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冷たい水の中の小さな太陽/サガン
新潮文庫 フランソワーズ・サガン(Françoise Sagan、1935年6月21日 - 2004年9月24日)は、フランスの小説家、脚本家。本名はフランソワーズ・コワレ(Françoise Quoirez)。ペンネームは、マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の登場人物 "Princesse de Sagan" から取られました。中流の人々のやや平穏無事な生活の描写で有名。最初の小説『悲しみよこんにちは』は1954年、18歳の頃に出版され、出版と同時に世界的なベストセラーとなり、サイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』に影響を及ぼしました。1996年まで多数の作品を発表し、その多くが映画化されました。ジャン=ポール・サルトルと交流が深く、作品には実存主義の影響が見られます。 『冷たい水の中の小さな太陽』(Un peu de soleil dans l'eau froide)(1969年)は、地方の名士の夫人と青年の愛を描いた作品。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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ノンちゃんの冒険/柴田 翔
新潮文庫 柴田 翔(1935年1月19日 - )は、小説家、ドイツ文学者、東京大学名誉教授。1964年に発表した「されど われらが日々―」で芥川賞を受賞。六全協に影響された学生群像を描いたこの青春小説は、累計186万部というベストセラーとなりました。以後も『贈る言葉』(1966年)、『鳥の影』(1971年)、『立ち盡す明日』(1971年)などを発表。1970年から72年まで小田実、高橋和巳、真継伸彦、開高健とともに同人誌『人間として』を筑摩書房から刊行。『ノンちゃんの冒険』を連載していましたが、雑誌は休刊となり、同作品は1975年に残りを書き下ろして刊行されました。 『ノンちゃんの冒険』(1975年) 短大生ノンちゃんに子供ができた。父親の哲学君は、出て行ったきり行方が知れない。スリリングで心暖まる、都会のメルヘン。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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仮面の告白/三島由紀夫
新潮文庫 三島 由紀夫(1925年1月14日 - 1970年11月25日)は、日本の小説家・劇作家・随筆家・評論家・政治活動家・皇国主義者。戦後の日本文学界を代表する作家の一人であると同時に、海外においても広く認められた作家で、『Esquire』誌の「世界の百人」に選ばれた初の日本人です。代表作は小説に『仮面の告白』『潮騒』『金閣寺』『鏡子の家』『憂国』『豊饒の海』など、戯曲に『近代能楽集』『鹿鳴館』『サド侯爵夫人』などがあります。修辞に富んだ絢爛豪華で詩的な文体、古典劇を基調にした人工性・構築性にあふれる唯美的な作風が特徴。 『仮面の告白』は、2作目の長編小説で、初の書き下ろし小説。大きな成功をおさめた代表作で自伝的作品でもあります。人と違う性的傾向に悩み、生い立ちからの自分を客観的に生体解剖していく「私」の告白の物語。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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日本語の年輪/大野 晋
新潮文庫 大野 晋(1919年8月23日 - 2008年7月14日)は、国語学者、文学博士、学習院大学名誉教授。同時代の作家で親交の深かった丸谷才一は、「最高の日本語学者だった。音韻にも文法にも詳しく言語を文明全体と関連させてとらえた。日本語という謎を解く事を志し、粘り強く成果をあげた。」と評しています。 『日本語の年輪』は、1966年に新潮社(新潮文庫)より発行。日本人の暮しの中で言葉の果した役割を探り、言葉にこめられた民族の心情や歴史をたどっています。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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あすなろ物語/井上 靖
新潮文庫 井上 靖(1907年5月6日 - 1991年1月29日)は、芥川賞、文化勲章、菊池寛賞等を受章した小説家。小説は同時代を舞台とするもの、自伝的色彩の強いもの、歴史に取材したものに大別されます。歴史小説は、日本で特に戦国時代、中国では西域を題材にしたものを多く残しました。巧みな構成と詩情豊かな作風で、多くの作品が映画・ドラマ・舞台化されています。 『あすなろ物語』は、『しろばんば』、『夏草冬濤』、『北の海』とともに、自伝的な作品とされる長編小説。1955年に東宝系で公開された映画では、黒澤明が脚本を手掛けました。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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檸檬/梶井基次郎
