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蚕種免許印紙:明治7年度使用・共通用(その2)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 7 -Common use (2)
蚕種免許印紙・明治7年度使用・共通用で、「その1」で示した個体と比べると、 ・「明治」が整っている(「その1」のものは、特に「明」がデフォルメされている)、 ・「七」の横棒が細くて長い(個体差?版の差?)、 ・「蚕」(旧字)の、「虫」の最終画がおとなしい(「その1」のものは強いハネ付きのセリフがある)、 という特徴があって、異なる版の可能性が高く、アルバムでは別タイプ/版として整理しています。 四隅の渦巻き紋様と、どこか愛嬌のあるカイコガの姿が味わい深い、明治の名作の一つです。
unechan
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蚕種免許印紙:明治7年度使用・共通用(その1)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 7 -Common use (1)
明治7年度の蚕種免許印紙は、それまでの青海波紋様からカイコガと繭を周辺にあしらったデザインに変更となりました。 当初は明治6年度と同様に淡黒色の国内用と緑色の海外用の二種類が発行される予定で、菊紋の下側に「国内」と「海外」がそれぞれ彫られた見本(朱色の丸消付き)が布告に貼付されて公告されたのですが、日本からの絹関連製品の大輸入国であったイタリアの公使より、 「印紙を国内用と国内用に分けて輸出を制限するのは日伊条約に反する」 というクレームがついて、急遽、国内向けの印面から「国内」を削りとったものが共通用として販売、使用されました。 印面の菊紋と「蚕種」「明治七年」との間がやたらと広いのはこの削り取りが原因です。 この印紙も入手には苦労させられ、明治5年度や明治6年度の海外用と比べると出会えるチャンスは少ないように感じています。 古屋カタログ(2011)によると原版数は「2以上」とあり、私のコレクションにある2枚も彫りのインプレッションが異なっています(→「その2」でご紹介いたします)。 この印紙、昆虫をモチーフとした切手/印紙としてはもしかしたら世界で最も古いものかも知れません。 切手では、ハワイの1891年のリリウオカラニ女王を描いた2¢ dull violet (Scott 52) で、女王の髪飾りに蝶のブローチ(?)が描かれているものが世界最古の昆虫切手とのことで、この印紙の明治7年=1874年はずば抜けて古いと思っています。昆虫を題材としたトピカルコレクションでは欠かせないマテリアルなのかも知れませんね。 ちなみに未発行に終わった明治7年度の国内用と海外用の二種類は、布告に貼られた丸消付きが剥がされたものがごくたまに市場に登場しますが、かなり珍しいもので、残念ながら小生のコレクションには含まれていません。いつか出会えることを心待ちにしてます。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その5)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (5)
蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用で、明瞭なインプレッションの一枚です。刷色は緑色で、タイプAほど濃くはありません。 「六」の両足はタイプAと同じようにハネがあるので、タイプAの初期印刷(=原版が痛む前の状態)であるとも考えられる一方で、 「外」の編(タ)が長く伸びているという違いもあり、扱いに悩んでいる一枚です。 現時点では仮分類として「タイプE」としていますが、こちらも2枚目の発見が待ち遠しい謎の一枚です。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その4)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (4)
蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用で、刷色や全体のインプレッションはタイプAに良く似ていますが、 ・桑の葉の外縁のギザギザが明瞭で、細い線で鋭く描かれている(画像2枚目参照)、 という大きな違いがあります。また、桜紋の芯も展示しているタイプAのそれに比べて長いという違いがあります。 同一版の中での個体差なのかも知れませんが、現時点では別の版と考え、「タイプD」として分けています。 2枚目の発見が待たれる、謎めいた一枚です。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その3)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (3)
蚕種免許印紙:明治6年度使用の海外用で、刷色は濃緑色でタイプAと同じですが、 ・「六」の両足にハネなどがなく、すっきりしている、 ・青海波紋様の小波が安定していて正確に彫られている、 ・全体としてインプレッションが明瞭(タイプBほどではない)、 という特徴があり、別の版として「タイプC」としています。 画像2枚目は同じ特徴を持っていて、緑色が若干薄めの個体です。 こちらもあまり見かけないように感じています。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その2)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (2)
