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大きな目対決❗️Erbenochile vs. Coltraneia
モロッコ産デボン紀の三葉虫です。 写真1: 右がErbenochile、左がColtraneia。大きな目で有名な両者ですが、どちらが複眼の数が多いのでしょうか?? 拡大写真を撮って、地道に数えてみました。 写真2〜4: Erbenochile erbeni (Foum Zguid産) 複眼は縦列で最大17個、横33列。総数471個。 写真5〜7: Coltraneia 複眼は縦列で最大14個、横38列。総数392個。 目の横幅では勝ったColtraneiaですが、Erbenocholeの高さには敵わない様です。Foum Zguid産のErbenochileに軍配が上がりました!
Coltraneia Erbenochile デボン紀Sanchan
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オクラホマ産のファコプス科
オクラホマ州のBlack Cat Mountainからはデボン紀のファコプス科の三葉虫が産出します。 Haragan Formation, Clarita, Coal County, Oklahoma, USA と記載してあるのと同じ産地です。 George P. Hansen著のTrilobites of Black Cat Mountain(写真7)では、それらの微妙な違いが指摘されています。自分の標本で比較してみました。 写真1, 4: Kainops raymondi 写真2, 5: Paciphacops campbelli 写真3, 6: Viaphacops sp. A: 頭鞍部のブツブツglabellar tubercles: Paciphacopsが1番はっきりしていて密。 Viaphacopsはあまりブツブツしていない。 Kainopsは他の2者の中間。 B: Palpebral lobe: Kainops、Paciphacops、Viaphacopsの順に滑らかになります。目の上面Palpebral areaが、ViaphacopsではBより低く、他の2者では高い、と本にはありますが、よく分からないというのが正直ななところです。 C: 溝の深さPalpebral furrow: Paciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に浅くなります。 D: 額環Occipital ring: Paciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に幅が狭くなる、とされていますが、非常に微妙な所見です。 E: Genal angle: Viaphacopsは、他よりも尖っているとされますが、これも非常に微妙な所見です。 他にも相違点の指摘はありますが、確認困難でした。 本に記載はありませんが、この3つの標本の比較では、B: Palpebral lobeがPaciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に幅が広くなる様に思います。また、この逆順に目が「吊り上がっている」様に思います。頭鞍部の丸みの具合も異なっている様に見えます。 ただし、圧縮変形の影響も考えなければなりませんし、少ない標本での検討には限界があるでしょう。三葉虫の世界のご多分に漏れず、バリエーションも存在するでしょう。 兎にも角にも、非常にマニアックで、微妙な分野だと思われます。
Phacopidae Phacopida デボン紀Sanchan
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アグノスタス亜目の一種
名前不明 Yunnan, China Cambrian 全長 14mm 雲南省産。 中国産の三葉虫は、資料を得難く、供給元も種名を把握していない事があり、名前が分からない事がしばしばあります。兎も角も、アグノスタス亜目としては非常に大型の立派な個体です。頭部にも尾部にも縁があります。 新分類では三葉虫では無くなったAgnostina(アグノスタス亜目)。目は無く、どちらが頭かはっきりしませんが、棘がある種類では棘は後方に伸びると考える等にて、前後を判定しています。シンプルな形をしていますが、細かく見てゆくと様々なバリエーションがあり、面白いです。多産するため、地質年代の示準化石となるものもあります。
? ? Agnostida AgnostinaSanchan
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「軟」Triarthrus eatoni
Triarthrus eatoni Lorraine Shale, Oneida County, New York, USA Upper Ordovician 軟体部が保存されている事で有名な産地です。触角や脚を含めてディテールが観察できる素晴らしい標本です。 全長(触角除く): 大: 19.0mm、小: 8.8mm ✳︎関連する展示が4F: USA産・三葉虫にあります。
TriarthrusSanchan
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「軟」Lehua
Lehua sp. Fezouata Formation, Draa Valley, Zagora, Morocco Lower Ordovician 全長: 触角を除いて37mm 通常は残らない軟体部が保存されている事があり、注目を集めている産地です。特異な姿の希少種。なかでも、触覚や消化管の痕跡が見てとれる貴重な標本です。 (2Fに関連する展示があります。)
LehuaSanchan
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「軟」Bavarilla
Bavarilla zemmourensis Fezouata Formation, Zagora, Morocco Lower Ordovician 全長 45mm (触覚除く) 通常は残らない軟体部が保存されている事があり、注目を集めている産地です。右の触覚は途中まで、左の触覚はとぐろを巻いている様に見えます。 ✳︎関連する展示が3Fモロッコ産三葉虫にあります。
BavarillaSanchan