新潮文庫 梶井 基次郎(1901年2月17日 - 1932年3月24日)は、感覚的なものと知的なものが融合した簡潔な描写と詩情豊かな澄明な文体で20篇余りの小品を残した小説家。その作品群は心境小説に近く、散策で目にした風景や自らの身辺を題材にした作品が主ですが、日本的自然主義や私小説の影響を受けながらも、感覚的詩人的な側面の強い独自の作品を創り出しています。作家生活は実質7年ほどで、そのほとんどが同人時代であまり注目されず、死の前年から認められ出したものの、その真価が本格的に高まり、独特な地位を得たのは死後のことでした。 『檸檬』は、1925年発行の、の同人誌『青空』創刊号の巻頭に掲載された短編小説で、代表的作品。得体の知れない憂鬱な心情や、ふと抱いたいたずらな感情を、色彩豊かな事物や心象と共に詩的に描いた作品。京都に下宿していた時の鬱屈した心理を背景に、一個のレモンと出会ったときの感動や、それを洋書店の書棚の前に置き、鮮やかなレモンの爆弾を仕掛けたつもりで逃走するという空想が描かれています。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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暗夜行路(後編)/志賀直哉
新潮文庫 志賀 直哉(1883年2月20日 - 1971年10月21日)は、明治から昭和にかけて活躍した、白樺派を代表する小説家のひとり。「小説の神様」と称せられ、多くの日本人作家に影響を与えました。写実の名手であり、鋭く正確に捉えた対象を簡潔な言葉で表現しているとの定評があり、無駄を省いた文章は、文体の理想のひとつと見なされ、高い評価を得ました。 『暗夜行路』は、雑誌「改造」に1921年から1937年まで掲載された志賀直哉唯一の長編小説で、4部構成。晩年の穏やかな心境小説の頂点に位置づけられる作品です。近代日本文学の代表作の一つで、大岡昇平は「近代文学の最高峰である」と讃えています。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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道草/夏目漱石
新潮文庫 夏目 漱石(1867年2月9日 - 1916年12月9日)は、小説家、評論家、英文学者。本名、夏目 金之助。江戸の牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)出身。帝国大学(現在の東京大学)英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めたあと、イギリスへ留学。帰国後、大学講師として英文学を講じながら、『吾輩は猫である』を雑誌『ホトトギス』に発表し評判になります。 その後朝日新聞社に入社し、『虞美人草』『三四郎』などを掲載。当初は余裕派と呼ばれました。「修善寺の大患」後は、『行人』『こゝろ』『硝子戸の中』などを執筆。晩年は胃潰瘍に悩まされ、『明暗』が絶筆となりました。 『道草』は、朝日新聞に、1915年6月3日から9月14日まで掲載された長編小説。 「吾輩は猫である」執筆時の生活をもとにした漱石自身の自伝であるとされます。私小説風のため、小宮豊隆らからは不評でしたが、これまで漱石のことを余裕派と呼び、その作風・作品に批判的だった自然主義と呼ばれる作家達からは高く評価されました。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
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緋文字/ホーソン
新潮文庫 ナサニエル・ホーソン(Nathaniel Hawthorne 1804年7月4日 – 1864年5月19日)は、アメリカ合衆国の小説家。 善と悪や罪を扱った宗教的な内容の作品が多い。『緋文字』を発表し注目を集め始めていたころ、アメリカでは市場主義経済が発達し文学作品も「商品」としての色合いが強くなり、文学の芸術的価値より大衆の評判が重要視され始めホーソーンはこのギャップに苦しむことになります。 『緋文字』(The Scarlet Letter)は、1850年に出版されたゴシックロマン小説で、ホーソンの代表作。 17世紀のニューイングランドのピューリタン社会を舞台に、姦通の罪を犯した後に出産し、その父親の名を明かすことを拒み、悔恨と尊厳の内に新しい人生を打ち建てようと努力する女性ヘスター・プリンの物語を描いています。この物語を通じて、ホーソンは神の赦しと律法主義、罪悪についての問題を模索しています。
文庫本 新潮社 240円 1970年代ts-r32