蚕種免許印紙・明治6年度使用の海外用で、「(その1)」で示したもの(仮称:タイプA)と比べて次のような違いがあります。 ・刷色がより薄い緑色、 ・「六」の脚のハネがない、 ・四隅の桜紋様の芯が長い、 ・「明治」の二字が直立しており、タイプAのように斜め気味に変形していない。 これらの特徴から、明らかに別の版と考えられるため、仮版として「タイプB」と称してアルバムに整理しています。 「タイプA」に比べると見かけることが少ないと感じています。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・海外用(その1)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Overseas use (1)
蚕種免許印紙・明治6年度使用の海外用。デザインは基本的に国内用と同じですが、「海外」の記載があり、刷色が緑色となっています。 緑色の刷色が美しく、豪華で豪勢な彫りが楽しめる印紙です。 明治6年度使用海外用には複数の版が存在して、古屋カタログ(2011)では4面(4版)と推定されていますが、残念ながら版別の特徴などは記載されていません。 私のコレクションにもインプレッションや字体の特徴が異なるものが複数種類あるのですが、それらを紋様の特徴や刷色、インプレッションでグループに分けて、「タイプ」と称して整理しています。 ここに示した3枚は、 ・「六」の第4画目(右脚)の終わりに内側に向けたハネがある、 ・青海波紋様の小波がスムーズではなく乱れ気味、 ・全体的にぼやけたインプレッション、 という特徴があり、アルバムでは仮称「タイプA」として整理しています。個人的には最も一般的な、よく見かけるタイプであると感じています。 なお、印刷のインプレッションがぼやけているのが、元の販の特徴なのか、印刷時の加減なのか、はたまた使用/保存時のスレによるものなのかはっきりしていません。さらなる調査研究が必要と感じています。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・国内用(その2)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Domestic use (2)
私のコレクションに入っている2枚の蚕種免許印紙明治6年度使用・国内用のうちのもう一方です。 この印紙は、先のもの(その1)に比べると刷色が薄く、わずかに茶色味を帯びた灰色であるのが特徴です。 版が異なるのか、印刷された時期が異なるのか。「國」の下から斜めに伸びる傷のような線は定常変種なのか偶発変種なのか。ルーレット目打のピッチが(その1)に比べると若干荒いのは変動範囲なのか否か。 謎を秘めた1枚です。
unechan
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蚕種免許印紙:明治6年度使用・国内用(その1)/ Silk Work Egg Revenue: Meiji 6 - Domestic use (1)
明治6年度使用の国内用印紙です。前年度(明治5年)とは違って、手彫証券印紙と同じくルーレット目打が採用されています。 印面紋様は基本的には明治5年度のものと同じですが、国内用には「国内」、別に展示する海外用には「海外」との表記が追加され、年号も明治表記となっています。 カタログによると国内用は珍しいとあり、実際も出会える機会はごく限られれていて、小生のコレクションには2枚しかありません。当然ですが版別などを調査するには程遠い状況です。 少し灰色がかかった黒の刷色がなかなか渋くて味わい深い印紙です。
unechan
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蚕種免許印紙:明治5年度使用(その3)右枝先端の葉脈落ち/ Silk Worm Egg Revenue: Meiji 5 (part 3) - var right branch leaf vein missing
明治5年度使用・海外用の蚕種免許印紙で、右側の枝の先端部、葉っぱ4枚の葉脈が欠落している派手な忘彫エラー付きです。 左下桜紋の下側の青海波の小波も不完全のように見えますが、なんと言っても4枚もの葉っぱが真っ白になっているのが強烈な一枚です。 蚕種免許印紙は種紙1枚につき1枚が貼られたので、使用済みは理論的には全て単片であるので、折角のエラー印紙でもポジションが全くわからないということは残念ではありますが、それでも貴重なエラー印紙としてアルバムに大切に収めて愛でています。
unechan
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蚕種免許印紙:明治5年度使用(その2)- 目打11 / Silk Worm Egg Revenue: Meiji 5 (part 2) - Perf. 11
明治5年度使用の蚕種免許印紙・海外用で、私のコレクションにある唯一の目打11の印紙です。 ピッチ実測値は11.2から11.5の間で、贔屓目に見たら11x12のようにも思えるのですが、ここは控えめに基本目打の範囲内であると考えて整理しています。 蚕種免許印紙は朱消のものが多いのですが、この印紙は黒消。裂けがありますが、大事にしている一枚です。
unechan
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蚕種免許印紙:明治5年度使用(その1)/ Silk Worm Egg Revenue: Meiji 5 (part 1)
