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Lonchocephalus plena
個人的には、数ある三葉虫の中でもmm単価が最も高い種類の一つなのではと思っています。weeks産は、数種を除けば入手難易度が一気に上がりますが、本種は小さく地味ですが、数も少なくweeks産を収集していくなかでも簡単に入手は出来ない種類、更に出てきても明瞭な保存状態の標本は一般的に出回らないレベルなどではと感じます。両頬の棘と頭鞍部から後方の1本、更に背軸部には折り重なっていますが、3本の棘が確認できます。
Upper Cambrian TRI-740 Lonchocephalidae WeeksTrilobites
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Isotelus maximus
オハイオ州の「州の化石」であり、北米の代表種であり、オルドビス紀三葉虫の代表種とまで言っても過言ではない有名種です。過去には30㎝を超えるような大きさの個体がMount Orab(Brown County)で産出し、国内を始め各地の博物館等に展示されていて、見栄えのする種類として知られます。因みにMount Orabとはどんな山かと調べていたら平原の田舎町でした。大きくなると頬棘が相対的に短くなっていく特徴があります。 ※産地情報に誤りがあり、修正しました。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-149 ArnheimTrilobites
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Eldridgeops milleri
シリカ累層(Silica shale)といえば、デボン紀の良質なファコプスEldridgeopsを産出した事で三葉虫コレクターには知られます。実際にデボン紀のEldridgeopsの暮らしていた海底はどんな世界だったのでしょう。この標本は、そんなシリカ累層の海底の様子を伺い知る事が出来ます。三葉虫の頭部を始めとする欠片が散らばり、他に腕足動物(Brachiopods) 、四方サンゴ類(Horn Corals)などの姿を見る事が出来ます。濃い密度で化石化していますが、この様な状態を見れば保存の良いシリカ累層であっても三葉虫の完全体など多くは存在する訳では無いという事は見えてきます。
Middle Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-41-2 Silica shaleTrilobites
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Dalmanites cf.caudatus
世界にはコレクターに知られていないマイナー産地は、まだ相当あると思っています。付属していたタイプライターで打たれたドイツ語のラベル、そこにはドイツの首都ベルリン(州)、シュパンダウ区(かつての西ベルリンでいうと西端の区域)、旧Parey採石場から産出した事になっています。推定ですが20世紀中盤までに採取された古い標本と思われます。長い事、三葉虫を収集してきたのに初見の情報です。ドイツにもシルル紀の地層が都会の真ん中にあったとは、旧Parey採石場についてもOrthocerasなどが産出したという位しか情報が無く、結構昔に埋もれているという事しか分かりませんでした。滑らかな石灰岩には他に腕足なども埋もれており、広域ですがシルル紀産地では比較的近いGotlandとは岩の質が違います。
Silurian Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-759 -Trilobites
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Phacops logani
デボン紀ニューヨーク産なのですが、余り出回る事のないマイナー産地の標本です。圧縮や褶曲による影響もなく、大型の標本を産出しているのに市場に姿を見せない謎の産地なのです。ViaohacopsやPaciphacops logani(HALL,1860)とも呼ばれることがあるようですが、複眼の縦列が不鮮明ながら7列ほどあり、オクラホマ産の縦列が少ないPaciphacopsとは別概念というよりは、19世紀の記載のままで研究が進んでいなく実際は別学名を付与すべき存在なのだと勝手に思っています。AMNH標本にある Paciphacops n.sp.や隣州ペンシルヴァニア州Onondago Limestone等から産出のViaphacopsと同種か極めて近縁であると感じます。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-522 Kalkberg LimestoneTrilobites
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Aulacopleura pogsoni
Aulacopleuraといえば同じシルル紀チェコ産のA.koninckiiは、一般種として知られますが、こちらは見た目は同じでも遠くは離れた南半球オーストラリア産、Sinespinaspis markhamiが有名な産地からの種類です。こちらでは、滅多に見かける事との無い希少種ですが、チェコではLeonaspis系のが逆に珍しいのは興味深い所です。ネガだけの標本は評価が低く安価で購入できますが、写真で鑑賞する私としては、あまりデメリットではなく、細部まで保存されている状態の方が重要です。 [Negative]
Lower Silurian Aulacopleuridae,Aulacopleuroidea,Proetida TRI-678 CottonTrilobites
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Amphoton deois
頬棘がなく丸い頭部を持ち、大き目な尾部も同様に丸いため、全体的に優しい印象を持ちます。胸部は節々がしっかりとしており、鋭く短めの棘になっており、背軸部にも棘の痕跡を持つので、頭部尾部との対比が別物の感じがあります。中国では、属名Amphotonの事を双耳虫という事から、頭部の見た目が耳を持っているかのような形状に由来するものと思われます。 中国名:女神双耳虫
Middle Cambrian Dolichometopidae,Corynexochina,Corynexochida TRI-691 ZhangxiaTrilobites
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Schizostylus brevicaudatus
成体でも大きくならなかった種類の様です。一番の特徴は、先端に吻というより角のような尖りがある事かと思います。ファコプスでは珍しく背軸部に棘も確認でき、短くとも鋭い頬棘も持っています。ボリビア産は、Calmoniidae科に偏りがあるので、同じような種類ばかりに見えてしまいますが、本種は非常に特徴がはっきりしているので、見分けがしやすい種類です。 [Left side:Positive/Right side:Negative]
Middle Devonian Calmoniidae,Acastidae,Phacopina,Phacopida TRI-345 BelénTrilobites
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Viaphacops sp. (aff. bombifrons)
オクラホマ州デボン紀では、主流といえるHaragan累層より少し後の時代になるBois d' Arc累層より産出するViaphacops。何故かHaragan累層からは産出していません。Viaphacops bombifrons (Hall,1961)という記載された種がいたのですが、再び属名を失っている理由も謎であります。Kainops raymondiとは複眼の縦列が明らかに少なく明確に区別がつくのですが、Paciphacops campbelliとの比較において頬(Genal angle)がViaphacopsの方が尖っているというのが一番分かりやすいのではと感じますが、種類を分ける程の差があるのだろうかというのが正直な感想です。
Lower Devonian (Lochkovian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-493 Bois d'ArcTrilobites
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Eremiproetus sp.