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「珍?」Solenopleuropsisの棘
三葉虫には背中側に棘がある場合がありますが、非常に細い場合は、それを保存した状態で掘り出す事は困難です。ポジ・ネガ標本でその存在を把握できる事はあります(当館8F: オーストラリア産・三葉虫、Sinespinaspis参照)。これは丁度背部の棘のラインで母岩が割れたため、棘の痕跡が一列になって観察出来る標本で、なかなか無いと思います。 もうひとつ、これがカンブリア紀の三葉虫だと言う事も驚きです。ばっと見はシルル紀産に見えてしまいますね。細かいブツブツが良く観察できる美品と思います。 Solenopleurosis marginata Oville Formation, Barios de Luna, Spain Upper Cambrian 全長 14mm
Sanchan
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「珍?」Albertellaの棘
右半身は完璧、左半身は一部を除いてしっかりとは化石化しなかった標本です。しかし、右頬棘から前方に枝分かれする棘は、これは何でしょうか? 3対の棘が特徴のAlbertellaは、写真4,5の様な個体が通常です。写真1の様な個体は、私は見た事がありません。写真4のBristolia insolensの棘の伸び方と共通性を感じます。 写真1〜3: Albertella 写真4: Albertella longwelli 写真5: Albertella schenti 写真1-5: Carrara Formation, Pahrump, Nevada, USA Middle Cambrian 写真6: Bristolia insolens Latham Shale, Marble Mountains, San Bernardio County, California, USA Lower Cambrian
Sanchan
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「喰」Saharops
Saharops bensaidi Boulachghal, Taouz, Morocco Middle Devonian 全長 89.3mm 左側の棘が2本短いですが、これはプレパレーション時の欠損ではありません。なんらかの理由で元々短くなった、いわゆる「喰われもの」です。 ✳︎2F: モロッコ産•三葉虫にも関連する展示があります。
SaharopsSanchan
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「喰」Pseudodechenella
Pseudodechenella rowi Centerfield Limestone, Livingston County, New York, USA Middle Devonian 全長直線: 30.2mm, 背周: 約56mm 希少種です。右頬の「喰われ」です。 ✳︎4F: USA産・三葉虫に関連する展示があります。
Pseudodechenella デボン紀Sanchan
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「喰」Onnia
Onnia sp. Kataoua Formation, Zagora, Morocco Upper Ordovician 全長(棘を除く)27.3mm 右の頬棘が短くなっており、いわゆる「喰われもの」です。これは本種としてはかなり大型の個体です。 ✳︎2F: モロッコ産・三葉虫にも関連する展示があります。
OnniaSanchan
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「喰」Olenellus
Olenellus transitans Echo Shale, Emigrant Pass, California, USA Lower Cambrian 全長 58mm 右の3番目の胸棘がありませんが、これはプレパレーション中の欠損ではなく、元々無かった、すなわち病理的なものだという事です。ですので、これは「喰われもの」という事にはなります。しかし、本当に「喰われた」のかと言うと、疑問があります。捕食者の攻撃であったならば、この周囲もダメージを受けるのではないか?と思うのです。第1・2肋棘や頬棘を傷付けずに、ここだけガブリとやるのは難しいのではないでしょうか?したがって、脱皮してまだ体が柔らかい時に、何かに引っ掛けて失った、といったことが考えられるのではないかと思います。 ✳︎同一個体が4F: USA産・三葉虫に展示されています。
OlenellusSanchan
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「喰」Minicryphaeus
Minicryphaeus giganteus Mrakib, Morocco Middle Devonian 全長直線 62.5mm 左頬棘が短くなっています。つるんと丸くなっていて、「喰われもの」である事が分かります。 ✳︎2F: モロッコ産三葉虫にも関連する展示があります。
Minicryphaeus デボン紀Sanchan
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「喰」Flexicalymene retrosa
Flexicalymene retrosa Arnheim Formation, Mt. Orab, Ohio, USA Middle Ordovician 全長36.4mm, 最大幅19.2mm 左の第1〜3側葉が短くなっています。「喰われもの」です。 ✳︎4F: USA産・三葉虫に関連する展示があります。
FlexicalymeneSanchan
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「喰」Elliptocephala
Elliptocephala praenuntius Middle Poleta Formation, Montezuma Range, Nevada, USA Lower Cambrian 全長 26.5mm 写真1〜2: ネガ 写真3〜4: ポジ ネガの左側の頬棘は欠損しています。これはプレパレーションの問題ではなく、いわゆる「喰われ」です。 ✳︎4F「USA産•三葉虫」に関連する展示があります。
ElliptocephalaSanchan