明治5年(1872)6月14日に発行され、同年8月31日限廃止となった明治5年度使用の蚕種印紙です。 国内用と海外用(輸出用)とが存在しますが、国内用は極めて稀少で、私のコレクションは全て海外用です。 厚手の西洋紙に黒色で印刷されたもので、シート構成は手彫切手と同じ8x5の40面。海外用で6ないし8版が存在するとのことですが、マテリアルがまだまだ少ないため、版別を議論するまで至っておりません。 目打は9〜11で、例外的に目打12, 11x12, 13が存在するようですが未見です。目打9〜11といっても、ここに示した2枚のように、実測8.5程度とかなり荒いピッチのものが多いように感じています。 印面四隅に桜紋様、外枠と内枠の間は青海波、内枠の四隅には複雑な隅飾りが彫られ、印面内枠の中には菊紋と桑の枝が描かれています。 中央には明治5年を表す「壬申」と「蚕種」が彫られ、海外への輸出用には一枚ごとに「改済」の朱印が押されています。 刷色はごく濃い黒色で、翌年に発行された手彫証券印紙1銭の灰黒色とは全く違う色調です。 蚕種免許印紙の中では最も普通に見られるものではありますが、コンディションの良いものに出会うのはなかなか困難です。
unechan
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第5次発行(電胎版)1銭黒: Plate II リコンストラクションシート/ Reconstructed sheet of Plate II
Reconstructed sheet of Plate II, made with digital images of multiples and single stamps to reconstruct the plate. 第5次発行(電胎版) 1銭黒、 Plate II のリコンストラクションシート。Plate Iと同様にリコンストラクションに用いたペア以上のマルチプルの画像を組み合わせた、いわばデジタル版リコンストラクションシートであり、一枚目は各マルチプルの画像の色調を変えて、パーツの組み合わせがわかるようにしている。二枚目は個別の印紙の画像を組み込んだデジタル版フルシート。このデジタル版フルシートについては、ポーラス紙と無地紙でそれぞれリコンストラクション作業を進めており、完成次第画像を追加したい。 [注:Pos.13につながるマルチプルを発見したのでシート画像及び説明を更新しました] Plate IIではPos.2, 24の2枚(一枚目の画像で赤っぽく表示したポジション)に繋がるマルチプルが未入手であるため、長谷川(2022)に収録されている大ブロックの写真との照合によるプレーティングにより確定した単片をそれぞれはめ込んでいる。従って、厳密にはプレーティングによるリコンストラクションであり、真の意味でのプレートリコンストラクション作業としては未完(あと2つのペア以上のマルチプルが必要で、完成次第画像を差し替える予定)。 【Pos.2は目打で再接したペアのため、きっちりとしたマルチプルの入手が望ましいところ】
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第5次発行 1銭 黒色: 灰色/無地紙 使用例(明治13年) / Japan Hand Engraved Revenue - 5th Issue 1 Sen black, gray on normal wove paper usage (Meiji 13)/
第5次発行 1銭 黒色 灰色/無地紙 使用例(明治13年) / Japan Hand Engraved Revenue - 5th Issue 1 Sen black, grey on normal wove paper usage (Meiji 13) 第5次発行(電胎版)1銭黒印紙が貼られた手持ちの証書では最も初期の明治13年6月付のもので、灰色/無地紙の縦3枚ストリップが貼られている(刷色としては茶灰色brownish greyにも近い印象を受けているが、より茶色味を帯びたものが存在するため、ここでは灰色としている)。 なお、第5次発行(電胎版)1銭黒印紙の最初期使用例としては明治12年1月が報告されている(長谷川,2022)が、明治13年のものですらなかなか出会えていない。 【注;刷色を「灰色」といたしました】
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第5次発行 1銭 黒色: 灰色/無地紙 使用例(明治13年7月使用) / Japan Hand Engraved Revenue - 5th Issue 1 Sen black, grey on normal wove paper usage (July, Meiji 13)
第5次発行 1銭 黒色 灰色/無地紙 使用例(明治13年7月使用) / Japan Hand Engraved Revenue - 5th Issue 1 Sen black, grey on normal wove paper usage (July, Meiji 13) こちらは明治13年7月の第5次発行1銭黒、 灰色/無地紙の使用例。この刷色と用紙の組み合わせは初期に限られているのかも知れない。後期に多いポーラス紙/黒色とは別の印紙のような印象を受ける。イメージとしては第1次発行1銭(和紙、ルーレット)の中期印刷の、やや濃いめの灰色と同じ色調にも見える。
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