実物を見るとProetida(目)とは思えない大きさに先ず驚きます。長い頬棘だけでなく側葉にも長くてしっかりとした棘があり、中軸部にも短く鋭い棘が並んでいます。新種でありEremiproetusという属名も仮であると思うのですが、比較対象となる個体が見当たらないため、正解が分からない個体です。
Middle Devonian Tropidocoryphidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-732 -Trilobites
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Kochina sp.
Kochinaという種類は、Spence Shaleの4cm台の大きさのあるKochina vestinaが知られますが、本種は、同じユタ州産でもMarjum Formationから産出した個体で、Kochinaに似ているというだけで新属新種であると思われます。既に研究が尽くされているユタ州産でも、まだ可能性があるというのが古生物の面白い所です。 【標本リンク】FFストア https://www.ffstore.net/detail/koc_001.html
Middle Cambrian Ptychopariidae,Ptychopariina,Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-758 MarjumTrilobites
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Treveropyge rotundifrons
ドイツ西部ラインラント=プファルツ州から産出するデボン紀の三葉虫。Steinsberg産の種類は、更に西に直線距離で80㎞ほど離れたGees産と比べるとの細部までは明瞭ではないですが、大型で褶曲の影響を受けた種類を産出するようです。Treveropygeは、モロッコ産でイメージがつきますが、「Eifel-Trilobiten2:Phacopida 1」を見てみると10種類以上が記名されており、研究が進んでいる事に驚きます。私には、この標本がTreveropygeといわれてもピンとこない位、特徴が分かり難いです。
Lower Devonian (Emsium) Acastidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-638 Rupbach SchichtenTrilobites
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Leonaspis chacaltayana
ボリビア産といえばデボン紀のノジュールから産出する産地が昔から知られていますが、数は少ないですがシルル紀からの三葉虫も知られます。産出も少ないだけでなく種類も限られ、本種以外では数種を見かける程度の産地です。Leonaspisなので、モロッコ産や世界の他産地の種類と姿は同じに見えますが、その中ではシルル紀にしては大きくなる産地だった様です。数少ない論文を見ると本種以外にL.aracanaという種も存在しているのですが、市場では区分されてはいなそうです。
Silurian Odontopleuridae,Odontopleuroidea,Lichida TRI-669 CataviTrilobites
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Bat stones
山東省から産出する燕子石は、特徴的なDrepanura premesnili(長い尾棘がある方)の尾部や多数に散らばる破片がコウモリが飛び回る景色に見える事から、日本や英語圏では、蝙蝠石(Bat stones/Batman)と呼ばれてきました。三葉虫の概念が無い古くから知られていますが、破片ばかりの集合体で完全体が希という事もありますが、その不思議なデザインを生かし、硯などの工芸品の石材として利用されてきました。近年になりDrepanura paronaiの良質な完全体がクリーニングできるようになるまでは、学術的な情報も限られており、工芸品の派生的な彫刻された三葉虫が多く出回っていた事実もあり、三葉虫化石という評価は収集家の中でも低かったと思います。 (補足情報) Synonym:Neodrepanura=Drepanura 中国名:璞氏蝙蝠虫
Middle Cambrian Damesellidae,Dameselloidea,Lichida TRI-120 KushanTrilobites
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Chotecops ferdinand
Hunsrück Shaleの軟体部が保存されたChotecopsは、三葉虫コレクターでなくても存在を知っている様な重要な化石ですから、既に新規標本を見込めなくなって久しい現在、例え市場に出て来ても、簡単には購入は出来ない価格に高騰してしまいました。化石化時に貧酸素環境において長い時を経て黄鉄鉱に置換されているため、通常の化石では残らない軟体部が残る事があります。この標本は小さ目ながら、腹側から剖出され触覚や並んだ脚が保存されており、外骨格だけでは伺い知れない腹側の構造を鮮明に残しています。
Lower Devonian (Pragian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-94-2 Hunsrück ShaleTrilobites
