成長が断続的に行われた結果、かつての結晶面が積層模様として内部にとり残された特殊な水晶です。 この内在する累帯構造があたかも虚ろげな存在(幽霊や幻影)に見えることから『ファントムクォーツ』の名で呼ばれています。 また結晶の先端部が膨らんだ形状を成していることから「松茸水晶」や「王笏水晶」とも呼ばれる形態であります。 こちらのアメジストは先端面に「鱗鉄鉱」という鉱物が付着した状態で再成長を遂げました。 そのため内部には見事なストロベリーファントムが形成されています。 このような構造を見ると、鉱物の結晶は“原子の積層”によって成長するものであるということを再認識させられます。 #アメシスト
宝石 鉱物標本 7 2019年テッツァライト
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アクアマリン&ショール/緑柱石と電気石の共生
ケイ酸ベリリウム-アルミニウムを主成分とする鉱物。 淡い浅瀬の水色から外洋のごとく深い碧色まで、大海原そのもののように幅広い色相を見せるこの石は、航海の守護石として古い時代の船乗りの間で用いられました。 あのエメラルドも属しているベリル群のうち、二価鉄イオンにより水色を呈したものが『アクアマリン』と呼ばれます。 この透明感溢れる海色が、見る者の心を海中へトリップさせるかのようです。 根本にあたる部分に密集している黒い結晶はショール(鉄電気石)という鉱物です。 トルマリンらしい三方晶系の結晶が見られる中、主人であるアクアマリンと同じ六角柱の姿も見られます。 これがまたゴツゴツした岩場みたいで、じーっと眺めていると磯の風景に見えてくるのが面白いです。
宝石 鉱物標本 7.5~8 2015年テッツァライト
